Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション最適化

最終更新:2023.04.04

施設管理の高度な専門性を生かし、小〜中規模建物の省エネ・脱炭素化を促進

オフィスビルなどの総合管理、エネルギー関連施設の運転・保守管理といった長年の経験を活かし、最適な省エネ設備改修と同時に、脱炭素化の推進にも貢献する、三井物産フォーサイトの「エネルギーサービス事業」について話を聞きました。

三井物産フォーサイトはオフィスビルをはじめ、スポーツ施設やアミューズメント施設の総合施設管理、さらには太陽光やバイオマス発電所といったエネルギー関連施設の運転・保守管理をおこなっています。現在注力しているのは「エネルギーサービス事業」。施設内の設備管理・運用を通して省エネを実現し、脱炭素社会に貢献しています。三井物産フォーサイトの「エネルギーサービス事業」について話を聞きました。

エネルギー関連施設の運転・保守ノウハウを生かし、建物設備の省エネを実現する新事業

──三井物産フォーサイトの主軸事業である建物管理が、どのようにエネルギーサービス事業へとつながるのかを教えてください。
髙橋(英) 一般的に、建物に関わる生涯費用は「建築費1/3」「建物の維持・管理費1/3」「光熱費など1/3」と言われています。当社はこれまで、「建物の維持・管理」として電気やガス、水回りといった設備の保守管理業務をおこなってきましたが、さらに「設備の更新・運用・メンテナンス」にまで対応を広げ、建物の省エネをサポートするのがエネルギーサービス事業です。一部の「電力会社やガス会社」が「大型施設」に対し省エネサービスを提供していますが、「建物管理・設備管理会社」が「中規模以下の施設」にこれを提供するのは珍しいことだと思います。
三井物産フォーサイト株式会社 ソリューション営業本部新規営業開発部部長 髙橋英則。1997年4月丸紅設備入社。新築工事で衛生・空調工事の施工管理に従事。2002年12月ビケンテクノ入社。入社後は既設建物の設備改修工事の施工管理に従事の他、総合建物管理業務(清掃・設備管理・警備・修繕工事)管理に従事。2015年8月三井物産ファシリティーズ(現在の三井物産フォーサイト)入社。入社後は工事推進部にて管理物件の設備修繕工事営業、2019年4月よりエネルギーマネジメント事業本部エネルギーソリューション事業部にてエネルギー関連事業の営業。2020年より新規営業開発部にて建物総合管理の営業のほか、エネルギーサービス事業の立上げ・営業に従事し現在に至る。

再生可能エネルギーの導入も可能

──省エネを提案するにあたり、従来のエネルギー関連施設の運転・保守で培ったノウハウが役に立つ、ということですね。
前川 はい。三井物産フォーサイトは太陽光発電所やバイオマス発電所など、高い技術力と専門性を必要とする設備の運転や保守をおこなっています。そこで得た知見を活用することで、敷地内にソーラーパネルを設置し、太陽光発電で電気料金やCO2排出を引き下げるというご提案もできます。
三井物産フォーサイト株式会社 エグゼクティブアドバイザー 前川哲也。1979年4月東京電力入社。2019年7月三井物産入社。2022年7月三井物産フォーサイト入社。自由化以前の電気事業において空調熱源に関する法人営業に長く従事し、2000年の自由化以降は主にエネルギーサービス事業の立上げと推進に注力。その経験を活かすべく三井物産入社以来、三井物産フォーサイトのエネルギー分野等の強化支援に従事し現在に至る。
──エネルギーサービス事業に力を入れようというきっかけはあったのでしょうか?
髙橋(英) 設備のリニューアルで省エネを提案するということは、以前からおこなっていましたが、資産保有型エネルギーサービスとして本格的に力を入れるようになったのは2018年以降です。
前川 三井物産グループのオフィスユーティリティ事業は、弊社のような建物管理のほかに、清掃やユニフォーム提供、社員食堂の運営など、オフィスのニーズに対して総合的なサービスを提供しています。そのなかで、以前より根強くあったオフィスの省エネニーズに対応するサービスを、ビル管理会社である当社が提供する意義と可能性についての議論がなされ、2019年より本格的に取り組むことになったのです。

建物管理の知見を生かすことで工事が円滑に完了

──エネルギーサービス事業の具体的な導入例があればお聞かせください。
高橋(和) 都内の医療介護施設において、老朽化した空調設備の入れ替えとLED照明の導入によりエネルギーコストを20%〜30%削減した例があります。医療介護施設は24時間・365日稼働するため、空調による電気料金が高くつきます。その光熱費を削減したわけです。さらに工事を短期間で終わらせることで、工事費用を低く抑えたことも評価をいただきました。
三井物産フォーサイト株式会社 ソリューション営業本部新規営業開発部主任 高橋和夫。2011年 物産ファシリティーサービスに(現在の三井物産フォーサイト)入社。ファシリティマネジメント業務中心の担当営業として、管理物件の管理と臨時工事やスポット作業の営業に従事。さらにメディカル、エネルギー分野にも携わり、現在は新規営業開発部としてエネルギーサービス事業の営業と新規顧客の開拓に注力。
──短期かつ費用を抑えた工事ができた秘訣を教えてください。
高橋(和) 大がかりな設備工事をおこなう場合、通常は施設のスタッフや利用者を立ち入れないようにして工事をおこないます。医療介護施設の場合、工事期間中でも施設利用者に同様のサービスを提供するために仮設施設が必要になるなど、付帯費用が高くつく場合があります。
当社の場合、日頃から建物管理・施設管理をおこなっていますので、施設スタッフや利用者が時間帯によってどのように動くのか、その動線を熟知しています。また、建物の管理者として常に施設運営者とコミュニケーションをとっているので、人の細かな誘導なども可能です。これらの知見により、通常通りの施設運営をおこないながら工事を完了させ、工事期間と費用を大きく短縮することができました。

サブスクリプションにより初期投資なし修理費なし

──そのほかに、三井物産フォーサイトならではの強みはありますか?
髙橋(英) 当社のサービスをご利用いただく場合、設備更新に伴う初期費用が不要となります。新しく導入する設備・機器は当社が資産として保有し、お客様には設備利用料を月額でお支払いいただく形態です。当社では、それを空調設備、受電設備、受水槽や給水ポンプにまで適用しています。いわゆるサブスクリプション型のサービスであり、ESCO事業の一種とも言えると思います。

どのような施設であっても、10年もすれば設備の更新時期が訪れます。中規模以下の施設では特に、設備更新に充てる資金が充分ではない場合もあり、老朽化した設備を使い続けるか、資金を投じて設備を更新するかの意思決定を迫られることがあります。このような場合、当社のサービスをご利用いただければ、初期費用が不要になることに加え、最新設備の導入による省エネ効果を通じた光熱費削減とCO2排出削減、さらには資産を保有しないことによるROA(総資産利益率)の改善といったメリットが得られます。

省エネを通してCO2排出削減を実現する

──建物の規模も使用機器の状態もさまざまだとは思いますが、機器のリニューアルによってエネルギー料金は下がるものなのでしょうか。
髙橋(英) おっしゃるように一概には言えませんが、10年前の冷蔵庫を買い替えたら電気代が半分になった例や、30年ほど前の空調機器を最新の機器に入れ替えたら、電力の使用量が38%改善された例もあります。当社では、設備更新にかかる初期費用と同時に、光熱費を含む運用費を適切にシミュレーションし、光熱費の削減にコミットして契約します。また、近年ではCO2排出削減効果に関心を持つお客様も多く、それらも提示することが可能です。一般の施設管理会社には難しいことで、当社の特徴のひとつとも言えます。
──主に中規模以下の施設を対象にしているということですが、大規模施設にも対応できるのでしょうか。
髙橋(英) もちろんです。中規模以下の施設に省エネサービスが行き届いていないという問題意識から、主に中規模以下の施設を対象にしていますが、大規模なオフィスビル、アミューズメント施設、介護施設や病院などの建物管理・運営もおこなっています。
──三井物産フォーサイトのエネルギーサービス事業を進めるにあたって、ハードルとなっていることがあればお聞かせください。
高橋(和) 「建物管理・設備管理の会社」が「中規模以下の施設」に資産保有型省エネサービスを提供するのは珍しいことです。そのため、お客様に省エネを通したコスト削減効果とCO2削減効果を提示してもすぐに信用してもらえず、相見積りを取ろうとしても同様のサービスを提供できる会社がない、ということが起こっています。ありきたりな言葉になりますが、まずは知名度や認知度を上げることが必要です。

お客さまに最適な最新機器を導入し、脱炭素化に貢献していく

──CO2の削減やエネルギーコストの低減など、こうした事業に対するお客様のニーズが高まっていることは間違いないと思いますが、いかがでしょう。
髙橋(英) バブル崩壊以降、どのような企業もコスト削減に継続的に取り組み、加えて近年では、CSRの観点から環境負荷を低減するニーズが高まっています。一方、環境負荷の低減は費用がかかることから、投資余力がなく省エネ対策の一歩が踏み出せないお客様も多くいらっしゃいます。エネルギーサービス事業で、そういったお客様の背中を押すのがわれわれの役割だと思っています。
前川 先日、とある建物設備の更新において要求されたのは、4つの要件「エネルギーコストの節制」「エネルギー量の削減」「CO2排出量の削減」そして「建設費を低く抑える」ことでした。「CO2排出量の削減」が要件に含まれており、外資系企業や投資家はとくに環境意識の高さがうかがえます。
高橋(和) さきほど紹介した医療介護施設では、設備更新のほかに、送迎用の自動車を電気自動車に代える、施設で使用する紙や服、オムツなど、化石燃料由来のものを見直す議論も始まっています。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、われわれ建物管理会社もこのようなお客様に寄り添って、脱炭素化を後押ししていきたいと思っています。
髙橋(英) 設備管理の契約期間は、基本的に1~3年の短期契約が主流です。しかし、弊社はお客様との信頼関係を大切にし、新たな事業であるエネルギーサービス事業では10年から15年の長期のお付き合いのなかで安心して施設運営をおこなっていただくこと、設備管理のみならず清掃やオーナー業務の代行といった多様なニーズに対応していくこと、脱炭素化を支援していくこと、この3つの観点で三井物産の総合力を発揮し、お客様に寄り添っていきたいと考えています。エネルギーサービス事業も、そのきっかけのひとつとしてご利用いただきたいと思っています。
──本日はありがとうございました。

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