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最終更新:2024.01.09

再生可能エネルギーとは?その導入状況やメリット・デメリットを解説!

カーボンニュートラルの実現に向けて、国内外で積極的な導入が進められる再生可能エネルギー。
この記事では、自然エネルギーやクリーンエネルギーとの違いも踏まえて再生可能エネルギーとは何かを整理し、
再生可能エネルギーの導入状況と普及に向けた課題について解説します。

再生可能エネルギーとは何か?

再生可能エネルギーとは、枯渇することなく永続的に利用できるエネルギーのことで、同時に温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーとして注目されており、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱、その他の自然界に存在する熱」「バイオマス」の7種が再生可能エネルギーとして定義されています。現在利用されているエネルギー資源は、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が中心ですが、これらは枯渇性資源とも呼ばれ、将来資源として利用できなくなる可能性と同時に、温室効果ガスを排出するなど、その環境負荷が懸念されています。
再生可能エネルギーは、化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして注目され、導入が進められています。

自然エネルギー、新エネルギー、クリーンエネルギーとの違い

化石燃料に代わるエネルギーとして「再生可能エネルギー」「自然エネルギー」「新エネルギー」「クリーンエネルギー」といった言葉を耳にすることがあります。実務的には再生可能エネルギーと同義と捉えても問題ありませんが、それぞれの定義を以下に紹介します。
自然エネルギー
自然現象から得られるエネルギーのことで、再生可能エネルギーのうちバイオマスを除く
「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」などが該当します。
新エネルギー
「非化石エネルギーのうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、その促進を図ることが非化石エネルギーの導入を図るため特に必要なもの」と定義されています。2000年前後にエネルギー政策として注目された言葉であり、当時の技術水準において、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」「太陽熱」などが該当します。
クリーンエネルギー
環境負荷の少ないエネルギーの呼称であり、再生可能エネルギーはクリーンエネルギーにも該当します。
原子力は温室効果ガスを排出しませんが、放射性物質を発生させることから、また大規模水力発電はダム建設時に環境破壊がされる場合があることから、クリーンエネルギーに分類するかは意見が分かれるところです。

日本と世界における再生可能エネルギー導入状況

環境意識の高まりから、脱化石燃料として各国で再生可能エネルギーの利用が促進されています。
日本でも、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの普及促進が図られています。

日本のエネルギー自給率

エネルギー資源に乏しい日本では、そのほとんどを海外からの輸入に依存しています。
日本のエネルギー自給率は2020年で11.3%、経済協力開発機構(OECD)加盟国38ヵ国中37位となっています。
主要国の一次エネルギー自給率比較(2020年)
我が国のエネルギー自給率

日本の再生可能エネルギーの導入状況

日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、2020年で19.8%を占めています。
依然としてその80%近くを石炭や天然ガスなどの化石燃料に依存していますが、エネルギー自給率の向上や環境問題への対応から、再生可能エネルギーの導入が急がれています。
主要国の発電電力量に占める再エネ比率の比較
主要国の発電電力量に占める再エネ比率の比較

日本の再生可能エネルギーは、太陽光発電が中心

日本では、再生可能エネルギーの中では太陽光発電の導入が進んでいます。
再生可能エネルギーを固定価格で買い取る「FIT制度」が開始した2012年以降、導入件数が大きく増加し、
5年間で当初の7倍に到達しました。
日本は今後も、太陽光発電と水力発電を中心に再生可能エネルギーの導入を進めていく意向です。
自然エネルギーによる年間発電電力量の割合

再生可能エネルギー導入のメリット・デメリットとは?

環境問題に対処するため、脱化石燃料として導入が進む再生可能エネルギー。
以下では、再生可能エネルギー導入のメリット・デメリットをご紹介します。

再生可能エネルギー導入のメリット

再生可能エネルギーのメリットは、
主に「エネルギーの安定供給」「地球温暖化対策」「エネルギー自給率の向上」の3つがあります。
・資源が枯渇する心配がなく、エネルギーの安定供給に寄与
石油や石炭などの化石燃料は枯渇性資源とも呼ばれ、資源が有限であることからいずれ枯渇する資源です。対して再生可能エネルギーは、太陽光や風力をエネルギー源としますので、永続的に利用することが可能です。したがって、資源の状況に左右されずにエネルギーの安定供給に寄与します。
・温室効果ガスを排出せず、地球温暖化対策として有益
化石燃料は、燃焼するとCO2が発生します。これに対し、再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しないエネルギーであり、近年の地球温暖化対策として最も基本的で重要な施策として、その導入が進められています。
・資源を輸入する必要がなく、エネルギー自給率の向上に寄与
再生可能エネルギーは、太陽光や風力といった自然エネルギーを利用しますので、化石燃料のように産油国から資源を輸入する必要がなく、自国でエネルギーを調達することが可能です。したがって、再生可能エネルギーの導入が進めば、エネルギー資源の輸入依存を脱却し、日本のエネルギー自給率を高めることが可能です。

再生可能エネルギー導入のデメリット

再生可能エネルギーのデメリットには、
「電力の安定供給に課題」「限定された設置場所」「割高な発電コスト」の3つがあります。
・発電量が安定せず、電力の安定供給に課題
再生可能エネルギーの多くは自然現象の影響を受け、太陽光発電であれば天候や日照時間、風力発電であれば風力や風向きの影響により、発電量が変動します。そのため、電力需要に応じて発電量を調整することや、余剰に発電された電力を蓄電池に蓄えるなど、電力の需給調整機能が必要となります。
・大規模設備が必要で設置場所が限られる
日本の電力需要を賄うだけの発電設備を備えようとすれば、また、発電効率の面からも、大規模な再生可能エネルギー発電設備を備えることが望まれます。国土の狭い日本では、新たな発電設備を設置するためスペースは限定的であり、これが日本で再生可能エネルギーが普及しない要因の一つと考えられています。
・発電コストが割高
資源エネルギー庁によると、事業用太陽光発電の発電コストは、2020年で12.9円/kWh、2030年には8.2~11.8円/kWh程度まで下がると試算され、また現在のFIT(固定価格買取)制度での再エネ電力の買取価格は21円/kWhとなっています。一方で、アラブ首長国連邦(UAE)の「スワイハン太陽光発電事業」では、2.42セント/kWh(3円/kWh程度)での長期売電契約が締結されており、日本の1/7程度の売電価格となっています。
これだけの低価格が実現できた要因は、大規模な発電プラントによるスケールメリット、日照時間の長さによる高設備稼働率、主要部品の調達価格などとされており、
これらが日本で再生可能エネルギーを普及させるための課題とも言えます。

太陽光、風力、その他再エネ発電の種類別の特徴

それぞれの再生可能エネルギーには特徴があり、事業や自社の置かれた状況に応じて適切なエネルギーを選ぶのがポイントです。以下に、各再生可能エネルギーの特徴を整理します。

太陽光発電

日本で導入される再生可能エネルギーの中心で、事業用の大規模太陽光(メガソーラー)から、工場や家庭に設置される屋根置き型の太陽光発電まで多岐にわたります。太陽光発電のメリットは、小規模から大規模まで太陽光が届く場所であれば、どこでも設置が可能であることであり、一方で日照時間等により発電量が安定しないことがデメリットとなります。
三井物産が国内外で取り組む大規模な太陽光発電事業を中心とした再生可能エネルギーに関する事業については、以下をご覧ください。

風力発電

風力発電は、海に囲まれた日本において、その電力需要すべてを賄うだけの洋上風力発電のポテンシャルがあると期待される発電方式です。洋上風力発電は欧州が先行していますが、日本は先行する欧州のプロジェクトに参画することで、洋上風力発電の知見獲得を目指している段階です。
陸地や沿岸に設置される陸上風力発電は、風車による騒音や、風力発電システムから発せられる低周波によって健康を害する懸念が示されており、設置には慎重な検討・調整が必要となる場合があります。
三井物産が取り組む洋上風力発電に関する事業については、以下をご覧ください。

その他再生可能エネルギー

地熱発電
地熱発電は、火山活動などに由来する地熱による発電を行う方式です。火山や地熱地域の分布上、地熱発電施設は東北と九州に集中しており、国内最大の発電所は大分県の八丁原発電所で11万kWの発電施設となっています。地中を掘削する必要性などから、他の再生可能エネルギー発電と比べると初期コストが高額で、多くが電力会社などにより建設、運用されています。
水力発電
太陽光発電と並び、日本の再エネ発電の中心となっている方式です。大規模な水力発電にはダムが利用され、新規のダム建設には多くのハードルがあることから、新たに建設される水力発電は、小規模なものが多くなっています。
水力発電について、詳しくは以下をご覧ください。
バイオマス発電
バイオマス発電は生物由来の資源を利用して発電を行います。家畜排泄物、生ごみ、木質残渣など、通常であれば廃棄されるものを燃料として再利用する点で、食品会社などが採用しやすい再エネ発電方式です。また、非食用穀物を燃料として利用することもあり、欧米では燃料用のサトウキビやトウモロコシが大規模に生産されています。
三井物産が取り組むバイオマス関連事業については、以下をご覧ください。
その他
上記以外には、太陽熱発電、雪氷熱利用、空気熱、波力、潮力、塩分濃度差など、さまざまなエネルギーを取り出す方法が考えられ、実用化に向けて研究されています。

再生可能エネルギーの今後:最大限の再エネ導入を

温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの導入は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて必要不可欠な施策となっています。また、エネルギー資源の多くを輸入に依存する日本では、再生可能エネルギーを導入することでエネルギー自給率が改善することが期待されます。再生可能エネルギーの普及拡大は、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立可能なものとして、普及拡大が望まれています。

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