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最終更新:2024.01.09

環境アセスメントとは?環境影響評価に関する法律や資格をわかりやすく解説!

「環境アセスメント」とは、採算性や利便性ばかりを重視した開発による環境悪化を防止するために設けられた制度です。
この記事では、環境アセスメント法の概要や対象事例、実務者の資格である「環境アセスメント士」についてお話しします。

環境アセスメント(環境影響評価)とは

そもそも、環境アセスメントとは何でしょうか。
開発事業は人々の暮らしを豊かで便利にするために行われます。一方で、周辺環境に与える影響は小さくありません。開発後の環境を悪い方向に変化させないためには、事業計画に環境への配慮が求められます。
「環境アセスメント(環境影響評価)」は、環境に悪影響を与えないために事業内容の評価を受け、より環境保全の観点から望ましい事業計画を作る制度です。事業が開発に及ぼす影響について事業者自らが調査し、その後地域住民や専門家、環境担当行政機関からの意見を募ります。「環境アセス」と略されることもあります。
環境アセスメントについて定めているのが「環境アセスメント法(環境影響評価法)」です。道路やダム、鉄道、発電所などの開発事業が環境影響評価法の対象です。

環境アセスメントの目的と活動内容

環境アセスメントは、事業計画に採算性や必要性だけではなく、環境保全の視点も組み入れることを目的としています。
大規模な開発になるほど、周辺の環境を大きく変えてしまいます。開発の中長期的な意味や意義を考えれば、その時点での必要性だけではなく環境に与える影響を把握していなければなりません。
事業が開発に与える影響については、事業者自らが調査、予測、評価します。その結果を、地方公共団体や一般の方へ公表し意見を募ります。
実際に、受け取った意見をもとに事業計画を調整、変更することも少なくありません。

環境アセスメントの事例対象

過去には、以下のような開発事業が環境アセスメントの対象になっています。

- 北海道浜頓別III風力発電所
- 猿払村及び浜頓別町における風力発電事業計画
- 都市高速道路中央環状新宿線
- 中部国際空港

発電所や道路、埋立地、廃棄物処理施設を建設する際などに実施されてきました。

環境アセスメントを定めた法律:環境アセスメント法とは

「環境アセスメント法(環境影響評価法)」は環境アセスメントについて定めた法律です。環境アセスメントによる評価結果を事業内容に定めることを目的としているほか、対象となる企業や事業の条件についても明確に規定します。
以下では、環境アセスメント法の対象企業・対象事業・対象要素について説明します。

環境アセスメント法の対象企業・事業

環境アセスメント法の対象事業は、必ず環境アセスメントを実施する「第一種事業」と、必要性を個別に判断する「第二種事業」に分けられます。それぞれについて、以下でご説明しましょう。

第一種事業
第一種事業は、環境アセスメントの実施が義務付けられている事業です。一部の事業は無条件で第一種事業に分類されます。その他の事業は、規模によって第一種と第二種のどちらに分類されるか決まります。
高速自動車国道、新幹線鉄道、原子力発電所は、規模に関わらず第一種事業です。道路、河川、鉄道、飛行場、発電所など、その他の事業は、一定以上の規模のものが第一種に分類されます。

第二種事業

第二種事業は、それぞれの事業内容や地域の特色を鑑みて環境アセスメント実施の判断を検討する事業です。第一種事業の0.75倍の規模の事業が対象となります。

環境アセスメント法の対象要素

環境アセスメントでは、事業が与えうる環境への影響から評価します。その際、いくつかの観点から環境への影響を予測します。地球環境へのダメージだけではなく、他の動物への影響、人と自然のふれあいについても、環境アセスメントの観点に含まれています。
それぞれの評価内容に含まれる要素をご紹介します。

自然の良好な状態の維持
- 大気環境(大気質、騒音、振動など)
- 水環境(水質、底質、地下水など)
- 土壌環境その他の環境(地形・地質、地盤、土壌など)
- 生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全
- 植物、動物、生態系
人と自然のふれあい
- 景観
- ふれあい活動の場
環境への負荷
- 廃棄物等
- 温室効果ガス

環境アセスメントに特化した資格:環境アセスメント士

日本環境アセスメント協会(JEAS)は、「環境アセスメント士」という民間資格の認定を行っています。
環境アセスメント士は、環境アセスメントに特化した資格です。環境アセスメントに関わる実務者のレベル向上や制度そのものの社会的信頼向上を目的としています。
開発事業の多様化、評価自体の高度化、さらに事業の国際化により、評価を行う人材の技術レベル向上が求められるようになったことから、本資格が誕生しました。
環境アセスメント士に評価を依頼すると、事業が環境保全の観点でより洗練されるほか、事業の社会的信頼性が高まります。

環境アセスメント士の業務は?

環境アセスメント士の資格を取得した場合、環境アセスメントに関わる実務者として活躍できます。
具体的には、手続きに関わる書類作成などが主な業務です。事業の評価や識者とのコミュニケーション、評価図書の作成なども行うことから、法制度や地域の環境に関する深い理解も求められます。

身近な資格:環境アセスメント検定          

環境アセスメント士とは別に、「環境アセスメント検定」という検定試験があります。実務者として活躍するための環境アセスメント士に対し、こちらはあくまで環境アセスメントに関する理解度を測る身近な資格です。
環境アセスメントの機能や仕組み、進め方の設計、文書の作成、評価の決定といった問題が出題され、初歩的な問題を取り扱う「入門編」、専門性を強めた「挑戦編」に分かれています。近年はさらに「生活環境編」「自然環境編」が登場しました。
オンラインで簡単に受検できるため、一般の方が環境アセスメントに関する理解度を確かめる試験として適しています。
再生可能エネルギーなど地球環境に配慮した事業が続々と展開されている中、環境アセスメントの重要性も高まっていくと予想されます。環境アセスメントは、事業の評価に関わるため、一般の方でも事業の当事者になる可能性のある制度です。周辺開発事業を適切に評価できるようになるため、環境への知識を身に付けてみてはいかがでしょうか 。

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