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真鍋 恒太朗

テイストメイド・ジャパン(出向)
事業開発部長

消費者が多様化する時代に、真鍋恒太朗は、デジタルメディアを起点に今までにないリテールビジネスに挑戦していく。


シリコンバレーで「最高のパートナー」を探す

あれは2018年の春のこと。私にシリコンバレーに行き、有望なパートナーを見つけてこいと声がかかりました。

三井物産は、社員に裁量をくれる会社です。その時も「細かいことは口を出さないから、次の成長に寄与するパートナーをとにかく自分の目で探して来い」と。まあ、無茶振りといえば無茶振り。やりがいがあるといえば、かなりのやりがいですよね(笑)。
夏に現地に飛び、5ヶ月近く長期滞在して数多くの会社をリサーチしました。

当時私が所属していた部署では、3つの領域で事業を推進していました。惣菜などをつくる「メーカー領域」。それを運ぶ「物流領域」。そしてそれを売る「リテール領域」です。消費者に比較的近いこの3領域それぞれに事業アセットを持ち、有機的につないでサイクルを回せれば、本部全体で擬似SPA(※生産から販売まで一貫管理する製造小売業)的な業態にできるのではないか。そう考えていたんです。

ですから、滞在中は本当に多種多彩な会社とコンタクトを取っていました。ミールキットの会社から、倉庫内のロボティクスを推進する会社、AIビーコンで店舗内の動線を見るテクノロジーカンパニーまで。この3領域で、日本にないような先端的なビジネスモデルを持つ会社を幅広く探していました。

そうした中でテイストメイドの存在を知り、この会社こそが私たちにとってベストパートナーではないかと考えるに至ったんです。テイストメイドは、食・旅・住などをテーマとしたライフスタイルメディアです。膨大な視聴者データを自社で把握・分析できるシステムを持っています。

まず、マーケティングツールとして、新たに消費者との接点を与えてくれます。多様化する消費者一人ひとりにアプローチできるデータマーケティングのプラットフォームとして、私たちのビジネスに新しい力をくれる。そう思いました。
従来型の広告が届かないミレニアル層にメッセージを届けられることはもちろん、彼らの嗜好データを商品開発に活かすことで、今までにない消費者の潜在ニーズを捉えたモノづくり・サービスといったビジネスを生み出していきます。

またそれ以上に魅力的なのが、メディアという枠を超え、テイストメイドが「リテールそのもの」になっていく可能性です。テイストメイドで紹介されたものを買える、食べられる。そんな事業も現実になってきています。

そう。テイストメイドを通して、私たちはリテールの新しいカタチを目指すことができると考えたのです。

メディアの枠を超え、ECへ、フードデリバリーへ

シリコンバレーで「最高のパートナー」を探す

現在の私の立場は、テイストメイド・ジャパンの「事業開発部長」です。いま主力事業となっているコンテンツ制作やその営業は既存チームに任せ、新たなビジネス開発を推進しています。

たとえばEC事業。そしてフードデリバリー事業です。先ほどもお話しした、メディアの枠を超えた挑戦を日々加速させています。

「視聴者」から「消費者」へ。これが三井物産とテイストメイドが共に掲げている合言葉。映像を見てもらうだけでなく、実際に味わってもらいたい。テイストメイドが動画の中で提案しているライフスタイルを、実際に生活に取り入れて楽しんでもらいたい。そう考えています。

こうした事業開発の取り組みはテイストメイドがアメリカ、ブラジル、中国など、世界中で進めているものですが、国ごとの文化の違いからローカリゼーションが重視されています。三井物産は独自のネットワークを活かして、日本をはじめ、世界中の新規顧客開拓や事業開発を支援しています。

テイストメイド側が私たちに寄せる期待もとても大きいものです。果たすべきタスクは非常に多いですが、テイストメイドの本社、三井物産の本社もしっかりサポートしてくれているためとても助かっています。私一人でやる5倍くらいのスピードで、複数のプロジェクトを同時に走らせることができている。本当にありがたいですね。

スタートアップのスピード感で動く

三井物産とテイストメイドでは、やはりカルチャーは違います。特にスタートアップ特有の時間感覚は大いに刺激になりますね。週単位、日単位でデッドラインを設定し、どんどん結果を求めていきます。気づけば私も、「四半期」というスパンでは悠長と感じるようになりました(笑)。

思うに三井物産もテイストメイドも、ビジネスを立ち上げる瞬発力が高い点は似ています。しかしその先が違います。

三井物産は、立ち上げた後は組織を整え、スキーム化して効率よく事業が回るようにします。が、テイストメイドでは、あまりシステマチックな組織化をしません。常にフレキシブルで、常にトップスピード。「動かざるを得ない」状況を自らつくっているところがあります。そしてそのスピード感が、ダイナミックな判断や、失敗を恐れないトライ&エラーの姿勢を支えているのです。

私は、こちらに来る前は「事業会社の経営をしたい」「そのためのスキルを得たい」という思いが強く、たとえば人事の面談などでも常にそう言ってきました。しかし、それが、テイストメイドに来てちょっと変わりました。

すでに出来上がった事業会社の経営をするよりも、極論を言えば1ヶ月後には事業モデルが変わっているかもしれないような環境、変化の真っ只中で、トップスピードで仕事するのが今はすごく面白い。そう思うようになりました。

自分の仕事観を、自分自身を、アップデートしている真っ最中です。

「メディアコマース」への挑戦

スタートアップのスピード感で動く

これからの目標としては、やはり、リテールの新しいカタチに挑戦したいですね。

今後のリテールを考えた時、たとえばコンビニはまだまだ強いでしょうし、スーパーもある。そこに巨大EC企業が成長して割って入り、競争が激化する。そんな構造は大きくは変わらないとして、では、私たち三井物産はどんな切り口からならば小売業態に入っていけるのか?

メディアから入る、というのが一つの可能性と考えているのです。デジタル化が大きく進展したことにより、消費者は時間・場所を問わずにモノを買えるようになっています。翌日配送が当日配送になり、30分外出しての買い物が自宅へのデリバリーに既に変化している。今後は動画を見る時間とモノを買う時間も融合していくと思っています。デジタルメディア発のリテールビジネスがこれから現実味を帯びていくんじゃないかと。

私たちは、それを「メディアコマース」と呼んでいます。

もちろん簡単ではありません。が、単に「映像を見る場」としてではなく、その世界観を愛するユーザーが何億人もついているテイストメイドならば可能性はあります。メディアによる付加価値のついたリテールビジネスです。

もしうまくいけば、日本を一気に飛び越えた、世界規模のリテールビジネスに広がるポテンシャルがある。テイストメイドの動画の先に、私たちはそんな未来を見ているのです。

2019年12月掲載