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佐藤 嘉記

基礎化学品本部 クロールアルカリ事業部
塩事業室長

オーストラリア大陸の最西端。インド洋に突き出た半島と大陸に挟まれた世界自然遺産、シャークベイ。美しいコバルトブルーの湾内には、世界でも珍しい古代生物ストロマトライトが原生するなど独自の生態系が育まれており、ジュゴンやイルカなど、貴重な海の生物の宝庫である。その一角に、シャークベイ塩田がある。

「三井物産は、シャークベイ塩田と、主に工業用塩を製造するオンズロー塩田の2つの塩田を保有しています。当社は親会社として塩田の経営をサポートするのと同時に、日本および主にアジアの国々に向けて販売を拡大するという役割を担っています。2つの塩田を平均すると約7割が工業用ですが、この素晴らしいシャークベイの塩を、食用向けに販売を伸ばしていくことが目下の目標です」。彼方まで続く美しい塩田を前に、佐藤嘉記・塩事業室長はそう説明する。

シャークベイ塩田は、年間を通じて太陽と穏やかな風に恵まれているという自然条件の良さと、外洋より塩分濃度が高く不純物の少ない海水、水深が浅く広大な天然の入り江という、塩田に奇跡的に適した好条件を利用し、塩を生産している。
「シャークベイの塩は、甘くまろやかで味がよく、“世界遺産の海から作られた塩”というブランド感が素晴らしい。この高品質で付加価値の高いシャークベイの塩のシェアを日本及びアジア市場で拡大したい」と意欲的だ。

初めて現地を訪れた際の印象を尋ねると、「身のひきしまる思いでした。この地で、ひたむきに高品質の塩生産に従事しているシャークベイ社の塩田長、そして塩田事業にかかわる人たちの情熱とプライドに接し、この思いに報いるためにも、この塩をしっかり販売し、塩事業を更に持続的に発展させていかなければならない」と、この事業への思いをさらに強くしたという。

基礎化学品本部・戦略企画室から、2015年4月に塩事業室長に就任したばかりの佐藤は着任当初から、積極的に日本国内の客先を回っている。日本では現在、粗塩(精製塩ではない天然の塩)の原材料として大手メーカーに販売しているほか、北海道の新巻鮭、三陸の塩蔵ワカメ、紀州の南高梅の梅干し、醤油など、多数の加工食品メーカーに販売している。
「北海道から九州まで9つの輸入・在庫拠点があり、それぞれに地場のお客さまを持っていますので、国内出張に行く機会は格段に増えました。塩の流通の歴史は非常に長く、専売制だった時代(~1997年)の名残や、日本全国のさまざまな保存食文化にも触れられて、とても新鮮で、勉強になりますね」と、基礎化学品の販売事業でインドネシアや中国など海外経験が長い佐藤はその感想を述べる。

塩事業の今後については、「紙、洗剤、ガラス、合成繊維、人工皮革、建築資材などさまざまな製品の製造過程に必要不可欠です。現在消費の約7割をしめる工業用塩については、塩の販売に加えて、より深く顧客の課題を解決するためのアプローチができないかと考えています」とクロールアルカリ事業部の関連組織が連携して、総合力を発揮した展開を検討しているという。

さらに、日本の10倍の市場を持つ、中国市場の動向も重要だ。
「中国では塩の流通は現在、かつての日本と同じように専売制を取っていますが、自由化の動きがあり、今後専売制が廃止になと見られています。そうなれば三井物産・シャークベイにとっても、大きなチャンスです。中国は経済発展によって平均所得が上がるとともに、食の安全に対する意識もかなり高まっています。そうしたなかで、お金に少しの余裕ができた人々が “美味しくて高品質な塩” を求めた際に、世界遺産シャークベイの塩・オンズローの塩が選ばれる。そうしたブランディングをしていきたいですね」。

工業及び食用用途への総合的な原料塩サプライヤーとして安定供給確保を推進し、これからもオーストラリアの塩田から世界の人々の生活を支え続けていきたいと考えている。

2015年9月掲載