Main

Environment

気候変動

方針・基本的な考え方


持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の国連での採択等、気候変動や自然災害の増加・激甚化傾向は世界の喫緊の課題であり、社会の持続可能性を追求していくうえで企業が責任ある対応を行うことがますます重要になっています。

三井物産は、「安定供給の基盤をつくる」、「豊かな暮らしをつくる」や「環境と調和する社会をつくる」をマテリアリティとして特定しています。また、中期経営計画2023においては、気候変動をサステナビリティ経営における重点課題の一つに特定し、世界のさまざまな国・地域の経済・社会の発展と、気候変動の緩和および適応といった地球規模の課題の解決の両方に、グローバルに幅広い事業活動を通じて貢献していきます。

なお、当社は、2018年12月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同しており、TCFD提言に沿って、一層積極的な情報開示を進めていくとともに、責任あるグローバル企業として国際的な目標であるパリ協定や日本の中長期的な温室効果ガス削減目標に寄与する目標を掲げ、気候変動への対応に取り組んでいきます。

目標


  • 2050年の「あり姿」としてのNet-zero emissions を掲げ、その道筋として2030年に2020年比GHGインパクト半減を目指す。
  • 本店、国内支社・支店および国内子会社においてエネルギー使用量を原単位で年平均1%以上低減する。

2050年の「あり姿」としてのNet-zero emissions

*:Transitionについては、将来当社が自社でカウントし得る削減貢献量のみを想定。

2020年GHGインパクト

GHGインパクトは、当社が排出したGHG排出量から、OpportunityとTransitionによる削減貢献量を差し引いたものです。
排出量:36百万トン、削減貢献量:2百万トン、GHGインパクト:34百万トン
排出量内訳:Scope1(3百万トン)+Scope2(1百万トン)+Scope3カテゴリー15(32百万トン)
削減貢献量は既存再生可能エネルギー事業、森林、社有林等から。

体制・システム


気候変動対応に関するガバナンス体制

当社では気候変動対応を経営上の重要課題と認識し、基本方針や重要事項は経営会議の下部組織であるサステナビリティ委員会での審議を経て、経営会議および取締役会にて審議の上決定しています。サステナビリティ委員会における気候変動に関する議論は、2019年3月期から2021年3月期までの3年間で、計13回行われ、議論の内容は定期的に経営会議および取締役会にも報告されており、取締役会による監督が適切に図られる体制となっています。

サステナビリティ委員会は、経営会議の下部組織として、気候変動に関わる経営の基本方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に関し、企画・立案・提言を行っています。

管掌役員 大間知 慎一郎(代表取締役副社長執行役員、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)、サステナビリティ委員会 委員長)
審議機関 サステナビリティ委員会
位置付け
  • 意思決定機関である経営会議の下部委員会
  • 委員会で審議された気候変動に関わる重要事項は、経営会議、取締役会等に付議・報告されます
事務局 サステナビリティ経営推進部

当社サステナビリティ経営の推進体制図やサステナビリティ委員会の活動に関する詳細はリンク先をご参照ください。


サステナビリティへの考え方・推進体制:体制・システム

サステナビリティへの考え方・推進体制:サステナビリティ委員会

サステナビリティ委員会における過去3年間での主な気候変動関連議題

サステナビリティ委員会における過去3年間での主な気候変動関連トピックス

社内カーボンプライシング制度導入

当社は、GHGを多く排出する事業の中長期的なレジリエンスを高めるため、またGHG排出削減に効果のある事業の取り組みを促進するため、2020年4月から社内カーボンプライシング制度を導入しています。新規事業案件については、GHG規制等がリスクあるいは機会となり得る案件につき、2℃シナリオに進んだ場合に生じる影響の分析、ならびにリスクとなる場合には対策等の妥当性が、案件審査の一要素として追加されました。また、既存事業のリスク評価も社内カーボンプライシング制度を使って実施しています。

気候変動対応に関する戦略とリスク管理

主な気候変動リスクと機会

当社は、幅広い事業をさまざまな国・地域で展開していることから、気候変動に伴うさまざまなリスクと機会を、事業戦略策定において考慮しなければならない重要な要素の一つと捉えています。各事業分野の環境・トレンドの変化や当社ポートフォリオの入れ替え等の内外環境変化を適切に反映する形で気候変動に伴うリスクと機会を特定し、必要に応じ事業戦略の見直しを行います。

移行リスク 政策・法規制リスク
  • 各国・地域の政策による低炭素排出型エネルギー利用へのシフト(エネルギー・電源構成の変更)
  • 炭素税の賦課やキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度に代表されるGHG 排出規制
技術リスク
  • 気候変動に適応した新技術の参入や代替製品の開発・普及に伴う、既存商材・サービスの需給の変化、既存製造設備の陳腐化や保有権益の価値毀損
市場リスク
  • 化石燃料関連製品・サービスや低炭素製品・サービスの需要の増加
  • 金融機関・保険会社の脱炭素方針による事業推進における資金調達リスク
物理的リスク 急性リスク
  • サイクロンやハリケーンの発生による豪州・米国などの事業会社の操業への支障
慢性リスク
  • 気温上昇等による農水産物への影響や海面上昇に伴う操業への支障

また、各セグメントにおいて、内外経営環境を見極め、事業を取り巻くリスクと機会を特定しています。

セグメント リスク 機会
金属資源
  • GHG排出量削減を見据えた高炉粗鋼生産減少による原料(鉄鉱石・石炭)需要減
  • 環境対応コスト増・炭素税
  • 環境許認可取得ハードルの上昇
  • 循環型社会を見据えたリサイクル事業の拡大
  • 電動化に伴う二次電池原料や銅・アルミの需要増
エネルギー
  • 化石燃料の需要減少、それに伴う上流資産の価値減少
  • 環境負荷が相対的に少ないガス・LNG 事業の拡大
  • バイオ燃料、水素等、次世代エネルギーの需要増
機械・インフラ
  • 石炭火力発電事業を取り巻く社会環境の変化
  • 新技術・新市場創出に伴う既存ビジネスの需給変化
  • 異常気象に伴う輸送貨物量への影響
  • 再生可能エネルギー発電事業の拡大
  • 電力系統Volatility 高まりの解決に寄与する蓄電池の需要増
  • サーキュラーエコノミー、シェアリング
化学品
  • 化石燃料由来の化学品の需要変化
  • 環境規制強化による産業構造の変化
  • 循環型社会を見据えたリサイクル事業の増大
  • バイオケミカル、省エネ素材の需要増
  • 森林吸収源、排出権ビジネスの需要増加
鉄鋼製品
  • 化石燃料掘削関連資機材の需要減少
  • 低炭素化対応に伴う鋼材生産・加工・サプライチェーン見直し
  • インフラ長寿命化へ向けた補修事業の需要増
  • EV 普及に伴う車体軽量化、高効率モーターの需要増
生活産業
  • 気温上昇等に伴う食料産地の変化
  • 異常気象によるサプライチェーンへの影響
  • 食糧資源の確保と安定供給ニーズの高まり
次世代・機能推進
  • 物理的リスク増大に伴う保険求償の増加
  • 物理的リスク増大に伴う保険の需要増
  • 環境デリバティブの商機の拡大

移行リスクに伴う事業インパクト評価および対応策

当社では、移行リスクに伴う財務・非財務面での影響度が大きいと考えられる事業分野を選定し、複数の気候変動シナリオを活用して、各事業へのインパクト評価を実施し、その結果を基に対応策や今後の財務計画・事業戦略への影響を検証しています。

*:政策・法規制や、技術開発、市場動向、市場における評価等の変化によってもたらされるリスク。

2021年3月期シナリオ分析の対象として選定した事業分野

サプライチェーン全体を考慮した温室効果ガス(GHG)排出量を勘案し、以下の事業分野を選定しました。

  • 石油・ガス開発事業およびLNG事業
  • 石炭事業
  • 火力発電事業
  • 鉄鉱石事業
  • 石油・ガス関連インフラおよび船舶事業
  • 気候変動を機会とする事業(再生可能エネルギー、次世代エネルギー、森林資源等)

選定したシナリオ

国際的に認知されているIEA(国際エネルギー機関)が発行するWorld Energy Outlook(WEO)に記載のある以下のシナリオ等を活用しました。

  • New Policies Scenario(NPS):各国が国連に提出した温室効果ガス削減計画を基に、2040年までその傾向を延長したシナリオ。2019年WEOよりSTEPSに改称
  • Stated Policies Scenario(STEPS):現在公表されている各国の政策目標を反映したシナリオ
  • Sustainable Development Scenario(SDS):地球温暖化を産業革命前に比べて2.0°C(できる限り1.5°C)に抑える努力を行うとのパリ協定を遵守するためのシナリオ
分析結果
石油・ガス開発事業およびLNG事業
既存事業へのインパクト評価 対応策
最終投資決断に至ったプロジェクトを追加の上再検証を実施。足元の市況水準と、複数の第三者機関による見通しを踏まえて、中長期的にはBrent原油1バレル当たり60~70ドルで推移すると見込んでいます。STEPSよりコンサバティブシナリオであるSDS下においてもコスト競争力の高い当社資産の優位性は一定程度維持される見込みです。 量の拡大と質の改善というDual Challengeに直面する中、再生可能エネルギーは着実に拡大する一方、当面、化石燃料が主要エネルギー源として不可欠であることは不変です。新規案件については潜在的カーボンコストを考慮しながらコスト競争力強化に努めるとともに、環境負荷が比較的低いガス/LNG事業に取り組みます。
石炭事業
既存事業へのインパクト評価 対応策
粗鋼生産は中国や欧州等では高炉から鉄スクラップを主原料とする電炉への転換が進むものの、インド・東南アジアにおける高炉生産量増加により、高品位原料炭の需要は足元の水準に留まる見通しです。2℃シナリオでは、電炉法の更なる普及や未だ確立されていない革新的な製鉄技術が前提となっており、それによるインパクトは継続的な検証が必要です。 新技術の動向や、電炉、各国政策の進展状況を注視するとともに、中長期的にはインド・東南アジアを中心とした高品位原料炭の堅調な需要が見込まれており、当社保有資産の競争力強化に努めながら、需要家への安定供給を果たしていきます。また、2℃シナリオ下における当社の原料炭事業への影響を注視しながら、事業パートナーと共に低炭素社会を見据えた取り組みを強化していきます。なお、当社では既に一般炭は新規資産の積み増しを行っておりません。
火力発電事業
既存事業へのインパクト評価 対応策
当社発電事業ポートフォリオは、発電量ではなく、稼働可能な発電容量に対して対価が支払われる長期売電契約付が大半を占めるため、契約上はSDS下においても既存事業へのインパクトは限定的です。しかしながら、脱炭素化の世界的な潮流の中で同事業分野の事業価値については継続的な検証が必要です。 当社持分発電容量における石炭火力の比率は段階的に引き下げ、水力を含む再生可能エネルギー比率を2030年までに30%に引き上げる方針です。
鉄鉱石事業
既存事業へのインパクト評価 対応策
粗鋼生産量は2020年代半ばの中国ピークアウトの影響を受けるも、インド、東南アジアが中国の減少を補うと見込んでいます。2℃シナリオ下でも中長期的に粗鋼生産および鉄鉱石の需要は底堅い見通しであり、既存事業へのインパクトは限定的です。 電炉法の普及率や新製鉄技術の変化スピード等を注視しつつ、当社資産の競争力強化に努めながら、需要家への安定供給を果たしていきます。
石油・ガス関連インフラおよび船舶事業
既存事業へのインパクト評価 対応策
ガス配給事業は長期契約に基づく公共および規制事業として対象域内での独占的ガス配給権が確保されています。また、FPSO/Drillship等の海洋油・ガス田開発・生産設備に関する事業、およびLNG船事業も近年の案件のほとんどが長期契約に基づき収益が確保されており、契約上はSDSによる当社収益への影響は限定的です。 中長期的な需給・価格動向を考慮し新規事業の見極めを行うとともに、個々の事業の収益性の維持・向上と安定操業・効率化に努めます。
気候変動を機会とする事業領域(再生可能エネルギー、次世代エネルギー、森林資源等)
既存事業へのインパクト評価 対応策
再生可能エネルギー、次世代エネルギー、森林資源等、気候変動を機会とする事業領域では、SDS下では事業機会の増加が期待されます。なかでも、GHG削減価値を創出する森林資源事業および削減価値そのものを販売する排出権事業には、収益性向上が期待されます。 SDS下において拡大が見込まれる事業機会(脱炭素技術・再生可能エネルギー電源(含む分散型)・排出権・森林資源等)で、収益力/リスクを踏まえた資産の積み上げを行い、更なる気候変動への取り組みの拡大に努めます。

主な物理的リスクと対応策

NPS/STEPSシナリオ下では、地球温暖化を産業革命前に比べて2.0°C(できる限り1.5°C)に留めるというパリ協定で合意された目標には到達しないため、物理的リスクが相対的に高まることとなります。当社では、一定額以上の投資性資産を有する事業に関して過去5年間の物理的リスクの影響を調査するとともに、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)に採用されているRCP(代表的濃度経路)を基に分析しました。当社が保有する資産における主要な物理的リスクは以下の通りです。

*:気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害等のリスク。

気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害等のリスク

当社における主な物理的リスクとしては、局地的な暴風雨、特に大西洋および南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロン等が、当社が行う金属資源等の操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、 生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港等のインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間にわたり停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先において甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクがあります。当社では、保険を付保する、危機管理方針を定める、必要に応じて設備を強化する等の対策は取っていますが、それぞれの対策が最適かどうかを評価する体制の構築を検討しています。

ステークホルダーとの協働


イニシアティブへの参画

当社は、責任あるグローバル企業として国際的なフレームワークに基づいた取り組みや日本の業界団体を通じた幅広いパートナーシップを通じて、パリ協定の遵守や日本の中長期的なGHG削減貢献に寄与し、ステークホルダーに対し適切に情報開示すべく、イニシアティブへの参画を通じた気候変動への取り組みを推進・拡大させています。各イニシアティブへの参画においては当社の気候変動に対する基本方針・取り組みと合致しているか確認の上、参画を決定しています。

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

当社は2018年12月、気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影響を把握し、開示することを狙いとした提言 “Task Force on Climate-related Financial Disclosures”に賛同しました。

TCFDコンソーシアム

TCFDコンソーシアムは、TCFD 提言へ賛同する企業や金融機関等が一体となって取り組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための取り組みについて議論する場として経済産業省・金融庁・環境省をオブザーバーとし、2019年に設立されました。当社は本コンソーシアムの会員企業として、TCFD提言に沿った適切な開示に引き続き取り組んでいきます。

CDP(Climate Change)

企業の気候変動リスクに関する情報公開プログラムCarbon Disclosure Projectに2011年から回答しています。2020年に実施されたCDPの質問書に対する回答の結果、上位の「マネジメントレベル(B)」と認定されました。

Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping

海運業界における排出量削減が世界的な課題となっている中、海運業界の脱炭素化を目指しゼロカーボン輸送に向けた応用研究を行う「Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping」に、2021年4月に戦略的パートナーとして参画しました。

日本経済団体連合会

当社は、日本経済団体連合会における、以下の委員会等に参画しています。

  • 企業行動・SDGs委員会:企業行動憲章の周知、「Society 5.0 for SDGs」の普及・推進、企業の社会貢献活動推進
  • 資源・エネルギー対策委員会:S+3E(Safety+Energy Security、Economic Efficiency、Environment)のバランスを確保したエネルギー政策の推進
  • 開発協力推進委員会:インフラシステムの海外展開の推進、各国政府・国際機関との連携
  • 環境安全委員会:気候変動対策、循環経済推進、環境規制・制度等の改善

日本貿易会

当社は、日本貿易会の地球環境委員会のメンバーとして、商社業界全体のエネルギー使用量の把握、3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動の推進、事業活動を通じた新エネルギー対応の取りまとめ、気候変動対策長期ビジョンの策定等を行っています。 また、商社の観点でのサステナビリティ・CSRに関する課題の検討や内外の動きについて調査・研究を行っているサステナビリティ・CSR研究会のメンバーとして活動しています。

取り組み


事業における取り組み

国内すべての事業所で使用する電力の実質CO2フリー化(再生可能エネルギー由来のクレジット活用)

当社は、2050年の「あり姿」としてのNet-zero emissionsの具体的な施策の一つとして、2020年5月に移転した本社ビルで使用する電力を、主に当社の出資先である福島天然ガス発電所(福島県相馬郡新地町)から調達し、関係会社である甲南ユーテイリテイ株式会社(以下、甲南ユーテイリテイ)のバイオマス発電で創出した再生可能エネルギー由来のクレジットを適用することで、RE100要件を満たす電力としています。加えて、国内のすべての支社・支店と研修所を含む事業所で使用する電力にも、甲南ユーテイリテイや社有林「三井物産の森」から創出されるクレジットを適用することで、本社および国内すべての事業所で使用する電力を実質CO2フリー化しています。

*:RE100は、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアティブ。RE100要件は、同イニシアティブが各国の制度上の違い等も考慮した上で、再生可能エネルギーとして計上できる電力を定義したもの。

オランダのトマト種子企業Totamへの出資・参画(気候変動への適応に関する取り組み)

当社は、トマト種子の開発・生産・販売を行っているオランダのTotam Seeds B.V.(以下、Totam)に出資・参画しました。
野菜種子市場でもトマトは最大作物で、Totamは急成長を続ける環境制御型ハウスで栽培するトマトの種子開発で実績をあげています。環境制御型ハウスAGH(Active Greenhouse)栽培は、気候に左右されない栽培環境下で通年での安定供給が可能で、農業に関する世界的課題である労働力(作業従事者)を最小限にできるため、年率約8%で成長しています。
当社は世界の人口増加にともなう食料の需要増大、気候変動に対応した食料の安定供給の実現、人々の健康増進と生活水準の向上に結びつく野菜の需要増加といったニーズに注目しています。これらの課題解決策になり得る野菜の種子事業を今後の戦略領域と位置付け、グローバルな食生活の向上に貢献していきます。

環境関連ビジネス

当社では、中期経営計画や環境方針に気候変動への対応を掲げ、経済の発展と気候変動への対応の両立を目指し、当社が関与するバリューチェーンの中でサプライヤーをはじめとする取引先と環境負荷への低減に向け対話し、取り組みを進めています。また、再生可能エネルギー事業、モーダルシフト推進事業のほかCO2の排出抑制に寄与する事業や、エネルギー消費の効率改善につながるさまざまな事業の拡大および技術の普及に取り組んでいます。

再生可能エネルギー事業

発電事業として、持分発電容量における石炭火力の比率は段階的に引き下げ、水力を含む再生可能エネルギー比率を2030年までに30%に引き上げる方針です。2021年3月末現在、当社持分発電容量は11.0GWで、そのうち水力を含む再生可能エネルギー比率は約15%を占めており、2030年までにこの比率を30%に引き上げる目標を掲げています。

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

(2021年3月末現在)

燃料・種別 国・地域 持分(MW) 比率 目標
再生可能エネルギー 計 1,621 15% 30%以上
太陽光 日本 152
米国 170
メキシコ 104
ヨルダン 34
インド 17
中国 16
ブラジル 7
UAE 2
タイ 1
水力 ブラジル 750
ラオス 42
スペイン 24
風力 メキシコ 162
モロッコ 35
アルゼンチン 33
日本 27
オーストラリア 21
太陽熱 スペイン 15
バイオマス 日本 6
地熱 日本 3
ガス 7,341 67% 70%未満
石炭 2,002 18%
石油 42 0.4%
合計 8,862 100% 100%

*:建設中を含む

モーダルシフト推進事業

長年取り組んできた鉄道リース事業に加え、各種鉄道プロジェクトの開発と運営に積極的に取り組むことで、社会インフラを整備・構築するとともに、モーダルシフトを推進しグリーン物流に貢献しています。2021年3月末現在、当社が鉄道運営に参画している鉄道網は、貨物関連が10,700キロメートル、旅客関連が2,810キロメートルとなっています。

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

(2021年3月現在)

事業内容 国・地域 事業規模等
貨車リース事業 米国 世界4極(米国、ブラジル、欧州、ロシア)
総保有貨車数 約15,200両
総保有機関車数 約350両
ロシア
貨車レンタル事業 ブラジル
機関車リース事業 欧州
貨物輸送事業 ブラジル 約10,700キロメートルの鉄道網および港湾ターミナルの運営
旅客鉄道事業  
  リオデジャネイロ近郊鉄道 輸送実績 約35万人/日(2020年12月)
  リオデジャネイロ Light Rail Train 輸送実績 約3万人/日(2020年12月)
  サンパウロ地下鉄4号線 輸送実績 約30万人/日(2020年12月)
  East Anglia 英国 輸送実績 年間 約3,432万人(2020年12月)
  West Midlands 輸送実績 年間 約2,957万人(2020年12月)
カーシェアリング事業 シンガポール 車両台数 280台

欧州他におけるZEV(Zero Emission Vehicle)バス事業

2017年12月、当社はポルトガルのCaetanoBus(以下、カエタノバス)に出資参画しました。同社は2010年よりEVバスの開発に取り組んでおり、2016年には空港内乗客輸送のランプバスを販売開始、2017年にはEV路線バスの商業生産・販売を欧州でスタートさせています。当社のグローバルネットワークを活用して同社製バスの拡販を支援しています。カエタノバスの世界展開の一例として、2020年春にはロンドン2路線に合計34両のシングルデッカー電動バスを納入。また、FC(燃料電池)路線バスは2020年末に開発完了し、ドイツやサウジアラビアを皮切りにトヨタ製燃料電池を搭載したFCバスの販売を開始しています。引続きカエタノバスと共に、脱炭素社会に向けたオペレーションに合った最適なソリューションの提供を検討していきます。

欧州他におけるZEV(Zero Emission Vehicle)バス事業

360° BUSINESS INNOVATION:電動バスの先に、暮らしや街づくりまで見据える。

北海道ガスへのカーボンニュートラルLNGの供給

当社は、2021年3月に北海道ガス株式会社石狩LNG基地へカーボンニュートラルLNGを供給しました。カーボンニュートラルLNGの受け入れは北海道初となり、当社にとっても初のカーボンニュートラルLNGの供給となります。
本事業は、2017年10月に締結した液化天然ガス(LNG)長期売買契約に基づいて、2021年3月に当社が供給する北海道ガス向けのLNGに関し、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2と当社が保有するカーボンクレジットを相殺する(カーボン・オフセット)ものです。なお、対象となるカーボンクレジットは、信頼性の高い検証機関が世界の森林保全プロジェクトにおけるCO2排出削減効果をカーボンクレジットとして認証し、当社が購入したものです。
当社は、豪州などでの植林事業、カンボジアでの森林保全活動を通じたカーボンクレジット創出プロジェクトを手掛けており、森林などCO2吸収源の維持・開発を進めていきます。

CCS事業への参画

当社は、CO2の回収・貯留(Carbon Capture and Storage、以下、CCS)の事業会社である在英国のStoregga Geotechnologies Limited(以下、SG社)に出資参画しています。SG社は同社100%子会社のPale Blue Dot Energy Limitedを通じて、英国政府が掲げるCO2排出量削減と2050年までのCO2 Net-zero emissions達成に向けて、英国ならびに周辺諸国から排出されるCO2の回収・輸送・貯留を行うAcorn CCSプロジェクトを開発中です。Acorn CCSプロジェクトは有望なCO2貯留層として、生産が減退した油田やガス田を活用し、既存インフラを転用することでコスト競争力を実現します。また、SG社は大気中から直接CO2を回収するDirect Air Capture技術の事業化などにも取り組んでいます。
当社は石油・ガス上流事業の知見と広範なビジネスネットワークを活用し、SG社への経営参画および業務提携を通じて同社の事業基盤の強化を支援します。また、当社はCO2の回収・利用・貯留(Carbon Capture, Utilization and Storage(以下、CCUS))事業に関する制度設計が先行しつつある英国や欧州で得た知見および当社の総合力を活用して、アジアを含めたグローバルなCCUS事業を展開し、世界にCO2削減ソリューションを提供することを目指します。

米国カリフォルニア州における水素ステーション事業

当社は、環境先進地域として知られ、2020年時点では、水素で走る燃料電池自動車(FCEV)が日本の約2倍の9,000台以上走る米国カリフォルニア州に早くから着目し、同州における最大手の水素ステーション開発・運営事業者であるファースト・エレメント・フューエル(FEF:FirstElement Fuel)と協業を進めています。FEFは現在23か所の水素ステーションを展開していますが、今後も開発を進め、FCEVのさらなる普及を推進していきます。また、同州では乗用車に続き、2024年からバス・トラック等商用車でもゼロ・エミッション車(ZEV)の導入が義務づけられており、十分な航続距離と貨物積載量を確保することが重要な商用車向けにも、水素ステーションを含む給水素システムを構築していく計画です。
また、FCEV関連事業では2016年に出資した世界最大の軽量圧力タンクメーカーであるノルウェーのHexagon Composites ASA と圧力タンクを活用した水素輸送用トレーラーを開発しています。このトレーラーを利用して、より低コストで各地の水素ステーションに水素を届ける仕組みづくりをFEFとともに開始しています。

CCU-米国でのCO2を有効活用したメタノールの製造

当社関係会社のFairway Methanol LLCでは、周辺プラントで副生される二酸化炭素(CO2)を原料として購入(最大で年間約18万トン)、有効利用してメタノールを製造(年間約13万トン)する設備の増設を2021年3月に決定しました。今回の設備の増強は、既存の工場能力を最大限に有効活用したもので、増設分の原料には周辺工場で副生されている二酸化炭素を使用します。二酸化炭素を分離・有効利用するCCU(Carbon Capture and Utilization)の取り組みの一つで、二酸化炭素を資源と捉え素材や燃料に再利用することで、大気中への排出を抑制するカーボンリサイクルを実現するものです。
メタノールは住宅建材、自動車・エレクトロニクス用高機能樹脂、医薬品用途など、さまざまな産業の基礎原料として今後も安定的な需要の伸長が見込まれています。また、昨今では、二酸化炭素を原料とした基幹化学物質としても注目が高まっています。当社は、メタノールのトレーディング事業にも長く従事しており、製造面でも今回増設を行う北米での事業に加え、サウジアラビアでも製造事業へ参画しています。
当社はメタノールの安定供給を通じて幅広い産業の発展、持続可能な社会の実現、また、中期経営計画で目標に掲げた2050年のNet-zero emissionsの達成に向けて、既存事業と、そこで培ったノウハウを活かして脱炭素社会実現に向けた取り組みを進めていきます。

森林吸収源・排出権ビジネス

オーストラリアにおけるNEW FORESTS管理植林地 オーストラリアにおけるNEW FORESTS管理植林地

当社は、オセアニア・アジア・北米で植林アセットマネジメント事業を展開するNew Forests Pty Limited(オーストラリア、管理下資産総額約4,700億円、資産面積約79万ヘクタール)に出資・参画しています。同社管理下森林資産のCO2貯蔵量は1.7億tCO2e、2020年のカーボンクレジット獲得量は750万tCO2eにも上っています。当社は、持続可能な森林資源の供給に加え、森林吸収源・排出権を創出する森林ファンド事業を通じて地球温暖化防止に貢献していきます。

グリーンビルディング

当社は、低環境負荷物件への投資と、保有物件の運用における環境・省エネルギー対策等を通じたエネルギー利用の効率化に取り組み、低環境負荷ポートフォリオの構築を目指しています。

日本ロジスティクスファンド投資法人

当社子会社の三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社が運用する上場REIT・日本ロジスティクスファンド投資法人(以下、日本ロジ)では、DBJ Green Building認証(※1)を15物件で取得しているほか、BELS評価(※2)、CASBEE評価(※3)を取得しています。
また、さらなる推進をはかるべく、資金調達拡充の一つとして、2021年4月にグリーンボンドを発行しました。なお、本グリーンボンド発行の仕組みに対する第三者評価として、株式会社日本格付研究所(以下、JCR)より、「JCRグリーンファイナンス・フレームワーク評価」の最上位評価である「Green1(F)」の評価を取得しています。

  • ※1:環境・社会への配慮がなされた不動産(“Green Building”)を支援するために、2011 年4月に株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJといいます。)が創設した認証制度です。
  • ※2:建築物の省エネルギー性能を表示する第三者認証制度です。
  • ※3:建物の環境性能を評価し格付けするもので、省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面に加え、室内の快適性や景観への配慮も含めた建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。
外部認証の取得

不動産会社・ファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る年次のベンチマーク評価およびそれを運営するGRESBに参画しています。日本ロジは2020年GRESBリアルエステイト評価において、サステナビリティに係る「マネジメントと方針」および「実行と計測」の両面での取り組みが評価され、「Green Star」の評価を取得しました。保有物件のグリーン認証取得割合(賃貸可能面積ベース)について、以下を目指します。

  • 2025年度までに50%まで向上
  • 2030年度までに70%まで向上

*:不動産会社・ファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る年次のベンチマーク評価およびそれを運営する組織の名称。

グリーンビル認証取得割合(2021年7月31日時点)

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

認証種別 物件数 賃貸可能面積
(㎡)
ポートフォリオ
面積割合
DBJ Green Building 15 572,847 44.0%
BELS 3 153,067 11.8%
DBJグリーンビルディング認証取得物件一覧
評価 取得年 物件名
4つ星 2018年 M-6 船橋西浦物流センター
M-12 横浜福浦物流センター
M-13 八千代物流センターⅡ
M-19 草加物流センター
M-26 相模原物流センター
M-31 新木場物流センターⅡ
M-32 横浜町田物流センター
2019年 M-11 八千代物流センター
M-24 新子安物流センター
3つ星 2018年 M-5 浦安千鳥物流センター
M-22 武蔵村山物流センター
2019年 M-28 千葉北物流センターⅡ
M-25 三郷物流センター
M-39 埼玉騎西物流センター
M-40 加須物流センター
BELS認証取得物件一覧
評価 取得年 物件名
5つ星 2020年 M-11 八千代物流センター
2021年 M-19 草加物流センター
M-22 武蔵村山物流センター
CASBEE

再開発後の八千代物流センターおよび市川物流センターII、横浜町田物流センターにおいて、CASBEE-建築(新築)Aランクを取得しました。


日本ロジスティクスファンド投資法人:外部認証

投資法人みらい

当社関連会社の三井物産・イデラパートナーズ株式会社が運用する上場REIT・投資法人みらいにおいて、DBJ Green Building 認証を6物件で取得しています。

ポートフォリオにおける環境認証の取得率は以下のとおりです。(2021年4月30日時点)

取得価格ベース 延床面積ベース
55.0% 62.0%
評価 取得年 物件名
4つ星 2019年 新宿イーストサイドスクエア
3つ星 2018年 品川シーサイドパークタワー
2019年 六甲アイランドDC
2020年 東京フロントテラス
1つ星 2020年 MIテラス名古屋伏見
川崎テックセンター

投資法人みらい:外部認証

パフォーマンス

GHG排出量開示拡充

当社は、国内では2006年3月期から、海外では2009年3月期からGHG排出量調査を実施しています。GHG排出量としては、従来GHGプロトコルの支配力基準に基づくScope1、およびScope2を開示してきました**。これに加え、2020年3月期からは当社のScope1、2に該当しない投資形態のエネルギー・金属資源・火力発電事業等におけるScope 1、2、および全事業領域の関連会社のScope1、2について、Scope3のカテゴリー15(投資に伴う間接排出)として追加で開示しました。気候変動に対応するリスク耐性を意識したポートフォリオの継続的な見直しと、幅広い事業展開を活かした機動的な機会への挑戦に取り組むという当社戦略の観点より、開示範囲を拡充したものです。
2021年3月期の本店、国内支社・支店、連結国内外子会社によるGHG排出量は56万トン、金属資源・エネルギー分野の共同支配事業(Un-incorporated JV)によるGHG排出量は378万トンで合計434万トンとなっています。また、Scope 3カテゴリー15投資によるGHG排出量は3,500万トンです。

*:GHGプロトコル:WRI(世界資源研究所)とWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)を中心としたイニシアティブにより策定されたGHG排出量の算定および報告基準。
**:集計範囲は本店、国内支社・支店、全ての連結国内外子会社(100%)およびUn-incorporated JVを対象。


環境パフォーマンスデータ:エネルギー使用量

環境パフォーマンスデータ:温室効果ガス(GHG)

その他参考データ

気候変動に関連するコスト

気候変動リスク回避のためのコスト:本社産業廃棄物リサイクル費用 20百万円
気候変動リスク回避のための研究開発費(「開発途上国の気候変動に関する報告能力強化支援策の評価手法確立」への研究助成):4.5百万円(2018年4月~2021年3月)

原油・ガス持分権益生産量および埋蔵量

原油・ガス持分権益生産量および埋蔵量

*1:石油換算
当社連結子会・関係会社・非連結先の当社権益保有見合い
*2:一部プロジェクトでは当社持分販売量を適用
(予想)に関しては、新型コロナウイルス影響を一部加味していない前提
*3:当社独自の基準による

社有林「三井物産の森」で年間16万トンのCO2を吸収・固定

社有林「三井物産の森」

社有林「三井物産の森」におけるCO2吸収・固定量(*1)は、年間約16万トン、CO2蓄積量は約1,000万トンと推計され、持続可能な森林経営を通じて気候変動リスクの緩和に貢献しています。また、同社有林の公益的価値は約2,000億円(*2)と推計されています。

*1:“2019 Refinement to the 2006 IPCC Guidelines on National Greenhouse Gas Inventories”のChapter 4 Forest Landにおける Tier 2アプローチを採用し算出。従来の2006 IPCC GuidelinesにおけるTier1アプローチによる算出に代え、2021年3月期から精緻化を図るためTier2に変更。
*2:環境省「企業の生物多様性保全活動に関わる生態系サービスの価値評価」を基に算出。