三井物産について
中期経営計画
中期経営計画2023
(2020年5月1日公表)1. 三井物産の目指すあり姿
前中期経営計画の継続課題を踏まえ、本年度、新たに策定したMVVとマテリアリティを基軸に、経営と社員が一体となり 自らを変革させ 激変する事業環境とニーズに機敏に対応し、社会の発展に貢献していくことを目指します。
2. 前中期経営計画の成果と継続課題、変化する経営環境
事業における進捗
前中期経営計画では、金属資源・エネルギー分野を中心とする中核分野での着実な収益基盤の拡大と、機械・インフラ、生活産業を中心とした非資源分野の強化を達成しました。また、「環境と健康」に焦点をあて、事業基盤を拡大しました。
財務基盤、ガバナンス、人材、イノベーション機能
財務基盤については、キャッシュ・フロー経営の浸透が進み、投資規律や株主還元など資本政策において大きな役割を果たしています。また、取締役会の多様性の拡大や実効性を強化する等、ガバナンスを強化しました。
人材は、グローバル人材マネジメントの強化と次世代リーダー創出プログラムを開始しました。イノベーション機能については、Moon Creative Labを始動しました。他にも在宅勤務が機能するデジタルインフラを強化しています。
3. 「変革と成長」を実現する6つのCorporate Strategy
当社のあり姿に加え、前中期経営計画の継続課題や激変する事業環境の変化を踏まえ、「変革と成長」を実現する為に6つのCorporate Strategyを策定しました。
① 事業経営力強化
不透明な事業環境での早期の成長軌道への回復には、既存事業の収益性向上が最重要だと考えています。その為に 事業経営力強化 を図ります。
事業経営の知見を向上させ、事業経営人材の育成・活用に取り組むと同時に、当社が主体的に価値向上を図ることが出来る事業へ 経営資源を優先配分し、収益性の向上を達成します。
また、社内管理指標としてROICを導入することにより予実管理を徹底し、投資性資産からの収益性をより意識した経営を実践していきます。
② 財務戦略・ポートフォリオ経営の進化
投資決定済み案件、既存事業維持の為の投資、下限配当を除く資金を マネジメント・アロケーションと呼び、投資機会と事業環境を勘案し、成長投資と追加還元へ 柔軟で戦略的な資金配分を実行していきます。
また、新中期経営計画期間の配当は、一株当たり80円を下限とし、資本効率の向上を意識した株主還元を進め、同時に財務基盤の維持・向上も図ります。
③ 人材戦略
新型コロナウイルス感染収束後も見据えた次世代「働き方改革」、そしてグローバル・グループで 多様な「プロ人材」の適材適所 及び 事業経営人材育成・活用を推進します。
社員・組織に対し成果へのコミットメントを求め、DX活用等の新しい働き方への進化を加速させ、新本社移転もきっかけに 社員の意識や行動様式の変革を促進します。
また、社員のプロ意識を強化し、グローバル タレント マネジメントを実践することで、事業経営力強化 と 持続的な競争力維持を実現します。
④ Strategic Focus
これまでの取組みを踏まえ、既存事業をプラットフォームとした複合的な価値創造が活かせる事業領域 に一層注力していきます。前中期経営計画期間には、環境や健康の領域を中心に、戦略は着実に進捗し、プラットフォームが出きつつあります。また、デジタル化や 脱炭素のトレンドは加速すると考えており、これらの環境変化を機会に成長を追求していきます。
具体的には、エネルギーソリューション、ヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジアになります。
⑤ 基盤事業の収益力強化と新事業への挑戦
前中期経営計画で 中核分野とした金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品は、引き続き 事業競争力の強化、事業リサイクルによるポートフォリオの最適化、ボルトオン投資を進め、着実な成長を実現していきます。
また、新事業についても「つなぐからつくる」を意識し、新しいビジネスモデルを自らつくり出すことを目指し、Moon Creative Labを中心に、取組みを加速させていきます。
新型コロナウイルス感染拡大により 重要性が再認識されたDXは、守りと攻めの両面から取組みを加速させます。
⑥ サステナビリティ経営/ESGの進化
新中期経営計画期間では、当社事業への影響、及び 社会からの要請が高まっているものとして「気候変動」、「サーキュラーエコノミー」、「ビジネスと人権」の3つを重要課題とし、取組みを進めていきます。
特に「気候変動」については、当社の取組姿勢を明確化すべく、今後の取組方針を決定しました。
2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年は「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指しています。また、既存事業のリスク評価・新規投資判断に社内カーボンプライシング制度を導入しました。
※ Transitionについては、将来当社が自社でカウントし得る削減貢献量のみを想定
4. 定量目標
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、短期的には減益は避けられない見通しですが、新中期経営計画で掲げる戦略を実行し、成長軌道への早期回復を目指します。
最終年度である2023年3月期の定量目標として、基礎営業キャッシュ・フロー 5,500億円、当期利益4,000億円、ROE10% を掲げます。これらの3つのKPIに加え、株主価値の向上を目標に、一株当たりの収益性指標を一層意識して経営にあたる方針です。
尚、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、2021年3月期後半より回復する前提としています。
※ 20/3期の基礎営業CFは、リース負債の返済による支出額を減算した金額に修正済み
基礎営業キャッシュ・フロー
※ 20/3期の基礎営業CFは、リース負債の返済による支出額を減算した金額に修正済み
当期利益
5. 株主還元方針
マネジメント・アロケーションにより、新型コロナウイルス危機後の環境変化も踏まえた中長期の成長機会の追求と、資本効率向上を意識した資金配分を実行し、前中期経営計画比、総還元性向の引き上げを図ります。
これらの方針に基づき、新中期経営計画期間は、一株当たり年間配当額80円を下限として設定します。
また、一株あたりの基礎営業キャッシュ・フローを引き上げる事で 配当の安定的向上を目指します。
自社株買いについては、事業環境、資本効率、株価水準等を勘案し、機動的に実施していきます。