三井物産株式会社

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Governance

リスクマネジメント

リスクを全社横断的に見て、重要なリスクを特定するとともに、適切にコントロールするための取組みを行っています。事業本部長及び地域本部長は、権限の範囲内で職務遂行する一環で、担当領域のリスク管理に責任を負っています。一方、コーポレートスタッフ部門各部は、担当分野のリスク管理について、事業本部・地域本部を支援するとともに、全社ポジションを把握し、経営に報告します。その上で、経営会議諮問機関や下部組織では、全社リスク管理体制の設計・整備や重要なリスクへの対処にあたります。経営会議及びその諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社で一元的にリスクを管理する統合リスク管理体制を構築しています。事務局を務めるコーポレートスタッフ部門担当部署が全社的観点でリスクを統括し、全社横断的に見て、発生頻度と想定損害規模、及びリスク許容度を踏まえ、関係部署と連携しつつ、重要なリスクを特定し、対策を講じています。2026年3月期はこれらの取組みについて、ポートフォリオ管理委員会での議論を経て、経営会議及び取締役会に報告されました。また、こうした体制のもと、関係会社経営においては、リスクと統制の有効性を自律的に評価・改善する内部統制の自己点検であるCSA(Control Self-Assessment)を実施し、適切なリスクマネジメントの維持・向上に努めています。

当社リスクマネジメント体制(イメージ)

当社リスクマネジメント体制(イメージ)

リスクアセットを用いた定量分析

株主資本とリスクアセット
株主資本とリスクアセット  

当社では、統合リスク管理の一環として、定量的なリスク分析を毎年実施しています。その結果は、「当社のリスクエクスポージャーとコントロール」と題して、ポートフォリオ管理委員会で議論を行い、経営会議及び取締役会へ報告されています。
定量的なリスク分析にあたっては、バランスシート上の資産に内在するリスクに加えて、市場リスクや保証債務等オフバランスのリスクについても一定の基準で評価し、統一的な尺度で「リスクアセット」として管理しています。リスクアセットは事業投資リスク、与信リスク、市場リスクといった分類に加え、セグメント別、国・地域別等、さまざまな切り口で現状分析を行うための統合的なリスク管理の基盤となっています。
また、財務安全性の観点から、株主資本に対するリスクアセットの状況を継続的に確認するモニタリングを行っています。
2026年3月期は、豪州鉄鉱石事業Rhodes Ridge案件の投資等により、株主資本に対するリスクアセットの割合が上昇しましたが、継続的なモニタリングを通じて、当社の財務基盤の健全性を維持しながら事業ポートフォリオの拡充を進めています。加えて、保有する資産の社内格付低下や、急激な為替・株式市場変動等を想定したストレステストを実施するなど、多面的な検証を通じて、当社バランスシート全体の健全性を確認しています。
また、安全性のみならず、リスクアセットに対する当期純利益の割合を確認することで、リスク対比での収益性についても検証しています。
基礎営業キャッシュ・フローは5期連続で1兆円規模に到達していますが、その安定的な創出を支える仕組みの一つとして統合的なリスクマネジメントがあります。今後も、適切なリスクマネジメントを継続することで業績の下方リスクへの備えを強化し、中長期的な企業価値向上につなげていきます。

重要なリスク(2026年3月末時点)

重要なリスク(2025年3月末時点) *1 必要と認められる場合、経営会議において報告
*2 「災害時事業継続管理規程」に基づき、CHROを本部長として設置する組織

リスクを競争力に変える貿易・物流プラットフォーム

当社では、貿易・物流に関わる機能をロジスティクス戦略部及び子会社である三井物産トレードサービスに集約し、全社横断で管理・運営しています。貿易・物流オペレーションを一元的に担うとともに、その管理機能をコーポレートスタッフ部門に集約することで、統合的な管理体制に基づく貿易・物流内部統制を確立し、リスクの早期把握と迅速な意思決定を可能としています。
例えば、米国の通商・関税政策の動向に対しては、当社の取引・物流に関するデータや通関データを活用し、その影響を全社横断で継続的に可視化・分析しています。貿易・物流機能を全社横断で集約していることから、制度変更による事業影響を迅速に分析・評価し、リスク対応のみならず、新たな事業機会の捕捉にも活用しています。
国際輸送においては、有事における輸送ルートの変更や代替輸送手段確保等の対応に加え、運賃・燃油市況や貨物・船腹需給等のデータを踏まえ、将来の運賃変動に対して先物取引を活用したリスクヘッジを実施しています。さらに、グループ全体の輸送需要を集約するスケールメリットを活かし、個別事業では確保が難しい輸送能力や条件を実現することで、安定供給とコスト競争力を両立しています。
加えて、全社から集約される貿易・物流オペレーションのノウハウやデータを活用し、AIによる業務高度化を推進しています。例えば、当社が独自に開発した関税分類判定AIの活用や運賃見積業務の自動化を通じて、業務効率化と専門人材の知見の組織的な共有・活用を進めています。さらに、効率化により創出された人的リソースを、高度なリスク分析やサプライチェーン戦略立案等、より高い専門性と判断力が求められる高付加価値領域に再配分し、競争力の強化を図っています。
このように、当社の貿易・物流プラットフォームは、リスクマネジメント、物流最適化、データ活用を有機的に結びつけることで、変化に先んじた意思決定と新たな事業機会の創出を支え、トレーディング事業の競争力強化と持続的な価値創造につなげています。