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吉井 新

コンシューマーサービス事業本部 サービス事業部
アウトソーシングサービス事業第二室 マネージャー

吉井が初めて「仙台うみの杜水族館」の仕事に関わったのは、本プロジェクトの根幹をなす横浜八景島をはじめとする各関係者との契約条件の交渉、そして、水族館を立ち上げるための資金調達の局面だった。2013年10月、銀行との交渉の末プロジェクトファイナンス契約の締結を果たすと、いったん担当を離れた。

2014年7月、吉井は再び水族館の開発の仕事に戻った。プロジェクトリーダーとして、1年後のオープンに向け、プロジェクト全体を統括することとなった。

水族館の開発は、筆頭株主の三井物産、横浜八景島、MINTO機構、地元の有力企業であるカメイ、ユアテック、河北新報社、仙台三越の7社が出資する仙台水族館開発によって進められた。

震災後の仙台の復興シンボルとして期待された新たな水族館には、各出資企業の思い入れも強く、意見をまとめるのは容易ではなかった。

「ただ、『いいものをつくりたい!』という想いは全員一致していたので、それぞれのご要望を実現可能な範囲に丁寧に落とし込んでいくことで、対応できました」

施設の建設においても課題があった。東北の復興需要の影響で人手や資材が不足し、コストも上昇した結果、工事の進捗が予定よりも遅れていた。
プロジェクトリーダーの吉井には、開業まで1年間を切ったタイミングで、全ての条件や仕組みを調整・構築することが求められた。

吉井は、工事を行うゼネコン、展示企画を進める横浜八景島、飲食物販を担うエームサービス、施設管理を担う三井物産フォーサイトと協議を重ね、スケジュールを調整し、個別にマイルストーンを定めることで、巻き返しを図った。

「その際、交渉内容を資料にまとめて可視化し、『こういう方向で進めます』と各出資企業の理解を得ることも重要でした」

周辺住民への説明会でも、吉井は前面に立った。水族館のような巨大な集客施設がオープンすることで、周辺住民の方々の生活に支障がないよう対策を講じていく必要がある。説明会では、仙台水族館開発関係者の取り組みや気持ちが伝わったのか、説明会の最後は、満場の拍手で終わった。

「同席いただいた仙台市のご担当者が『こんなことは初めてだ』と驚いていました。住民のみなさまの期待の表れだと思います。とても感動しましたと同時に、改めて身の引き締まる思いがしました。」

スポンサーシップマーケティング事業も三井物産の仕事だった。吉井は、2009年4月に開場した「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島(マツダスタジアム)」を本拠地とする広島東洋カープとの案件で培ったノウハウを活かして、広く協賛企業を募り、各ゾーンの冠スポンサー、商標利用権、閉館後の施設の貸し切りパーティープランなど、さまざまな特典が選べるスポンサーシッププログラムを構築した。

「ここまで大規模なスポンサーシッププログラムを導入した水族館は、国内で初めてだと思います。当社東北支社が築いてきた地場におけるネットワークも活用し、多くの企業に水族館のコンセプト、スポンサーシッププログラムにご関心をお持ち頂き、ご協賛頂いてます。」今後も各社がスポンサーになりたい、継続したいと思ってもらえるようなプログラムを企画、推進していくつもりだ。

2015年7月1日にオープンした「仙台うみの杜水族館」には、雨にもかかわらず7,000人が来館、8月末までの2か月間で総来館者数は約50万人、年間予想来場者数を上回る勢いで推移している。

オープンからしばらくして、吉井は小学1年生と幼稚園生の我が子を仙台うみの杜水族館に連れて行った。「到着するまでは『お父さんが頑張った水族館』という点に興味があったようですが、中に入ると、純粋に水族館として心から楽しんでいました。子どもたちに喜ばれる水族館ができたことを間近に実感できて嬉しかった」と吉井は笑顔をみせた。

「地元のパートナー企業や多くの関係会社のみなさんから『三井物産がまとめ役になってプロジェクトを仕上げてくれてよかった』『やっぱり三井物産でないとできなかったよね』などとご評価や感謝の言葉をいただきました。大変な局面もたくさんありましたが、本プロジェクトを立ち上げ、推進してきた先輩方や多くのご協力者の思いの詰まったこの水族館プロジェクトに携われたことに、私も感謝しています」

これからも、仙台うみの杜水族館の案件で培った知見や実績を活かし、新たな価値創造に挑み続けてゆく。

2015年9月掲載

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