CSOメッセージ


社会価値と経済価値をバランスよく考えながら、
企業価値向上と持続可能な成長につなげていきます
代表取締役 専務執行役員
CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)
中井 一雅
中経2026Corporate Strategy
「サステナビリティ経営の深化」の進捗を教えてください
当社は、中期経営計画2026で、ビジネスとサステナビリティの融合の観点から「Creating Sustainable Futures」を目指すべき姿として定義し、気候変動・自然資本・ビジネスと人権をサステナビリティ経営の重要テーマとして設定しています。各テーマへの取組みは着実に進捗しており、前期は外部のESG評価機関からも高い評価をいただくなど、手応えを感じています。
気候変動への対応では、前期パイトン石炭火力発電所の売却を完了し、発電ポートフォリオの組換えを大きく進展させ、発電資産のRE比率30%という2030年の目標を前倒しで達成することができました。自然資本ではTNFDへの賛同を表明し、TNFD提言に基づくLEAP分析の結果も開示するなど、より一歩踏み込んだ形で当社の取組姿勢を社内外に示すことができたと思います。人権についても、人権デューデリジェンスの対象を拡大し、個別事業の分析を更に深化すべく、より現場に近い各事業本部が主体となった人権デューデリジェンスが始まっています。
また、グローバルベースでのサステナビリティへの取組強化を目的として、地域本部、海外・国内ブロックの各拠点に人材を配置し、経営企画部・サステナビリティ経営推進部が中心となりながら各拠点と連携をとる体制を確立しました。全社方針のグローバルベースでの意識の浸透と、各国での具体的施策や関連情報の収集といった双方向での機能の拡大を期待しているところです。
さまざまな外部環境や社会課題が大きく変化する中で、当社は昨年より多くの社外専門家やステークホルダーの皆様との協議を重ねて、ダブルマテリアリティの視点も入れながら当社が取り組むべきマテリアリティの見直しを行いました。今回新たに「人権」を独立項目として特定した6つのマテリアリティは、当社の個別事業を進める上で指針となるものです。新しいマテリアリティに照らしながら各事業本部が各々の攻め筋に沿ったアクションプランを策定し、個別事業で社会価値と経済価値をしっかりと実現していくことで、サステナビリティ経営をさらに深化させていきたいと思います。
「ビジネスとサステナビリティの融合」は順調に進んでいますか
ビジネスとサステナビリティの融合の好事例としては、米国Blue Point低炭素アンモニア事業が挙げられます。化学品セグメントの強みであるアンモニアのトレーディングの実績とパートナーシップ、それに加えてエネルギーセグメントの発電事業者への燃料供給の実績やCCSの知見等の強みが組み合わされて、当社らしい形でバリューチェーンを構築し、環境に配慮した低炭素燃料のビジネスとして成立させることができたと思います。
昨今、米国や欧州等でサステナビリティに関する考え方に揺り戻しがありますが、長い目で見てサステナビリティを重視する流れは不変ですし、当社としてやるべきことは本質的に変わらないと思います。社会価値と経済価値をバランスよく考えながら、事業ポートフォリオをさらに良質化し、さまざまなステークホルダーに三井物産の強みや価値創造を理解し評価していただくことで、企業価値向上と中長期での持続可能な成長につなげていきます。