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ダイバーシティ
方針・基本的な考え方
三井物産グループでは、多様なバックグラウンドを持つ人材がグローバルで活躍しています。
採用地や性別によらず、社員一人ひとりがお互いを認め合い、刺激を受け合いながら能力を最大限に発揮し、ビジネスに新たな価値をもたらすことを目指しています。また、あらゆる差別を禁止し、人権を尊重します。
ダイバーシティ経営の目指す姿と施策方針
目標
- 性別・国籍・年齢・障がい等を問わず多様な人材のさらなる活躍を引き出す制度・支援策の整備とともに、多様性を受け入れ、尊重するダイバーシティ&インクルージョンを実現する風土・文化の醸成に取り組みます。
具体的なアプローチ
- 多様な人材の活躍と任用に向けた人材育成(人材開発のアプローチ)
具体策: シニア活躍の推進、女性社員のキャリア支援、海外店・拠点における人材の活躍支援、障がいのある方々の活躍支援 - 多様なバックグラウンドや価値観を活かす組織風土の醸成(組織へのアプローチ)
具体策: Mitsui Engagement Surveyを通じた組織への働きかけ、D&I Weekの開催や、D&Iアンバサダーを通じた各組織での活動等 - ワークライフマネジメントを通じた成果の発揮と両立の実現
具体策: 人材マネジメント:取り組み
成果指標およびその進捗
成果指標 | 進捗 |
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2025年までに女性管理職比率10%を達成 | 女性管理職比率:単体8.5%(2023年3月時点) |
障がい者雇用率3%以上を維持 | 障がい者雇用率3.16%(2023年6月時点) |
体制・システム
ダイバーシティ経営推進体制
ステークホルダーとの協働
イニシアティブへの参画
イニシアティブへの参画を通じたダイバーシティへの取り組みを推進、拡大させています。各イニシアティブへの参画においては当社のダイバーシティに対する基本方針、取り組みと合致しているか確認の上、参画を決定しています。
日本経済団体連合会
当社は、日本経済団体連合会における、以下の委員会等に参画しています。
- 人口問題委員会:少子化対策の推進
- ダイバーシティ推進委員会:女性活躍をはじめ多様な人材が活躍する社会、ダイバーシティの更なる実現
経団連「2030年30%へのチャレンジ」
「2030年30%へのチャレンジ」は、2020年11月に経団連が公表した「新成長戦略」において掲げられている「2030年までに女性役員比率30%以上」という目標達成に向けたムーブメントの形成を目的としたものです。当社は2021年3月に賛同を表明しました。
取り組み
女性の活躍支援
多様な女性リーダーの育成

次世代の女性リーダー候補者を着実に育成し、多様な女性リーダーのモデルをつくるために、2020年3月期よりWomen Leadership Initiativeを開催し、リーダーとして求められる組織開発の考え方についての講義、リーダーとしての自己認識を促すためのアセスメントの実施やメンター制度の導入、経営幹部との対話を行っています。これまでに4回開催され、合計48名の女性社員が参加しました。さらに、2022年3月期からは経営会議メンバーがスポンサーとなり1年間かけてシニアリーダー候補の女性社員に対しキャリアに関する助言や指導を行い、ストレッチアサインメント(一段目線の高いチャレンジとなる業務機会の提供)につなげるSponsorship Programを実施しています。これらの取り組みにより女性リーダーの幅広い活躍が着実に進んでいます。
また、次世代の女性管理職につづく人材のさらなる充実を図るために、キャリア採用や新卒採用における女性総合職の採用も強化しています。
女性管理職人数・比率推移
メンター制度
多様な人材の活躍を促す取り組みの一つとして、Women Leadership Initiativeの参加者を対象に、長期的なメンター制度を導入しています。多様性を受け容れる意識が高いリーダー社員がメンターとなり、メンターとの定期的な対話を通じて、参加者が次世代リーダーとしての自己認識を形成し、新たな価値創造につなげていくことを促しています。
女性の海外転勤支援
当社社員の活躍するフィールドは世界中に広がっているため、子どもを帯同して海外に赴任する女性担当職も増えてきています。このような社員に対しては、個別に面談を実施し、海外での育児との両立に関する経験者によるアドバイスを行っています。また配偶者を帯同せずに小学生以下の子どものみを帯同して海外赴任する社員への保育園やベビーシッター費用補助等の各種支援も行う等、海外での活躍を後押しする環境を整えています。
女性社員海外駐在状況(2023年4月1日現在)
地域名 | 人数 | 都市名 |
---|---|---|
北米 | 15 | ニューヨーク、ヒューストン、シカゴ、アービング、バンクーバー、コロンビア、バークレー、ロサンゼルス |
中南米 | 18 | モンテレイ、メキシコシティ、ボゴタ、リマ、サンティアゴ、サンパウロ、リオデジャネイロ、クリチバ、ブエノスアイレス |
欧州 | 16 | ロンドン、オスロ、ダブリン、パリ、デュッセルドルフ、フリッシンゲン、ブリュッセル、ロンデルゼール、ミラノ、テルアビブ |
中東 | 6 | ドバイ |
アジア | 27 | シンガポール、ジャカルタ、バンコク、ハノイ、ニューデリー |
大洋州 | 7 | パース、メルボルン、ブリスベン |
極東 | 15 | ソウル、北京、上海、広東、台北 |
CIS | 3 | モスクワ、タシケント |
グローバル人材の活躍促進
現地採用職員の育成・登用
Change Leader Program
多様な人材をグローバルベースで発掘し、必要な変革を積極果敢に推し進める先導者へと育成するChange Leader Program(CLP)を2018年より実施しています。このプログラムは世界各地から選抜された現地採用職員が参加し、本社で経営幹部との対話や、リーダーシップや長期業態ビジョン等さまざまなテーマでの集中討議を行うほか、難易度の高い課題「ストレッチアサインメント」を各自で設定し、スポンサー本部との協議を行いながら挑戦しています。2022年11月には12名が参加し、事前のオンラインセッションと日本での対面型セッションを組み合わせて開催しました。過去4回の開催で計55名が参加し、さまざまな業務アサインメントや任用の機会につながっています。今後も、価値創造、総合力の発揮、変革に向けた現場でのコミットメントとネットワーキングの形成を図り、人材育成を後押しする取り組みを継続します。


メンター制度
多様な人材の活躍を促す取り組みの一つとして、CLP参加者を対象に、長期的なメンター制度を導入しました。米州本部を中心とする海外拠点においてもメンター制度を導入し、多様なメンターがコミュニケーションを重ねながら人材を育成する企業文化を醸成しています。
管理職登用実績
当社は、地場に精通した案件形成や事業を支える人材基盤強化を目的とし、多様な現地人材をグローバルベースで発掘し、必要な変革を推し進めるリーダー育成に取り組んでいます。
2020年4月のインド三井物産初の現地採用職員のManaging Director就任をはじめ、ラインマネージャー等重要なポジションでの任用が進んでいます。
当社では現地採用職員向けの研修や、関係会社を含めた海外拠点間の異動の提供等、多様な人材の組織力向上への寄与およびビジネス成果へつなげる取り組みを行っており、関係会社では、既に経営を担う多様な人材が配置され、連結経営の要となっています。
これらのグローバルベースでの総合的な取り組みを通して、今後も現地採用職員の育成・登用を進めていきます。
海外間異動実績
海外間転勤者数推移
各国・地域に深く根を張ったビジネスを展開するために、その国・地域を熟知した人材の登用は必須です。常に変化する経営環境に柔軟に対応しビジネス機会を逃さないためには、人材の多様化を一層推進し、採用地や国籍に関わらず世界中で活動できるよう、日本への派遣だけでなく、同一地域内の国々をはじめ、関係会社を含む海外拠点間での異動の機会も増やしています。2022年10月には、日本を含む海外異動に関する諸条件や異動までのプロセスを全世界で統一化するためのGlobal Mobility Program(海外採用職員の転勤制度)を策定し、2023年4月の転勤者から運用を開始しました。効果や成果を検証しながら、当社グループ人材のグローバル化を引き続き支援していきます。
育成・日本への派遣
日本への派遣人数推移(年度末時点の在籍者数推移)
次世代のリーダーに育成したい現地採用職員を、さまざまな形で日本に派遣しています。日本の文化、歴史等にも触れてもらいながら、日本での日本語研修および業務実習、また仕事の進め方を体験する機会を提供しています。将来のグローバル・グループ経営を担うマネジメント人材の育成目的で研修を実施し、社内外での人脈構築に加え、全世界から同様に集まってくる優秀人材から刺激を受けたり、また刺激を与えたりと、生涯にわたる関係構築も狙いの一つです。日本への派遣プログラムは2000年代初頭より実施しており、今後も継続していく方針です(LBP(Japan Language and Business Program)、BIP(Business Integration Program)、転勤者等、対象者累計:217名)。
外国籍社員への支援
当社グループは、地域に深く根を張ったビジネスを展開するために、さまざまな国や地域で、さまざまな国籍の優秀な人材を擁し、活躍を促進しています。当社ではグローバル・グループ経営を推進するため、そうした人材を転勤や研修で受け入れ、人材育成やグループ内の人的ネットワークの構築を支援しています。
シニア人材の活躍支援
当社は、幅広い社員の自律的キャリア形成をサポートしていますが、その一環としてシニア人材に関しても各種研修や個別面談を通じて、より一層の活躍を支援しています。60歳定年後に継続雇用を希望する社員に対して、最長65歳まで継続雇用する再雇用制度を設け、シニア人材が定年後も業務経験・知識・スキル等を活かして引き続き社内で活躍できる環境づくりに取り組むとともに、社員のキャリア選択に応じた社外での活躍支援も行っています。
社内外を問わないシニアの活躍支援に向けた各種取り組み
情報提供 |
50歳以上の社員が対象。相談者の質問内容に応じ、今後のキャリア形成や定年後の準備、当社諸制度(退職金・年金、退職者支援、再雇用嘱託等)、シニアの再就職マーケット調査等に関して、相談対応や情報提供を行う(年間約200回実施)。 定年7か月前の社員に対する制度と諸手続の説明会(年4回開催、年間対象者約130名)。個別希望によるフォローアップ面談も実施する。 |
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研修 |
48~52歳、54~58歳の担当職および52~56歳の業務職に対し公的制度・社内制度、価値観・強み・弱みの棚卸し等、情報提供とグループ討議により、働き方の選択肢について考えるシニア社員向け研修と、30代後半社員を対象としキャリアの棚卸を行う研修からなる(2023年3月期全16回開催、356名参加)。 |
社内での活躍支援 |
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社外での活躍支援 |
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障がいのある方の活躍支援
当社は企業の社会的責任、ならびにダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの一環として、1981年に特例子会社の先駆けとして設立した三井物産ビジネスパートナーズ株式会社と一体となり、多様な障がいのある人たちの就労の機会拡大と質的向上に努めています。
当社は20年以上にわたり法定雇用率を上回る雇用を継続しており、2023年6月現在の障がい者雇用率は3.16%となりました。なお、次回の法定雇用率の改定が予定されている2023年の当社雇用率目標値を3.0%としていましたが、2020年に3年前倒しで達成しました。
質的向上の面では、障がいの有無によって業務を限定することなく、印刷・郵便やオフィスレイアウト管理等の総務業務のほか、人事・給与厚生関連のオペレーションや出張手配等、非常に多岐にわたる業務分野でそれぞれの能力に応じて当社社員と共に同じ職場内で活躍できる場を提供しています。今後も多様な障がいを有する人たちが活躍し成長できる環境の整備と、職域の開拓・拡大に継続的に取り組んでいきます。
また当社グループ全体の取り組みとして、関係会社の障がい者雇用促進に関するセミナーと情報交換会を毎年開催しています。2023年3月期は三井物産ビジネスパートナーズ株式会社を講師に招き、41社から71名が参加しました。障がい当事者からみたインクルージョンについての講義や雇用後の定着化に向けた具体的な事例等を通して、障がいの有無に関わらず、一人ひとりの意識改革や考え方を学び、誰もが安心して生活できる社会やインクルーシブな環境づくりについての理解を深めました。
引き続きグループ全体で量・質の両側面から障がい者雇用を促進し、多様な人たちがお互いを認め合いさまざまな価値を創出できる環境づくりを通して、障がいのある人たちが社会で活躍する上での障壁を取り除く取り組みを行っていきます。
障がい者雇用率推移(各年6月1日付)
SOGIについての理解促進
当社は、性的指向・性自認(SOGI:Sexual Orientation/Gender Identity)に関わらずすべての社員が最大限に力を発揮して活躍するための取り組みを行っています。その一環としてLGBTQ*について社員一人ひとりが適切に理解することを重要と考え、社員の意識醸成と職場環境の整備に力を入れています。
*:LGBTQ:L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー、Q=クエスチョニング/クィアの略。
社員の意識醸成
役職員行動規範において、性的指向・性自認に関しても差別的言動や嫌がらせを行ってはいけないことを明確に掲げ、規範遵守を徹底しています。専門家のアドバイスを基に作成したハンドブックをイントラネットに掲載し、社員の理解促進を図るとともに、D&Iアンバサダーの活動としてLGBTQについて考えるセッションを開催し、社員の意識醸成に向けた取り組みを行っています。また、海外赴任前研修等でもLGBTQについて取り上げ、異なる価値観同士の人間が共に働く上でのお互いへの配慮について考える機会を提供しています。
社内制度の整備
同性パートナーシップ制度を2023年2月に策定し、2023年4月から導入しました。同性パートナーを配偶者に準じた取り扱いを適用することで、同性パートナーとの社宅への入居や国内転勤時の帯同等、本人の希望するキャリア選択の後押しを社内制度の面からも推進していきます。
職場環境の整備
LGBTQに関する悩みを解決し、性自認等各自のアイデンティティを大切にしながら活き活きと働ける職場環境を実現するために、LGBTQに関する相談窓口を設置しています。2020年3月期から、よりプライバシーに配慮した当事者が利用しやすい相談体制構築のために、これまでの社内相談窓口に加え、社外相談窓口も設置しています。また本店や各支社ビルでの多目的トイレの設置等、設備面の対応も実施しています。