360° business innovation | オーストラリアの塩田から、人びとの暮らしを。 - 三井物産株式会社

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Business Innovation

オーストラリアの塩田から、
人びとの暮らしを。

日本人は、年間73kgもの塩に支えられて暮らしていることをご存知ですか?
毎日に換算すると約200g。日々の食事で使うのはもちろんですが、食塩の一日の平均摂取量は約11〜12g。では、200gの残りは...。

実は、塩はカタチを変えて暮らしの中にとけ込んでいます。日本全体での年間消費量は約800万トン(2014年時点)。あまり知られていませんが、その8割は「工業用」。

塩は、分解され、さまざまな日用品へと生まれ変わったり、汚水や排水処理の中和剤として使われます。三井物産は、この塩の生産・物流・販売事業を手掛け、アジア市場における主要サプライヤーとして高品質の塩を世界の国々へ届けています。

海水と太陽と風で、できている。

そもそも塩は、とても歴史の古い産業。世界中の国々で、天日干し、岩を掘削して主に、食用塩を得ていました。その後、歴史を経て、塩を使った技術が発展し、産業構造の変化により塩の需要が増加しました。

三井物産が塩の生産事業に乗り出したのは、1973年。日本・アジアの塩需要を満たすためにオーストラリアのシャークベイの塩田に出資したのが始まりでした。野生のジュゴンやイルカが生息し、1991年には世界遺産にも登録されるほど、幻想的なシャークベイ。ここで手がける塩作りは、環境への負荷がほとんどない天日干しが基本。雨がほとんど降らず、サイクロンも少ないという利点も活かし、安定して塩が生産できます。晴天が多い乾燥した気候が生み出す、外洋より50%も塩分濃度の高い清らかな海水と、太陽と穏やかな風に恵まれたこの場所は、塩事業を手がけるための条件が揃った奇跡的な土地でした。食品関連用としても非常に高い品質を誇るシャークベイの塩は、ほんのりと甘く、マイルド。日本を中心にマレーシア、台湾、韓国、フィリピン、シンガポール、インドネシアなどに販売しています。2005年には、三井物産が100%子会社化。翌2006年には、工業用塩の生産の中心として西オーストラリア州のオンズロー塩田に出資、両塩田を合わせアジア市場でトップクラスの生産能力を保有し、様々な顧客の要望に応えています。

例えば、あなたのバッグにカタチを変えて。

こうして採れた塩は、日本をはじめアジアの国々に運ばれてゆきます。三井物産の塩事業の特徴の一つが「輸送」です。オーストラリアという比較的アジアに近い立地に加え、25,000トン級から55,000トン級の中型船を駆使することで、物量やスケジュール、あらゆるニーズに応えています。こうして輸送された塩は、全体量の約2割が食品などとして様々な形で食卓に並びます。冒頭にもお話しした通り、残り8割は工業用の原料として使われて、例えばあなたのバッグになったりします。

どうやって...?ここで化学の話を。塩を電気分解すると「塩素」と「苛性ソーダ」になります。つまり、NaCl をClとNaOHに分解。そうしてできた「塩素」は、いくつもの工程を経て、合成皮革や塩化ビニルやウレタンの原料になります。その原料は、さらに数々の加工によって、あなたの使っているバッグや、洋服、部屋の壁紙、座り心地の良い椅子になって、あなたの暮らしを彩っています。気がつかないだけで、塩は本当にたくさんのものの「素」になっています。

そして、「苛性ソーダ」は、工場の汚水処理や、加工した製品をきれいにする中和剤として使われています。「煙突のあるところ苛性ソーダあり」と言っても過言ではありません。 今あなたが、この記事を見ているパソコンやスマートフォンも、作る過程で塩が使われています。例えば、部品自体や、半導体の洗浄など。その他にも、紙、洗剤、ガラス、合成繊維、人工皮革。さらには、住宅や建築資材など、三井物産が届ける塩は、本当に驚くほどカタチを変えて、身近なところで使われています。

地球の恵みで、暮らしを彩る。

ここで未来の話を。三井物産の塩事業は、生活水準の上昇と人口の増加を背景に需要が増えるアジア各国における更なる販売を展開する準備をすすめています。三井物産の作った塩のファンを増やしつつ、アジアという基盤をしっかりと持って、必要な人たちに必要なときにきちんと品質の高い塩を届けられるようにしたいと思っています。

今日も、オーストラリアで採れた塩が、食卓に並び、私達の日用品の原材料になり、水をきれいにしている。「地球の恵みで、暮らしを彩る」。三井物産の塩事業は、今日もそっと私達の暮らしを、支え続けています。

2015年5月掲載