LNGとは?メリット・デメリット、現状についてわかりやすく解説 - Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産

ソリューション低炭素燃料

最終更新:2024.10.01

LNGとは?メリット・デメリット、現状についてわかりやすく解説

天然ガスを液化したLNGは、日本のエネルギー供給に欠かせないものです。LNGは、石炭や石油に比べて環境への負荷が少ないエネルギーであり、脱炭素社会の実現に貢献できる燃料として注目されています。本記事では、LNGとは何か、使用するメリット・デメリットについてわかりやすく解説。火力発電との関わり、LNGの現状についても解説します。

液化天然ガス(LNG)とは?何に使う?

LNG船
LNGとは「Liquefied Natural Gas」の略称で、日本語では液化天然ガスと呼ばれます。天然ガスとLNGの違いは、気体であるか、液化した状態であるかという点にあります。メタンを主成分とする天然ガスを-162℃で液化したものがLNGで、無色透明でほぼ匂いがありません。

日本は1969年にLNGの輸入を開始し、2014年度には天然ガスが一次エネルギー供給に占める割合が過去最高の24.5%に達しました。2021年度には、LNGの約57%が電力用、約36%が都市ガス用として使用されています。

LNGは火力発電の主燃料

日本における火力発電の主要な燃料はLNGです。LNGを燃料とする火力発電は、石炭や石油に比べてCO2排出量が少ないという利点があります。

日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、再生可能エネルギーの導入を推進していますが、再生可能エネルギーは天候によって発電量が変動するというデメリットもあります。再生可能エネルギーの不安定さを補うために、CO2排出量が少ないLNGを使用した発電が注目されているのです。

LNGを使用するメリット

カーボンニュートラルのイメージ画像
LNGは他の化石燃料と比較して、環境負荷の軽減、供給の安定、効率化の面でメリットがあります。どのような点が優れているのか見ていきましょう。

他の化石燃料よりも環境負荷が低い

天然ガスは、石油や石炭などの他の化石燃料と比較して、環境負荷が低いエネルギー源です。天然ガスの使用により、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出量が大幅に削減されます。

石炭と比較すると、CO2排出量は約6割、窒素酸化物は約2~4割も抑えられます。さらに、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)の排出量はゼロ。ばいじん(ススや燃えかす)もほとんど発生しないため、天然ガスは相対的にクリーンなエネルギーとされています。    

安定供給ができる

天然ガスは埋蔵量が豊富で世界各地で産出されるため、安定的な供給が可能というメリットがあります。特に日本では、石油の輸入を中東に大きく依存している一方で、LNGはオーストラリアをはじめ、マレーシア、ロシア、ブルネイ、アメリカなどからも輸入しています。

天然ガスは中東情勢の影響を受けやすい石油と比較して地政学的リスクが低く、輸入元の多様化によって供給の安定性を確保しやすいのが強みです。

効率的な発電・輸送・貯蔵が可能

LNGは石油や石炭などの化石燃料と比較して、燃焼効率と発電効率が高い点が特徴です。これにより、環境負荷を軽減しながら安定した電力供給を実現できるのもLNGの大きなメリットです。

さらに、天然ガスを液化してLNGにすることで体積が約600分の1に縮小され、大量の輸送と貯蔵が容易かつ効率的に行えます。船舶による輸送はコスト効率も良く、日本のようにパイプラインが困難な地域でも、タンクローリーや鉄道での輸送やタンクでの貯蔵が可能になり、輸送と貯蔵の効率が大幅に向上します。
出典:資源エネルギー庁 LNGを安定的に供給するための取り組み

LNGを使用するデメリット

タンカーで運ばれるLNG
環境に優しく安定した供給が可能なLNGですが、コストやCO2排出がゼロではないといったデメリットもあります。それぞれ詳しく解説します。

輸送・貯蔵・安全管理にコストがかかる

日本から遠く離れた国から天然ガスを輸入する際には、輸送コストが発生します。液化するための冷却設備や専用タンカーの運用にも費用がかかります。また輸入したLNGを貯蔵するための冷凍設備も必要です。LNGはパイプラインが整備されている都市部のみで使用可能で、供給範囲が限られています。安全面で見ると、-162℃の超低温で取り扱うため細心の注意が求められ、安全管理にもコストが発生します。

一定量のCO2を排出する

LNGは他の化石燃料と比較すると、CO2の排出量が低く抑えられていますが、完全にゼロではありません。主成分のメタンガス自体が温室効果ガスであり、LNGの生産過程でもメタンガスが排出されます。

また、輸送や発電時の燃焼によっても一定量のCO2が排出されます。しかし、LNGは他の化石燃料よりも環境負荷が低いことから、全体としてはLNGを使用するメリットの方が大きいといえるでしょう。

供給は輸入に頼っている

日本のLNGの供給は輸入に頼っています。2022年にロシアによるウクライナ侵攻により、世界的なLNG争奪戦が勃発し、LNG価格が高騰しました。

日本は長期契約や原油価格との連動で調達しているため、欧州ほどの価格上昇は避けられましたが、それでも価格はほぼ2倍に上昇しました。この争奪戦は2025年頃まで続くと予想されています。

LNGは脱炭素に貢献するクリーンエネルギー

タンカーに貯蔵されたLNG
日本は、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進しており、脱炭素・エネルギー安定供給・経済成長の実現を目指す方針を打ち立てています。
LNGは他の化石燃料と比べて環境負荷が低く、また安定供給を通じた経済成長にも貢献できるエネルギーとして、今後さらに需要が拡大することが予測されます。

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