Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション資源循環

最終更新:2023.12.05

お米由来の国産バイオマスプラスチックは 農業問題解決にも有益

政府が「2030年までに約200万トンのバイオプラスチック利用」を目標とするなか、お米(非食用)由来の国産バイオマスプラスチック「ライスレジン」に注目が集まっています。石油由来のプラスチックを代替することでCO2排出量削減につなげるだけでなく、日本の農業活性化の一助となるなど、「ライスレジン」の現状と可能性について聞きました。

日本の主食であるお米(非食用)を原材料に使った、国産バイオマスプラスチック「ライスレジン」。石油由来のプラスチック含有量を大幅に抑えるだけでなく、「耕作放棄地」や「休耕田」を活用した非食米の生産が、減少の一途を辿る米の生産に歯止めをかける点も含め、日本の農業活性化の一助にもなるといいます。2021年3月より、株式会社バイオマスレジンホールディングスと業務提携した三井物産プラスチックに、ライスレジンの魅力や、プラスチック業界の現状を聞きました。

環境素材製品を扱う「バイオ樹脂ユニット」を発足

──三井物産プラスチックが「ライスレジン」など、バイオプラスチック製品を扱うに至った経緯を教えてください。
古賀 三井物産プラスチックの「産業材料本部」は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルといった合成樹脂原料や包装資材などを扱う本部です。世界的に循環型社会(サーキュラー・エコノミー)の機運が高まったこともあり、CO2削減やプラスチックごみの削減に繋がる環境素材製品を専門に扱う「バイオ樹脂ユニット」が、2019年10月に同本部内に発足しました。台湾の⽣分解性プラスチック加⼯業者(MINIMA TECHNOLOGY社)に出資したこともきっかけの一つです。
三井物産プラスチック株式会社 産業材料本部 バイオ樹脂ユニット長 古賀晋一。1999年入社。ポリエチレン、ポリプロピレンをはじめとする各種合成樹脂原料、包装・物流・農業生産資材などの合成樹脂製品、硫酸・過酸化水素などの無機化学品原料を経験。本店、北海道支店、三井物産(香港)有限公司、四国支店などの勤務を経て、2019年10月1日付で新設されたバイオ樹脂ユニットにて、来たる脱炭素社会の実現に向けたバイオマス、リサイクル、生分解の各種材料・製品分野に従事。
──「バイオ樹脂ユニット」について簡単に教えてください。
古賀 バイオ樹脂ユニットでは、石油由来ではなく、生物由来の原料を用いた「バイオマス」プラスチック。微生物による分解で原材料を自然に還す「生分解性」プラスチック。リサイクル原材料そのものの取扱いに加え、取引先やブランドオーナー企業からのニーズに応じてリサイクルスキームを提案・構築する「リサイクル」。この3つを事業の柱としています。なお、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックを総称して「バイオプラスチック」と言います。
──生物由来であるバイオマス = 生分解ではないのですね。
古賀 そこはよく混同されるのですが、バイオマスプラスチックでも生分解性のない製品や、石油由来プラスチックでも生分解性のあるプラスチックがあります。再生可能な生物由来の原料を用いて作られたのが「バイオマス」プラスチック。原料に関係なく生分解性の高い(バクテリア、菌などによって化合物が無機物まで分解される)ものが「生分解性」プラスチックとなります。

「バイオマス」「生分解」「リサイクル」は目的に応じて使い分けられる

――「バイオマス」「生分解」「リサイクル」はそれぞれ、廃棄プラスチック問題、海洋プラスチック問題、CO2排出量削減といった課題を解決する手段ということでしょうか。
古賀 はい。例えば、農業用マルチフィルムに生分解性を用いれば、使用後のフィルムの廃棄作業が省力化され、農家の負担を減らすことができます。また、使い捨て商品(例:ティーバッグなど)に用いられる不織布は、大量の廃棄が出るために生分解性にすることで環境負荷を低減します。生分解比率が小さい素材や商品にはバイオマスが用いられることが多く、リサイクル素材は食品分野では利用できないものがあるなど、用途に応じて環境負荷を低減するために最適な方法が選択されます。
――世界的なトレンドは何かありますか。
古賀 各国の事情によりますが、一般プラスチックの使用が制限、用途によっては禁止されている中国や、使い捨てプラスチックに対する規制が設けられている欧州では、生分解性プラスチックへの関心が高いと感じています。また、欧米ではさまざまに先端リサイクル技術が進んでいる一方、日本は廃棄プラスチックの有効利用率が80〜90%と高いものの、未だ焼却処分(サーマル・リサイクル)が多く、今後マテリアル・リサイクルやケミカル・リサイクルなどの研究がますます進んでいくものと思われます。

日本でもバイオマスプラスチックへの関心が高まっている

──環境省は、「プラスチック資源循環戦略」に基づくバイオプラスチック導入ロードマップを策定しています。そこでの注目ポイントはどこになるのでしょうか。
古賀 バイオプラスチック導入ロードマップでは、Reduce、Reuse、Recycleの「3R」にRenewable(原料を再生可能資源に切り替える)を加えた「4R」の基本原則に基づき、より持続可能性が高いバイオプラスチックへの転換を目指しています。具体的には「2030年までに約200万トンのバイオマスプラスチックを利用する」ことを目標に掲げています。
──そうなると、バイオマスプラスチックが今後の主流になっていきそうですね。
古賀 現在の国内バイオマスプラスチック供給量は年間数万トンほどで、10年で約40倍ものバイオマスプラスチックが必要になります。この差は、バイオプラスチックがこれまであまり注目されてこなかった一方で、今後関心が高まっていくことを示唆していると思います。事実、バイオプラスチックの取組みが各所で始まっています。
――バイオマスプラスチックのメーカーは国内にもいくつかありますが、三井物産プラスチックが「ライスレジン」に注目した理由はどこにあるのでしょう。
古賀 ライスレジンを製造する「バイオマスレジン南魚沼」(現在はバイオマスレジンホールディングスの傘下)と出会ったのが2020年の春頃でした。彼らは当初から、政府目標である200万トンの5%にあたる10万トンのバイオマスプラスチックの生産を目指していました。また、食用規格から外れたお米や、賞味期限切れの備蓄米など、これまで廃棄されていた非食用のお米を有効活用をする点にも注目しました。現在、南魚沼(新潟)、水俣(熊本)、浪江(福島)と製造拠点が3箇所ありますが、各所を中心に工業米の生産を拡大しようとしています。

日本の農業問題解決にも「ライスレジン」が貢献

――それだけ需要が伸びているということでしょうか?
古賀 それもありますが、工業米を生産する背景には日本の「耕作放棄地」や「休耕田」への問題意識があります。水田は、1~2シーズン稲作をしないだけで、お米づくりが数年間できない土地になってしまいます。このような耕作放棄地や休耕田を利用して工業米を生産することが、日本の農業に対する一助にもなると考えています。
すでにJAひがしかわ(北海道上川郡)やモスファーム熊本など、全国各地でライスレジン用のお米の作付を検討開始されています。バイオマスレジンホールディングスが目指す「農業への貢献」も、弊社が応援している理由の1つです。
福島県飯舘村での稲刈り風景
――日本でバイオマスを考えるとき、原材料はお米(非食用)が一番適しているということでもあるわけですね。
古賀 そうですね、原料(非食米)を国内調達できる安定供給のメリットがあります。また、ライスレジンは国内製造されていますので、輸入時のCO2排出もなくなります。
なお、バイオマスレジンホールディングスではお米以外でも、竹やキャッサバ(サトウキビの搾りカス)、蕎麦殻などを混錬したプラスチックの生産実績があり、今後地域の状況に合わせたバイオマスプラスチックの生産も検討されています。バイオマスレジンホールディングスは海外展開への思いも強く持たれており、我々としてもしっかりとサポートしていきたいと考えています。

玩具で話題になり、幅広い用途に利用が拡大する「ライスレジン」

――機能面における「ライスレジン」の優位性を教えてください。
古賀 現在は、ポリエチレン素材には最大50%、ポリプロピレン素材には最大70%の非食米を含有させています。通常のプラスチックと比べて、強度や品質に遜色はありません。また、国内メーカーですので技術サポートが迅速におこなえる点も魅力です。
――主にどんなものに使用されているのでしょうか?
古賀 ライスレジンが知られるきっかけの一つは、子供が口にしても安心な積み木玩具でした。現在も玩具系メーカーからの引き合いは多く、ほかにはカトラリー(テイクアウト用のスプーン、フォーク)、米袋、お弁当箱、ホテルのアメニティグッズなどにライスレジンをご利用いただいています。面白いところでは、クッション材やヨガマットにも利用されています。
――ノベルティとして使われることも多いみたいですね。
古賀 はい。フジロック・フェスティバルの入場ゲートで配られるごみ袋や、その他イベントでのノベルティグッズとして、ボールペンやクリアファイル、うちわなどにも利用されています。

ブランドオーナーや自治体へのアピールが不可欠

――今後はそういった普及活動も大事になってきますね。
古賀 そうなんです。廃棄プラスチック問題に端を発して、利用者に環境配慮型原材料、製品への関心が生まれ、利用者によって導入の意思決定がされるようになりました。ここでいう利用者とは、ブランドオーナーや自治体など最終製品の素材を決定される方々です。そういった意味では、利用者に対する広報活動が以前に増して重要だと思考えています。このような観点から、利用者との接点を増やす意味でも、ライスレジンの特設サイトを立ち上げ、ひとりでも多くの皆さまに知って頂けるよう運営しています。
――最後に、SDGsや脱炭素社会の実現に向けた、今後のヴィジョンについてお聞かせください。
古賀 「ライスレジン」を国内外で普及させていくと同時に、お米(非食用)由来の生分解性プラスチック「ネオリザ」、およびバイオマスレジンホールディングスが有している天然物と石油由来樹脂のコンパウンド技術なども海外へPR、展開していく予定です。そこを起点として、お米だけでなく、その土地にあったバイオマスプラスチックを考えながら、日本のみならず世界でもカーボンニュートラルの輪を広げていければと考えています。
――本日はありがとうございました。
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