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最終更新:2023.03.10

自家風力発電とは?仕組みや発電効率、メリットや導入事例まで詳しく解説!

中小企業や一般家庭でも自家発電を導入するケースが増えてきています。

この記事では自家風力発電について、風力発電の基本的な仕組みから自家風力発電のメリット・デメリットまで導入事例とあわせて解説します。

自家風力発電とは?家庭用の風力発電で発電できる?

そもそも風力発電は、どのような仕組みで電力を生み出しているのでしょうか。

風力発電は、風の運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、回転エネルギーを発電機で電気エネルギーに変換しています。
簡単に説明すると、風の力でプロペラを回し、プロペラが回転するエネルギーで発電機を回して電力(電気エネルギー)を生み出すのが風力発電の発電方法です。

水力発電が水の力で発電機を回し、火力発電が蒸気の力で発電機を回すのと同じように、風力発電では風の力を利用して発電機を回して発電しています。
風力発電のくわしい仕組みやメリット・デメリットについては「風力発電の仕組みをメリット・デメリットと合わせてわかりやすく解説」をご覧ください。
中~大規模の風力発電は、平均で風速5m/s~6m/s(メートル毎秒)の風が吹く環境で発電施設の建設をする必要があり、どこにでも設置できるというわけではありません。また、プロペラが風を切るため振動や騒音の問題もあります。
しかし近年、2 m/s~3m/s程度の弱い風でも発電でき、中~大規模の風力発電に比べて振動や騒音が小さい小型風力発電機も開発されています。

小型風力発電機は、発電出力では中~大規模な風力発電機に劣るものの、コンパクトで場所を取らず、小規模な運用に適しています。
また、地上15m以下、20kW以下の風力発電装置は、電力会社への届け出の必要もなく、家庭用として自宅の敷地に設置することも可能です。最近では、公園や商業施設などで小型の風力発電装置を目にする機会も増えてきました。

このように、自ら風力発電機を設置し、その風力発電によって電力を生み出した電力を消費するのが「自家風力発電」です。

自家風力発電の発電効率は良い?悪い?

今までは風力発電の発電効率は、大型のものの方が良いといわれてきました。

風力(風の運動エネルギー)の何%を電気エネルギーに変換できるかを示した数値が風力発電の「発電効率」です。
大型の風力発電の場合、発電効率は平均40%といわれています。

自家風力発電で用いられる小型風力発電機はさまざまなタイプのものが開発されており、一概にはいえませんが、高性能のものでは発電効率40%を上回るものも登場してきました。

もちろん、小型のため発電出力は小さいですが、自家風力発電だからといって、発電効率が悪い、というわけではありません。

自家風力発電は何がいいの?メリット・デメリットを解説

自家風力発電にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。自家風力発電のメリット・デメリットを紹介します。

自家風力発電のメリット

まず、自家風力発電のメリットについてです。

自家風力発電のメリットとしては、
・枯渇しないエネルギー源
・CO2を排出しない
・24時間発電できる
・発電効率が良い
・電気代を節約できる
・災害などの停電時の電源として使える
・離島など電気を通すのが困難な場所でも発電できる
などがあげられます。
風力は枯渇する心配がないエネルギー源で、CO2に代表される温室効果ガスも排出しません。この点は太陽光発電など他の自然エネルギーと共通ですが、風力発電の場合は一定の風速以上の風が吹いていれば24時間発電できることも大きなメリットです。

さらに、他の自然エネルギーと比較すると発電効率が良いのも魅力的です。
例えば、太陽光発電の場合、発電効率は最大で20%ほどですが、風力発電の発電効率は40%ほどであり、発電効率はかなり高いことがわかります。
また、自家発電用として設置すれば電気代の節約もできます。
そして、災害などで電力会社からの電力の供給が止まったとしても、自家発電であれば発電が可能で、停電時の電源として使用できることも見逃せないメリットです。

さらに、自家風力発電は他の発電方法に比べて大規模な発電設備を必要としないので、離島など電気を通すのが困難な場所でも設置・発電することができます。

自家風力発電のデメリット

一方、自家風力発電のデメリットとしては
・設置場所が限られる
・安定した発電が難しい
・導入費用が高い
・天候(強風や落雷)による設備の損壊
・メンテナンスが必要
・振動が近隣に伝わる事もある
などがあげられます。
小型の風力発電機では、弱い風でも発電が可能ですが、それでも発電には一定以上の風力が必要となるため、どこにでも設置できるというわけではありません。

また、他の自然エネルギーと共通する部分ですが、風は常に同じ風力で吹いていないため、安定した発電が難しいことなど、風力発電も自然環境に依存しているデメリットがあります。
次に、導入費用の高さや自然災害などによる設備の損壊の可能性、定期的なメンテナンスが欠かせないという事も注意が必要です。

特に風力発電の場合は風を受けて回転する機構をもっており、太陽光発電などに比べると部品が多く、可動するため部品の摩耗や破損の可能性も高まります。
そのため、より細やかなメンテナンスが必要不可欠です。

他にも、振動や騒音は風力発電に特有の問題でもあります。

振動や騒音を可能な限り小さくすることはできても完全に取り除くことはできないため、地域住民とのトラブルなどの可能性も考えられます。

自家風力発電の導入事例とは?

自家風力発電はどのような場所に設置されているのか、施設などの自家風力発電の導入事例を紹介します。

箱根ロープウェイ大涌谷新駅舎

神奈川県箱根町にある箱根ロープウェイ大涌谷駅舎では、小型風力発電機2基が運用中です。

発電出力1.1kWの小型風力発電機と0.16kWの太陽光パネルを組み合わせハイブリッドタイプで、合計6.65kWの発電出力があります。発電された電力は、主にインフォメーションカウンターの照明に使用されています。

千葉工業大学津田沼校舎6号館

千葉工業大学津田沼校舎6号館の屋上には、6基の小型風力発電機が設置されています。

それぞれ1.1kW、合計6.6kWの発電出力をもち、発電した電力は電力会社からの電力と接続され、館内で利用されています。

宮城県東松島市の指定避難所8か所

宮城県東松島市の指定避難所8か所には、計40台の小型風力発電機が導入されています。

各所に発電量1kWの小型風力発電機が5基設置され、0.165kWの太陽光パネル10枚と組み合わせて運用されています。
発電された電気は、LED街灯に供給されていますが、災害発生時などには、非常用の電源システムとして照明、通信、冷暖房設備等への利用が想定されています。

他にも、自家風力発電装置はコンパクトに設置できるため、戸建ての住宅や学校、公園などにも普及が進んでいます。

自家風力発電の今後は?

買取価格が低くなったことや、FITの見直しで小型風力発電の区分がなくなったことなどの影響により、風力発電の設置数は減少しています。

しかしその一方で、災害時の停電対策など、見直されている面があることも事実です。
自家風力発電に使用される小型の風力発電装置は、大型のものより発電効率が低いといわれてきました。しかし一方で、メーカーからはさまざまな商品が開発され、高性能な小型風力発電機も登場しています。
中には、太陽光発電と風力発電が一緒になったハイブリッドタイプもあり、長所をうまく組み合わせ、設置効率を向上させるかたちでの運用も広がっています。

自家風力発電は、これからまだまだ可能性の広がる分野であるといえるでしょう。
小型の風力発電装置は自宅などにも設置することができ、家庭や施設の自家風力発電が可能です。

小型風力発電機は大型のものより発電効率は低いといわれてきましたが、開発が進み、高性能の小型風力発電機が登場しています。

また、自家風力発電と太陽光発電を合わるなど、お互いの長所をうまく組み合わせた運用も進んでいます。

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