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最終更新:2024.01.09

再エネ賦課金とは?再生可能エネルギー発電促進賦課金を徹底解説!

「再エネ賦課金」という記載を、電気料金の内訳の中に見つけたことがある人も多いでしょう。これは、2012年に制定された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」により、日本で電気を使用しているすべての世帯から、例外なく徴収されている料金です。
この記事では、この「再生可能エネルギー発電促進賦課金」について解説します。

再エネ賦課金とは?固定価格買取制度(FIT)との関係を解説

現在、日本で発電されている再生可能エネルギーによる電気は、電力会社によって一定価格で買い取られています。再生可能エネルギーの普及を目的としたこの制度は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」と呼ばれ、日本では2012年に制定されました。ドイツやスペインでは以前から実施されており、いずれの国でも再生可能エネルギーの普及を後押しする目的があります。
FITの買取対象は「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」いずれかの再生可能エネルギーを使用して発電される電力です。一般家庭に設置する太陽光発電設備でも、その世帯で消費して余った電気を売却できます。
固定価格買取制度によって電気を買い取った電力会社は、買取費用の一部分をすべての電気利用者から「賦課金」という名目で集金しています。この賦課金、ならびに集金制度そのものを「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」と呼びます。

再エネ賦課金の特徴

ここからは、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)について、もう少しくわしく解説します。

再エネ賦課金の特徴①電気使用量あたりの単価と推移

原則として、再エネ賦課金は電気を利用するすべての人から通常の電気料金に上乗せして集金されています。契約している電力会社によって支払額が変わることはありません。場所に関わらず、全国で再エネ賦課金の単価は一律です。
全国で各世帯に届けられる「電気使用量のお知らせ」といった書類には、支払う再エネ賦課金の額が記載されているはずです。
再エネ賦課金の支払額は以下の式で算出されます。
・再エネ賦課金=使用した電気の量(kWh)×単価(円/kWh)
単価は、再生可能エネルギーの導入予測から、毎年度経済産業大臣が決定します。予測と実測値の間に生じた差は、翌々年の単価で調整されます。ちなみに、2023年10月時点で、2023年5月検針分から適応されている単価は1.40円/kWhです。

以下のグラフはFIT法制定以降の単価推移です。
2022年度まで毎年度連続で上昇していましたが、2023年度では初めて減額となりました。月に300kWh使用した場合の支払額を見てみましょう。
年度 月に300kWh使用した場合の支払額
2012年度 年額792円/月額66円
2013年度 年額1,260円/月額105円
2014年度 年額2,700円/月額225円
2015年度 年額5,688円/月額474円
2016年度 年額8,100円/月額675円
2017年度 年額9,504円/月額792円
2018年度 年額10,440円/月額870円
2019年度 年額10,620円/月額885円 
2020年度 年額10,728円/月額894円 
2021年度 年額12,096円/月額1,008円 
2022年度 年額12,420円/月額1,035円 
2023年度 年額5,040円/月額420円 
このように、同じ電気使用量でも、2012年度と2022年度では一年の支払総額に10,000円以上の差が生じています。節約のために電気使用を控えている方にとっては無視できない差額かもしれません。
単価が上昇していた背景には、再生可能エネルギーに電気の買取量が増加してきたためです。FIT自体および、自然に優しい再生可能エネルギーの普及が進み、買取量が増加していると考えられます。
また、2022年度まで毎年度連続で上昇していましたが、2023年度では初めて減額となりました。減額になった理由として、化石燃料の市場価格高騰があげられます。毎年度の再エネ賦課金単価は「(買取費用等-回避可能費用等+広域的運営推進機関費用等)÷販売電力料」の計算式で算出されます。化石燃料の価格上昇により回避可能費用が増加し、結果として再エネ賦課金が減少しました。2023年度以降も化石燃料の価格高騰が続く場合、再エネ賦課金単価も減少する可能性があります。

再エネ賦課金の特徴②事業者を対象とした減免制度

再エネ賦課金の対象には、個人だけではなく事業者も含まれます。しかし、事業者が再エネ賦課金の支払いを懸念して電気使用をセーブした場合、日本産業の国際的な競争力が落ちてしまう事態が考えられます。こうした事態を防ぐため、電力多消費事業者を対象にした再エネ賦課金の減免制度が設けられています。
減免制度の対象になるのは、原単位(売上高千円当たりの電気使用量)が業界で定められた水準を超えている事業者です。製造業では業界平均で8倍以上、非製造業では業界平均の14倍以上の現単位を使用している事業者が対象です。さらに、どちらの業界でも「5.6kWh/千円」という条件を満たしていなければなりません。
減免制度の認定を希望する事業者は、所定の申請用紙のほか、事業売上高が記載された決算報告書、電気使用量を証明する書類などを提出します。窓口は、事業所が所在している場所を管轄する経済産業局です。
対象が製造業だけではなく非製造業に広げられていることから、認定事業者は多岐にわたっています。過去には冷凍冷蔵倉庫、下水道事業者、データセンターが対象となった例もあります。なお、あくまで事業者を対象とした減免制度であり、個人は対象になりません。
再エネ賦課金では、個人や一般世帯は減免制度の対象にならないため、例外なく支払う必要があります。支払金は再生エネルギー開発・普及に活用されるため、将来的には環境面のメリットとして還元されますが、少しでも電気代を安くしたいと考えている方にとっては悩みの種かもしれません。
再エネ賦課金を抑える最も確実な方法は節電です。再エネ賦課金の支払額は電気使用量に比例するため、節電すればするほど額が下がります。しかし、これまでも無駄のない電気使用を心がけていた方にとって、今以上の節電は現実的ではないでしょう。
節電以外の対処法としては、新電力に切り替えると電気代の支払い総額が下がるケースがあります。平均的な電気使用量の世帯でも、プランによっては再エネ賦課金を含めた総額を月700円前後安くすることが可能です。再エネ賦課金によって増えていた電気代が、相殺されるかもしれません。
また、自宅に太陽光発電設備を設置すれば、電力会社に売電もできます。電気を売った額で、再エネ賦課金による負担を補填できる可能性があります。

再エネ賦課金の特徴③再エネ賦課金の負担を減らすには

化石燃料への依存から脱却し、日本のエネルギー自給率を上げるためには、資金による再生可能エネルギー普及の後押しが必要です。
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの導入を促進するために活用されます。毎年度上がっている支払いの負担は問題視されていますが、将来的に再生可能エネルギーによる発電中心の時代になれば、燃料価格の変化による電気料金の急変動から解放されるかもしれません。
節電や新電力への切り替え、太陽光発電といった工夫で、再エネ賦課金と上手く付き合っていくことが求められています。

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