三井物産株式会社

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社会的インパクト評価と進捗報告

ごみの自然界流出問題解決案件【最終活動報告】

2026年6月23日 現在

助成金額

98,068,000円

助成先

株式会社ピリカ(東京都渋谷区、以下「ピリカ」)

イシューファインダー

小嶌 不二夫 代表取締役社長

解決を目指す社会課題

国内外におけるごみの自然界への流出

トピックスリリース

https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2024/1249278_14382.html

社会課題「ごみの自然界への流出が無視できない規模に!!」

近年、ごみ(特にプラスチック)の自然界への流出が増加しています。ごみの流出による悪影響は、生態系・産業など広範囲にわたり、気候変動と同様に、あらゆる国家・企業が無視できない問題になろうとしています。しかしながら気候変動問題との大きな相違点として、ごみの自然界流出問題においては明確な計測手法が確立されていません。

ピリカは、ごみの回収・調査に関するさまざまなサービスを開発するスタートアップで、車両に搭載したスマートフォンのカメラで路上のごみ画像を撮影し、AIを活用してごみ分布(場所・種類など)を調査するサービス「タカノメ」により、国内外の路上ごみの定量把握を行います。また、世界最大級の参加者数を誇り、ごみ拾い活動の輪を広げるごみ拾いSNS「ピリカ」では、同SNSを通じて市民が自発的にごみ拾いをした活動の様子や成果を1つのWEBページに集約・発信できる仕組みになっており、ごみ拾いの実施状況を効率よく定量的に把握できます。これらのサービスを通じ、清掃団体やNPO、行政、自治体などへ路上ごみ調査結果の報告や削減提言を行い、データを活用した清掃活動等の対策を推進しています。

三井物産は本基金を通じ、国内外の路上配送流通事業で有するアセットやネットワークを活用し、ピリカによる国内や北米・欧州・東南アジアにおけるごみ調査・対策網構築を支援し、国内外におけるごみの自然界流出問題解決に向けたサイクルを地球規模で加速させることに貢献します。

社会的インパクト評価(ロジックモデルとKPI)

イシューファインダー&共創者対談

聞き手: 石田(三井物産、右) 答え手: 小嶌(ピリカ、左)

石田: 小嶌さん、まずはピリカを立ち上げたきっかけを教えていただけますか?

小嶌: 大学院を半年で休学して世界を旅していた際、訪れた全ての国で「ごみの自然界流出問題」が深刻な規模で広がっていることに衝撃を受けました。日本では見過ごされがちな課題でしたが、環境インフラが脆弱な地域では人々の生活にも直結する深刻な問題です。そうした背景から2011年にピリカを創業し、テクノロジーの力でごみ問題に取り組む道を選びました。

石田: 現場のリアリティから起業へとつながったのですね。その熱意が伝わってきます。

石田: 三井物産共創基金のことは、どのようにして知ったのでしょうか?

小嶌: 三井物産の方と以前から接点があり、三井物産共創基金について耳にしたことはありましたが、最初は「株式会社は対象外だろう」と思っていました。ですが、あるとき三井物産共創基金の担当の方から「ソーシャルスタートアップも対象ですよ」と教えていただき、これは挑戦すべきだと動き始めました。

石田: 実際に三井物産共創基金を活用してみて、どんな印象を持たれましたか?

小嶌: 最初は資金面での支援を得られるだけでありがたいという期待感でしたが、実際には事業の加速に直結する多くのサポートもいただき、大変心強いです。特に、共創者である石田さんをはじめとする三井物産の皆さんの現場目線でのアドバイスや、グローバルなネットワークの提供など、資金以上の価値を強く感じています。

石田: 国内外の流通に関するアセットやネットワークを有する当社と共創することによって、今までとは違う支援を受けられるのは大変心強いですね。

石田: 共創者に期待することや、連携で生み出されている価値について教えていただけますか?

小嶌: テクノロジーや流通インフラの知見を持つ方々と連携することで、私たち単体では難しかった課題解決が可能になっています。たとえば、AI搭載のアプリ「タカノメ」を使ったごみの可視化を小売業や飲食業の配送車両に実装できたのは、まさに三井物産のネットワークと知見のおかげです。

石田: 三井物産グループの車両で調査を開始したことにより、調査エリアの範囲を拡大できたことは大きな成果になったのではないかと思います。

石田: この社会課題を解決するために、三井物産共創基金以上に必要なものは何だと思われますか?

小嶌: この問題について、より多くの方に興味関心を持っていただき、それぞれの立場から課題解決に向けた取り組みに参画いただくことが不可欠だと考えています。特定の業種や組織だけで完結できる問題ではないからこそ、セクター横断的な協働を加速させていきたいです。

石田: ごみ問題解決に向けた土壌づくりをすることが重要であり、関係者を増やしていきながら、それぞれの立場で課題解決することが大切であると共感します。

石田: 今後、三井物産共創基金やそのエコシステムにどのようなことを期待されていますか

小嶌: 共創による協業や学びが連鎖的に生まれることで、社会課題に取り組む動きが加速していくことを願っています。今回、私たちが進めているごみ可視化の事業も、一つの成功事例として他の挑戦を後押しする存在になれれば嬉しいです。

石田: おっしゃる通りですね。私自身も小嶌様と共創することにより沢山の学びをさせていただいており、本基金を通じてイシューファインダーと共創者の挑戦の場となること、更には次世代への後押しとなれればと期待しています。

石田: 最後に、助成期間中及びその後も達成したい目標を教えていただけますか?

小嶌: 国内では小売業や飲食業との連携をさらに拡大し、効率的な調査体制を構築したいです。海外では、アメリカをはじめとする国々での事例を積み重ね、政府・NPOと連携して「ごみの可視化」が政策に取り入れられるような状況を目指しています。また、助成期間終了後も自立して事業を継続できるよう、ビジネスモデルの確立にも取り組んでいきます。

石田: 私たちもその実現に向けて、引き続き伴走させていただきます。本日はありがとうございました。

最終活動結果(共創期間2024年5月~2026年4月、2年間)

1.三井物産グループの車両を活用した調査体制を拡大・継続

三井物産グループの車両を活用した関東エリア、関西エリア、九州エリアでの調査範囲が拡大。タカノメのサービス導入実績の中で、最大規模の調査体制を構築。累計調査距離は17.4万km、地球4周分以上となった(2026年4月時点)。

2.国内の行政・自治体との連携:10件の目標に対し10件で達成

三重県、滋賀県、網走市等との連携に加え、新たに東京都、大阪市などでの導入・予算化が進展。目標であった10自治体との連携を達成した(2026年4月時点)。

3.海外調査国数:5カ国の目標に対し8カ国で実施

海外8カ国15都市における調査の累計走行距離は約7,174km。ペルー リマ市 La Victoria区とタカノメ自動車版の有償導入契約に合意し、海外初の自治体予算による導入を実現した(2026年4月時点)。

4.リリース発信:6件の目標に対し5件

当初目標6件に対し、5件のリリースを発信した(2026年4月時点)。残念ながら目標に届かなかったが、ペルー リマ市 La Victoria区における導入成果の報告リリースを2026年8月頃に予定しており、遅れて達成を見込む。

5.国際機関との連携:2件の目標に対し4件で超過達成

JICAとの連携でペルー リマ市 La Victoria区へのタカノメ導入を実現したほか、国連環境計画をはじめとする国際機関との連携が進み、目標を超過達成した(2026年4月時点)。今後も途上国における廃棄物対策分野で連携を見込む。

社会的インパクト評価総括

ロジックモデルで設定したKPIに対し、国際機関との連携(目標2件/実績4件)、海外調査国数(目標5カ国/実績8カ国)、国内行政・自治体の書類受理、改善事例件数(目標10件/実績10件)、NPO等の清掃活動でのデータ活用事例数(目標10件/実績10件)は達成となりました。一方、リリース本数(目標6件/実績5件)、メディア露出数(目標10件/実績3件)、本基金活用車両でのタカノメ調査距離(目標100万km/実績17.4万km)は目標未達となりました。

これらのKPI進捗・達成は、当社が目指す社会課題「国内外におけるごみの自然界への流出」の解決に対し、次のように寄与しました。三井物産グループの車両を活用した国内最大規模の調査体制と、行政・自治体・NPO等との連携(書類受理・改善事例で目標達成)によって、自然界に流出するごみの実態を可視化し、道路清掃の見直しや不法投棄パトロールの代替など、現場の対策に直結する施策へ結びつけることができました。海外8カ国(オープンデータを含めれば100カ国以上)への調査拡大と、国際機関4件(目標2件)との連携は、本問題が国境を越えて広がるグローバル課題である以上、単体企業の取り組みでは到達できない領域への基盤を築くものと位置付けています。2年間という限定的な期間ながら「調査→施策→国際展開」という循環の基盤を構築できたことが、本基金を通じた当社事業の重要な成果と考えています。

また、本基金を通じて最大のインパクトは、海外初の自治体予算によるタカノメの導入(ペルー リマ市 La Victoria区)の実現です。市中に大規模な不法投棄ごみが散乱し、大きな課題となっていたペルーでの導入実績ができたことで、中南米はもちろん、世界中のごみ問題が深刻な地域でも自分たちの技術が通用するという自信を得ることができました。また、当初の期待を上回る成果として、本事業期間中に海岸漂着ごみ回収ロボットの開発に着手することができました。本基金を研究開発費に集中的に投じたことで、ごみ認識AIの性能が飛躍的に高まったこと、本事業の実績などが評価され東京都からロボット開発のための補助金(約2.4億円)を獲得できたことなどがロボット開発の開始に大きく寄与しました。

本基金による支援を経たタカノメ事業が大きく業績を牽引したことで、総調査距離、発見ごみ数、ピリカ全体の売上などの重要指標は軒並み過去最高の結果となり、私たちが世界規模のごみ問題に取り組んでいくための基盤を作ることができました。本基金での共創期間は終了となりますが、今後も三井物産の皆様から得たご縁や学びを活かし、社会的インパクトを飛躍的に拡大させてまいります。

共創者総括コメント

本取組は、「ごみの自然界流出」という従来見えにくかった社会課題を、ピリカ社の可視化技術と当社の事業ネットワークを掛け合わせることで定量的に捉え直し、効率的な課題解決に資するものです。当社では包装資材を含む多様な原材料・商品を取扱う一方、消費後は廃棄物となる為、その回収・再利用、自然界への流出抑制は継続的に向き合うべき重要課題と捉えています。

今回、同社の技術と当社の流通ネットワークを掛け合わせることで「ごみが、どこで、何が、どの程度流出しているか」を定量的に捉えることが共創期間を経て可能となりました。重点対策エリア設定や清掃効率化、効果検証等への活用が期待され、これは自然界流出問題を「感覚的課題」から「測定・改善可能な課題」へ転換する基盤となり得ます。

共創期間終了後も同社との協業の在り方を検討していき、「可視化」を自治体・企業・生活者の行動変容へ接続し、資源循環モデルの実装を通じて、社会課題の解決と事業成長の両立を目指して参ります。


三井物産のマテリアリティ(重要課題)

三井物産は、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現すべく、サステナビリティ経営の重要課題としてマテリアリティを特定しています。本件は、6つのマテリアリティの中でも、特に「持続可能な安定供給の基盤をつくる」、「健康で豊かな暮らしをつくる」の実現に資する取り組みです。

  • 持続可能な安定供給の基盤をつくる

    持続可能な安定供給の基盤をつくる

  • 環境と共生する世界をつくる

    環境と共生する世界をつくる

  • 健康で豊かな暮らしをつくる

    健康で豊かな暮らしをつくる

  • 人権を尊重する社会をつくる

    人権を尊重する社会をつくる

  • 「未来をつくる」人をつくる

    「未来をつくる」人をつくる

  • インテグリティのある組織をつくる

    インテグリティのある組織をつくる