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リスクマネジメント

ESGリスクマネジメント

方針・基本的な考え方


三井物産のグローバルで幅広い事業活動はさまざまなリスク(事業の履行に伴う損失の危険)に直面しており、経済のグローバル化、情報化、および企業の社会的責任に対する意識の高まり等により、企業のビジネスチャンスとリスクはますます多様化し増大しています。また、経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高まる中、リスクに対する感度を上げて素早く対応するために、リスクマネジメント方針の定期的な見直しを行っています。

体制・システム


環境・社会面におけるリスク管理プロセス

環境・社会リスクへの対応(2023年4月現在)

環境・社会リスクへの対応(2023年4月現在)

当社では、社会情勢やビジネスモデルの変化に的確に対応し、定量および定性の双方から総合的にリスクを管理するため、環境・社会・ガバナンス等に関連するリスク領域を各事業の推進審査項目に組み入れた実効的なリスク管理体制の下、事業を推進しています。

世界各国・地域で事業を展開する当社にとって、気候変動に関わる各国・地域の政策は各事業の収益性、持続可能性に大きな影響を及ぼします。当社では、国際エネルギー機関(IEA)等の複数の気候変動シナリオを活用し影響が大きい事業のシナリオ分析を実施、また社内カーボンプライシング制度を導入する等、リスクと機会の両側面での影響を把握し、投融資案件やM&A等の意思決定に活かしています。

また、当社が事業に取り組むに当たっては、新規に開始する段階に加え、操業時、および撤退時においても環境・社会に対する最大限の配慮に努める仕組みを整えています。気候関連リスクを含む環境・社会リスクについては、その対応方針や施策を、サステナビリティ委員会で討議し、経営会議および取締役会に報告・承認取り付けの上、実行しています。


ESGデューデリジェンスチェックリストとサステナビリティアドバイザリーボード

当社では、新規事業参画や拡張、ならびに事業撤退に際しては、ESGデューデリジェンスチェックリストを活用し、各事業部において、気候変動を含め、汚染予防、生態系、水ストレス等の環境や人権、労働環境や労働安全衛生等に関するESG影響評価を行っています。ESGデューデリジェンスチェックリストは、環境・社会への配慮に関する国際基準の一つである世界銀行グループIFCのPerformance Standardを基に、140超の項目で事業における環境・社会リスクを網羅的にスクリーニングする目的で作成・活用しているものです。また、既存事業においては、事業の環境・社会リスクを適切に把握・管理するため、当社単体では国際規格ISO14001に基づく管理を行っています。さらに、環境への影響が大きい子会社についても、ISO14001または環境・社会への配慮に関する国際ガイドラインにのっとった環境マネジメントシステムの構築により、子会社自身による環境マネジメントを促進しています。環境関連事故、法令・条例違反に関わる事象が発生した場合は影響に鑑み速やかに報告する体制を整えています。このほか、ステークホルダー対応の一環として、NPO・NGO、学際組織、政府機関との対話を通じて事業のリスクと機会を把握し、必要な対応を検討しています。

なお、環境・社会・ガバナンス等に関するリスクが高い事業は、新規に開始する段階に加え、操業時や撤退時にも、必要に応じて外部コンサルタントや、環境・人権等の社外専門家からなるサステナビリティアドバイザリーボードからリスク低減に向けた助言を受け、一定の定量・定性基準への該当有無に応じて、ESGリスクを監督する取締役会、経営会議、代表取締役による稟議決裁により、推進可否や今後の対応を決定しています。

また、公共性が高く、プロセスの透明性が求められるODA(政府開発援助)商内については、ODA商内管理制度に基づき、必要に応じてODA案件審議会で審議の上、適切なリスク管理を行っています。特に贈賄や腐敗に関してはその重要性に鑑み、包括的にリスク評価を実施しています。


コンプライアンスとインテグリティ:腐敗防止に向けた取り組み

稟議制度におけるESGリスク管理の対象領域

対象領域 審議のポイント
全新規投融資事業
  • 当該事業そのものの意義、社会的価値
  • 当社が当該事業を行うことの意義
環境・社会関連事業
環境・社会リスクが大きいと判断される事業

[例]
環境リスク:GHG排出型事業、その他環境負荷が懸念される事業等
社会リスク:労働集約型事業、住民移転を伴う事業等
  • 当該事業による環境および社会への貢献
  • 付帯する環境負荷(気候変動、生物多様性、水リスク等)への対応策
  • 労働環境・安全の確保
  • 開発事業の場合、地域住民をはじめとする関係者への人権等の配慮と理解の取り付け
  • 環境法令・指針との整合性等
補助金受給案件
内外官公庁等から直接あるいは間接的に補助金を受ける全案件
  • 当社経営理念に照らした評価
  • 社会への影響と説明責任、プロセスの透明性の確保
  • ステークホルダーの利害の把握、それに対する配慮、対応
  • 中長期にわたる公益性の高い事業の、事業者としての責任と対応能力
そのほか異例なレピュテーションリスクを内包する事業
公序良俗・当社経営理念等に抵触する恐れのある案件および公共性の高い事業

[例]
機微な個人情報を取り扱う事業、社会インフラ事業、メディカル・ヘルスケア・バイオ倫理関連事業等
  • 当社経営理念に照らした評価
  • 社会への影響と説明責任、プロセスの透明性の確保
  • ステークホルダーの利害の把握、それに対する配慮、対応
  • 中長期にわたる公益性の高い事業の、事業者としての責任と対応能力
  • 三省指針(ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針;文部科学省、厚生労働省、経済産業省)に基づく倫理審査
  • 研究現場の倫理委員会での承認、インフォームドコンセントの取得等、プロセスの確認等