「脱炭素」に対するサステナビリティ担当者の意識調査結果を公開 - Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産

コラム

最終更新:2025.01.16

「脱炭素」に対するサステナビリティ担当者の意識調査結果を公開


脱炭素経営とサステナビリティ推進の重要性及び「脱炭素」に対するサステナビリティ担当者の意識調査の結果をご紹介します。

三井物産 Green & Circularでは、脱炭素に関する意識や自社の取組みなどに関してアンケート調査を実施しました。調査結果の詳細は資料にまとめていますが、ここでは、サステナビリティ担当者の「脱炭素」の浸透度や、脱炭素推進に向けた企業の取組み傾向に関する調査結果をご紹介します。

脱炭素経営とサステナビリティ推進の重要性

脱炭素経営を推進するビジネスパーソン

脱炭素経営とは?企業に求められる気候変動対策の変化

脱炭素社会実現のためには、温室効果ガスを多く排出する企業の取組みが重要になります。しかし、従来の企業における環境への取組みは、CSR活動の一環であり、コスト増加を伴うものと捉えられていました。では、なぜ脱炭素の考え方を反映した企業経営の重要性が高まったのでしょうか?
それにはいくつかの理由があります。まず、IPCCによる科学的根拠の提示により、温室効果ガスの排出を継続した場合、気候変動は深刻化し、連鎖的に経済・生態系・健康に被害を及ぼすことが提示され、危機的な状況になることが明確になっています。これに基づき、国際的な温室効果ガスの排出削減目標が設定され、各国政府は法規制やガイドラインを導入しています。それに伴い、企業は持続可能な経営を目指し、目標設定やコミットメントを表明しています。
また、消費者や投資家も気候変動の深刻化、経済や生活への影響を感じることで環境意識が高まり、脱炭素経営を進める企業や環境に配慮した商品やサービスへの期待が高まっています。さらに、欧州や米国、中国の脱炭素化の取組みが進行し、企業が国際的な競争力を高めるには、脱炭素化は避けられない状況になっています。こうした背景から、企業は脱炭素経営を戦略的に進める必要があります。

脱炭素経営の進め方:サステナビリティ推進のメリット

近年、気候変動対策をマテリアリティに位置付け、その解決に取り組む企業が大企業を中心に増加しています。脱炭素経営は、持続可能な成長を実現するための重要なステップであり、様々な利点をもたらします。ここでは、環境省が提示している脱炭素経営の5つのメリットをご紹介します。
1. 優位性の構築
脱炭素経営を実践することで、「脱炭素に取り組む企業」や「地球温暖化抑制に寄与する企業」としての社会的な認知を得ることができます。脱炭素経営企業と認知されると、企業間の関係構築にも役に立ちます。特にサプライヤー全体の温室効果ガスの排出量を報告が求められている今、自企業のスタンスを明らかにすることで、サプライヤーにも協力を仰ぐのが容易になります。
2. 環境負荷の低いエネルギーの採用
近年高騰している原料費の対策としても、脱炭素経営は効果的です。例えば、エネルギー効率を向上させる施策や再生可能エネルギーの導入は、エネルギーコストを削減し、企業の収益の安定化に寄与します。また、製造業や卸売業など、企業の業種によっては光熱費を半分近く削減できる可能性があります。
3. 知名度・認知度向上
環境への先進的な取組みがメディアに取り上げられることで、企業の知名度や認知度が向上します。この結果、お問い合わせが増加し、売上の増加も期待できるようになります。脱炭素経営を通じて得られるポジティブなイメージは、顧客やステークホルダーに対する信頼感を高め、競争優位性の確立にもつながります。
4. 社員のモチベーション・人材獲得力向上
自社の社会貢献は、社員の共感や帰属意識を醸成し、社員のモチベーションにつながります。また、若い世代では、社会課題解決を就職先の条件の一つに挙げる傾向が高まり、脱炭素経営は人材獲得の重要な要素となっています。
5. 好条件での資金調達
投資家は気候変動に関する情報開示を投融資判断の重要な要素として考慮するようになってきており、特に、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)に対する企業の取組みを重視するESG投資がその代表例です。企業は「脱炭素」との結びつきを明確に示すことで、より良い条件での資金調達が可能となるでしょう。
*脱炭素経営について詳しく知りたい方は、「脱炭素経営とは?メリット・デメリットや日本企業の取組み状況を解説」をご覧ください。

脱炭素に対する意識調査:サステナビリティ担当者の意識は高い?

「脱炭素」意識の比較
Green & Circularでは詳細資料を通して、脱炭素の理解を促進し、具体的な取組みを探求するための情報を発信しています。今回は、企業のサステナビリティ担当者を対象に、「脱炭素」の認知や理解、取組み傾向などに関してアンケート調査を実施致しました。
・実施期間:2024年10月2日(木)~10月7日(月)
・対象
 ・属性:全国の20~64歳の男女
 ・職種:働いている方(コンサル・シンクタンク・マスコミ・調査会社は除く)
 ・人数:1,031名
本調査のポイントとして、大きく分けて下記2つの属性に分けて結果を算出しました。
1. 一般的なビジネスパーソン(以下、一般) 518名/1031名
2. サステナビリティ担当者(以下、サステナ担当者) 513名/1031名
本調査におけるサステナビリティ担当者とは、勤務先での役割が「サステナビリティ推進」を担当している方です。
本記事では、一般的なビジネスパーソンとサステナビリティ担当者との間での脱炭素に対する認識の違いに焦点を当て、調査結果の一部を紹介します。

サステナビリティ担当者における「脱炭素」という言葉の浸透度は9.8割

「脱炭素」という言葉の認知度はサステナ担当者において98.2%と広く浸透しており、理解度は86.5%に到達。また、年代が上がるにつれて認知度や理解度が高まる傾向が見られました。
「脱炭素」の認知について、一般は89.7%が認知していると回答。サステナ担当者の98.2%と比較すると、両者の間には8.5ポイントの差があるものの、大きな差はないことがわかりました。

「脱炭素」への理解度の差:サステナビリティ担当者は86%、一般的なビジネスパーソンは48% に

「脱炭素」を理解していると回答したサステナ担当者は86.5%、一般は48.0%でした。また、「脱炭素」に興味があると回答したサステナ担当者は70.9%、一般は23.9%という結果が得られました。
認知の段階では大きな差は見られなかったものの、理解や興味の段階に進むと、一般とサステナ担当者の間に明確な違いが現れました。
この調査結果から、サステナビリティ担当者は、脱炭素に関して認知度・理解度・興味のいずれも高い数値を示しており、一般的なビジネスパーソンと比べて認知度と理解度の差が小さいことが見受けられました。今後の脱炭素経営を進めていくためには、脱炭素に対する認知度だけでなく、一般的なビジネスパーソンの理解度や興味を高めることが必要です。気候変動の深刻さや世界的の潮流により、一般的なビジネスパーソンの認知は進んでいるものの、理解や興味を深めるためには別の施策が求められていることが明らかになりました。

脱炭素推進に向けた企業の取組みの傾向

「脱炭素に関する仕事をしている」と回答した146人(内訳:一般13人、サステナ担当者133人)の調査結果から、脱炭素推進に向けた勤務先の取組み傾向が明らかになりました。
これから検討すべきと思う「脱炭素」対策としては、「自企業が消費するエネルギーの最適化/省エネ」が最も多く、次いで「自企業の消費するエネルギーを再生可能エネルギーに切り替える」が挙げられました。このことから、企業は温室効果ガス排出量の可視化からエネルギー対策へと対応をシフトしていく可能性が考えられます。
さらに、「脱炭素アクションのロードマップ確定」も今後検討すべき対策として上位に上がったことから、現在行っている「脱炭素」の意識醸成に加えて、より具体的な方針の策定や行動が促進されることが予想されます。
Green & Circularは、脱炭素の重要性について認知拡大を進めるだけでなく、実践的な解決策を見つけるための有効な情報を発信しています。
こうした情報を発信することで、企業の皆様が自社の脱炭素に向けた取組みを考える上での枠組みを提示し、様々なプロセスで皆さまのお役に立ちたいと考えています。お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

参考

気候変動の原因 | 国連広報センター | https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/climate_change_un/climate_change_causes/
脱炭素経営とは | グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 | https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/decarbonization.html
中小規模事業者向けの脱炭素経営導入 | 環境省 |
https://www.env.go.jp/content/000114657.pdf
中小規模事業者様向けの『脱炭素経営のすゝめ』 - トピックス | 環境省 | https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/topics/20230905-topic-49.html
地球温暖化対策計画 | 環境省 | https://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html
エネルギーを巡る状況について | 資源エネルギー庁 | https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/055/055_004.pdf

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