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Business Innovation

「0→1」でビジネスを創造する
イノベーションラボ。

三井物産グローバル・グループ4万2000人とゼロから事業をつくるイノベーションラボ。それが、2019年1月より本格的に活動を開始した「Moon」です。三井物産のビジネスを、次のステージへと進化させます。


三井物産は、長期的な視点から自らの将来像を示す“長期業態ビジョン”を作成しています。その中で三井物産のこれからのあり方として掲げているのが、“「つなぐ」から「つくる」への進化”です。これまでさまざまな産業や業界で、企業や商品などを「つなぐ」ことで価値を生むことが多かった総合商社の機能・役割を超え、自ら主体的にビジネスを「つくる」存在へ進化していこうというものです。

Moon Creative Lab Inc.(以下Moon)は、こうした考えから生まれました。あらゆる業界・商品に知見を持つ三井物産グローバル・グループ4万2000人の中からイノベーティブなアイデアを募集。Moonがアイデアオーナーをサポートしながら、今までにない商品やサービスを共につくっていきます。

「つなぐ」から「つくる」へ、を具現化する

Moonは、2018年8月、三井物産グローバル・グループの新規事業開発、ビジネスインキュベーションを目的に、独立したひとつの組織という形で生まれました。世界的なイノベーションの中心地、米国シリコンバレーのパロアルトに本社を置き、日本では次世代の働き方・オフィス環境を提案するWeWork明治神宮前に拠点を置いています。

Moonが目指しているのは、「0→1」の新しい事業を自らつくり出す、三井物産の未来の姿を生み出していくことです。「0→1」、すなわち、いままでにない新しいビジネスをゼロから形にしていく。そのための場と機能を提供し、進化を加速させます。

いわば三井物産全体のR&D機能を担い、「つなぐ」から「つくる」へというコンセプトを具現化するプラットフォームです。

私たち総合商社のビジネスは、物流・トレーディングを主体としたフェイズから、2000年代に事業投資を主体としたフェイズへ大きく舵を切りました。しかし、その多くはマイノリティー投資に留まり、三井物産が主体的に事業をつくるという点では課題も残っていました。今こそ、その先へ、次のフェイズへと進んでいく。Moonの設立にはそんな想いがこめられています。

もちろん、私たちのビジネスのすべてが「0→1」を志向していくわけではありません。大型の資源投資をはじめ、三井物産の大きな強みとなっている既存ビジネスではより強固な基盤を築きながら、その一方で、社会に顕在化していないビジネスの芽にもいち早く着目し、大胆に事業化していく。そんなチャレンジです。

デジタル化の進展をはじめとするさまざまなイノベーションにより、あらゆる領域で急速な変化が進む今、より多様に、よりダイナミックに、社会に新たな価値を生んでいきます。

「つなぐ」から「つくる」へ、を具現化する

世界中の社員の中にあるアイデアを解き放つ

世界中の社員の中にあるアイデアを解き放つ

2019年1月、Moonは、“SMAP (SMart connected Application Platform)”と呼ばれるアイデア募集のプラットフォームシステムをリリースし、いよいよその活動を本格化させました。

このシステムを通じ、世界中の三井物産グローバル・グループ4万2000人からビジネスアイデアを募るのです。日本国内の本店、支社・支店を皮切りに、順次、アジア、欧州、米州に導入・展開していきます。

Moonが世界中の社員からアイデアを募るのは、「ビジネスの現場にこそ新しいアイデアがある」と考えるからです。あらゆる産業と深く関わる私たちの現場は、まさに新しいアイデアの宝庫。従来の体制ではなかなか取り組めなかった革新的なアイデアにMoonが光をあて、形にしていきます。

その流れは、以下の通りです。

まず、世界中の現場から寄せられたアイデアに対して、Moonのオペレーティングチームが壁打ち相手に。どのような課題をどうやって解決していくのか、社会にどのような新たな価値を創造するのか、さまざまな視点から検証し、アイデアをよりよいものに発展させていきます。

こうしたプロセスを経て、最終的にはビジネスデザインのプロフェッショナルである外部パートナーを含めた、「Moonコミッティー」が審査。実際に事業化に着手する案件が決まります。

アイデアを提案した社員は、Moonに席が用意され、企業に所属しながら起業する「アントレプレナー・イン・レジデンス(社内起業家)」として、Moonメンバーとともに本格的に事業化を進めていくことになります。

新規事業開発に100%専念できる環境

Moonが独立した企業であるメリットは大きく分けて3つあります。

第1は、三井物産と物理的に異なる場所・環境に身を置くことで、従来とは異なるやり方でビジネスを創造し、「0→1」のノウハウや知見、機能を集中的に蓄積できること。

第2に、三井物産の従来の投資判断プロセスを超えて、革新的なアイデアの事業化を追求できること。「0→1」の事業をつくるということは世の中に比較しうる前例がないため、投資判断が極めて困難です。しかし、従来の事業投資とは異なる基準で考えることで、たとえば仮説に基づいてプロトタイプを作り、それをまず市場に出し検証しながら修正を加えていく、といったアプローチが可能となり、前例のないアイデアが事業化できるようになります。

最後に、上にも述べたように、アイデアオーナーが「現業の合間」にプロジェクトに取り組むのではなく、Moonに席を持ち100%の時間を使って事業化に専念できること。最善の環境を用意する一方で、万が一事業化に失敗してもMoonに、ひいては三井物産に貴重な経験はストックされていきます。

また、Moonは世界的なビジネスデザインのプロフェッショナルたちとの協業体制を敷いています。その代表例が、世界でも屈指のデザインコンサルティング企業IDEOです。

さまざまな市場でイノベーションを生み出してきたIDEOから共同パートナーを迎え、連携し、そのデザイン思考のノウハウを活かしながら商品・サービス開発を進めていきます。

私たちは現在、「0→1」の事業創造の領域で、「つなぐ」から「つくる」への進化を加速させています。さまざまな知見を吸収し、また実際の事業化の経験を蓄積していくことで、いずれはすべてを内製化し、Moonを新規事業開発のプロフェッショナル集団に育てていきたいと考えています。

「事業をつくるDNA」を呼びさます

Moon が支援するプロジェクトは、既にいくつか実現に向け動き始めています。たとえば、ディープラーニングの技術を活かした疾病診断ビジネスや、アフリカで農業の生産性改善を目指すトラクター・シェアリング・ビジネスなどです。

Moonでは、ビジネスアイデアの選定基準としていくつかの問いを掲げています。以下はその例です。

「世の中に新しい価値をつくる仕事か?」
「多くの人が困っていることを助け、幸せづくりに貢献する仕事か?」
「将来の夢が謳われ、実現に向けたシナリオが描かれている仕事か?」
「やり切る能力、覚悟と熱量あるプロジェクトリーダーがいるか?」

私たち三井物産が事業化に取り組む以上、それは何らかの社会課題を解決するものでなければならない。将来的に市場で大きな存在感を発揮していく可能性を秘めたものでなければならない。ここにはそんな想いが込められています。

ふりかえれば、三井物産には、その創成期において数々のビジネスを開拓してきた歴史があります。Moonには、そうした三井物産の歴史に深く宿る「事業をつくるDNA」をあらためて呼びさまし、次の時代へ「挑戦と創造」を深化させる役割がある。そう言えるかもしれません。

Moonがつくっていく新しいビジネス、従来とは一線を画した、三井物産ならではの新時代のビジネスにどうぞご注目ください。

2019年4月掲載