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Governance

リスクマネジメント

当社では、全社リスクを横断的に見て、重要なリスクを特定するとともに、リスクをコントロールするための取り組みを行っています。事業本部長および地域本部長は、権限の範囲内での職務遂行の一環で、担当領域のリスク管理に責任を負っています。一方、コーポレートスタッフ部門各部は、担当分野のリスク管理について、事業本部・地域本部を支援するとともに、全社ポジションの把握を行い、経営に報告します。その上で、経営会議諮問機関や下部組織である各種主要委員会は全社リスク管理体制の設計・整備や重要なリスクへの対処にあたります。経営会議およびその諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的にリスクを管理する統合リスク管理体制を構築しています。事務局を務めるコーポレートスタッフ部門担当部署が全社的観点でリスクを統括し、全社のリスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模、および全社リスク許容度に鑑み、関係部署と連携しつつ、重要なリスクを特定、対策を講じています。2023年3月期はこれらの取り組みについてポートフォリオ管理委員会での議論を経て、経営会議および取締役会への報告を実施しました。

当社リスクマネジメント体制(イメージ)

当社リスクマネジメント体制(イメージ)

統合的リスク管理への取り組み

2023年3月期は、ロシア・ウクライナ情勢、長期化する新型コロナウイルス感染症拡大の余波、サプライチェーン分断の影響などによる、信用リスク・市場リスク・地政学的リスクの複合的な顕在化や各国の規制強化、サイバーリスクの高まりなどの事象がありました。当社では関係コーポレートスタッフ部門各部が相互に連携して対応を行い、事業ポートフォリオの分散状況をモニタリングするとともに、トレーディング事業におけるリスクマネジメントを徹底することで、事業本部と連携しながら損失の極小化を図りました。

また、2023年3月期より、関係会社522社*を対象に内部統制の自己点検(CSA:Control Self-Assessment)を導入しました。各社において、経営上のリスク特定、対応方針の策定・実行、進捗状況の確認、新たな対策実行、というPDCAを自律的に行い、継続的にリスクと統制の有効性を評価・改善することで、適切なリスクテイクのもと、組織戦略の達成につなげる取り組みを進めています。今後も、グループ全体を俯瞰して行うトップダウン型のリスク管理と、ボトムアップ型で行うCSAを掛け合わせ、統合リスク管理の深化につなげていきます。

また、2023年3月期においては、経済安全保障、サイバーセキュリティなどの重要度が高まっていること、また人権に係るリスク認識に関して感度を高める必要性などについて取締役会や経営会議、ポートフォリオ管理委員会で議論しました。その結果、経済安全保障がサプライチェーンに与える影響、投資を含む事業運営に対する各国規制動向などを考慮し、地政学的リスクを従来のカントリーリスクから独立させ、「重要なリスク」に追加しました。

中期経営計画2026の期間においても、世界経済の不確実性が高い状況が継続するとみられることから、財務リスク(定量的リスク)と非財務リスク(定性的リスク)の双方を対象とする統合的リスク管理は引き続き重要な役割を担います。危機管理対応と複数シナリオへの備えの強化や、時間軸・優先順位の機動的な見直しにより、供給・納入責任の着実な履行や、市況変化に応じたアップサイドの取り込みにつなげていきます。

*:連結子会社が保有する関係会社のうち、当該連結子会社にて連結経理処理されているもの、金額的重要性の観点から連結対象から除外する関係会社を含む

2023年3月末時点 重要なリスク

2023年3月末時点 重要なリスク *1: 必要と認められる場合、経営会議において報告する。
*2:「災害時事業継続管理規程」に基づき、CHROを本部長として設置する組織。

地政学的リスクについて

国・地域間の政治的・社会的緊張の高まりにより、当社および連結子会社の事業環境に多岐にわたり影響が出ることが想定されるため、2023年3月期より、「地政学的リスク」を従来のカントリーリスクから独立させ、重要なリスクに追加しています。当社は、地政学的リスクが高いとされる国・地域の政治・経済情勢の動向を定期的にモニタリングし、その国や地域に存在するリスクや事業環境の変化を踏まえた慎重な経営判断を行っています。

なお、ロシア・ウクライナ情勢に関して国際社会が協調し制裁措置をとる中で、当社においては、事業本部、地域本部ならびにコーポレートスタッフ部門各部が相互に連携する多角的かつ柔軟な体制により、これらの制裁関連法令を遵守しています。ロシア向けの投融資保証残高は2023年3月末時点で、3,625億円となり、当社および連結子会社の投融資保証残高の約4%となります。