CDPとは?企業が取り組むメリットと日本企業の回答状況を徹底解説 
    
    
      
         
    
    
      CDPとは何か、企業が取り組むべき情報開示の3つの柱やスコアがもたらすメリットの解説に加え、気候変動対策やカーボンニュートラル実現に向けた重要なツールとしての役割を紹介します。
    
    
    
      
      
        
      
    
   
  
    
      
  近年、企業の社会的責任として、気候変動への対応が求められています。そうしたなか、CDPは、企業の環境情報開示を促進する重要なフレームワークとなっています。CDPの概要と企業が取り組むべき理由やメリットに加え、CDPにもとづく情報開示がどのように企業のESG評価に影響を与え、CO2削減につながるのかを探ります。企業の持続可能な成長に向けた第一歩として、CDPへの取組みの重要性を理解しましょう。
CDPとは?企業が知っておくべきこと 
    
      
  
    
      
  
CDPとは?その沿革と活動内容 
    
      
  CDPは、企業や都市が環境への影響をどのように管理しているかを評価し、情報開示を促す国際的な環境非営利団体(NGO)です。投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境への影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。
 CDPの沿革と歴史 
    
      
  CDPは、2000年に「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」としてイギリスで発足しました。その設立の背景には、機関投資家が気候変動リスクを評価するために企業に情報開示を求める動きがあったことにあります。2002年に初めて行われた情報開示では、参加企業数は245社にとどまりました。その後、世界的な環境意識の高まりとともに参加企業も拡大し、日本でも2005年に活動を開始しました。また、情報開示の対象が、二酸化炭素の排出量にとどまらず、より広範囲な環境情報に対応することになり、2013年に「CDP」が正式名称となりました。
CDPの浸透と国際的な連携 
    
      
  CDPは、企業と投資家の対話を通じた環境情報開示を促進する国際的なプラットフォームとして、複数の重要なガイドラインや団体と連携しています。特に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)との整合性を重視し、気候リスクと機会の開示基準を共有しています。具体的には、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)のS2基準やTNFD(自然関連財務開示タスクフォース)とも協力し、自然資本や生物多様性に関する情報開示を促進しています。さらに、欧州連合のESRS(欧州サステナビリティ報告基準)との調整を行い、各国・地域の規制に適合した開示ができるようサポートしています。
CDPが求める情報開示の3つの柱 
    
      
  
    
      
  CDPは、企業に対してプラスチックや生物多様性等、さまざまな環境問題に関する情報開示を求めています。
①気候変動に関する情報開示 
    
      
  CDPは、企業に対して気候変動に関する幅広い情報の開示を求めています。企業は、これらの情報を開示することにより、自社の気候変動への影響を透明化し、投資家やその他の利害関係者からの信頼を得ることができます。また、情報開示を通じて、より効果的な気候変動対策を策定し、実施することが可能になります。
2024年の気候変動に関する質問は、以下の12で構成されています(【 】内は質問数)。
  排出量算定方法と除外【8】 
  スコープ1、2、3排出インベントリ【12】 
  生物起源炭素【2】 
  排出量の内訳【17】 
  エネルギー関連活動【8】 
  原単位指標【1】 
  その他の気候関連指標【1】 
  目標【8】 
  排出削減の取組み【5】 
  製品レベルの排出量【7】 
  低炭素製品・サービス【2】 
  プロジェクトベースの炭素クレジット【2】 
 
必要となるデータは、温室効果ガス排出量の詳細な測定結果、排出削減目標、排出削減の取組み等があげられます。  
②水セキュリティに関する情報開示 
    
      
  CDPは、企業が水資源をどのように管理しているかについても情報開示を求めています。水資源は、多くの産業にとって不可欠な要素であり、水不足や水質汚染は、企業の事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。こうした情報開示を通じて、企業は水リスクをより深く理解し、水資源の持続可能な利用を促進するための対策を講じることができます。
2024年の水セキュリティに関する質問は、以下の13で構成されています(【 】内は質問数)。
  除外事項【3】 
  総量【1】 
  水ストレス地域からの取水【1】 
  水源別の総取水量【1】 
  放流先別排水量【1】 
  処理方法別排水量【1】 
  水への排出【1】 
  施設レベルの水会計と検証【2】 
  CDPサプライチェーンメンバーに及ぼす影響【2】 
  水の効率と水の原単位【2】 
  有害物質【2】 
  製品とサービス【1】 
  水関連目標:水量、水質、WASH、その他【4】 
 
必要となるデータは、使用水量、放流先別排水量、地域ごとの水ストレス評価等があげられます。
③フォレストに関する情報開示 
    
      
  森林破壊は、気候変動や生物多様性の喪失等、深刻な環境問題を引き起こしています。そこで、CDPは企業に対して、森林破壊に関連するリスクを評価し情報開示することを求めています。企業は、パーム油や木材等、森林破壊の要因となる活動について情報を提供することで、森林保全に向けた取組みが実施されているかどうかを確認することができます。さらに、こうした情報を開示し、透明性を高めることで、森林破壊のリスクを軽減し、企業の持続可能性を高めることにつながります。
2024年の森林破壊に関する質問は、以下の15で構成されています(【 】内は質問数)。
  除外事項【2】 
  コモディティ量データ【2】 
  土地の利用面積量と所在地【3】 
  コモディティ調達場所【1】 
  バイオ燃料【2】 
  目標【3】 
  トレーサビリティ【2】 
  森林減少なし、転換なし(DCF)の状態の指標とDCFを決定する方法【5】 
  森林減少なし、転換なし(DCF)に向けた現状と進捗状況【4】 
  認証コモディティの販売量【2】 
  排出量【2】 
  法令遵守【1】 
  ランドスケープ・管轄アプローチとイニシアティブ【4】 
  社会活動【2】 
  生態系復元プロジェクト【2】 
 
必要となるデータは、サプライチェーン内の森林影響評価、認証を受けた調達量、森林保護プログラムへの参加状況等があげられます。  
CDPスコアが企業に与えるメリット 
    
      
  
CDPによるスコアリングとその意味 
    
      
  
    
      
  CDPは、企業が開示した情報をもとに環境パフォーマンスを評価しており、最も高いAから最も低いD-までのアルファベットでスコアを付与します。
2023年 日本企業の回答結果 
    
      
  2023年の日本企業の回答社数は、CDP発行のレポートによれば、以下の通りとなります。
気候変動:対象:1,834社→回答 1,182社(64%)
気候変動Aリストに選ばれた日本企業は114社にのぼり、これは世界全体のAリスト企業の約20%を占めています。これにより、日本企業の気候変動対策への取組みが高く評価されていることが分かります。
業種別では、製造業が最も多く45社、次いで金融・保険業11社、情報通信業10社、不動産業9社、卸売業8社が選ばれました。また、水セキュリティでは36社、フォレストでは7社で、これらの分野でも日本企業の進展が期待されます。
また、気候変動質問書への回答率は前年比で7%増加し、日本企業の環境問題への意識の高まりを示しています。幅広い業種でAリスト企業が選出され、業界ごとの環境対策の進展が分かります。CDP情報開示は投資家や消費者からの評価にも影響を与えており、今後も日本企業の環境問題への積極的な取組みが期待されます。  
CDPスコアと競争優位性の確保 
    
      
  高いCDPスコアを持つ企業は、気候変動対策や環境保全への取組みが優れていると評価され、競争優位性を得ることができます。特に、機関投資家や個人投資家は、企業の環境への配慮を重要な投資基準としているため、企業がCDPスコアを向上させることは、資金調達の面でも大きなメリットをもたらします。
さらに、CDPとTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、気候変動に関する情報開示の促進する枠組みで、両方の要件を満たすことでリスク管理を強化できます。特に上場企業は、TCFDに基づく開示義務を果たし、CDPスコア向上により投資家の信頼獲得に繋げられます。  
CDPはカーボンニュートラル社会実現のツール 
    
      
  
    
      
  気候変動問題が深刻化する中で、情報開示を求める声はますます高まっています。CDPへの回答は手間がかかるものの、企業が気候変動に関するリスクを適切に把握し、脱炭素経営のロードマップを明確にし、競争力を維持する必須のプロセスと言えます。CDP回答により、環境と経済の両立を実現する第一歩を踏み出すことで、企業の責任と可能性を証明する機会となります。  
参考 
    
      
  
    
    
    
		
      
      
      
        
          
            
              
              
                
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