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人材の育成

方針・基本的な考え方


「人材主義」をDNAに宿す三井物産にとって、仕事を通じて人材を育てていくことは最大の使命の一つです。また、当社が取り組むべきマテリアリティとして「人材の育成」を特定しているとおり、それが当社の存在意義の一つであると言っても過言ではありません。

社員それぞれの成長は、それぞれの「現場」での経験を通じて起こります。社員一人ひとりが当社のMVV(Mission、Vision、Values)を自ら体現しようと努力する日々の主体的な姿勢と、かけがえのない仲間の成長を支援しようとする先輩・上司による仕事を通じた丁寧な指導(OJT)が人材育成の根幹です。

こうした仕事を通じた人材育成を支援・補完するために、人事総務部OFF-JT(研修)を企画・実施しています。多くの研修は、当社及びグループ会社の人材育成を支援している人事総務部100%子会社の三井物産人材開発株式会社が実施しています。また、海外現地法人が採用した社員や海外関係会社の社員を対象としたOFF-JTについては、海外地域本部とも連携し、制度・研修両面での充実化を図っており、グローバル・グループ経営における人材育成を強化、推進していきます。

目標


1. 中期経営計画2026における施策

自律的なキャリア形成(挑戦・経験・学び)を支援し、従業員一人ひとりの活躍を支える諸施策・環境整備に向けた人材への投資を更に加速します。

強い「個」の育成
  • 大型化・複雑化する事業をリードする人材の持続的な育成
  • 社員の成長・リスキリングへの支援
  • スキルマネジメント・グローバルキャリア開発
インクルージョン
  • 多様な人材がグローバルに活躍できる環境整備
  • エンゲージメントの向上
戦略的適材配置
  • スキル・意思を踏まえたポジションマッチング
  • ラインマネージャーのポジションマネジメント/サクセッションプラン
仕事の付加価値追及
  • DXによる定型業務の徹底的な効率化
  • 高付加価値業務へのワークロードシフト
  • 一人あたり事業資産規模の拡大
2. 当社単体の社内英語要件充足率100%(海外出張、海外勤務、修業生、業務職海外研修員、部門海外研修員のTOEIC800点以上)

体制・システム


管掌役員 竹増 喜明(代表取締役副社長執行役員、CHRO(チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー))
推進部署 人事総務部

人材育成プログラム

グローバル・グループ経営を担い、変革と成長を推し進める人材の育成という目的を達成するため、当社グループでは新入社員からリーダー層に至るすべての従業員を対象として、ビジネススキルやリーダーシップ等をテーマとした豊富な人材育成プロフラムを用意しています。それぞれのキャリアステージや業務ニーズに応じて、役割期待別研修、選択型研修、選抜型研修等を実施するとともに、一部の語学試験、ITスキル資格試験等の講習受講・受験費用を会社にて負担し、資格取得を通じた社員のビジネススキル向上の機会を提供しています。

人材育成プログラム

グローバル・グループのタレントマネジメントシステムの導入

グローバル・グループでの人材登用・任用・活躍の推進を目的として、当社単体・海外現地法人の職員に加えて、国内外の関係会社の事業経営を担う人材のデータベース化を進めています。

人材のデータベースを統合・プラットフォーム化し、適所・適材の実現と社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支えるべく、グローバルタレントマネジメントシステムの導入を推進しています。ポジション情報やそれに求められる要件、個人が持つスキルや経験の情報およびキャリア志向といったデータを活かし、より適切な人材配置・登用と強い「個」の育成をグローバルに加速させます。2022年10月にアジア・大洋州本部、東アジアブロック、韓国物産で稼働を開始しており、2024年に日本を含む他の地域へ展開予定です。

人材配置の最適化(適材適所の活躍)

当社の多様なプロ人材が最大限活躍し、組織戦力の最大化を図るため、適材適所の人材配置を実施しています。外部環境と当社ポートフォリオ・収益バランスを勘案し、経営方針として攻めるべき成長分野に重要かつ限りある経営資源である人材を機動的に異動・配置することで、攻めを加速する人材配置の施策を継続的に行い、多様なプロ人材による事業推進を実現しています。

毎年1回将来の希望キャリア等を自己申告する人材開発・活用調査表を基に上司と部下が面談を実施し、社員の人物特性・専門性・業務能力・得意分野・経験等を考慮しながら育成・活用計画を確認の上で、最適な人材配置を検討しています。また、貴重な人材の個の力を最大限発揮してもらうために、部門を越えての人材配置として以下の配置最適化策を推進しています。

人事ブリテンボード制度

社員のキャリア自律と各事業領域における人材ニーズのマッチングにより、適材適所での人材配置を実現していくために、社員自らが希望して部門を越えて新しい職務に挑戦することを後押しする制度です。社内求人制度と社内求職制度、全社的な経営戦略や個別プロジェクトのニーズに応じて人材を募集するジョブポスト制度、異動せず社内兼務ベースで組織を超えたプロジェクト参加も可能とする兼務チャレンジ制度があり、社員が所属部門以外で能力やスキル、専門性を発揮することを希望し、異動が社員および会社双方にとってプラスになり、人材と組織の競争力を高めることができると判断した場合は異動を実施します。

2023年3月期からは、本制度を通年化し、年間募集スケジュールを社内開示することで、組織と個人のニーズが計画的にマッチし、機動的で戦略的な人材配置を実現するプラットフォームとして活用してきました。2023年3月期は本制度を通じて56名が異動しています。

人事評価

当社グループは、社員の挑戦心を喚起し、個の強化を実現し、社員一人ひとりがモチベーション高く活き活きと働けるよう、人事評価の面からも後押ししています。評価は、経営理念の浸透、処遇や任用に活用・反映するだけでなく、人材育成が重要な目的の一つです。上司は部下と定期的な面談を実施し、業務上の成果や具体的な行動を総合的にレビューし適切なフィードバックを行うことで、効果的な人材育成につなげる仕組みを構築しています。

当社総合職の人事評価制度は、「個人能力評価」「貢献度評価」の二つで構成されています。個人能力評価では発揮された個人の能力を当社の経営理念を支えるValuesの視点から評価し、その3年間の累計点数を昇降級や給与に反映します。単年度でなく3年間の累積点数を用いることで一過性の要素を排除し、複数年に亘る社員の成長を昇降級に反映します。貢献度評価は、組織に対して個人が付加した価値・貢献度の大きさ、難易度の高い目標達成への挑戦度合いを評価し、賞与に反映する制度です。適切な貢献度評価のために、上司と部下が十分に話し合い、目線をしっかりと合わせた上で、組織戦略に合致したチャレンジングな個人目標を設定しています。これら制度については継続的に見直しを行い、社員一人ひとりの貢献に対して適切に報いるとともに、高い能力を発揮している社員が早期に昇格し、より責任ある役職への登用機会を得る一方、降格も起こり得る仕組みとして、健全な緊張感の中で社員の成長を支援しています。

従業員向け株式報酬制度

当社の多様な社員が経営と一体となり、中長期的な企業価値向上へのコミットメントを強めることを目的に、2020年8月に従業員向け株式報酬制度を導入しました。本制度は、入社4年目以上の社員約5,000人に対して人事評価に連動したポイントを毎期付与し、一定の要件を充足した社員に対し、退職時に累計ポイント数に応じた当社株式を交付する仕組みです。社員一人ひとりの頑張りに適切に報いるとともに、中長期的な企業価値向上に対する社員の意識・行動変革を促すことで、持続可能な社会の発展に資する新たな価値創造と、社員エンゲージメントの一層の向上を目指します。

取り組み


人材育成プログラム

主な国内人材育成プログラムと受講・派遣者数

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

(単位:名)

カテゴリー 研修内容 概要 2023年3月期
受講・派遣者数(延べ人数)
役割期待別・任用時研修 各種ラインマネージャー研修、評価者研修、海外赴任前研修等 経営理念や役割期待別ビジネススキル、マインド等を習得 3,044
リーダーシップ・事業経営力強化 事業経営力強化プログラム、出向者研修、GMA、業務職リーダーシップ研修等 グローバル・グループ経営人材の育成を目指し、組織をリードするうえで求められるマインド、スキルを習得 3,382
スキル・専門知識の深化 物産アカデミー、財務モデリング研修、異業種研修等 自己啓発、専門知識の向上のためにさまざまな分野のメニューより必要に応じ受講できる選択型研修 2,956
DX人材育成 Mitsui DX Academy DX総合戦略の推進に必要な人材の育成を目指し、基礎知識から実践的スキルまでさまざまなレベルの幅広いメニューを提供 2,334
社員のキャリア開発 キャリアデザイン研修等 シニア層に対し、環境や役割変化の中での、自立・自律的なキャリア形成に資するプログラム 385
新卒採用向け(初期教育研修) 導入研修、3年目研修、育成者向け研修等(MMリーダー) 新入社員のオンボーディング・戦力化に向け、経営理念や別のビジネススキル、マインド等を習得すると共に育成者を育成 3,837
グループ会社社員向研修 グループ会社向けリーダーシップ強化研修、中堅社員研修、若手社員研修等 階層別のビジネススキルや三井グループとしてのマインドを醸成するための各種プログラムを提供 5,643
D&I促進・組織文化 キャリア採用向けオンボーディング、海外採用社員向けプログラム、組織開発関連研修等 多様なバックグラウンドを持つ社員の活躍を促進するための研修 693

海外派遣プログラム

当社グループは、グローバルに活躍するための海外派遣プログラムも各種実施しています。

当社本店では、一年間業務から完全に離し、現地の社会、文化、言語を習得させ当該地域のエキスパートを育成する海外修業生、専門性を高める部門研修員といった各種制度で若手社員を海外へ派遣する制度を設けています。また、中堅層向けにはビジネススクールに派遣する制度、業務職向けには「業務職海外研修員」、「業務職部門研修員」制度を用意しています。

また、2011年には次世代のグローバル経営を担うリーダーの育成を目指してHarvard Business Schoolと提携し、当社独自のプログラムHarvard Business School Global Management Academy Program(GMA)を開始しました。以来グローバル・グループ社員や海外パートナー企業からの参加者も含めた多様性溢れる人材が実践的なケースメソッド形式の講義を通じて互いに切磋琢磨しながらリーダーシップやイノベーションを学んでいます。

当社管理職層向けには、このほかに欧米ビジネススクールへの短期派遣Executive Educationを実施しています。

海外研修制度の派遣実績 30カ国、延べ159名(2023年3月期実績)

海外研修制度の派遣実績 30カ国、延べ159名(2023年3月期実績)

グローバル・グループ経営を担う人材育成

JTP研修に参加する現地採用職員 JTP研修に参加する現地採用職員

当社グループは、グローバル・グループ経営を担う人材育成に注力しています。

国内グループ会社の社員に対しては、「部長職研修」「室長・課長職研修」「新人導入研修」等の役割期待別研修や上記の「物産アカデミー」といった選択研修を実施し、それぞれのグループ会社を支える人材の育成・人的ネットワークの構築を支援しています。

海外現地法人等の社員に対しては、現地で実施する各種研修プログラムに加え、当社本店における短期および中長期の研修プログラムを用意しています。短期研修では入社後数年の社員向けのJTP(Japan Trainee Program)および管理職向けのリーダーシッププログラムといった選抜型研修、中長期研修では日本語を学び、その後実務研修を行うLBP(Japan Language and Business Program)や実務研修のみを実施するBIP(Business Integration Program)といった1~2年間のプログラムを実施しています。


ダイバーシティ:現地採用職員の育成・登用

グローバル人材の活躍:現地採用職員の育成・登用

Mitsui Management Review(MMR)

グローバル・グループ経営を担う管理職を対象に、360°多面観察であるMMRを毎年実施しています。部下や協働する同僚からのフィードバックを受け、自身のマネジメント力を振り返り、リーダーシップを強化する機会として、また組織の多様な個の力を活かす組織づくりに活用し、時代に即したリーダーの育成につなげています。MMRの結果は上司にも提供し、職制を通じた人材育成や、ラインマネージャー任用の参考としても活用しています。

社員寮における取り組み

当社は、若手社員への安心で快適な生活環境提供の目的のみならず、共同生活で生まれるさまざまな相乗効果を期待して社員寮制度を長年維持しています。

先輩・後輩または同期でお互い学び合い、切磋琢磨する関係が自律的な成長を促し、所属組織を越えて構築される人的ネットワークや一体感、また寮生活そのものも若手社員の人生においてかけがえのない財産になると考え、特に新卒採用社員には入寮を奨励しています。

現在東京近郊に4か所存在する社員寮には、入社3年目までの若手社員を中心に340名ほどが入居しており、各寮での日々の生活や新人歓迎会・懇親食事会・イベント等の行事を通じて、縦、横、斜めの付き合い・コミュニケーションを深めています。

これら社員寮には、本店での研修プログラムに参加する等の目的のために長期滞在する現地採用職員も入寮しており、社員間のグローバルな交流の場としても広く利用されています。

グローバル・グループでの社員エンゲージメントの向上

社員一人ひとりの意欲を高め、組織としての力につなげていくことを企図し、2018年より「Mitsui Engagement Survey」を実施しています。2022年には当社単体・海外現地法人に加え国内外の関係会社20社も参加し、約12,000名のグローバル・グループ社員を対象に実施しました。

Mitsui Engagement Survey2022 グローバル・グループ全体結果(全世界回答率:92%)

関連設問において肯定的な回答をしている社員の割合

 

「社員エンゲージメント

72%

 

*: 会社や組織が成功するために従業員が自発的に自らの力を発揮しようという意欲を持ち、主体的に取り組めている状態のこと。
(結果は三井物産本店・国内支社・海外現地法人のみ)

パフォーマンスデータ


人事データ