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ソリューション再エネ

最終更新:2024.01.18

太陽光発電の現在地と課題ー期待されるペロブスカイト太陽電池

「固定価格買取制度(FIT)」がスタートした2009年や、東日本大震災などで注目を集めた「太陽光発電」に再びスポットライトが当たっています。ペロブスカイト太陽電池など新技術も生まれる中、2050年カーボンニュートラルに向けて最もスピーディに拡大可能な太陽光発電。そのメリット・デメリット、現在の状況を解説します。

再生可能エネルギー、日本の課題

2050年カーボンニュートラルに向けて、国は再生可能エネルギーの主力電源化を進めています。政令で定義されている再生可能エネルギーは、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱その他の自然界に存する熱」「バイオマス」の7つ。なお、2021年度の電源構成(発電量)において再生可能エネルギーの割合は20.2%となっています。
「エネルギー白書2023」では、それを2030年までに36~38%まで高めることを目指すとしています。そのためには、すべての再生可能エネルギーをフル活用していかなくてはいけません。
資源エネルギー庁「総合エネルギー統計 2021年度」より作成
現在、相対的にコストが低いと言われている「風力発電」ですが、陸上風力は適地が少なく、洋上風力は基礎工事・電力ケーブルの敷設・維持管理費に大きなコストがかかり、着工から稼働までの時間もかかります。また、「水力発電」や「地熱発電」は大規模な設備となると適地が少なく、建設コストも大きくなってしまいます。「バイオマス発電」に関しては、間伐材や生ゴミ、食品加工残渣など原料の安定調達が難しい側面があります。
そこで改めて注目されているのが「太陽光発電」です。再生可能エネルギーの中では、電源構成比が8.3%と最も高く、累計導入量も世界3位とすでに広く普及しています。そのため設備コストも低下しており、スピーディに普及できる可能性を秘めています。その理由を解説していきます。
※再生可能エネルギー(自然エネルギー)についてさらに詳しく知りたい方は「自然エネルギーとは?種類やそれぞれの問題点を解説!」をご覧ください。

太陽光発電とは?

「太陽光発電」とは、シリコン半導体などに光が当たると内部の電子が動き出す(電気が発生する)現象を利用しています。タービンのような機械を使わず、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する装置(太陽電池)を用いて、電気を作る仕組みです。
日本では、出力10kW未満のものを「住宅用太陽光発電」、出力10kW以上のものを「事業用太陽光発電」と分けています。さらに、広大な土地を必要とする1メガワット(1,000kW)以上の事業用発電設備を「メガソーラー」と呼びます。

太陽光発電のメリット

住宅用からメガソーラーまで幅広く導入できる

太陽光発電は、規模の大小に関わらず発電効率が一定です。そのため、設置する場所の広さに応じて、住宅用からメガソーラーまで様々なサイズの発電所を構築できます。また、発電時に騒音が発生しないため、太陽がしっかり当たる場所であれば、設置場所を選びません。後述しますが、技術の進化にともない、将来的には建物の壁面や窓など設置可能な場所も広がっていくことが予想されます。

電気代の高騰に対応できる

日本国内で使われている電気の72.8%は、天然ガスや石油、石炭由来のものです。そのため、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとした世界的なエネルギー危機の深刻化により、2022年末には電気料金が大きく上昇しました。
2023年11月現在はLNGなどの輸入価格が下落傾向にあり、政府も「電気・ガス価格激変緩和対策事業」として補助しているため落ち着いていますが、電気料金の上昇は今後も予想されます。また、2012年より始まった「固定価格買取制度(FIT)」に伴い、すべての電気利用者から再エネ賦課金が徴収されていることも電気代上昇の要因となっています。
そのため、太陽光発電を住宅やビル、工場や商店などに設置し「自家消費」していけば、電気代を抑制することができ、また余剰電力は売ることもできます。

災害時などに非常用電源として利用できる

太陽光発電を設置していれば、停電などで電力会社からの電気供給が止まっても、自立運転により自宅や工場で電気を使用することができます。そのため、災害など万が一のときにも安心です。

太陽光発電のデメリット

太陽光発電は、環境に優しい再生可能エネルギーとして注目されています。しかし、一方で、以下のようなデメリットもあります。

発電量が天候に左右される

太陽の光をエネルギー源として発電するため、季節や天候によって発電量が左右されます。また、夜は電気が作れません。そのため、自家消費を目的として太陽光発電を導入する場合は、他のエネルギーとの併用や、蓄電池の導入も検討する必要があります。

設置場所が限られる

日当たりの悪い場所は設置場所としてふさわしくないという問題があります。また、メガソーラーのように大規模発電をおこなうためには、ソーラーパネルを設置する広大な土地が必要となります。日本は平地が少なく、山や斜面での設置は土砂崩れや災害の危険性、景観破壊の問題などをクリアする必要があります。

導入の初期コストがかかる

太陽光発電の普及にともない、住宅用、事業用ともに発電コストは急激に下がっています。しかし、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の統計では、諸外国に比べて日本は発電コスト(事業用)が高いことがわかります。これは、土地代や工事費などのコストが高く、設置可能な土地の広さも比較的狭いためです。
なお、太陽光発電システムの寿命は約30年とされ、一般的に住宅用は約10年、事業用は10~14年で回収できると言われています。電気代高騰が続けば、その期間が短縮されるでしょう。その他にも、後述するPPAモデルを使えば初期投資0円で太陽光発電を利用できます。PPAモデルの大まかな仕組みとしては、設備導入はサービスを提供する事業者が無償でおこない、利用者は「電気を使用した分だけ支払う」というものです。
※PPAモデルについてさらに詳しく知りたい方は「PPAモデルとは?太陽光発電を初期投資なしで導入できる仕組みを紹介」をご覧ください。

太陽光発電のさらなる普及に向けて

「固定価格買取制度(FIT)」の価格は年々下落していますが、電気料金は高騰しているため、太陽光発電のメリットに再び注目が集まっています。今後はより効率よく「自家消費」していくことが、地球にもお財布にも優しい状況となっています。さらなる普及にはどのような仕組みを取り入れていく必要があるのでしょうか。

蓄電池やヒートポンプの活用、AIの活用で、自家消費をさらに推進

天候に左右されるという太陽光発電のデメリットをカバーする、夜間や日照不足の時に電力供給を安定させるための技術やソリューションの開発が進んでいます。
具体的には、蓄電池やそれと同等の機能を持つEVやPHEV、エコキュートに代表されるヒートポンプを使った、電気を熱に変換するシステムの活用が進んでいます。また、センサーやAIが天候や発電量を予測・分析して運転制御を行う技術により、より安定した電力供給が可能になります。
太陽光発電システム単体での補助金は現在打ち切られていますが、蓄電池は補助金が継続されているなど、国や地方自治体のバックアップも利用できます。

FIP制度による、再生可能エネルギーの市場化

日本国内においては2012年より、再生可能エネルギーの普及を目的に、いつどんなときに発電しても電力会社が固定価格で買い取ってくれる「FIT制度(固定価格買取制度)」が運用されてきました。次なるステップとして、2022年4月より50kW以上の発電所*1 に対して「FIP制度」が導入されました。その目的は、既存の電力市場に再生可能エネルギーを統合していくことです。また、現在のFIT制度では、電力会社が電気を買い取るコストを「再エネ賦課金」としてすべての電気利用者から徴収していますが、その負担を軽減していく目的も有しています。

*1 認定条件は今後変更される可能性があります。また、事業用太陽光発電は一定の条件を満たす場合に50kW未満でもFIP制度が認めらます。
FIP制度とは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、認定を受けた事業者は、再生可能エネルギーで発電した電気を「卸電力市場」または「相対取引」によって自ら売電することになります。その際、再エネ電気供給量に応じて、一定のプレミアム(補助額)が上乗せされる仕組みです。プレミアムは、市場の価格水準に合わせて毎月変動します。また、出力制御が発生する時間帯の供給にはプレミアムは交付されません。
プレミアム(補助額) = 基準価格(FIP価格) - 参照価格
●プレミアム:基準価格から参照価格を引いて算定されます。
●基準価格:再エネ発電に必要な費用の見込み額をベースに、さまざまな事情を考慮して事前に設定されます。基準価格は20年間一律で、しばらくはFIT価格と同水準になる見込みです。
●参照価格:前年度の平均市場価格をもとに機械的に算出され、毎月変動します。
FIP制度により、時間帯などで変動する市場での収益に加え、プレミアムが乗るため、電力の需要と供給を見ながら売電することで再エネ事業者の収益は拡大します。つまり、常に電力の需要と供給のバランスを見極めていくことが重要になります。そのため、蓄電池の積極的な活用、発電予測精度の向上など、今後は各社の創意工夫により市場が活性化していくことが予想されます。
また、太陽光発電に限らず、地域に点在する小規模な再エネ電源を束ねながら、各電源の特性や蓄電池などを組み合わせて需給管理をおこない、市場取引を代行する「アグリゲーション・ビジネス」の発展も期待されています。

PPAモデルで、再エネ利用が手軽に

PPAモデルとは、設備導入やメンテナンス・管理はサービスを提供する発電事業者が無償でおこない、需要家(電気利用者)は「電気を使用した分だけ支払う」というものです。
●オンサイトソーラー
PPAモデルには大きくふたつあり、一つは「オンサイトソーラー」と呼ばれるものです。これは需要家が持つ工場や倉庫、駐車場の屋上などオンサイト(施設内)に、発電事業者が太陽光パネルを設置するものです。需要家は初期費用やメンテナンス・管理費用を負担することなく、発電事業者に電気料金を支払うことで再生可能エネルギーを使うことができます。
●オフサイトソーラー/コミュニティソーラー
もう一つは、需要家の敷地外に発電事業者が太陽光パネルを設置し、電力会社(一般送電網)を介して、需要家が再生可能エネルギーを利用するものです。オンサイトソーラーに対して「オフサイトソーラー」または「コミュニティソーラー」とも呼ばれます。都市部など敷地内に発電所を置くスペースがない企業や、自宅が南向きでないといった住宅などでも、地域や遠隔地から再生可能エネルギーを利用することができます。こちらも料金は発電事業者に支払います。

次世代の太陽光発電 ペロブスカイト

太陽光発電に関する技術革新により、発電効率の向上、製造コストの低減、省スペース化を実現できる可能性が高まり、太陽光発電のデメリットをカバーすることが期待されています。太陽電池の素材や構造の改良、送電ロスの低減、製造工程の自動化や薄型軽量化が進められています。
その中でもペロブスカイト太陽電池が近年注目を集めています。ペロブスカイト太陽電池とは、現在一般的に使われているシリコン半導体とは異なる、ペロブスカイトと呼ばれる独特な構造を持つ半導体を用いた太陽電池のことです。桐蔭横浜大学の宮坂力(つとむ)特任教授により、2009年に開発されました。製造コストが安く、発電効率も高い、外壁や窓ガラスとの一体化も可能という特徴があり、世界各国で開発競争が進んでいます。
●軽量で薄く、フレキシブルに設置できる
最大の特徴は、膜のように薄く塗布または印刷することができ、シートのように曲げられることができる点です。軽量でフレキシブルなため、耐荷重の小さい建物の屋根に設置できるだけでなく、外壁や窓ガラスと一体化させるなど、太陽光発電のさらなる拡充に期待が寄せられています。
また、レアメタルを使用せず、製造コストも抑えられるという点も特徴です。一方、結晶構造が不安定で、現時点では耐久性も低いことから大量生産など実用化に苦戦しています。また、少量ではあるものの鉛を使用することから、環境汚染の面で否定的な意見があります。
●変換効率も日々向上中
開発当初は変換効率が3%程度でしたが、最新の研究では変換効率が25%を超え、結晶シリコン型の太陽電池(セル)と組み合わせることで30%を超えるものも生まれています。ちなみに、シリコン系太陽電池の一般的な変換効率は14~20%程度です。
●活用に向けた取り組みを国がサポート
国はグリーンイノベーション基金を活用しながら、ペロブスカイト太陽電池の「基盤研究開発」のみならず「量産技術の確立」「需要の創出」「生産体制整備」も推進し、2030年を待たずに早期の社会実装を目指すとしています。その背景には欧州や中国などが開発を猛スピードで進めていることがあります。

今後も再生可能エネルギーの中核となる太陽光発電

自然の力を電力に変えるものの中でも、太陽光発電は規模の大小を問わず、またコスト面や静音性に優れていることもあり、地理的な制限の多い日本では真っ先に拡大可能な再生可能エネルギーです。ペロブスカイト太陽電池など新しい技術もその後押しをすることが期待されています。
今後はメガソーラーのような大規模なものだけでなく、中小規模の発電所や新技術を効率的に使った「電力の地産地消」「自家消費」が進むことでしょう。例えば、自治体が所有する建物の屋根に太陽光発電を設置し、地域の電力需要に対応したり、工場の壁面やEVバスの屋根に設置して事業の脱炭素化を促進したりするなど、活用の幅がより広がって来るでしょう。
日本の再生可能エネルギーの中心プレイヤーとして、これからも太陽光発電の活躍が期待されています。

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