サステナビリティ経営
サステナビリティへの考え方・推進体制
方針・基本的な考え方
サステナビリティ基本方針
三井物産は、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現し、「世界中の未来をつくる」ことを経営理念に掲げています。この理念の下、本方針においてサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、三井物産グループ行動指針—With Integrityや本方針、サステナビリティ関連方針等に従い、サステナビリティを重視した経営を行います。三井物産グループは事業活動を通じ、地球規模の課題解決に挑み、持続可能な社会と経済成長の実現に寄与していきます。
マテリアリティの特定と取り組み推進
当社は、社会と当社の持続的な発展のために、当社及びステークホルダーに影響を与える重要な課題をマテリアリティとして特定します。マテリアリティは中長期的にリスクまたは機会となる事項であることから、中期経営計画や事業計画等、当社の事業方針・戦略策定の基軸とし、本方針を実践します。
取締役会の役割
取締役会は、当社のサステナビリティへの取り組みを適切に監督し、中長期的な企業価値向上に努めます。サステナビリティに関する重要な事項はサステナビリティ委員会、経営会議を経て、取締役会に付議又は報告の上決定します。
ステークホルダーエンゲージメントと情報開示
当社は、ステークホルダーとの対話を重視し、適切な情報開示に努め、信頼と期待に真摯にそして誠実に応えます。
本方針は、三井物産株式会社の取締役会において承認されました。
2021年11月策定
各種コンセプトの相関図
サステナビリティ関連方針
「中期経営計画2023–変革と成長–」を実現するための6つのCorporate Strategy
- 事業経営力強化
- 財務戦略・ポートフォリオ経営の進化
- 人材戦略
- Strategic Focus(エネルギーソリューション、ヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジア)
- 基盤事業の収益力強化と新事業への挑戦
- サステナビリティ経営/ESGの進化
三井物産の価値観
1876 年創立の旧三井物産*は、第二次世界大戦後間もなく財閥解体により解散し、同社の歴史に幕を下ろしました。その後、現在の三井物産が「挑戦と創造」「自由闊達」「人材主義」といった価値観を共有した元社員たちにより、立ち上げられました。以来、旧三井物産と同様、新たな価値を創造することで社会の発展に貢献し続けています。
旧三井物産初代社長・益田孝の遺した価値観、仕事への姿勢は、私たち三井物産の事業や仕事の進め方、ものの考え方の基本に受け継がれています。そこには、当社の社会的責任としてのサステナビリティに対する考え方が明確に織り込まれており、その考え方は今も全く変わりません。
*:法的には、旧三井物産と現在の三井物産には継続性はなく、それぞれ全く別個の企業体です。
「眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときことなく、遠大な希望を抱かれることを望む。」
「三井物産会社を設立したのは、大いに貿易をやろうというのが眼目であった。金が 欲しいのではない、仕事がしたいと思ったのだ。」
「三井には人間が養成してある。これが三井の宝である。」
旧三井物産初代社長 益田 孝
体制・システム
当社は、2005年3月期に経営会議の下部組織として「CSR推進委員会(現・サステナビリティ委員会)」を設置し、サステナビリティに関する社内体制の構築や、社員への意識啓発に取り組んできました。さらに、2017年5月には、事業活動を通じて社会への新しい価値を創造し、社会と会社相互の持続可能性を追求していくというこれまでの三井物産の変わらぬ姿勢をより明確にしていくために、サステナビリティ委員会を発足しました。サステナビリティ委員会は、経営会議の下部組織として、サステナビリティならびにESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる経営の基本方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に関し、企画・立案・提言を行っています。この委員会を軸として、企業の社会的側面における姿勢や活動に対する社会からの期待や要請に応えるべく、横断的に連携してサステナビリティ関連活動を推進しています。
なお、サステナビリティ委員会の活動については、取締役会による監督が適切に図られる体制となっており、サステナビリティ委員会における審議事項は、定期的に経営会議および取締役会に付議・報告されます。2023年3⽉期取締役会において、経営戦略・サステナビリティ・ガバナンス関連が審議・付議報告された件数は全79件のうち26件です。また、2023年3月期は取締役会での年2回のサステナビリティ推進活動に関する定例報告に加えて、「気候変動対応」をテーマに、社外役員も含めた取締役・監査役がフリーディスカッションを行い、活発な議論がなされました。
サステナビリティ委員会
委員長 | 佐藤 理(代表取締役専務執行役員、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)) |
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副委員長 | 竹増 喜明(代表取締役副社長執行役員CHRO(チーフ・ヒューマン・リソーシズ・オフィサー)、CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)) 重田 哲也(代表取締役専務執行役員CFO(チーフ・フィナンシャル・オフィサー)) |
委員 | サステナビリティ経営推進部長、経営企画部長、人事総務部長、法務部長、事業統括部長、経理部長、財務部長、IR部長、指名された事業本部長(2名) |
事務局 | サステナビリティ経営推進部、経営企画部 |
本委員会は、以下に掲げる事項を役割として活動しています。
- 当社サステナビリティ経営の基本方針およびサステナビリティ推進活動の基本計画の立案
- 当社経営方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に対するサステナビリティ視点での検証・提言
- 環境(気候変動、資源循環、環境汚染、生物多様性等)、社会(人権、サプライチェーンマネジメント、社会貢献活動等)およびこれらに関わるガバナンスに関する全社方針・施策の提案
- サステナビリティを重視した事業活動への提言(事業におけるリスクと機会の把握)
- ステークホルダーへの効果的な情報開示に関する基本方針の審議と策定
- 経営に必要な進捗レビュー、モニタリングに関する検討と提案
- 当社サステナビリティ経営の社内推進体制の構築および整備
- 当社サステナビリティ経営推進活動の年次重点課題の策定と推進
- サステナビリティ経営に関わる社内外対応
- 三井物産株式会社環境基金の基本方針に定める環境基金に関わる重要事項(基本方針・事業計画等)に関する承認
- 三井物産環境基金が募集する助成案件の選定
- 社有林管理規程に該当しない例外的な山林の取得もしくは社有林の処分の推進可否に関する答申
サステナビリティ委員会における主な議論内容(2023年3月期)
第1回(2022年4月13日)
- TCFD に基づく気候変動開示拡充に関する報告
- 連結三井物産グループでのサステナビリティ経営に関する意見交換
第2回(2022年6月14日)
- ESG連動役員報酬/気候変動評価項目に関する審議
- サステナビリティ情報開示更新に関する報告
- 三井物産共創基金制度設計骨子とトライアル案件の実施に関する審議
第3回(2022年8月10日)
- 気候変動に係る外部環境と当社課題に関する報告
- ビジネスと人権/次期中経対応方針に関する報告
- サステナビリティ情報開示更新に関する報告
第4回(2022年10月12日)
- ステークホルダーコミュニケーションに関する報告
- 自然資本(生物多様性・水資源)進捗及び今後の取り組み方針に関する報告
- Scope3 とシナリオ分析の進捗状況に関する報告
- インベスターデイ気候変動パートに関する報告
第5回(2022年12月14日)
- ISSB の動向と対応に関する報告
- 社内カーボンプライシングの更新と更なる活用に関する意見交換・審議
- 改正省エネ法対応に関する報告・審議
第6回(2023年2月14日)
- 自然資本対応方針に関する報告
- 現場主導のビジネスと人権取組方針に関する報告
- 来期サステナビリティ委員会運営方針に関する意見交換
第7回(2023年3月3日)
- ESG情報開示・ESG評価/今期振り返りと今後の方針に関する報告
- サステナビリティ経営推進活動 2023年3月期報告及び2024年3月期方針に関する報告
サステナビリティアドバイザリーボード
メンバー (2024年3月期) *敬称略 |
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サステナビリティに係わる諸課題への対応を目的として、サステナビリティ委員会の決定により、環境・社会テーマに関する外部有識者から構成されるサステナビリティアドバイザリーボード(旧・環境・社会諮問委員会)を設置しています。2023年3月期には、サステナビリティ経営上の重要テーマに関して9回の諮問・意見交換が実施されました。
主な諮問・意見交換内容と実施回数(2023年3月期)
テーマ | 内容 | 実施回数 |
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社内サステナビリティ経営体制・基盤強化 | サステナビリティeラーニングの構成・内容について | 1 |
気候変動 | 気候変動への取り組み | 1 |
ビジネスと人権 | 人権に関する輸出入規制や経済制裁 実効性のある人権デューディリジェンス体制構築 人権課題のあるサプライヤーへの是正指導 欧州業法対応 |
4 |
社会貢献 | 三井物産共創基金について | 3 |
サステナビリティ経営推進部
2019年4月、全社サステナビリティ経営の推進・牽引役としての役目を担い、連結グローバルでの取り組みを加速すべく、サステナビリティ経営推進部を発足させました。同部は、世界のさまざまな国や地域の持続可能な社会と経済の発展と、気候変動をはじめとする地球規模の課題の解決の両立を目指し、連結グローバルベースでのサステナビリティ意識浸透と価値共有を推進しています。
サステナビリティ推進担当
各部署・拠点におけるサステナビリティ経営の実践支援や意識浸透等、現場と一体となった活動の企画・推進を図るため、コーポレートスタッフ部門、事業本部、海外地域本部・地域ブロックおよび国内支社にサステナビリティ推進担当者を配置し、社内ネットワークを構築しています。2023年3月期もサステナビリティ推進担当者会議を四半期に一度オンラインで開催し、サステナビリティ委員会で議論し策定したサステナビリティ関連の新規取り組み方針や重要事項およびサステナビリティに関するトピックスを共有しました。
取り組み
マテリアリティアクションプラン
当社が特定したマテリアリティに対する具体的な取り組みを組織ごとにマテリアリティアクションプランとして整理し、進捗の管理を行っています。本マテリアリティアクションプランはマテリアリティごとの課題認識や主なリスクと機会を前提として、組織毎の対応方針、目標、取り組み状況といった内容を定めたものであると同時に、当社の事業活動がどのようにSDGsへの貢献に結びついているのかを示し、マテリアリティ毎に関係性が高いSDGsを特定しています。
本マテリアリティアクションプランの定期的な進捗管理を実施することでPDCAサイクルを回し、当社のマテリアリティへの取り組みやSDGs達成に向けた取り組みを推進します。
サステナビリティ経営の浸透
サステナビリティ月間
当社では社員一人ひとりがサステビリティについて学び・考えることを通じて実践に結び付けていくために、サステナビリティ月間を設定し、複数のプログラムを実施しています。2023年3月期は、サステナビリティに関するサステナビリティ委員会委員長メッセージの公開、原則全社員が参加しチーム内でディスカッションする体験型サステナビリティプログラム、社有林のビジネス活用をテーマとした座談会、新たに設立した三井物産共創基金に関するウェビナー等を行いました。
このほかにも、サステナビリティ推進担当者が中心となって、社内サステナビリティ関連セミナー等を開催しています。
さらに、新人導入研修における当社サステナビリティ経営についての講義のほか、コーポレート各部、事業本部や地域本部の各部や関係会社を対象としたサステナビリティ経営に関する説明会を実施する等、社員一人ひとりが日々の業務においてサステナビリティを考え、意識浸透を図る場を設けました。