CHROメッセージ

グローバル・グループで多様な人材の成長と活躍を促すことにより企業価値の持続的な向上を図ることは、当社の人材戦略の根幹 代表取締役 副社長執行役員 グローバル・グループで多様な人材の成長と活躍を促すことにより企業価値の持続的な向上を図ることは、当社の人材戦略の根幹 代表取締役 副社長執行役員

社員エンゲージメントの向上は、
人材マネジメントのあらゆる場面で
好循環を生み出し、企業価値向上へとつながる

「『未来をつくる』人をつくる」の発行に期待することを教えてください。

内外の環境が大きく変化する中、「人的資本」という言葉と共に、企業の持続的な成長にとっての人材の重要性が注目されています。当社は旧三井物産*の創立以来、一貫して「人」を大切にする企業文化を守ってきました。当社の経営理念(MVV)を体現できる人材の獲得と育成、弛まぬ人材開発、組織開発に対して当社がどのように取り組み、成果を上げているか、これから強化、加速すべき課題は何か、人材マネジメントの基本的な考え方と共にステークホルダーの皆様にお伝えできればと考えています。本レポートの作成に際しては、社員の成長ストーリーを取り上げ、具体的に紹介するとともに当社が掲げる人材戦略と個別の施策を、その目的と効果について可能な限りデータをもとに説明することを心がけました。本レポートが当社の「人」に対する傾注と、その成果である企業価値向上の間の「好循環」を示す一助となることを願っています。

「人の三井」という言葉が持つ意味を教えてください。

「人の三井」という言葉は、当社の「人」をなによりも大切にするという企業文化を評していただいたものと捉えており、大変にありがたいことだと感じています。一方、当社が、社員を信頼し大切にしているということは、社員一人ひとりには、自律的な「個」として自ら考え、行動することが求められています。当社は、「強い『個』の育成」を人材戦略の一つとして掲げていますが、これはグローバル・グループで組織の多様性を尊重しインクルージョンを推進するに際しても変わりありません。

人的資本への投資の効果はどのように測っているのでしょうか。

人材の価値を最大限に引き出し、高めていくことによって企業価値の持続的な向上を図ることは、当社経営上の最重要事項です。そのために当社は人材の獲得から育成、登用は言うに及ばず、一人ひとりのキャリアの将来像を踏まえた人材開発、エンゲージメントの向上にもつながる組織開発のためにさまざまな施策を講じています。人材開発、組織開発への取組みは当社競争力の源泉であり、持続的な成長に必要な戦略投資ですが、その効果の測定は、さまざまな角度と、異なる時間軸により複合的に行う必要があります。当社では、Mitsui EngagementSurvey(MES)と呼んでいる社員エンゲージメントの調査結果を、持続的な企業価値向上との相関が認められる重要な経営指標の一つと捉えています。MESは2018年に国内の社員を対象に始めたものですが、現在、その対象をすべての海外拠点、国内の重要子会社の社員に広げ、社員にとっての職場でのやりがい、働きがい、成長実感、所属組織の戦略や方針に対する共感といった点を調査、分析しています。調査は客観性と透明性を担保するため社外の調査会社を起用し、当社の特性も踏まえて調査方法をカスタマイズしてきました。社員エンゲージメントの変化を可視化することで、現場での日々の業務の生産性の向上や、組織課題に向き合うことにも役立てています。MESの結果は、経営会議や取締役会にも報告され、取締役(除く社外取締役)を対象とした報酬制度で評価要素の一つとして取り入れています。

中期経営計画2026で掲げる人材戦略についてお聞かせください。

中期経営計画2026ではグローバル・グループでのDiversity& Inclusion(D&I)の一層の強化を掲げています。当社は「自由闊達」、「挑戦と創造」という言葉を当社の根源的な価値観(コーポレート・バリュー)を示すものとして大事にしています。自由で闊達な職場には、多様な経験や能力を持った人材がお互いを尊重し合い、一人ひとりが持てる能力を発揮できる環境が必要ですが、このために特にインクルージョンへ向けた取組みをEqui t y等の視点も持って強化します。D&Iの足元の課題は、国内では女性活躍推進を加速すること、海外拠点では採用地を問わない適材適所の徹底です。引き続きグローバル・グループでの当社 活動のあらゆる場面でD&Iを強力に推進していきます。

女性活躍推進に関する取組みについてお話しください。

当社では、グローバル・グループで女性社員が数多く活躍しており、連結での女性管理職比率は18.8%、海外現地法人や事務所での女性管理職比率は37.2%となっています。単体の女性管理職比率は本年10%の目標を達成したことから、新たに「2031年3月期までに20%」の目標を本年6月に設定しました。
国内での新卒採用時の女性比率は4割を超えており、女性管理職の候補者となる人材プールは着実に拡大していますが、この目標を少しでも早期に達成すべく、よりきめ細かい制度対応と社員の意識改革に取り組みます。本年7月より導入した新たな人事制度では、旧来の「担当職」と、多くが女性で構成されていた「業務職」という職制の区分けを撤廃し一本化しました。新人事制度では、転勤の有無など、社員一人ひとりの多様化するキャリアプラン、ライフステージに柔軟に対応した異動任用が可能となり、結果として国内での女性管理職比率の向上にも寄与すると考えています。

グローバルでの適材適所の人材配置について現状を教えてください。

当社海外拠店での海外採用社員のライン長比率は現在18%ですが、グローバル・タレントマネジメントシステム(Bloom)が本年末から全世界で稼働することにより、採用地や部門を問わないグローバル最適の人材配置を加速します。一例として、当社の重要拠点であるインド三井物産の社長は現地で採用されたインド人ですが、本店事業本部、マレーシア、シンガポール、UAEの各拠点で幅広い経験を計画的に積んだ上で登用されています。海外採用社員の人材の厚みは着実に増しており、こうした幅広いキャリア形成を通じた経営層への登用を積極的に進めていきたいと思います。

最後に、C H R Oとしての決意をお聞かせください。

グローバル・グループで多様な人材の成長と活躍を後押しすることにより企業価値の持続的な向上を図ることは、当社の人材戦略の根幹をなすものです。人材をめぐるグローバルな競争環境は年々厳しくなっています。当社がこれからも「挑戦と創造」を続けていくためには、さまざまな社会課題を自分ごととして捉え、その解決に果敢に挑む、真にプロフェッショナルな人材を養成し続けることが必要です。 先人が「自由闊達」、「挑戦と創造」という言葉に込めて大事にしてきた価値観の浸透を「人」を大切にする企業文化と共に一層力強くグローバル・グループで推し進めていきたいと思います。

新人事制度導入の目的

新人事制度導入の目的

* 法的には旧三井物産と現在の三井物産には継続性はなく、まったく別個の企業体です。