各国でいよいよ本格的に進み始めているEVシフトですが、そこには課題もあります。まず、EVは電気を動力源にしています。電気モーターを使用している自動車からは、走行中に二酸化炭素は排出されませんが、そもそも発電時の二酸化炭素排出量を減らさなければ、EVシフトによる脱炭素化に充分な効果を得ることはできません。
つまり、EVシフトは、発電における再生可能エネルギーの導入促進など、発電所における脱炭素化とあわせて考える必要があります。
また、
いまだEVの車種が少ないため、消費者の選択肢が限られてしまっていることも課題です。EVの選択肢がほとんどないために、これまで通りガソリン車やディーゼル車が購入されてしまう状況にあり、自動車メーカーにはEVの選択肢を増やすことが求められています。そして、販売価格がガソリン車より高いことも、EVの普及が進まない一因となっています。
さらに、
EVの急速充電設備が不足していることも大きな問題です。EVの急速充電設備は、ガソリン車やディーゼル車におけるガソリンスタンドに相当します。日本では現在急速充電設備が8,000基ほどありますが、全国にガソリンスタンドがおよそ3万か所あることを考えれば、まだまだその数は十分であるとはいえません。こういった状況を踏まえ、
政府は急速充電設備を2030年までに全国3万基に拡大する目標を掲げており、充電インフラを整えEVシフトを後押ししたい考えです。
EVシフトが、日本国内の産業や経済に与える影響も無視することはできません。
自動車産業は日本の主要産業の1つです。EVシフトによって自動車の部品点数が減少すれば、これまで自動車部品生産を行っていた国内中小企業への影響も大きく、これによる日本経済へのダメージは避けられません。EVシフトは経済的ダメージとバランスを取りつつ進めていく必要があります。
日本の国内自動車業界とは反対に、ドイツを除くヨーロッパや中国においてEVシフトは経済の追い風となります。そのためEVシフトに関連した事業では、政治による強力な支援を受けることが可能です。
こういった動きに合わせて、日本の企業も海外でのEV関連事業を進めており、三井物産のEV/電池システム関連技術は、ポルトガルやフランスのEVシフトに貢献しています。
詳しくは「
次世代電池」「
水素」をご確認ください。