Main

Social

地域コミュニティ

方針・基本的な考え方


三井物産は、経営の重要課題である三井物産のマテリアリティに「豊かな暮らしをつくる」を掲げています。また、事業活動と社会貢献活動を通じて、人々の生活向上や地域産業の発展に貢献し、地域社会・コミュニティとの信頼の醸成を図りながら、社会と当社のサステナビリティの実現を目指しています。

コミュニティ投資の考え方

当社は、事業活動との関連性および社会貢献の両面から、地域コミュニティへの貢献も行っており、地域活性化を進めるとともに、投資や開発、地域の雇用創出のためのコミュニティ投資を推進します。

現地雇用・調達に関する考え方

当社は、事業活動を行っているさまざまな国・現地コミュニティと良好な関係を構築し、同地域における持続可能な発展に貢献します。事業地域周辺からの現地雇用や物品・サービスの調達を通じ、人材育成や地域社会・経済を活性化させ、地域の持続可能な発展に寄与したいと考えます。当社は、世界のさまざまな国・地域で事業活動を行う上で、こうした考え方に基づき事業活動における現地雇用・現地調達などの経済貢献や社会貢献活動を通じて地域社会との共存共栄を目指します。

鉱山事業の閉山に関する方針

当社は、採掘を終えた鉱山の閉山に当たっては、法令および計画に基づく適切な対応を実施し、周辺地域の環境・社会への影響を最小限に留めるよう取り組む方針です。
当社が取り組んでいる鉱山事業では、事業検討段階ならびに操業期間中における環境影響評価等を通じた将来的な閉山計画・リハビリテーションを含む事業計画を策定しています。当局や関連する専門家のレビューも受け、法令遵守に加え、地域の環境・社会的な負荷を最小限に抑えるよう努めています。

目標


  • 当社のさまざまな国・地域において展開する事業を通じ、地域コミュニティに配慮した持続可能な開発を推進する。
  • 現地政府、プロジェクトパートナー・地域コミュニティと協同し、当社グループが事業に関連する国・地域経済の発展に寄与する。

体制・システム


サステナビリティ委員会

サステナビリティ委員会は、経営会議の下部組織として、地域コミュニティに関わる経営の基本方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に関し、企画・立案・提言を行っています。
サステナビリティ委員会の活動については、取締役会による監督が適切に図られる体制となっており、サステナビリティ委員会における審議事項は、定期的に経営会議および取締役会に付議・報告されます。

管掌役員 佐藤 理(代表取締役専務執行役員、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)、サステナビリティ委員会 委員長)
事務局 サステナビリティ経営推進部、経営企画部

当社サステナビリティ経営の推進体制図やサステナビリティ委員会の活動に関する詳細はリンク先をご参照ください。


地域コミュニティへのESGデューデリジェンスチェックリストを活用したインパクト評価とリスク管理

当社は新規案件の審査に際し、経済的側面だけでなく、ESGの観点を重要視しています。地域コミュニティ・経済の活性化の視点や、先住民や文化遺産等の周囲の状況や関連する対応も踏まえ、環境・社会配慮に関する国際基準の一つである世界銀行グループIFCのPerformance Standardを基に、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」への準拠や「自由意志による、事前の、十分な情報に基づいた同意(free, prior, and informed consent:FPIC)の原則」の実施状況を含むESGデューデリジェンスチェックリストを活用して、総合的にインパクト評価を行い案件を審議・検討しています。また、新規・撤退案件の審査のみならず、既存事業においても投資先の事業経営をモニタリングし、改善に資するよう努めています。


ESGリスクマネジメント:ESGデューデリジェンスチェックリストとサステナビリティアドバイザリーボード

ステークホルダーとの協働


NGO・NPOとの協働

カシュ―再植林・生産向上によるザンビア小規模農家の生産性向上と経済的自立支援

現地農業指導者による説明 現地農業指導者による説明

当社はETG Farmers Foundation(EFF)がザンビアで推進するCashew Revitalization Projectを支援しています。EFFは、2013年に設立されたアフリカの小規模農家の生産性向上と経済的自立を目指し、東アフリカ各地で農業技術指導などの活動を行っている非営利団体です。EFFの活動の一つであるザンビアでも貧困レベルの高い西部地域における、カシューの再植林と生産効率向上活動に対して寄付を行いました。EFFは10か所のプロジェクトサイトに専門家を派遣し、小農家向けのカシュー生産指導とともに、現地の農業指導者を育成するBarotseland大学と連携して本活動を推進しています。本プロジェクトでは次世代の農業従事者の育成、病害虫予防などの農業知識の普及、生産性向上のための農業データの管理、また保育所設立による女性の就農支援等、営農拡大に向け総合的な支援が行われ、地域全体の農業経営がサステナブルなものとなることを目指します。


社会貢献活動:MGVP2018マッチングギフト寄付 ザンビア ETG Farmers Foundation カシュー再生プロジェクト

取り組み


事業における取り組み

ブラジルの地域住民の健康・衛生環境の改善・向上への取り組み(マラリア等感染症対策)

ブラジルのJirau水力発電事業では、官民パートナーシップの下、地域住民の健康・衛生環境の改善・向上を目的とした社会貢献・環境対策プログラムを2009年より実施しており、これまでマラリア対策に注力し、診療・治療機会として、簡易な治療を受けられる施設や病院の建設、移動型病院(船舶)を提供してきました。加えて、ヘルスケア教育やセミナーを実施し予防にも努め、ベクターコントロール(媒介害虫駆除)としては、駆除作業に必要な物資や研究機器の寄付、研究員や殺虫業者等の専門家の派遣、駆除作業を実施することで近隣地域におけるマラリア症例数の減少に貢献、外部からも高い評価を受けました。また、近年では近隣住民の健康・衛生分野での需要に応えるべく、社会保健施設を建設し、診療機器や設備を寄贈しました。同施設では社会支援事務局と提携し、近隣6つの市町村に対して医療・歯科治療等のサービスを提供しています。

インド・アフリカの非電化地域でのミニグリッド事業を通じて、現地の人々の暮らし・経済の発展に貢献

夜間営業が可能になった商店 夜間営業が可能になった商店

経済成長を続けるアジアを中心に世界のエネルギー需要が増加する中、当社は、最終消費者に近いところでサービスを提供する分散型電源についても世界に広がる形で展開を進めています。世界には電力へアクセスできない人々が未だ約10億人存在し、非電化が解消されたインドにおいても依然として長時間の停電の頻発が大きな社会課題になっています。インドやアフリカにおいても大きな社会課題になっています。一方で、これら地域においても携帯電話の普及率は非常に高まっており、データ通信用に安定的な電力供給が重要になっています。そこで「地産地消型」分散型電源事業を通じて、携帯基地局を基盤顧客とし、さらに周辺の事業者や住民にも、主に太陽光発電や蓄電池を組み合わせた電力を安定供給するべく、当社はOMC Power Private Limited(以下、OMC)に、2017年に出資・参画しました。OMCは、現在 280か所の発電拠点を保有、同拠点から238か所の携帯電話基地局、約11,000か所の地域施設と銀行や学校等の事業所、約 15,000世帯・10万人の地域住民を支えています。本事業では発電量を需要に合わせて制御することで、安定的・効率的な電力の供給を実現するだけでなく、将来的には、電力を基に、地域の生活水準を上げる新たなビジネスを提供することを目指しています。当社はOMCと共に、少しでも多くの非電化地域に電力を届け、現地の人々の暮らしを豊かにする取り組みを進めていきます。

*:Our World in Data 「Access to Energy 」より


豪州の石炭火力発電所および隣接石炭鉱山の閉鎖に関するリハビリテーション・プロジェクト

豪州Victoria州Morwell市近郊のLatrobe Valleyに位置するHazelwood発電所および鉱山の操業停止に伴い、当社はパートナーのENGIE S.A.と共に、2017年より関連する社屋・設備の取り壊しと、その後の閉鎖作業(リハビリテーション)に取り組んでいます。当社鉱山事業の閉山に関する方針に従い、取り壊し実施前から準備を開始し、専門家のレビューも経て環境・社会への影響評価を行い、関連する法規制や許認可に沿う形で実施するとともに、行政・地域住民等ステークホルダーと定期的な対話を行っています。また、サイトの有効活用可能性に関するコンセプト・マスタープランを作成し、閉山後の地域の発展に貢献しています。

社会貢献活動

ブラジル・アマゾン先住民の経済的自立を目的とした養蜂事業

外部へ出荷する蜂蜜を持つカラパロ族の養蜂士 外部へ出荷する蜂蜜を持つカラパロ族の養蜂士

当社は三井物産環境基金を通じ、貨幣経済が完全に確立していないアマゾン川支流流域において、熱帯雨林の保全に配慮した持続可能な養蜂事業の展開を支援しています。ブラジル先住民が、現地で蜂蜜を生産・管理・市場流通させる体制を確立することで、現地住民の経済的自立と熱帯雨林保護による環境保全を両立することを目指しています。 これまでの活動で養蜂事業の体制を確立し、2022年秋に市場出荷見込みです。引き続き支援を続け地域コミュニティへ貢献していきます。


三井物産環境基金:養蜂事業によるアマゾン先住民の経済的自立の確立

カンボジア・カルダモン水系の復元と持続可能なコミュニティ構築

カンボジアのトンレサップ湖は、周囲に浸水林が広がり、半農半漁で生計を立てる地域住民にとっての大切な漁場ですが、近年は浸水林の伐採や殺虫剤使用による水質汚染等から魚が減っています。当社は、三井物産環境基金を通じて、漁業収益をコミュニティ単位で貯蓄する体制を確立し、生計安定と浸水林の環境保全を両立する仕組みを当該地域に導入しようと取り組む国際NGO「コンサーベーション・インターナショナル」を支援し、持続可能なコミュニティを構築することに貢献しています。


三井物産環境基金:カンボジア・カルダモン水系の復元と持続可能なコミュニティ構築

インドネシア・西ジャワ州集落のコーヒー生産支援による社会的発展

インドネシア西ジャワ州の山間部Tangsi Jaya (タングシ ジャヤ) 集落はコーヒーの産地ですが、自然災害による既存マイクロ水力発電設備の休止以降、コーヒー豆への加工ができず、果実のまま安価販売となり、困窮状態に陥っています。当社は三井物産環境基金を通じて、発電設備の復旧、電力を活用した加工施設の再建、乾燥豆貯蔵施設の新設稼働し、現地集落の雇用と収入を生み出すとともに、再生可能エネルギー利用によるCO2削減に貢献しています。併せて地域経済調査を行い、開発の方向性についても提言を行っています。


三井物産環境基金:再生可能エネルギーを利用した西ジャワ州Tangsi Jaya集落の社会的発展