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Business Innovation

これまでも、これからも。
資源を届け、未来を創る。

“世界最大の鉄鉱石生産地”の開発をゼロから、50年にわたり推進してきた三井物産。世界の製造業と、その先にある人々の暮らしを支えています。


世界最大の鉄鉱石生産地、西豪州ピルバラ地区。三井物産は、今をさかのぼること50年前からここで鉱山開発を進めています。この地域が荒野の他に何もなかった時代、プロジェクトをゼロから立ち上げる最初の一歩から関わり、パートナー企業と共に鉄鉱石事業を運営してきました。当時相対的に品位の低かった鉄鉱石に対し、日本や豪州、米国の事業パートナーと共に加工技術・使用技術の向上に取り組み、70年代のオイルショック、80年代の大規模ストライキなど、数々の困難をも乗り越え、一大産地へと発展させました。今ではピルバラ地区全体から年間8億トンもの鉄鉱石が産出され、日本はもちろん、中国を筆頭とする世界中のニーズに応えています。

操業効率化と技術向上がもたらした成長

三井物産の豪州鉄鉱石事業の中核を担う鉱山のひとつが、ウエスト・アンジェラス鉱山です。三井物産と、いわゆる三大資源メジャーのひとつリオ・ティント社、そして新日鐵住金が出資するローブ・リバーJ/Vが保有。2002年8月の操業開始以来、15年あまりでめざましい成長を遂げています。

その要因は大きく3つあります。第一に、鉱山・鉄道・港湾などの一体操業による効率化。第二に、パートナー企業の協力を得て取り組んだ加工技術・使用技術の向上。第三に、中国の爆発的な需要増とほぼ一致した、操業開始のタイミングです。

ウエスト・アンジェラス鉱山の開発構想は1970年代からありましたが、既存の港(ケープ・ランバート港)から400kmも離れていることから、鉄道敷設コストが大きなハードルとなり、1990年代末に開発が本格化するまで長い年月を要しました。その後、2000年にリオ・ティント社がローブ・リバーJ/Vの新たなパートナーとなり、両社のインフラ操業を一体化することが可能に。生産性を高め、コスト削減を達成しました。

これまでも、これからも。資源を届け、未来を創る。

また、技術向上の成果も欠かせません。1960年代後半、プロジェクト最初期に開発を進めたローブ・リバー鉱山の鉄鉱石は、それまで日本の製鉄会社で使用するには不向きとされていました。しかし、私たちは日本や豪州、米国のパートナー企業と共に加工技術・使用技術向上の努力を続けてきました。その知見がウエスト・アンジェラス鉱山においてもぞんぶんに活かされています。

2002年8月、こうしてウエスト・アンジェラス鉱山は操業を開始。折しも急激に伸びていた中国での需要と重なり、世界中で鉄鉱石が不足していた中、瞬く間に成長しました。いわゆる資源価格のスーパーサイクルが2000年から2014年であることを考えると、その影響の大きさがわかります。

中国をはじめとする新興国の需要を背景に、ローブ・リバーJ/Vは積極的な拡張投資を継続。ケープ・ランバート港の出荷能力も、2000年初期の年間5,500万トンから2015年には年間2億トンを超すまでに拡張。鉱山自体も拡大を続け、後続の鉱床を相次いで開発、生産量をますます伸ばしています。

次世代の鉱山開発へIT化・自動化を推進

次世代の鉱山開発へIT化・自動化を推進

三井物産のJ/Vパートナーであるリオ・ティント社は、より安全で環境負荷の少ない次世代の鉱山開発を追求。ウエスト・アンジェラス鉱山を含めて、鉱山・鉄道・港湾操業全体にわたりIT化・自動化を積極的に進めています。

ピルバラ地区から約1500km離れた都市パースにあるオペレーションセンターでは、400人以上のオペレーターが同社の17の鉱山と4つの港、そして全長1700kmにも及ぶ鉄道の操業をリアルタイムで最適化。現地に赴くことなく、一か所で遠隔管理しています。

また、無人ドリルや無人鉱山トラックの導入を推進するとともに、世界初となる、無人機関車による鉄鉱石輸送の完全自動化にも挑戦しています。

人里離れた半砂漠での鉱山開発は、人にとって、また環境にとって、必ずしも負担のないものとは言えません。安全な労働環境、持続可能な社会のために。鉱山開発そのものの未来を切りひらいていく試みです。

「当たり前」を支え続ける使命

鉄は現代に生きる私たちの暮らしにとって、水や空気のように不可欠なものになっています。新たな工業材料として新金属への期待が高まる一方で、相対的に安価、かつ加工性にもすぐれた鉄が、今も世界で最も広く必要とされている事実は揺るぎません。

50年前、日本の経済成長を支えるべく始まった西豪州での鉄鉱石事業は、今や日本にとどまらず世界中の人と暮らしを支えるまでになりました。

日本で、世界で、すべての人が当たり前に豊かに暮らせること。暮らし続けられること。そのために汗をかき続けることが私たちの使命。これまでも、これからも、三井物産は鉄鉱石ビジネスの最前線を走っていきます。

2018年1月掲載