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社員参加による活動

社員参加プログラム

谷津田再生プロジェクト

谷津田(やつだ)とは、低い丘陵地の谷(谷津)にある田んぼのことをいいます。谷戸(やと)や谷内(やち)などともいい、関東や東北地方によく見られる日本の里山の原風景のひとつです。しかし、狭い谷に作った田んぼのため形が一定でないことから、機械化が難しく、高齢化による農業の担い手不足や、宅地化などの影響を受けて、なくなりつつあります。谷津田は人口の水辺であり、周辺の森林も含めてたくさんの動植物を育み、豊かな生物多様性を創りだすことから、その環境を守っていくことが望まれています。

三井物産では、この基金の助成先で霞ヶ浦流域での自然再生活動を進めるNPO法人アサザ基金と協働し、茨城県牛久市の荒廃した谷津田を無農薬による米作りなどを通じて再生するプロジェクトを行っています。本プロジェクトではグループ企業を含めた役職員や家族の参加を募り、田植えから草取り、稲刈りを行い、収穫した米を使った日本酒の仕込みまで、年5回にわたって現地で作業を行います。本プロジェクトは2007年の開始以来、延べ3,500名を超える当社グループ役職員やその家族が参加しています。米作りとともに、現地の生物調査やホタルの鑑賞会なども行い、谷津田の生態系がよみがえりつつあることを実感できるプログラムとなっています。

また、このたび、長年にわたる里山*1の再生と生物多様性の保全活動が認められ、2024年度前期の環境省「自然共生サイト」に認定されました。


アサザ基金 X 三井物産 牛久の水源地の里山

「自然共生サイト」とは、国立公園などの保護区域を除いた、民間の取組などによって生物多様性の保全が図られている区域を、国が認定するものです。認定区域は、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録され、30by30目標*2の達成に貢献します。
2025年からは、「自然共生サイト」の活動の一環として、生物モニタリング体験をプログラムに組み入れ、生物多様性の変化や自然環境の回復状況を参加者自身が観察することで、自然再生活動の進捗を可視化していく予定です。これらの活動をとおして、社員の環境課題への理解を深め、持続可能な地域づくりへの貢献を進めてまいります。

*1 里山(さとやま)とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、人間の働きかけを通じて特有の自然環境が形成されてきた地域で、集落を取り巻く二次林人工林、農地、ため池、草原などで構成されるエリアのこと
*2 2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効率的に保全しようとする世界目標のこと

<田植え>コシヒカリと酒米(日本酒)の苗を手で植えていきます。 <田植え>コシヒカリと酒米(日本酒)の苗を手で植えていきます。
<草取り>無農薬栽培のため、田んぼに生えてくる雑草の草取りをして、稲の生育を助けます。 <草取り>無農薬栽培のため、田んぼに生えてくる雑草の草取りをして、稲の生育を助けます。
<ホタル観察>皆でキャンプファイヤーを囲みながら、ホタルが現れるのを待ちます。 <ホタル観察>皆でキャンプファイヤーを囲みながら、ホタルが現れるのを待ちます。
<稲刈り>成長した稲を刈り取りし、干し場に掛けて乾燥させます。 <稲刈り>成長した稲を刈り取りし、干し場に掛けて乾燥させます。
<仕込み>秋に収穫した酒米を使い、茨城県取手市の造り酒屋(田中酒造店)でお酒を仕込みます。 <仕込み>秋に収穫した酒米を使い、茨城県取手市の造り酒屋(田中酒造店)でお酒を仕込みます。
<里山自然体験>田植えから仕込みまでの一連のプログラムの他に、里山環境の再生をすすめるための自然学習プログラムを実施しています。 <里山自然体験>田植えから仕込みまでの一連のプログラムの他に、里山環境の再生をすすめるための自然学習プログラムを実施しています。