Green&Circular 脱炭素ソリューション

コラム

最終更新:2024.01.18

脱炭素の正しい進め方と考え方

本サイト「Green & Circular」を最大限に活用いただくため、ここでは基本的な「脱炭素の進め方と考え方」を解説します。素早く手軽に、そして長期的に取り組めるよう、私たちはさまざまな角度からサポートいたします。

すべての産業で脱炭素が求められる時代になる

「脱炭素への取り組み」と聞くと、CO2を多く排出する製造業や大企業の話と考えてしまいがちです。しかし、カーボンニュートラル実現は簡単な目標ではなく、すべての企業や個人が一丸となって取り組まなければならない課題です。一方、排出量の大小や適切な排出削減方法は産業ごとに異なるため、すべての業種が一律で同じ取り組みをおこなうのではなく、それぞれの特徴に合ったやり方が求められます。

規制前に取り組むことで企業価値が高まる

CO2排出量は従来、スコープ1&2と呼ばれる自社によるCO2排出のみが規制の対象とされてきました。しかしながら、近年は自社から排出されるCO2だけでなく、スコープ3と呼ばれる「原料調達・製造・物流・販売・廃棄」も含んだ「サプライチェーン排出量」や、それを製品別にまとめた「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を公表することが、国際会計基準などの民間の取り組みとして一般化しつつあります。また、政府側にもこうした公表を制度化する動きが見られます。その先には、産業ごとに情報開示に関する細かな規制やガイダンスが導入されるかもしれません。

つまり、将来を見据えると、ある日突然自社の製品やサービスが「高排出」と見なされ、市場価値を失うことが考えられるのです。脱炭素への取り組みは、成果が出るまでに省エネレベルのものでも1~2年かかり、それ以上の時間が必要なことが多々あります。どのような業種であっても、規制が実施される前に脱炭素化への取り組みをおこなうことで、今の時代に求められる強靭な企業体質になることができます。また、自らが関わるサプライチェーンの排出を把握することで産業構造の変化を先取りし、自社のサステナビリティを高めることで長期的に企業価値を高め、顧客や従業員、さらには投資家への信頼を向上させることができるでしょう。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 

脱炭素への取り組みに最適な進め方とは?

脱炭素への取り組みを考えるとき、三井物産では排出量を「把握する」、資源利用を「減らす」、化石燃料を「代替する」、CO2を「吸収する」という4ステップを推奨しています。

まずやるべきことは「排出量の把握」

脱炭素に向けた取り組みの第一歩はCO2排出量の「可視化」であり、これが適切な排出削減策の検討・実施に繋がります。また、前述のようにサプライチェーン排出量や製品ライフサイクル全体での排出量を把握するため、取引先からCO2排出量に関する資料やデータを求められることも増えてきます。さらには、環境負荷の小さい部品や製品を優先的に調達する、いわゆる「グリーン調達」を推進する企業も増え始めています。その際に必要な書類を迅速に提供することができるかは、ビジネスを進めるうえでも大きなポイントとなってきます。

比較的取り組みやすい「資源利用の節減」

CO2排出量を可視化したら、これまでのやり方を見直してエネルギー使用を「最適化」していきましょう。省エネと置き換えてもいいでしょう。最適化には、IoTやAIなどのデジタル技術を活用したエネルギーマネジメントや、製造業であれば無駄な生産をしないことや、環境負荷の小さい原材料に切り替えるというのも有効です。
また、廃棄されるはずの製品や原材料を資源として回収し、再利用する「資源循環」(サーキュラー)も有効です。「もったいない」精神をもつ日本人には、古くから馴染みのある考えです。
紙やプラスチックに加え、都市鉱山とも呼ばれる廃棄された電子機器から貴金属を取り出して再利用することは、すでに自然資本の節減に寄与しています。今後さらに資源循環が進めば、新たに投入する資源量が減少し、ひいては資源生産時などに排出されるCO2の抑制につながります。

脱炭素化を飛躍させる「化石燃料の代替」

代表的なCO2排出削減策として、エネルギー源をよりCO2排出の少ない「再エネ」(再生可能エネルギー)に代替する方法があります。EV(電気自動車)は、そのエネルギー源(燃料)をガソリン(化石燃料)から電気へ代替しているものです。また、自動車でいえばFCV(燃料電池車)のように、水素エネルギーへ代替する「電池・水素」や、バイオ燃料(微生物発酵エネルギー)のような「低炭素燃料」への代替が各所で検討されています。これらは、地域や産業ごとに最適な方法が模索されています。

削減しきれない「CO2の吸収」

自助努力により削減しきれないCO2は、何らかの形でオフセット(埋め合わせ)させることができます。森林に吸収されたCO2などをクレジットとして売買する方法や、発生したCO2を集めて地中に貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)、大気中から直接CO2を吸収するDAC(Direct Air Capture)などの方法が検討されています。

将来を見据え、継続して取り組むことで成果が生まれる

気候変動問題は世界的に不可逆なものであり、脱炭素化は継続的に取り組まなければならない重要な課題です。企業はこれに取り組むことで市場での競争力を獲得し、サステナブル(持続可能)となります。CO2排出削減は、その効果を得るまでに時間を要します。できることから始め、継続的に取り組んでいくことが、カーボンニュートラルへの最短コースになることでしょう。
   監修:本郷 尚(三井物産戦略研究所シニア研究フェロー)

関連する記事

ご質問やご相談など、
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちら