三井物産株式会社

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人権

方針・基本的な考え方


三井物産は、世界中の国や地域でグローバルに事業を展開していることから、自社のみならずサプライチェーンも含めた人権の尊重への取組みが求められていることを認識しています。このため、国際基準に則った人権の尊重はサステナビリティ経営の基盤であると考えています。また、人権尊重を企業活動の最重要課題の一つとして位置づけ、これまでも三井物産グループ行動指針や三井物産役職員行動規範に人権尊重を掲げて取組みを推進してきました。
2020年8月には人権方針を策定し、三井物産及びその役職員が、ビジネスパートナーを含む様々な関係者と協働して、事業活動を通じて人権尊重に取り組むことを示しました。加えて、2025年にはMissionとして掲げる「世界中の未来をつくる」の実現に向けてマテリアリティの見直しを行いました。人権尊重を前提とする事業推進への社会的要請の一層の高まりを踏まえ、新たに「人権を尊重する社会をつくる」をマテリアリティに追加し、当社の人権尊重の姿勢をあらためて明確化しました。
三井物産は、人権方針や国際基準及び新たなマテリアリティに従い、人権方針の三井物産グループ役職員への周知や三井物産グループ会社と連携した取組みを通じ、ステークホルダーとの対話・協働を重ねながら、グループ全体で人権を尊重した事業活動の推進に努めます。

人権方針

三井物産は、サステナビリティ基本方針及び本方針に沿い、世界中の国や地域における事業活動を通じて人権の尊重に取り組みます。
また、ビジネスパートナーを含む様々な関係者に対し、本方針に沿った人権尊重への理解と実践を期待し、協働して人権の尊重を推進することを目指します。

事業活動における人権尊重
私たちは、事業活動において、自らが人権侵害をしないことに加え、サプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長しないよう努めます。
人権に関する国際規範の尊重
私たちは、「世界人権宣言」を含む国際人権章典、「労働における基本的原則及び権利に関するILO(国際労働機関)宣言」 の中核的労働基準に表明されている人権を最低限のものとして理解し、尊重していきます。そして、「ビジネスと人権に関する指導原則」及び国連グローバル・コンパクトの10原則を支持し、これらの原則に基づいて事業活動を行います。また、私たちは、事業活動を行う国や地域の法令を遵守します。国際的に認められた人権と事業活動を行う国や地域の法令に矛盾がある場合は、法令を遵守しつつ、国際的に認められた人権の原則を尊重する方法を追求します。
ガバナンス・管理体制
当社の取締役会が本方針の遵守及びその取組みを監督します。
人権デューデリジェンス
私たちは、私たちの事業活動に関わる人権への負の影響を特定、評価、防止、軽減するために人権デューデリジェンスを実施します。
事業活動に関わる人権課題
  • 強制労働
    私たちは、強制労働を認めません。また、債務労働や人身取引を含む、いかなる形態の現代奴隷も認めません。
  • 児童労働
    私たちは、児童労働を認めず、法に定められた最低就業年齢を守ります。また、18歳未満の者を、危険有害労働に従事させません。
  • 差別
    私たちは、人種、信条、性別、社会的身分、宗教、国籍、年齢、性的指向、性自認、心身の障がいなどに基づく、いかなる差別も行いません。私たちは、三井物産グループの役職員一人ひとりの個性と多様性を尊重し、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境づくりを進めます。
  • ハラスメント・非人道的な扱い
    私たちは、身体的、若しくは精神的であるかを問わず、性的ハラスメント、パワーハラスメントを含む、あらゆる形態のハラスメントを認めません。また、職場におけるあらゆる差別的言動や、嫌がらせにより、就業環境を害するような言動を認めません。
  • 結社の自由と団体交渉権
    私たちは、労使関係における従業員の結社の自由及び団体交渉権を尊重します。
  • 労働時間と賃金
    私たちは、適用される法令に従い、従業員の労働時間、休日、休暇、賃金を適切に管理します。
  • 労働安全衛生
    私たちは、適用される法令に従い、一人ひとりが健康かつ安全に、そして安心して働き続けられる職場環境を整備します。
  • 地域住民への影響
    私たちは、地域住民の安全や健康への負の影響防止のため、汚染の予防、水ストレスをはじめ、人権についての影響評価を行い、リスクの回避及び影響の軽減に向け国際規範に則り、必要な対応を実行します。
ステークホルダーとのエンゲージメント
私たちは、人権課題について、影響を受けるステークホルダーの視点から理解することが重要であると考えており、また、脆弱であるために特に配慮を要するグループが存在する場合があることも認識しています。このため、関連するステークホルダーとの対話を大切にしつつ、事業活動に関わる人権課題に適切に対応していくことに努めます。
是正・救済
私たちの事業活動が人権への負の影響を引き起こしている、あるいはサプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長していることが明らかになった場合は、適切な手続きを通じて、その是正・救済に取り組みます。
苦情処理メカニズム
私たちは、役職員及び私たちの事業活動に関わる人権課題を適時に把握し、対応していくため、実効的な通報や苦情処理の仕組みの構築に取り組みます。
教育・研修
私たちは、役職員が本方針を理解し、一人ひとりの業務において本方針に基づいた行動が実践されるように、必要な教育及び能力開発を行っていきます。
報告
私たちは、本方針の人権尊重に向けた取組み及びその進捗状況について、各種報告書やウェブサイト等を通して、定期的に報告していきます。

2020年8月策定
2022年2月改定

代表取締役専務執行役員
CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)
サステナビリティ委員会 委員長
佐藤 理

個別課題への対応方針

The Modern Slavery Act(現代奴隷法)への対応方針
私たちは、自社の事業及びサプライチェーンにおける強制労働等現代的な奴隷労働や人身取引の根絶に努めます。
子どもの権利~The Modern Slavery Act(現代奴隷法)への対応方針
私たちは「子どもの権利とビジネス原則」を支持し、子どもの権利を尊重しつつ事業活動を実施することに努めます。
先住民の権利に対する方針
私たちは、事業活動を行う国や地域の法律、また「先住民族の権利に関する国際連合宣言」「独立国における原住民及び種族民に関する条約(ILO第169号)」「自由意志による、事前の、十分な情報に基づいた同意(free, prior, and informed consent:FPIC)の原則」等の国際基準に則り、先住民の人権や文化に対する配慮に努めます。
警備関係者の活動に対する方針
私たちは、世界各地で事業活動を推進する上で、事業活動の安全を守るために警備会社を起用しています。警備業務は武力の乱用により人権侵害を引き起こす可能性があることを認識しており、警備会社の起用にあたっては、関係各国・地域の法令を遵守するとともに、「安全と人権に関する自主原則」「法執行官のための行動綱領」「法執行官のための行動綱領による力及び銃器の使用に関する基本原則」等の国際的ガイドラインに沿って警備会社を選定しています。

目標


  1. 人権デューデリジェンス(人権DD)を実施し、当社事業及びサプライチェーンの人権への負の影響の特定、評価、是正活動を継続、強化する。
  2. 三井物産グループ役職員への人権方針ほか、ビジネスと人権に関する取組みの周知、取引先への持続可能なサプライチェーン取組方針の周知、人権研修開催も通じた当社事業及びサプライチェーンの人権尊重の取組みを推進する。
  3. 人権に関するリスクマネジメント体制の実効性を向上する。

体制・システム


コンプライアンス体制

CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)の指揮・監督の下、コンプライアンス・プログラム統括部署である法務統括部コンプライアンス・インテグリティ推進室が中⼼となって、国内外の各本部及び支社等のコンプライアンス統括責任者(事業本部長、支社長、地域本部長、ブロック長等)と連携しながら、グローバル・グループベースでハラスメントや差別をはじめとするコンプライアンス意識の徹底、コンプライアンス・プログラムの整備・強化、コンプライアンス関連案件への対応を⾏い、人権問題の防止に努めています。


コンプライアンスとインテグリティ:コンプライアンス体制

サステナビリティ委員会

当社内のサステナビリティ経営の推進体制図やサステナビリティ委員会の活動に関する詳細はリンク先をご参照ください。


人権マネジメント

人権方針の遵守を取締役会が監督し、経営会議がその執行に関する重要事項の決定を行います。また、経営会議の下部組織であるサステナビリティ委員会は、本方針に基づく具体的計画策定、施策の企画・立案、体制構築・整備を行います。

事業活動におけるリスクマネジメント

当社では、新規事業参画や拡張、並びに事業撤退に際しては、社外専門家を起用して作成した、気候変動、汚染予防、生態系、水ストレス、人権、労働環境、労働安全衛生等の環境・社会に関する項目を網羅したサステナビリティ・デューデリジェンス・チェックリストを活用し、各事業部において、サステナビリティ影響評価を行っています。人権に関しては、当該チェックリストに基づき、労働安全衛生や、開発事業における現地住民をはじめとする関係者の人権等について関連コーポレートスタッフ部門で社内審査を実施しています。また、事業分野ごとに過去事例等を踏まえた環境・社会リスクを整理した、事業別環境・社会リスクヒートマップを社外専門家と協働して作成し、出資・参画を検討する際等に活用しています。環境・社会に関するリスクが高い事業は、事業開始時だけでなく、操業時や撤退時にも、参画時のサステナビリティ影響評価に変化がないかを確認しています。その結果を踏まえ、必要に応じてサステナビリティ・アドバイザリー・ボードの環境や人権の専門家や社外専門家からのリスク低減に向けた助言も採り入れ、定量・定性基準に応じて、サステナビリティリスクを監督する取締役会、経営会議等による審議・決裁により、事業継続や撤退といった対応を決定しています。また、事業本部による関係会社自主監査に加え、人権、労働安全衛生、環境等の観点を含むサステナビリティ関連リスクマネジメント施策の導入や、商品の売買契約において人権条項を追加することを原則とする等、サプライチェーンを含む人権に関するリスクの低減に資する施策を実行しています。

万が一、当社事業において深刻な人権侵害が疑われる事案が発生した場合は、関係者への聞き取り等を通して事実確認をし、当社グループと当該事案の対象との関係性や、当社グループがその対象に及ぼしうる影響力をよく考慮した上で、人権課題の改善・被害拡散防止・再発防止につながる各種対策とモニタリング策を検討します。事案の解決取組の加速、促進の為に必要と判断される場合には、課題の解決にあたるべき当事者に対し、是正措置を講じるほか、被害者の救済に取組みます。当社からの複数回の働きかけや是正措置にも関わらず、当事者が適切に是正を行う意思がみられない場合や、一定期間で解決・改善が確認されない場合、当事者が提供する情報・報告に重篤な虚偽・隠蔽等があった場合には、撤退も含めた当該事業の対応方針の見直しを検討します。

サステナビリティ・デューデリジェンス・チェックリスト詳細についてはリンク先をご参照ください。


サステナビリティリスクマネジメント

相談窓口

社員相談窓口
人事諸制度の運用等や職場に関わる相談窓口のほか、社員のこころと体の健康に関する各種相談窓口等を設けています。
ステークホルダー含む一般の方向け問合せ窓口(グリーバンスメカニズム)
三井物産は、「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した対話救済プラットフォームを提供する、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として加盟し、ビジネスと人権関連の課題に関係し、国際人権章典等の国際行動規範、各国の国内規範等への違反もしくは、違反が疑われる事例に関する苦情・通報を受け付けています。第三者であるJaCERを介して苦情をより公平かつ透明性高く受け付け、問題があった場合には真摯かつ誠実に対話・救済に取り組みます。通報受付においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。また、通報者に対する報復行為等の不利益な取扱いは行わず、その防止に努めます。なお、JaCERを通じた通報については、JaCERとの協議の上、同機構ウェブサイト上で通報内容及び対応状況について、匿名性に配慮した形式で定期的に情報開示されます。

また、当社ウェブサイトでは、サプライチェーン上のステークホルダーを含む、すべてのステークホルダーの方から、サステナビリティに関し、苦情及び問合せの対応体制を構築しています。
苦情及び問合せを受けるにあたっては相談者のプライバシーを保護し、適切な機密性を確保しています。

JaCERおよび当社ウェブサイトを介して受け付けた苦情については、サステナビリティ経営推進部が窓口となり、内容に応じて事業本部やコーポレートスタッフ部門等適切な関係部署と連携し、対応します。また、社内外からの意見やフィードバックを踏まえ、グリーバンスメカニズムの実効性を定期的に検証し、必要に応じ運用の改善を図ります。

ステークホルダー含む一般の方向け問い合わせ窓口(グリーバンスメカニズム)


ステークホルダーとの協働


イニシアティブへの参画を通じた人権への取組みを推進、拡大しています。各イニシアティブへの参画においては当社の人権に対する基本方針、取組みと合致しているか確認の上、参画を決定しています。

国連グローバル・コンパクト
FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)
PEFC/SGEC
RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパーム油のための円卓会議)
日本経済団体連合会

取組み


目標と取組実績

期間 目標 取組実績
2026年3月期
  1. 人権DDの拡充。人権への負の影響の特定、評価、是正活動の更なる強化。
  1. (1)2026年3月期は、昨年と同様の高リスク分野を対象に、人権DDを実施。サプライヤーアンケートを275件回収。
    (2)関係会社での取組みとして水産事業の関係会社を対象に環境・社会リスクヒートマップやサステナビリティ・デューデリジェンス・チェックリストに基づいた人権関連、生物多様性や水資源等のリスク状況を確認。
  1. 人権方針の三井物産グループ従業員への周知、取引先への持続可能なサプライチェーン取組方針の周知と協働による人権を尊重した事業活動の推進。
  1. 取引先とも協働し、以下を実施
    (1)持続可能なサプライチェーン取組方針、個別調達方針を新規取引先に送付
    (2)役職員向け人権研修並びに、外部講師を招聘した取引先及び国内外役職員向けの人権セミナーを実施(約270人参加)
    (3)「ビジネスと人権」の内容を含む三井物産及び現地法人の役職員向けe-learning(日英)の一部の受講を義務化。キャリア入社導入研修にも追加。
  1. 高次サプライヤーとのエンゲージメント強化、特定商品における持続可能な調達に関するリスクマネジメントの強化。

    *二次以降の上流サプライヤー

  1. (1)高次サプライヤーの従業員の労働環境やその家族の教育環境の実態等をより正確に把握すべく2025年3月期の調査先へ追加現地訪問調査を実施。現地では、国際認証団体(RSPO)やマレーシア政府の国家認証制度(MSPO)の運営主体、現地の社会的企業(Wild Asia)と連携し、精製工場や農園における移民労働者の労働環境やその家族の教育環境等について現地確認と関係者へのヒアリングを実施。強制労働や児童労働を含む人権侵害に該当する事実は確認されなかった。
    (2)コーヒー豆・カカオ豆の個別調達方針の策定。
2025年3月期
  1. 事業活動の人権DDの実施範囲を拡大し、人権への負の影響の特定、評価、是正活動の更なる強化。
  1. (1)2025年3月期は、人権DDの対象を拡大し、従来の食料、衣服、建材に加え、鉱業、石油・ガス、化学品、産業金属等の業種を追加し、アンケート356件を回収。
    (2)また、人権DDの実効性向上のために人権マネジメントに関する規程や周知、特定、調査、開示・改善の各プロセスの実施要領を定め、各事業現場でのリスク管理と、コーポレートスタッフ部門による事業本部の支援、モニタリングを強化。
  1. 人権方針の三井物産グループ従業員への周知、取引先との持続可能なサプライチェーン取組方針の周知と協働による人権の尊重の推進。
  1. 取引先とも協働し、以下を実施
    (1)持続可能なサプライチェーン取組方針、個別調達方針を新規取引先に送付
    (2)取引先、国内外役職員約280名に対して人権研修を実施
    (3)「ビジネスと人権」の内容も含む役職員向けe-learningコンテンツ(日英)をさらに拡充し、一部の受講を義務化。キャリア入社導入研修にも追加
    (4)人権をテーマとした役職員向け意識浸透動画の社内配信
  1. 高次サプライヤーとのエンゲージメント強化、既存社内プロセスへの人権に関するリスクマネジメントの仕組み導入を通じた、事業活動における人権尊重取組みの一層の強化。
  1. (1)マレーシアパーム油の当社サプライヤーの精製会社及び同社へのサプライヤーである搾油工場・農園運営会社・農家を訪問。パーム油の国際認証制度であるRSPOに基づく強制労働・児童労働の防止取組みを確認。
    (2)関係会社に対する内部監査や事業本部による自主監査において、人権に関する監査の仕組みを強化。当社差入役員に対しても、経営に影響を及ぼすリスクとして環境・人権問題を中心としたサステナビリティ課題に関する意識喚起策を実行。
2024年3月期
  1. 事業活動の人権DDを実施し、人権への負の影響の特定、評価、是正の促進。
  1. 持続可能なサプライチェーン取組方針、個別調達方針を新規取引先に送付。2024年3月期には、連結子会社の三井農林が、販売先である食品製造会社と共にスリランカ紅茶農園のフォローアップ監査に同行し、農園、紅茶葉製造工場と対話を実施。
  1. 人権方針の三井物産グループ従業員への方針周知、取引先との協働による人権の尊重の推進。
  1. ステークホルダーと協働し、以下を実施
    (1)取引先、国内外従業員約400名に対して人権研修を実施
    (2)e-learningを導入し、国内従業員約500名が受講
    (3)人権をテーマとしたステークホルダーダイアログを外部法律事務所と開催
  1. サプライヤーとの協働や社内プロセスへの人権に関するリスク管理の組み込み等を通じた、事業活動における人権尊重取組みの一層の強化。
  1. 本店・海外現地法人及び連結子会社のサプライヤー(コーヒー・カカオ・ゴマ・茶葉・エビ等)に対しアンケート調査(22件回収)と、一部サプライヤーに対しての現地訪問調査を実施。子会社である三井物産シーフーズで水産物調達方針を策定。事業本部による関係会社自主監査や内部監査における人権要素の監査の仕組みを導入。買契約書(和文・英文)の雛型に人権条項を追加。
2023年3月期
  1. 事業活動の人権DDを実施し、人権への負の影響の特定、評価、是正の促進。
  1. 持続可能なサプライチェーン取組方針、個別調達方針を新規取引先に送付。2023年3月期に実施したサプライヤーアンケート調査にて人権に関するリスクが懸念される取引先に対し、改善提案を実施。
  1. 人権方針の三井物産グループ従業員への方針周知、取引先との協働による人権の尊重の推進。
  1. 取引先、国内外従業員合わせて約450名に対して人権研修を実施。
  1. 本店、海外現地法人、連結子会社の高リスク分野のすべての主要サプライヤーに対して、アンケート調査を実施し、サプライチェーン上の人権問題の実態把握の促進。
  1. 海外現地法人及び連結子会社のサプライヤー(サトウキビ、コーヒー、パーム油等2,497件送付)に対しアンケート調査を実施。本店、海外現地法人、連結子会社の高リスク分野すべての主要サプライヤーに対するアンケートを完了。また、一部サプライヤーに対して現地訪問調査を実施。

人権DDの取組み

人権デューデリジェンス


当社グループでは、サステナビリティ基本方針及び人権方針に沿い、世界中の国や地域における三井物産グループの事業活動を通じて人権の尊重に取り組みます。また、ビジネスパートナーを含むさまざまな関係者に対し、各方針に沿った人権尊重への理解と実践を期待し、協働して人権の尊重を推進することを目指します。当社では、事業活動において、自らが人権侵害をしないことに加え、サプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長しないよう努めます。また「世界人権宣言」を含む国際人権章典、「労働における基本的原則及び権利に関するILO(国際労働機関)宣言」の中核的労働基準に表明されている人権を尊重し、「ビジネスと人権に関する指導原則」及び「国連グローバル・コンパクトの10原則」を支持し、これらの国際規範を踏まえて、人権方針、環境方針、持続可能なサプライチェーン取組方針を定めています。これら取組みにより当社事業のリスクを低減し、企業価値の持続的な向上に繋げていきます。

当社は、上記のとおり各種国際規範を踏まえて、2020年3月期より、当社のサプライチェーン上で強制労働や児童労働等の人権問題が生じる可能性が高い分野を「高リスク分野」として特定し、人権DDを実施しています。2020年3月期は、社外専門家を起用し、当社及び海外現地法人の取扱商品、連結子会社の主要事業を対象にサプライチェーン上の人権に関するリスクの評価を行い、主に食料・衣服・建材等の商品で、東南アジア、アフリカ、南米等の新興国を原産地とする取引を高リスク分野として特定しました。

高リスク分野は、社会や事業環境の変化に応じて見直しを行っており、現在は、中期経営計画の期間ごとを目途に特定を行っております。

中期経営計画2026の人権DDにおける高リスク分野の特定及びDDの調査等の状況

中期経営計画2026においては、高リスク分野を「産業リスク」・「原産国リスク」・「当社にとっての重要度」の3つの観点に基づいて特定しました。具体的には、社外の専門家の助言を得ながら、ESG評価機関が提供する外部データベースも活用して、人権に関するリスクが高い産業及び原産国の分析を実施しました。産業リスクでは、当社が事業を展開する産業分野における過去20年間の人権に関するリスク事案の発生状況、原産国リスクについては、当社が調達・取引を行う各国の人権に関するリスクをそれぞれ分析し、いずれも4段階(Low・Middle・High・Severe)に区分しました。さらに、当社にとっての重要度(物流取引規模)に応じて、3段階(Low・Middle・High)に区分しました。このように 産業リスク × 原産国リスク × 当社にとっての重要度 の3軸の複合的な分析により、高リスク分野の特定を行い、人権DDの実効性を高めています。

2024年3月期に、前述の手法により、鉱業・石油ガス・化学品・産業金属等を新たに高リスク分野に加え、2025年3月期から人権DDを実施しました。各事業本部を通じてサプライヤーを対象にアンケート調査、追加の個別ヒアリングを実施しました。調査の中では深刻な人権問題は確認されませんでした。

関係会社における取組み

当社は、関係会社・サプライチェーン全体でのサステナビリティ関連リスクマネジメントを実施しています。関係会社を対象とした取組みでは、人権尊重の取組みや環境リスク対応等の全事業に共通するチェック項目に、事業特性に応じたチェック項目を追加し、包括的な観点に加え、事業特性に基づく重点分野についてもリスクマネジメントを実施しています。例えば水産事業では、当社策定の環境・社会リスクヒートマップやサステナビリティ・デューデリジェンス・チェックリストに基づき、関係会社の生物多様性、水資源その他の人権を含む環境・社会リスク状況を確認しました。その結果、環境・社会リスクを網羅的にカバーする水産養殖サステナビリティ認証プログラムであるASC(Aquaculture Stewardship Council)やBAP(Best Aquaculture Practices)認証を取得・更新していることを確認し、また、自然資本依存が高く、土地改変・水ストレス・汚染/廃棄物等の悪影響が主なリスク項目であることを認識しました。今後も、関係会社・サプライチェーン全体でのサステナビリティ関連リスクの可視化と管理レベルの向上を図っていきます。

体制とモニタリングの強化

当社は人権DDの実効性を高めるための社内体制整備にも取り組んでいます。2025年3月期には「人権管理に関する規程」を新たに制定し、事業本部を主体とした人権DDの各プロセス—「周知」「特定」「調査」「開示・改善」—の具体的な実施手順を定めました。これにより、それぞれの事業現場における人権に関するリスクマネジメントを行い、コーポレートスタッフ部門がそのモニタリングや支援を行う仕組みを整備しています。人権DDの実施状況を含む当社の人権に関する取組みや方針については、毎年のサステナビリティ委員会への報告に加え、定期的に経営会議及び取締役会に報告し、見直しを行っています。また、株主やサプライヤー、地域社会等のステークホルダーとの対話を重視し、課題があれば、各方針の継続的な改善を行うこととしています。
取組内容及び実績についてはリンク先をご参照ください。


先住民への配慮

当社が事業を行うにあたっては、事業活動を行う国や地域の法律、また「先住民族の権利に関する国際連合宣言」や「独立国における原住民及び種族民に関する条約(ILO第169号)」等の国際基準に則り、先住民の人権や文化に対する配慮に努めています。

例えば、オーストラリアにおける森林資源事業においては、第三者認証機関の定期監査を必要とする森林認証を取得しており、先住民の伝統的権利を尊重した運営を行っています。


豪州三井物産株式会社:Group Companies(Mitsui & Co. Wood Resources Oceania)

国内においても、社有林「三井物産の森」では、先住民の伝統と文化に配慮した森林管理を行っています。北海道平取町に所有する沙流山林では、平取アイヌ協会及び北海道平取町と協定を締結し、三井物産が平取町に所有する沙流山林で、伝統的なアイヌ文化の保全・継承等に協力しています。

豪州三井物産では、在豪連結子会社と連携し、豪州における先住民の権利を尊重するさまざまな取組みを行っています。従業員への研修をはじめ、大きなイベントやミーティングにおいての先住民に対する尊敬の意を表す声明(Acknowledgement of Country)の実施、豪州域内の各支店・連結子会社の担当者による定期的な情報交換の場を通じて新たな取組みの企画等を積極的に行っています。

従業員の人権

グローバルに事業を展開する当社では、ダイバーシティ&インクルージョンの推進とともに、ハラスメントや差別の問題に対し、さまざまな対策を講じています。人権や差別を含むコンプライアンス事案を職制ライン及び職制外のルートで報告・相談できる内部通報制度の設置や、おかしいと思った時に声を上げるスピークアップ文化の醸成は、その取組みの一例です。また、コンプライアンス関連全般についての協議を⾏う場として、インテグリティ委員会を設置し、監査役及び社外弁護士がオブザーバーとして参加し、コンプライアンス関連事案の発生傾向や課題及びこれらを踏まえたアクションプランについて報告の上、コンプライアンス体制のあり方について話し合い、その内容についてはイントラネットで公開しています。引き続き、各種方針の浸透や、研修の実施を通して、従業員の人権尊重に向けた取組みを推進していきます。


人権研修・セミナー

当社では、人権方針を現場に広く浸透し、事業で実践していくために人権に関するさまざまな研修を実施しています。ハラスメント等、人権・人格侵害防止を含むコンプライアンス研修を実施するほか、当社及び連結子会社の国内外の従業員に対して、サプライチェーンにおける人権への取組みについて、オンライン研修を実施しています。

  実施研修内容 研修参加人数/回数
2026年3月期 SDGパートナーズ/田瀬和夫氏を講師として招き、取引先、当社国内外役職員に、人権に関するセミナーを実施。 約160名
人権管理に関する規程に関する当社国内外役職員を対象とした研修を実施。 約90名
人権DDの現地訪問調査のロールプレイ研修を当社国内従業員に実施。 約20名
2025年3月期 SDGパートナーズ/田瀬和夫氏を講師として招き、取引先、当社国内外役職員に、人権に関する研修を実施。 約280名
「ビジネスと人権」の内容を含む役職員向けe-learningコンテンツ(日英)を拡充し、一部受講を義務化。キャリア入社導入研修にも追加。
人権をテーマとした役職員向け意識浸透動画を社内配信。
2024年3月期 国連開発計画「ビジネスと人権」リエゾンオフィサー/ことのは総合法律事務所弁護士:佐藤暁子氏を招き、取引先、当社国内外従業員に、当社のビジネスと人権取組方針及び人権DDにつき、オンライン研修を実施。 約400名
国内外三井物産グループ役職員(2024年3月末時点)向けにe-learningを導入。 約500名
事業本部/関係会社向けに随時講習会を行ったほか、キャリア段階別研修(新入社員/ラインマネージャー)に「ビジネスと人権」内容を追加。 随時
豪州三井物産において、社外講師を招き、豪州三井物産・ニュージーランド三井物産の従業員ほか在豪連結子会社の従業員を対象に、アボリジナル・ヘリテッジ・マネジメントの研修を実施。 約60名
2023年3月期 真和総合法律事務所の高橋弁護士(当社グループ向け「持続可能なサプライチェーンマネジメントハンドブック」を監修)により、当社及び連結子会社の取引先様、当社及び連結子会社の国内外の従業員に対して、当社人権方針及び取組みの説明、並びにサプライチェーンマネジメントにおける人権DDの実施方法につき、オンライン研修を実施。 約450名
豪州三井物産において、社外講師(弁護士)を招き、豪州三井物産・ニュージーランド三井物産の従業員ほか在豪連結子会社の従業員を対象に、豪州先住民の権利と土地の使用に関する法律に関して研修を実施。 約70名