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顧客責任
方針・基本的な考え方
三井物産は、経営の重要課題であるマテリアリティの一つに「安定供給の基盤をつくる」を掲げ、社会の発展に不可欠な資源、素材、食料、医薬品、製品等、多岐にわたる商品を取り扱っています。当社が取り扱う食料・医薬品、製品等の商品の中には、顧客の生命または身体に危害を与えるリスクがあるものが含まれていることを認識しています。そのため、当社では独自の管理基準を定め、取り扱う食料、医薬品、製品等の商品が各国で定める安全規格を担保し、顧客の安全の確保を必須事項としています。
その取り組みの一つとして、当社は、「消費生活用製品取扱方針」および「消費生活用製品取扱規程」を定め、高性能製品や低廉な製品を製造、輸入、あるいは販売することを追求するだけではなく、消費者の立場を重視し、安心して消費者が使用できる安全な製品を取り扱い、消費者の生命または身体に対する危害の防止に努めています。
食料・食品事業の課題と対応方針・基本的な考え方
当社は、食料や食品の確保と供給を行うことで、多様性、簡便性、栄養補給、経済性、豊かさを保証した食生活の実現に貢献します。当社の流通事業においても加工食品の原材料供給、物流のみならず、国内外のリテールおよびマーチャンダイジング領域において事業を展開しています。多様な取り組みの基盤となるよう、品質保証体制の見える化を推進し、関係会社含めたグループべースでの品質保証ガバナンス体制を構築します。
主要課題 | 取り組み |
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食の安全の確保 | 加工食品・輸入食品の安全確保 |
消費者の信頼の確保 | 消費者の健康を守るための食品の安全性・栄養成分・食物アレルギーに関する正しい情報の提供 未成年者・妊婦の飲酒の防止に関する情報の提供 |
栄養素の高い食品へのアクセス
2050年までに世界の人口は100億人に達すると予測されています。健康的な生活を送るために必要な栄養を満たすことや、十分な品質の食料の確保は、世界が直面する大きな課題の一つです。当社では、調達・生産・物流等、川上から川下まで最適なサプライチェーンを構築し、食料の持続可能な供給に貢献しています。食の安定供給を通じた栄養改善や栄養面で付加価値の高い食品やサービスの提供を通じて、人々が豊かに暮らせる社会づくりを進めていきます。
より価値の高い医療の提供を目指して
当社は、人々が健やかに、豊かに、笑顔で暮らせる未来を創ることが重要であると認識しています。新興国の人口増加と成熟国の高齢化、経済発展に伴う慢性疾患の増加による疾病構造の変化に伴い、医療費支出は年々増加しています。また中間所得者層の増加や新型コロナウイルス感染拡大を契機に、人々の健康意識は一層高まるとともに、膨張する医療費の抑制やデジタル技術の活用が求められています。各国・地域における医療のアクセスおよび質と効率の向上を実現し、今後はさらにオンライン診療の導入、ヘルスケアデータやAIの活用等デジタル技術による変革、医療費適正化に向けたアウトカム起点への移行、未病・予防を含むウェルネス分野へのサービスの拡がりがさらに加速化していくものと見ています。このようなトレンドを踏まえ、当社は治療から予防へ、病院中心から個人中心へとパラダイムシフトを加速させ、質が高く効率的なヘルスケア「Value Based Healthcare*」を広げていきます。
*:患者へ価値の高い医療提供を目指し、各ステークホルダーはアウトカム最大化とコスト適正化を図る考え方。
責任ある広告・マーケティング
当社は、経営理念、三井物産グループ行動指針—With Integrityおよび役職員行動規範に基づき、社会的責任を十分考慮した公正で責任ある広告・マーケティングを実践していきます。また、常にステークホルダーの声に耳を傾け、それらを謙虚に受け止め、適切に事業活動に反映していきます。
広告
広告・宣伝においては、著作権法、商標法などの関連法規遵守はもちろんのこと、さまざまなステークホルダーの視点を考慮し誤解や不快感を与えることのない、正確で節度ある広告・宣伝を行っています。広告・宣伝稟議制度の下、コンプライアンスリスク、内部統制リスク、レピュテーションリスク等を適切に管理しています。また、広告を含むコーポレート・コミュニケーション活動全般においては、ブランドイメージの向上・浸透を目指し、統一感ある視覚的イメージの活用と一貫性あるメッセージの発信に努め、適時適切な表現・内容・媒体を通じた取り組みを行っています。
マーケティング
マーケティングにおいては、関係法令・社内規定の遵守、および社内研修を通し、他者の信用や名誉を侵害せず、誤解や不快感を与えることのない内容・表現とすべく徹底し、責任あるマーケティング活動を行っています。
目標
- 食の安定供給により栄養へのアクセスを改善。
- 安全・安心な製品を持続的に提供するための認証商品の取り扱い率向上や従業員研修プログラムの実施。
体制・システム
サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、経営会議の下部組織として、顧客責任に関わる経営の基本方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に関し、企画・立案・提言を行っています。
サステナビリティ委員会の活動については、取締役会による監督が適切に図られる体制となっており、サステナビリティ委員会における審議事項は、定期的に経営会議および取締役会に付議・報告されます。
管掌役員 | 佐藤 理(代表取締役専務執行役員、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)、サステナビリティ委員会 委員長) |
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事務局 | サステナビリティ経営推進部、経営企画部 |
当社内のサステナビリティ経営の推進体制図やサステナビリティ委員会の活動に関する詳細はリンク先をご参照ください。
ESGリスクマネジメント
当社が事業に取り組むに当たっては、新規に開始する段階に加え、操業時、および撤退時においても環境・社会に対する最大限の配慮に努める仕組みを整えています。顧客責任への関連性が高いと考えられる投資案件(食料、医薬品事業等)において、ESGリスク評価を実施、必要な場合は改善計画を策定し、リスクマネジメントを行っています。
食の安全・安心を確保するための品質管理体制
現代の食生活は、家庭で調理するだけでなく、加工食品や調理済み食品も多く利用されており、食べ物が人の口に入る経路・経緯はグローバルに、かつ多様化しています。このような中で、国内外において食の安全・安心の確保が求められています。流通事業本部ではグループベースで販売または提供する商品およびサービスの品質を保ち、食の安全・安心を確保する体制を一層強化すべく、関係会社各社に品質保証管理担当者を設置することで品質保証ガバナンス体制を構築し、グループ内連携強化を目指しています。
当社食料本部、および流通事業本部においては、有事における情報共有化と危機管理の本部内一元的窓口、および関連法規、関連業界の対応事例の研究と行動基準の策定を目的として、2002年に食品衛生管理委員会を発足しました。食料本部・流通事業本部人事総務室長を委員長とし、食料本部および流通事業本部の各事業部に1名の食品衛生管理委員を置いています。委員会は原則毎月一回開催され、各種法改正や、発生した違反情報の共有、原因分析と再発防止策に関する討議を行っています。委員会には外部専門家にも参加いただき、食の安全に関して助言を受けています。また、自主管理レベル向上のために「食の安全管理データベース」を構築し、全ての輸入食品について管理しており、データベースは年に一度見直しを行います。
なお、2022年3月期はモニタリング検査にて残留農薬等違反が2件発生しましたが、重大な食品衛生法違反事例はありませんでした。
食品安全管理規格を取得しているグループ会社
HACCP | フィード・ワン、Super Discover Investment、The Kumphawapi Sugar、Kaset Phol Sugar、三井食品 |
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ISO22000 | フィード・ワン、Super Discover Investment、The Kumphawapi Sugar、Kaset Phol Sugar、五洋食品産業 |
FSSC22000 | 三井農林、五洋食品産業、プライフーズ、フィード・ワン、かどや製油、ADEKA FOODS、The Kumphawapi Sugar、Kaset Phol Sugar |
食の安全・安心を確保するための教育訓練プログラム
当社および関係会社の従業員に対して2002年10月からほぼ毎月1回のペースで2022年3月までに累計220回の「食の安全セミナー」を開催し、各種法令対応や適正表示の強化を推進し、食の安全・安心に関わるリスク管理に努めています。2022年3月期の開催実績ならびに参加人数詳細は以下の表の通りで、当社および関係会社従業員合わせて698名が参加しました。
食の安全セミナー(2022年3月期)
※下記表は横にスクロールしてご覧ください。
開催月 | テーマ | 参加人数 | |
---|---|---|---|
2021年 | 4月 | 「食品の安全性に関する国内外の動向について1」 | 58人 |
5月 | 「食品の安全性に関する国内外の動向について2」 | 58人 | |
6月 | 「食生活と危害物質 —身近な食品に含まれる化学物質を考える—」 | 58人 | |
7月 | 「食生活と危害物質 —身近な食品に含まれる化学物質を考える2—」 | 41人 | |
9月 | 「食品表示違反の実態と行政へのリーク事例から考える」 | 81人 | |
10月 | 「分かりにくい食品表示解説—1 着色料と期限表示」&「食生活と危害物質 —身近な食品に含まれる化学物質を考える3—」 | 58人 | |
11月 | 「分かりにくい食品表示解説—2 保存料」&「食生活と危害物質 —身近な食品に含まれる化学物質を考える4—」 | 60人 | |
12月 | 「食品表示違反の市場動向から表示を考える~忘れていませんか食品表示の義務と権利~」 | 67人 | |
2022年 | 1月 | 「昨年の食品表示違反を振り返って~2021年12月に頂いたご質問から食品表示と問題点をひも解く~」 | 79人 |
2月 | 「食生活と危害物質を考える—5」&「原料原産地表示の質問からの解説」 | 72人 | |
3月 | 「食生活と危害物質を考える—6」&「皆さんからのQ&A解説」 | 66人 |
原薬・中間体の安全・安心を確保するための品質管理体制
当社は、原薬・中間体の輸出入・輸入代行業者・国内流通事業者として、受発注から売先への納品を安全・確実・迅速に取り扱うことを目的として、原薬・中間体輸出・輸入代行・国内流通商内取り扱い手順書を定めています。また、原薬の適正管理を確保するために業務指針および業務手順書を定めて管理しています。手順書通りに業務が遂行されているか、年に一回定期的に自己点検を実施し、各種業法の遵守を徹底しています。
原薬・中間体の安全・安心を確保するための教育訓練プログラム
当社では、教育研修責任者を任命し、原薬・中間体の業務に従事する従業員に対し、薬事法および関係法令、Good Supplying Practice(GSP)実施状況、取り扱う原薬に関する情報、当社が定める業務指針および業務手順、事故などによる緊急事態発生に関すること、その他必要事項について定期的に社内研修を実施しています。
ステークホルダーとの協働
イニシアティブへの参画
イニシアティブへの参画を通じた顧客責任への取り組みを推進、拡大させています。各イニシアティブへの参画においては当社の顧客責任に対する基本方針、取り組みと合致しているか確認の上、参画を決定しています。
一般社団法人日本加工食品卸協会
一般社団法人日本加工食品卸協会は、加工食品の安定供給と国民生活の向上に資するために、加工食品流通の近代化・効率化に関する調査研究、加工食品卸売業の構造改善の促進、加工食品に関する知識の普及啓発等を行う団体です。当社は、1977年から同団体に参画し、流通面においても加工食品の安全・安心な供給に取り組んでいます。
一般社団法人日本薬業貿易協会
一般社団法人日本薬業貿易協会は、薬業貿易を振興し、国民の保健向上に寄与するため、輸入医薬品の安全性および品質確保ならびに安定供給を確保し、会員各社の医薬品輸入事業を支援することを目的とした一般社団法人です。輸入医薬品の安全性および品質確保のために、厚生労働大臣登録試験検査機関の登録を受けた試験所の運営、ならびに医薬品、医療機器等の品質、有効性・安全性の確保等に関する法律および関連法規の研修・講習会ならびに説明会等を実施しています。当社は同協会発足の1963年から加入し、優良な医薬品原薬および中間体等の安定的な輸入に貢献しています。
取り組み
認証の取得
社有林「三井物産の森」/森林資源事業等における認証の取得
FSC®、PEFC、SGEC等認証材の取り扱い
※下記表は横にスクロールしてご覧ください。
取得認証 | 対象(国) | 取得対象/取扱内容・規模 | |
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FSC®認証 国際的な森林認証制度を運営する非営利国際会員制組織FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)が定めた国際基準による認証 |
FM認証*1および CoC認証*2 |
社有林「三井物産の森」(日本) | 三井物産(認証番号FSC®-C057355)/全国に保有する74か所(約44,000ヘクタール)の「三井物産の森」すべてで認証を取得 |
CoC認証 | 三井物産フォレスト(当社子会社、認証番号:FSC®-C031328)/約40,000m3/年(主に「三井物産の森」から生産される丸太ほかを販売) | ||
森林資源事業(オーストラリア) | 当社住生活マテリアル事業部森林資源マーケティング室(認証ライセンス番号FSC®-C104107)/ ウッドチップで認証を取得 | ||
Mitsui Bussan Woodchip Oceania Pty. Ltd.(当社子会社、認証ライセンス番号FSC®-C107463)/ウッドチップで認証を取得 | |||
パルプ・紙・板紙・紙加工製品の調達・販売(全世界) | 三井物産パッケージング(当社子会社、認証ライセンス番号FSC®-C009939)/パルプ、紙、板紙、段ボール等紙製包装資材、家庭紙、紙製文具で認証を取得 | ||
バイオマス燃料取引 | 当社エネルギー第一本部燃料部バイオマス燃料室(ライセンス番号:FSC®-C140620)/輸入木質ペレット(認証材)の取り扱いに際して取得 | ||
PEFC/CoC認証 国際的NGOのPEFC評議会が各国の森林認証制度を相互承認する認証プログラム(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes) |
森林資源事業(オーストラリア) | 当社住生活マテリアル事業部森林資源マーケティング室/ウッドチップで認証を取得 | |
バイオマス燃料取引 | 当社エネルギー第一本部燃料部バイオマス燃料営業室(認証番号:SGSJP-PCOC-2026)/輸入木質ペレット(認証材)の取り扱いに際して取得 | ||
SGEC認証 世界的に推進されている持続可能な森林管理の考え方(モントリオール・プロセス)を基本に、一般社団法人「緑の循環認証会議」(Sustainable Green Ecosystem Council)が日本の現状に合わせてつくった認証。2016年PEFCと相互承認 |
FM認証 | 社有林「三井物産の森」(日本) | 三井物産(認証番号SGSJP-031)/全国に保有する74か所(約44,000ヘクタール)の社有林「三井物産の森」すべてで認証を取得 |
CoC認証 | 三井物産フォレスト(認証番号SGSJP-W088)/約40,000m3/年(主に「三井物産の森」から生産される丸太ほかを販売) |
*1:森林管理(Forest Management)に関する認証。
*2:加工・流通過程(Chain of Custody)に関する認証。
食料事業における認証の取得
※下記表は横にスクロールしてご覧ください。
取得認証 | 国 | 取得対象/取扱内容・規模 | |
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有機畜産物の日本農林規格(JAS) |
日本農林規格に適合した、環境への負荷をできる限り低減して生産された農産物であることを認証する制度 | 日本 | フィード・ワン(当社関連会社)/有機JAS認証飼料を製造・販売 |
日本 | 三井農林(当社子会社)/有機JAS認証の製品を販売 | ||
ASC認証 |
水産養殖管理協議会が、環境に大きな負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖業により生産された「責任ある養殖水産物」であることを認証する制度 | 日本 | 東邦物産(当社子会社)/バイヤーの希望に応じて輸入・販売 |
チリ | チリの大手サーモン養殖・加工・販売事業会社Salmones Multiexport(当社が出資・参画)/3か所の養殖サイトを運営、追加取得に向け準備中(2021年12月末時点) | ||
MSC認証 | 海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)が、持続可能な漁業で穫られ、適切な加工・流通の過程を経た水産物に認める認証 | 日本 | 東邦物産/バイヤーの希望に応じて輸入・販売 |
米国 | Mitsui Foods, Inc.(当社子会社。以下、MFI)/ツナ缶詰を輸入・販売。MFI個社としても流通段階での徹底した管理を行うことでMSC認証を取得 | ||
BAP認証 |
米国NGO団体「Global Aquaculture Alliance(GAA)」により、「環境保全」「社会的責任」「動物保護」「食の安全」「トレーサビリティ」の5つを柱に、持続可能な養殖事業者を認定する制度 | 日本 | 東邦物産(Endorserとして)/バイヤーの希望に応じて輸入・販売 |
チリ | チリのアトランティックサーモンの養殖・加工・販売事業会社Salmones Multiexport S.A(当社が出資・参画) | ||
RSPO認証 当社取り組みの進捗状況は以下URLでご確認ください。 |
持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)が、持続的なパーム油生産に求められる法的、経済的、環境・社会的要件(8つの原則と43の基準)を定め、認証する制度 | マレーシア | 当社ならびにWangsa Mujur Sdn. Bhd.(当社が出資・参画)/同団体の方針にのっとり運営。当社は2030年までにRSPO認証を含む持続可能なパーム油の調達を100%にすることを目標に設定。特にNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation、森林破壊なし・泥炭地開発なし・搾取なし)原則に基づく調達を推進。2022年3月期のRSPO認証パーム油の取扱比率は11.2% |
レインフォレスト・アライアンス認証 詳しくはra.org/jaをご覧ください |
生物多様性の保護と労働者の持続可能な生活の確保に関する基準を満たした農園、牧場、森林や観光業を認証する制度 | ブラジル | Mitsui & Co. Coffee Trading(Brazil) Ltda(当社子会社)/コーヒー豆を客先に供給 |
日本 | 当社食品原料部コーヒー室/製菓・乳製品室/コーヒー生豆を客先に販売/認証原料を菓子メーカーに供給 三井農林(当社子会社)/茶葉製品、飲料製品を販売 |
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SQF-TSA補遺認証 |
フードチェーン全体を対象とした食品安全や品質管理の認証規格(「SQF」認証)に東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会が定めた食品の安全衛生基準(「TSA」認証)を補完した制度 | 日本 | プライフーズ(当社子会社)/(20農場と細谷および細田PC工場で生産した商品を大型スーパー向けに供給) |
事業における取り組み
より良い栄養素への取り組み—スローカロリープロジェクトの推進
日本においてはカロリーや糖質の摂取量は減少しつつも、生活習慣病の増加や食生活の偏りが問題視されています。精製度合いの高い、柔らかく食べやすい加工食品等が増えた結果、消化吸収のスピードが高まっていることも一因と考えられます。当社関連会社のDM三井製糖ホールディングス株式会社では、素早く吸収される特徴を持ち、エネルギー産生栄養素の一つで最も摂取量が多い炭水化物/糖質に着目し、食べ物(特に糖質)をゆっくり消化吸収させることを「スローカロリー®」と名付け、「元気で健康な体を創る」ことができるよう、スローカロリーの啓発活動と、スローカロリーを活用した製品開発および開発支援、普及活動を行っています。
より良い医療アクセスへの取り組み—IHH Healthcareによるオンライン診断の導入を通じた医療アクセスの改善

新型コロナウイルスの感染拡大により人との接触を回避したい患者の増加に対応し、当社が筆頭株主を務めるIHH Healthcare Berhad(以下、IHH)において、2020年5月より8か国・地域でオンライン診療サービスの提供を開始しました。具体的にはIHH医師のオンライン予約・診療、医薬品の自宅配送等国別のニーズに合わせたサービスを提供しており、既存の医療サービスとオンライン診療サービスを統合することで質の高い医療を提供しています。またIHHはシンガポールのオンライン診療事業者Doctor Anywhereへ2020年3月に出資参画、2021年8月には追加出資を行っており、今後もデジタルを活用した医療アクセスの改善および患者満足度の向上に貢献していきます。
より良い医療アクセスへの取り組み-医薬製造・販売・物流を通じた医療アクセスの改善・需給ギャップ解消に向けた取り組み
ロシアでは、同国最大手医薬品製造販売会社のJSC R-Pharm、中国では、Shenzhen Main Luck Pharmaceuticals Inc.等を通じて、求められる高品質な医薬品の製造や販売・流通事業を展開することで、医療新興国における医療アクセスの改善、医療需給ギャップの解消に取り組んでいます。また、各国・地域の薬価制度にのっとり、医療新興国における適正な価格設定による医療アクセスの改善も図っています。
効率的な新薬開発への貢献
当社出資先のTriNetX, LLCは、匿名化した電子カルテ情報を用いた世界最大規模の共同研究プラットフォームを保有しており、医療機関や製薬会社の治験の効率化支援やデータ分析・エビデンス構築支援、市販後の副作用モニタリング効率化サービス等を提供しています。 当社はこれからも同社を通じて、医薬品開発の期間短縮等による効率的な新薬開発に貢献していきます。

責任あるマーケティングへの対応
消費者ニーズに応える「動画」を活用したマーケティングTastemade

嗜好と消費形態が多様化した時代変化を踏まえ、当社は米国・Tastemade, Inc.および日本法人Tastemade Japan株式会社を通じ、マス向けの画一的な発信ではなく、顧客に求められる新しい形で情報発信を行っています。
Tastemadeは食・旅・住等をテーマとしたライフスタイルメディアで、全世界で毎月3億人以上の視聴者に動画を配信しています。映像に「手に取ってみたい」「体験してみたい」と思わせるエンタテイメント性を持たせ、スポンサー商品を自然な形で取り上げることで、「広告が効かない」といわれる若年層にも支持されています。
また、Tastemadeの膨大な視聴データを自社で把握・分析できるシステムと、当社が従来得意とする物流プロセスの効率化・省力化、需給予測・在庫最適化等のロジスティクス領域での進化という双方の特長を活かし、日本でTastemadeの公式ECを立ち上げ、デジタルを活用した新しいリテールビジネスへの挑戦を始めています。
Tastemadeと連携し、消費者のニーズをいち早く把握し、真に求められるサービスを生み出すことで、これからもより楽しく豊かな暮らしを消費者と共に実現していきます。
より良い製品の選択のために最先端のデータマーケティング機能を提供
当社子会社の株式会社Legolissは、企業に日々蓄積される膨大なデータを管理するためのデータマネジメントプラットフォームの構築・導入や、蓄積したデータの分析・活用を支援する事業を行っています。また、データをマーケティング施策に素早く適切に活用できる情報にするための環境整備、オンライン広告の出稿コンサルティングや広告運用事業も手掛ける等、国内のナショナルクライアントをはじめとする企業のデータ活用マーケティングを支援してきた先駆者であり、多くの導入支援実績があります。
当社はこれまで、米国を中心とした最先端のマーケティング支援サービスを、日本で提供するビジネスに取り組んできましたが、近年は消費者データの高度活用に資するクラウド型マーケティングサービス分野に注力しており、Legolissへの出資を通じて顧客企業のマーケティングニーズに最適な組み合わせでサービスを提案できる体制を整え、より高度かつ包括的なマーケティング支援サービスの提供を目指しています。消費者データの活用において、世界的な利用規制強化の流れが急激に浸透する中、Legolissでは現在取り組み中の米国先進ソリューション商材(個人データを一切利用せずに動画広告の効果を向上させる米国Zefr, Inc.、クロスデバイス関連の米国TAPAD, Inc.および位置情報関連の米国Foursquare Labs Inc.)に加えて、SNS(Twitter)データ活用関連のオランダ Socialdatabaseサービスの取り扱いを開始しました。今後も、世界の潮流を踏まえたデータマーケティング支援機能の高度化に努め、多様化する消費者ニーズに応えていきます。
