Main

Social

サプライチェーンマネジメント

方針・基本的な考え方


三井物産は、川上から川下まであらゆる機能・サービスを提供しており、世界中で多岐にわたる事業を展開する中で、多様なサプライチェーンを構築しています。そして、当社は、グローバルなサプライチェーンの責任ある一員として、自社のみならずサプライチェーンも含めた人権及び環境への課題解決の取組みが求められていることを認識しています。当社は「持続可能なサプライチェーン取組方針」及び森林破壊や環境負荷、人権に関するリスクの高い分野の一部原材料・商品については「個別調達方針」を策定し、人権や環境問題に対する当社の考え方をサプライヤーにも共有しています。また、買契約書において人権条項を追加することを原則とするなど、サプライヤーに対し、当社方針の遵守、国際的に認められた人権の尊重、人権デューデリジェンスの実施・報告、アンケートや現地訪問調査への協力、人権問題が発覚した場合の通知・是正措置の実施を義務付けることを推奨しています。当社は、原材料・商品調達におけるサプライチェーン上の環境・社会リスクを認識し、事業活動を通じ、関係するサプライチェーンの課題把握に努め、持続可能な原材料・商品の安定供給を実践していきます。

持続可能なサプライチェーン取組方針

三井物産は、サステナビリティ基本方針及び本方針に沿い、世界中の国や地域における三井物産グループの事業活動を通じて関与するサプライチェーンの課題把握に努め、サプライヤーをはじめとする取引先と協働して持続可能なサプライチェーンを目指します。

取引先への期待

私たちは、サプライヤーをはじめとする取引先に対して、以下に掲げる項目の理解と実践を求めます。また、取引先と共に本方針の趣旨をサプライチェーン全体へ浸透させることを目指します。

国際規範の尊重
当該国における法令遵守、国際的なルール・慣行に配慮した公正な取引及び腐敗防止を徹底する。
人権の尊重
事業活動において、自らが人権侵害をしないことに加え、サプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長しないよう努める。
  • 強制労働
    強制労働を認めない。また、債務労働や人身取引を含む、いかなる形態の現代奴隷も認めない。
  • 児童労働
    児童労働を認めず、法に定められた最低就業年齢を遵守する。また、18歳未満の者を、危険有害労働に従事させない。
  • 差別
    雇用におけるいかなる差別も行わない。
  • ハラスメント・非人道的な扱い
    身体的、精神的であることを問わず、あらゆる形態のハラスメントを認めない。
  • 結社の自由と団体交渉権
    労使関係における従業員の結社の自由及び団体交渉の権利を尊重する。
  • 労働時間と賃金
    適用される法令に従い、従業員の労働時間、休日、休暇、賃金を適切に管理する。
  • 労働安全衛生
    労働・職場環境における、安全・衛生を確保する。
  • 地域住民への影響
    地域住民の安全や健康への負の影響防止のため、汚染の予防、水ストレスを始め、人権についての影響評価を行い、リスクの回避及び影響の軽減のために国際規範に則り、必要な対応を実行する。
環境課題への取組み
事業活動において、サプライヤーをはじめとする取引先と協働して環境との調和を目指す。
  • 気候変動
    温室効果ガスの削減に努める。
  • 水資源
    水使用量の削減及び水資源利用の効率性向上に取組み、水資源の保全に努める。
  • 生物多様性
    生物多様性への影響を評価し、その保全に努める。
  • 汚染防止
    有害廃棄物・汚染物質の削減及び適正処理に取組み、大気・水・海洋・土壌の汚染防止に努める。
  • 持続可能な資源利用
    資源・エネルギーの利用効率改善、廃棄物の削減に努める。
商品・サービスの安全・安心
商品・サービスの安全・安心を確保する。
是正指導

取引先が本方針に違反し、環境及び人権への負の影響を引き起こしている場合、私たちは取引先に対し是正指導を行います。継続的な是正指導にも関わらず、改善されないと判断した場合、当該取引を見直すことを検討します。

情報開示

上記に関する、適時・適切な情報開示を行います。

2007年12月策定
2023年8月改定

代表取締役専務執行役員
CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)
サステナビリティ委員会 委員長
佐藤 理


持続可能なサプライチェーン取組方針

個別調達方針

全ての原材料・商品調達にあたっては、三井物産グループ行動指針、環境方針、人権方針及び持続可能なサプライチェーン取組方針に従っています。原材料・商品ごとの適切な調達を通じ、企業としての社会的責任を果たし、社会と会社の持続的な発展を目指します。特に森林破壊や環境負荷、人権リスクの高い分野の一部原材料・商品については、NGO等ステークホルダーとも協議し、各方針に加えて個別に調達方針を策定し、持続可能な原材料・商品の調達に努めています。本方針は定期的に見直し、必要に応じて改定していきます。

なお、水産物に関しては、水産物を取り扱う三井物産シーフーズにおいて、水産物調達方針を策定し、持続可能な調達に取り組んでいます。詳細はリンク先をご参照ください。


水産に関する取組み

目標


目標と取組み実績

サプライチェーンマネジメント

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

目標 取組実績 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
  1. 新規調達先への持続可能なサプライチェーン取組方針の周知100%
新規サプライヤーへの方針送付率
(送付数)
100%
(4,430)
100%
(4,468)
100%
(5,779)

*単体及び事業年度末時点連結子会社が対象。(ただし、1月~3月に新規連結化した連結子会社は翌期の対象とする)

天然ゴム

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

目標 取組実績 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
  1. 全てのサプライヤーへの天然ゴム調達方針の周知を徹底する。
新規サプライヤーへの方針送付率
(該当なし)

(該当なし)

(該当なし)
  1. 2030年までに、原産地までのトレーサビリティ100%を目指す。
原産地までのトレーサビリティ比率 100% 100%
(該当なし)

パーム油

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

目標 取組実績 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
  1. 全てのサプライヤーへのパーム油調達方針の周知を徹底する。
新規サプライヤーへの方針送付率 100% 100% 100%
  1. 2022年までにミルレベルまでのトレーサビリティ100%を目指す。
ミルレベルまでのトレーサビリティ比率 100% 100% 100%
  1. 2030年までにRSPOを始めとする持続可能認証品取り扱い比率100%を目指す。
持続可能認証油取り扱い比率 12.2% 18.6% 21.8%

*当社ミルリスト


木材

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

目標 取組実績 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
  1. 全てのサプライヤーへの木材調達方針の周知を徹底する。
新規サプライヤーへの方針送付率 100% 100% 100%
  1. 2030年までに、国際的に認められた認証材またはそれに準じる材の取扱い100%を目指す。
認証比率(製材*1 77% 0%*2 0%*2
認証比率(製紙用ウッドチップ*1 100% 100% 100%

*1 PEFC等を含む国際的に認められた森林認証を受けたサプライヤーが取り扱う、または認証機関より管理材として認められた製材及び製紙用ウッドチップ
*2 認証団体が特定産地国材に対する認証付与を取り止めたことによる。認証付与が取り止めになった当該製材については2024年6月に履行完了済。

紙製品

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

目標 取組実績 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
  1. 全てのサプライヤーへの紙製品調達方針の周知を徹底する。
新規サプライヤーへの方針送付率 100% 100% 100%
  1. 2030年までに、全ての取り扱いパルプ及び原紙について、違法性のない原料で製造された製品であることのトレーサビリティ100%を目指す。
認証材もしくは合法性が確認できる木材由来のパルプ 100% 100% 100%

体制・システム


サステナビリティ委員会

当社サステナビリティ経営の推進体制図やサステナビリティ委員会の活動に関する詳細はリンク先をご参照ください。


サプライチェーン上のリスク管理

当社は、持続可能なサプライチェーン取組方針を策定し、以下のような「周知」、「特定」、「調査」、「開示・改善」の取組みを行うことで、問題発生の未然防止に努め、サプライチェーンにおける課題の把握と解決を目指しています。
サプライチェーンマネジメントの進捗状況、結果及び管理の在り方については、毎年のサステナビリティ委員会への報告に加え、定期的に経営会議及び取締役会に報告しています。また、ステークホルダーからの指摘等も共有し、課題があれば、各方針の見直し等を図ることとしています。

サプライチェーンにおけるデューデリジェンスの実施

高リスク分野の特定

高リスク分野の特定と見直しにおいては社外アドバイザーのアドバイスを得ながら、世界的に多くの企業、投資家・金融機関が参照する「カントリー・ESGリスクデータ」を活用し、高リスク分野の見直しを行っています。具体的には、当社の人権方針や持続可能なサプライチェーン取組方針に規定する事業活動に関わる8種の人権課題を含み、さまざまな人権インシデントの発生件数の高いインダストリーと地域を特定します。そして実際の人権リスク顕在化事例も収集・把握し、当社の事業本部ごとのインダストリーと調達地域を照らし合わせた上で、取引規模等当社にとっての重要性も勘案しています。2025年3月期には、従来の食品原料・食料品、衣服、建材に加え、鉱業、石油/ガス、化学品、産業金属等の業種、東南アジア、アフリカ、南米等の新興国を中心とした原産地対象取引が高リスク分野に該当すると判断し、サプライチェーン上の環境・人権に関するデューデリジェンスの対象とすることとし、アンケート調査を実施した結果、重大な課題は確認されませんでした。

新規サプライヤーへの対応

新規サプライヤーとの取引開始にあたっては、全サプライヤーに持続可能なサプライチェーン取組方針及び個別調達方針を送付し、当社方針への理解と実践を要請しています。また、当社独自のサステナビリティ・デューデリジェンス・チェックリストに基づきさまざまな社会課題(気候変動等の環境課題を含む)に対する事前のリスク評価を実施しています。

既存サプライヤーへの対応

既存事業及びその該当サプライヤーに対しては、当社事業における高リスク分野を特定しており、当該高リスク分野のサプライヤーに対して定期的にアンケート調査を実施し、当社事業に関連するサプライチェーン上の気候変動、生物多様性、環境管理、人権、労働安全衛生等の環境・社会課題の実態把握に努めています。2025年3月期には、マレーシアパーム油の当社サプライヤーの精製会社及び同社へのサプライヤーである内陸搾油工場・農園運営会社・農家を訪問しました。現地での対話を通じて、パーム油の国際認証制度であるRSPOに基づくさまざまな取組みを確認しました。サプライヤー及び上流サプライヤーとは、これまで同様に人権に配慮した事業を継続していくことをあわせて確認しました。引き続き当社はパーム油を取り扱う事業者として、現地パートナーとの対話と協業を通じ、持続可能なサプライチェーン構築に向けて取り組んでいきます。

サプライヤーへの是正・救済対応

持続可能なサプライチェーン取組方針の理解と実践の要請にもかかわらず、サプライヤーアンケートや現地訪問調査等を通じて、対応が不十分であることが判明したサプライヤーあるいは、当社との直接取引の有無を問わず、環境・人権課題の存在が疑われるサプライヤーに対しては、適切な手続きを通じて、その是正・救済に取り組んでいます。

契約書での規定

当社は2023年5月に商品売買契約のひな形に人権条項を追加しました。サプライヤーに対し、当社の持続可能なサプライチェーン取組方針の遵守や国際的に認められた人権の尊重、人権デューデリジェンスの実施・報告、アンケートや現地訪問調査への協力、人権問題が発覚した場合の通知・是正措置の実施を義務付ける内容で、社内での活用を推奨しています。

化学物質の危険有害性の管理

化学品セグメントでは、取り扱う全ての化学物質の危険有害性について、国内においては化学物質審査規制法(化審法)、労働安全衛生法(安衛法)、化学物質排出把握管理促進法(化管法)、毒物及び劇物取締法(毒劇法)、消防法といった関係法令に基づいて審査し、海外においては現地の関係法令に基づいて審査し、その審査結果をサプライチェーン上で適切に通達するため、SDS(安全データシート)を交付し、危険有害性情報を商品にラベル表示することを徹底しています。特に輸入者が輸入化学品の危険有害性情報の開示に対して負う責任は、国内製造者が自社の製造物の危険有害性情報の開示に対して負う責任とまったく同じであるという考え方を社員に徹底させるため、各種の社内研修を頻繁に開催しています。

食の安全への取組み

食料本部では「食の安全管理データベース」を構築し、輸入食品の成約前に仕入れ先の動向、HACCP導入状況、器具・容器包装ポジティブリスト対応、残留農薬、表示等、食品関連法令への遵守を確認し、適正な輸入手続き、情報伝達に努め、安全・安心な食品の流通に取り組んでいます。また、毎月食品衛生管理委員会を開催し、各種法改正やトピックスの共有を図ると同時に、食の安全セミナーをはじめとした各種研修も毎月開催し、関連資料は全社員がアクセスできる形で共有の上、法令関連や安全に関する社員の知見の向上に努めています。

*HACCP(ハサップ):Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。

ステークホルダー含む一般の方向け問い合わせ窓口(グリーバンスメカニズム)

当社ウェブサイトでは、当社サプライチェーン上のステークホルダーを含む、全てのステークホルダーの方から、サステナビリティに関し、苦情及び問い合わせの対応体制を構築しています。苦情及び問い合わせを受けるにあたっては相談者のプライバシーを保護し、適切な機密性を確保しています。
サステナビリティに関する苦情及び問い合わせを受けた場合には、サステナビリティ経営推進部が窓口となり、内容に応じて事業本部やコーポレートスタッフ部門等適切な関係部署と連携し、責任をもって対応します。
苦情及び問い合わせ受領後は、原則として一週間以内を目途に、当社から相談者に回答または連絡し、エンゲージメントを行います。
なお、豪州三井物産においては、先住民も含む全てのステークホルダーの皆様へ、ウェブサイト・メールによる苦情窓口を設置しています。

ステークホルダー含む一般の方向け問い合わせ窓口(グリーバンスメカニズム)


お問い合わせ

ステークホルダーとの協働


イニシアティブへの参画

イニシアティブへの参画を通じたサプライチェーンマネジメントへの取組みを推進、拡大させています。各イニシアティブへの参画においては当社のサプライチェーンマネジメントに対する基本方針、取組みと合致しているか確認の上、参画を決定しています。

CEFLEX(Circular economy for flexible packaging)

ASI(Aluminium Stewardship Initiative)

FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)

PEFC/SGEC

Together for Sustainability(TfS)

RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパーム油のための円卓会議)

EcoVadis

Sedex(Supplier Ethical Data Exchange)

取組み


アニマルウェルフェアに関する取組み

当社は、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながると考えており、国際獣疫事務局(WOA)勧告を尊重し、現地法に則って、アニマルウェルフェアに配慮した事業に取り組むよう努めています。
連結子会社のプライフーズでは、ブロイラーを快適な環境下で飼養し、ストレスや疾病を減らすことで、安全・安心な鶏肉の生産につながるという考えに基づき、農水省で公表されている「アニマルウェルフェアの考え方に対応したブロイラーの飼養管理指針」に則った飼育を行っています。具体的には、ブロイラーの成長段階において最も負荷がかからない快適な環境を整え、栄養管理、飼育環境、健康管理に細心の注意を払っています。プライフーズの24農場と細谷工場、細谷プロセスセンター、三原工場において、国際認証規格であるSQF認証を取得する等、プライフーズのアニマルウェルフェア対応を含む生産・製造管理体制は、第三者審査を受け評価されています。

*SQF(SQF: Safe Quality Food)とは、食品の安全性と品質を保証する国際認証

紛争鉱物への対応

米国の金融規制改革法(ドッド・フランク法)では、米国証券取引法に基づく報告義務を負う企業は、自社が製造する製品で同法が定義する紛争鉱物を使用する場合、合理的な調査等を行い、開示することが求められています。
また、EU紛争鉱物規則ではEU域内の、同規則が定義する紛争鉱物の輸入者に対し、サプライチェーン・デューデリジェンス実施義務(リスク管理システムの構築、リスク管理、独立した第三者による監査及び情報開示)が求められます。
当社及び連結子会社は米国証券取引法に基づく報告義務を負っておらず、ドッド・フランク法における紛争鉱物に関する報告・開示義務は負いません。また、EU域内で設立された当社連結子会社でEU紛争鉱物規則上の対象紛争鉱物をEUに輸入する企業もないことを確認しております。

水産に関する取組み

当社は、過剰漁獲、違法操業そして破壊的な漁業が行われることで海洋の生物多様性の喪失や地域社会にも深刻な影響を与えるリスクがあること、また養殖においても取排水や給餌・糞尿の管理が不十分な場合には環境に負の影響を及ぼすリスクがあることを認識しています。
かかる状況下、当社は、水産資源の保護や持続性が担保された水産物の安定供給といったサステナビリティの観点から水産養殖を当社注力域と位置付けています。水産物を取り扱う事業者として、水産資源保全と海洋環境保全、ならびに地域社会との共生に配慮した責任ある水産物の養殖や調達に取り組んでいます。

三井物産シーフーズでの取組み

水産物のトレーディングについては連結子会社の三井物産シーフーズ(旧:東邦物産株式会社)で行っています。2023年11月には、水産物調達方針を策定しました。


水産物調達方針(三井物産シーフーズ)

水産物の製品の商業的な取引においては、トレーサビリティのためのCoC認証規格を満たしていることが必要となります。CoC認証とは、製品の製造・加工・流通の全ての過程において、認証水産物が適切に管理され、非認証原料の混入やラベルの偽装がないことを認証するものです。三井物産シーフーズではMSC認証及びASC認証の両方のCoC認証を取得し、持続可能な水産物の調達に努めています。また、米国で認知度の高いBAP認証においては、同認証の運営母体である米国NGO、Global Seafood Alliance(2021年4月にGlobal Aquaculture Allianceから改名)とEndorser Agreementを締結し、BAP認証製品の普及にも努めています。

三井物産シーフーズにおける認証商品取扱数量

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

  2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
水産物取扱数量(MT) 16,742 12,054 9,650
内MSC認証商品比率 0.3% 0.61% 3.1%
内ASC認証商品比率 10.5% 6.0% 8.6%
内BAP認証商品比率 4.2% 5.9% 9.8%

*旧東邦物産時のデータ

Multi Xでの取組み

当社は、チリのアトランティックサーモンの養殖・加工・販売事業会社であるMulti Xに出資参画しています。Multi Xにおいては主力製品であるアトランティックサーモンを中心に養殖から販売までを一貫して行っており、ヘルシーなタンパク源の需要が高まる中、米国を中心に、ブラジル、日本、中国ほかアジア各国にサーモンを輸出しています。Multi XはOHSAS18001、ISO14001、ISO9001をはじめBAP認証、Global G.A.P認証等、環境、品質、労働安全、トレーサビリティに関する各種認証を取得しています。チリにおけるサーモン養殖は、1990年台初頭以降本格化し、ノルウェーに次ぐ輸出大国になっています。その間、魚病・防疫体制を確立する一方、政府・業界が一体となり薬剤使用の削減に取り組んできた結果、大きな成果を上げており、Multi Xとしてもさらなる削減へ取り組んでいます。また、飼料における天然魚由来原料(魚粉)の使用も大豆かす等の原料代替により大幅に減少してきており、近年では飼料に占める魚粉の配合比は10%を切る水準にあります。良質かつ安全・安心なタンパク源の需要が世界的により一層高まる中、地域社会、周辺住民、及び生態系に配慮した持続可能な水産業の発展を目指し、当社とサプライヤーが継続して協力していきます。

*養殖場及び工場運営・管理が対象となる認証

Multi Xにおける認証商品取扱数量

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

  2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
水産物取扱数量(MT) 87,378 116,351 88,852
内ASC認証商品比率 34.0% 34.0% 14.3%
内BAP認証商品比率 100% 100% 100%

サプライヤーとのエンゲージメント

方針の周知及び意識啓発

持続可能なサプライチェーンマネジメントハンドブック

売買取引にあたっては、当社事業本部、海外拠点及び連結子会社(間接保有を除く)の全サプライヤーに対して持続可能なサプライチェーン取組方針(日本語・英語・中国語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語)を周知し、本方針への理解と実践を要請することでサプライヤーの意識啓発に努めています。サプライヤーへの周知状況については、毎年送付状況を確認する社内調査を実施し、管理しています。
また、方針周知に加えて、当社方針・取組み、及びサプライチェーン上の労働者の権利等のサステナビリティに関する課題や背景、取引先での具体的な取組み方法につき説明した「持続可能なサプライチェーンマネジメントハンドブック」を作成し、サプライヤーを始めとする取引先への意識啓発を行っています。


持続可能なサプライチェーンマネジメントハンドブック(PDF 3.13MB)

サプライヤーへの研修

当社は、当社及び当社グループのサプライヤー含む取引先及び役職員に対して、当社サプライチェーンマネジメントの方針と取組みへの意識浸透を図るため、人権方針、持続可能なサプライチェーン取組方針、個別調達方針の説明、ならびにサプライチェーンマネジメントにおける人権デューデリジェンスの実施方法やベストプラクティス事例の共有等を目的とした研修を毎年実施しています。
2025年3月期は、人権研修として、SDGパートナーズ/田瀬和夫氏を講師として招き、人権を取り巻く外部環境や、他社事例を参考に、事業運営における人権尊重の重要性や、人権に関するリスクを低減するために留意すべき事項についての研修を実施しました。及び研修には、取引先と連結子会社を含む当社グループの従業員合わせて約280人が参加しました。今後も同様に取引先も含む研修を継続していきます。

実態調査(サプライヤーアンケート及び現地訪問調査)

2012年3月期から当社及び当社連結子会社のサプライヤーが開始したサプライヤーアンケートでは、双方向のコミュニケーションを重視し、課題発見時にはサプライヤーと共同で改善策を検討していくことで信頼関係を深めサプライチェーンマネジメントの強化に努めてきています。アンケートは気候変動、生物多様性、環境管理、人権、労働安全衛生等の社会課題に関する事業の実態把握及びその是正を目的に作成しており、2020年3月期以降はアンケートの対象を人権デューデリジェンスに基づく高リスク分野の商品を取り扱うサプライヤーとしています。
また、サプライヤーアンケートに加え、2015年3月期から外部専門家によるサプライヤー現地訪問調査を定期的に実施しています。持続可能なサプライチェーン取組方針の遵守事項に沿ったチェックリストに基づく調査に加え、第三者の専門家を起用し、サプライヤーの責任者との対話や製造現場及び関連施設の視察、さらに当社グループの一次サプライヤーのみならず、エンドサプライヤーである農家訪問などを実施し、必要に応じ助言・指導を行っています。

サプライヤーアンケートの実績

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

業種 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
食品原料・食料品 2,497 20 10
建材 1 3
繊維 1
鉱業 3
石油・ガス 25
化学品 128
産業金属 43
その他 144
合計 2,497 22 356
サプライヤーアンケートの主な設問
人権・労働
  • 強制労働、奴隷労働、年季奉公労働、及び不本意な囚人労働の危険にさらされている事業領域があるかどうかを判断するリスク評価を実施していますか。
  • 現地国の最低就労年齢を遵守、もしくは義務教育終了年齢後、原則15歳以上と内部規程に定めていますか。
  • その国の国内法またはILO基準に従って、18歳未満の若年労働者の危険有害な業務の禁止を内部規定に定めていますか。
  • 人種、肌の色、年齢、性別、性的嗜好、民族性、障害、宗教、政治団体、組合加入、配偶者の有無等に関わらず、平等な雇用機会及び昇進を提供し、雇用上の差別しないことを内部規程に定めていますか。
  • 従業員の労働時間・休日・休暇に関する就業規則を整備し、法定限度を超えないよう、従業員の労働時間・休日・休暇の管理を徹底していますか。
  • 最低賃金(もしくは、生活賃金(Living Wage))を遵守する方針を策定していますか。
労働安全衛生
  • 労働安全衛生に関する方針には、火災時の安全確保、個人用保護具の使用、化学物質や殺虫剤を含む危険物質の取り扱い等の項目が含まれていますか。
ビジネス倫理
  • ビジネス倫理に関する方針には、コンプライアンス、公正な競争、知的財産、個人情報保護、腐敗防止等の項目が含まれていますか。
環境管理
  • 環境管理に対する方針には、汚染、温室効果ガスの排出、生物多様性等の項目が含まれていますか。
紛争鉱物
  • 紛争鉱物及びそれらを使用した商品の取り扱いはありますか。取り扱いがある場合、紛争鉱物取り扱いに関する方針は策定していますか。
サプライチェーン
  • 「人権・労働」「安全衛生」「ビジネス倫理」「環境管理」等を含んだサプライチェーンや調達に関する文書化した方針はありますか。

サプライヤー現地訪問調査

  調査対象先
2025年3月期

食品原料調達先


2025年3月期には、マレーシアパーム油の当社サプライヤーの精製会社及び同社へのサプライヤーである内陸搾油工場・農園運営会社・農家を訪問しました。現地での対話を通じて、パーム油の国際認証制度であるRSPOに基づくさまざまな取組みを確認しました。

2024年3月期

サプライチェーンの人権課題に取引先(顧客やパートナー)と連携して取組み


食品原料調達先


2024年3月期には、当社子会社の三井農林が、販売先である食品製造会社と共にスリランカ紅茶農園のフォローアップ監査に同行し、農園、紅茶葉製造工場と対話を実施しました。食品製造会社起用の外部専門家による事前の現地訪問調査時には、マネジメント、HSE、応急処置等において良い取組みが実施されていることが確認できた一方、就業規則・労働契約、賃金などの項目の一部において改善すべき事項を発見。食品製造会社と共に農園経営者との対話を重ね対応を行いました。結果、現地にて改善されていることを確認しました。

2024年3月期には、当社販売先と共に、食品製造会社(外部専門家も同行)が実施するパーム油関連施設の現地訪問調査(マレーシア/ジョホール州)に同行し、精製会社、パーム椰子プランテーション運営会社、ターミナル会社(パーム油の積地)と対話を実施しました。

2023年3月期

食品原料調達先


2023年3月期には、タイで製糖事業を担う当社子会社であり当社サプライヤーであるKaset Phol Sugar及び二次以降の上流サプライヤーであるサトウキビ農家約2,000件超にアンケート調査を実施の上、外部専門家と共に現地訪問も実施し数件の農家へのヒアリング及び対話を実施しました。サトウキビ農家に対しては強制労働、児童労働、労働安全衛生等に関するヒアリングを行いましたが、重大な指摘事項は確認されませんでした。 また、コロンビアのコーヒー豆サプライヤーにも外部専門家と共に現地訪問を行いましたが重要な指摘事項は確認されませんでした。
さらに当社重要取引先であり過去当社より人権関連における是正を要請した大手パーム油サプライヤーを訪問し、課題解決に向けて取組みが進展していることを確認するとともに、サステナビリティ調達に関する対談を実施しました。

2022年3月期

食品原料調達先


2022年3月期には、当社子会社で、紅茶、緑茶、自動販売機用飲料等の製造販売を担う三井農林株式会社の主要サプライヤー6社(在インド2社、在インドネシア1社、在ケニア1社、在マラウイ1社、在スリランカ1社)を選定しオンライン調査を実施しました。事前に送付した質問への回答に基づき、インタビューを通じて、方針、取組み、労務管理、サプライチェーンマネジメントについて確認しました。一部のサプライヤーでは、方針策定がなされていないなど、労働安全衛生に関するマニュアルの整備がなされていませんでしたが、人権尊重の取組みはなされていることが確認できました。

是正指導

2023年3月期に、当社重要取引先であり海外当局から人権課題ありと指摘のあった大手パーム油サプライヤーに当社より是正を要請しました。さらに、同サプライヤーのプランテーション農園を現地訪問し、サステナビリティ担当者と人権課題の事実や課題解決に向けた取組みに関する面談を実施しました。またその後、同サプライヤーに対する当局からの指摘が解除されたことも確認しました。今後も継続的に人権への取組みについて対話を続けていきます。

子会社・関連会社での取組み

当社では、持続可能なサプライチェーン取組方針等に関し、連結子会社でもしっかり理解され、連結子会社のサプライヤーに対しても取組みが実践されているかを確認するために、2021年3月期から子会社のサプライチェーンマネジメントにつき内部調査を実施しています。内部調査では当社方針への理解状況やサプライヤーへの確認事項等につき調査し、フィードバックと共に方針への理解を向上させるために方針内容等につき説明を行っています。

2023年3月期には、タイで製糖事業を担う当社子会社であり当社サプライヤーであるKaset Phol Sugar及び二次以降の上流サプライヤーであるサトウキビ農家約2,000件超にアンケート調査を実施の上、外部専門家と共に現地訪問も実施し数件の農家へのヒアリング及び対話を実施しました。サトウキビ農家に対しては強制労働、児童労働、労働安全衛生等に関するヒアリングを行いましたが、重大な指摘事項は確認されませんでした。 また、コロンビアのコーヒー豆サプライヤーにも外部専門家と共に現地訪問を行いましたが重要な指摘事項は確認されませんでした。

2024年3月期には、当社子会社の三井農林が、販売先である食品製造会社と共にスリランカ紅茶農園のフォローアップ監査に同行し、農園、紅茶葉製造工場と対話を実施しました。食品製造会社起用の外部専門家による事前の現地訪問調査時には、マネジメント、HSE、応急処置等において良い取組みが実施されていることが確認できた一方、就業規則・労働契約、賃金などの項目の一部において改善すべき事項を発見。食品製造会社と共に農園経営者との対話を重ね対応を行いました。結果、現地にて改善されていることを確認しました。

社員への取組み

意識啓発・研修

サプライチェーンにおける人権・労働等の問題への感度を高め、問題の発生を未然に防ぐため、人権・労働問題の重要性、当社方針内容につき、社員の意識啓発・研修を継続的に実施しています。
詳細はリンク先をご参照ください。