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齋藤 有平

Novus International, Inc.
Vice President

2009年、齋藤はニューヨークの米国三井物産に配属され、2年ほどNovus社を含む関係会社の事業管理などに関わったあと、2011年5月からNovus社に出向した。

現在、齋藤の主な仕事は2つ。1つめは Novus社のVice President(VP) として、社長を中心に経営陣をサポートし、長期事業計画策定し、その実行を支援すること。2つめは過半数株主である三井物産の代表として、取締役会を通じてNovus社の事業を運営することだ。

1つめの「VPの仕事」では、Novus社の長期事業計画の策定に関わる。 市場の動向、競合の状況、顧客のニーズなどビジネス環境はめまぐるしく変わる。齋藤は三井物産の知見と情報網を活かして、市場、競合、リスク等の重要事項を分析し、経営陣に報告、提言する。
最初からうまくこなせたわけではなかった。「以前は営業だったのでモノの売り買いには慣れていましたが、今の仕事では人事やITなどカバーすべき範囲が一気に広がります。いろんな課題が出て来るので、最初の頃は先輩から教えられることばかりでした」
だからこそ、やりがいもある。「800名近い社員を抱え、世界100か国以上で販売するグローバル企業の戦略や重要な決定事項に関わるわけですから、喜びも責任も大きい」

2つめの「三井物産の代表としての仕事」は、過半数株主である三井物産とNovus社が一体感を持って事業を運営できるようにサポートする業務である。
同社の社長も副社長も、三井物産からの出向ではなくNovus社で採用されているため、取締役会が 決定を行うには、多くの情報や、現場からの迅速かつ緻密な報告が必要となる。そこで、齋藤が現場に入り込み、経営陣と協議を重ね、日々起きる経営の課題、経営陣が何を考えているのかなどをよく理解した上で、論点を整理し、取締役会へレポートする。
この役割を果たす際、2009年から2011年までの経験が大いに役立っているという。当時、米国三井物産にいた齋藤は、米国三井物産内の担当者としてNovus社に決算や会議の内容などのレポートを要求していた。現在は、そのレポートを書いている。両方の立場を経験できたことが、今の仕事に活かされていると齋藤は分析する。
「“三井物産”という産業をまたいだ俯瞰的な視点からNovus社の事業をとらえるのが、ニューヨークや東京にいる人間の仕事だと思っています。その役割を経験した出向者だからこそ、三井物産の“食糧と農業”の攻め筋とNovus社の事業を橋渡しできるのです」

齋藤は、内部統制、予実管理、リスク管理など、Novus社の事業全般に対応し、重要な交渉や会議にはすべて参加する。
さまざまな質問や依頼、要求をNovus社の経営陣に伝えることも彼の仕事だ。
「三井物産からの依頼や要求が来ると、つい、そのままお願いしそうになります。しかし、『なぜ、必要か』『どうして、こうするのか』など、その背景や意味を考え、咀嚼し、自分の言葉で伝えるよう心がけています。理由や必要性に共感があれば、現場に主体性が生まれる。そうでなければ“やらされ仕事”になってしまいます」

では印象的な出来事は?と尋ねると、齋藤は、まだNovus社に着任する前の2008年9月に米国中西部を襲ったハリケーン「アイク」について語った。当時、生産施設や物流が被害を受け、多くの飼料添加物の供給がストップした。「つい先日も、顧客の大手飼料メーカーの担当者に言われました。『あのときNovus社が商品の供給を切らさなかったことには、今でも感謝している』と。8年も前の三井物産とNovus社の先輩方の対応が、現在の顧客との良好な関係の礎になっています。技術の進歩や市場の環境は日々めまぐるしく変わりますが、農業事業には長期的ビジョンで取り組む必要があることを再認識しました。私も先輩方のように、次の世代につなぐ仕事をしていきたいです」

2050年には世界の人口が96億人を超えるといわれる中、齋藤は三井物産の、そしてNovus社の一員として、両社が目指す「食糧と農業のビジネスを通して、豊かな暮らしを実現する」ために、地球の爆発的な人口増加に対応できるだけの食糧増産に貢献する決意を新たにしていた。

2015年11月取材