Main

次世代地熱の事業会社 米Fervo社への出資参画

2025年12月11日


三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)は、次世代地熱の生産技術・事業開発を行う米国Fervo Energy Company(ファーボ、以下「Fervo社」)に出資参画を決定しました。

地熱発電は、再生可能エネルギーの中でも特に、天候や時間に左右されない安定電源として、世界的に期待が高まっています。一方で、従来型の技術には、透水性といった特殊な地質条件が必要なこと等から、規模拡大やコスト低減の課題があります。これに対し、次世代型の一つであるEGS(Enhanced Geothermal Systems、地熱増産システム)方式は、シェールガス開発で確立された水平掘削・水圧破砕といった地下開発の手法を応用することで、立地制約を受けずに、より大規模な電力供給を可能にします。米国では、AIやクラウド活用に牽引されるデータセンター向けを中心に電力需要の増加が予測される中で、一層の普及が見込まれています。また、日本でも、第7次エネルギー基本計画にて早期実装を加速する方針が打ち出されています。

Fervo社は、次世代地熱のリーディングカンパニーの一つであり、EGS方式の開発を進めています。技術力やコスト競争力に裏打ちされた案件実行力を強みとし、3.5MWの実証案件(米国ネバダ州)で操業を既に開始しGoogleのデータセンター向けに地場の電力系統を介して全量売電しています。さらに、100MWの商業案件(米国ユタ州)を建設中で、2026年以降に運転を開始し、最終的には500MWと地熱発電として世界最大級の規模への拡張を目指しています。本プロジェクトでも、米国カリフォルニア州の大手電力会社Southern California Edison等が電力購入を決定しています。

三井物産は、グループ各社とともに、石油・ガスの上流開発事業や従来型の地熱事業を通じ地下資源に関する知見・技術・パートナーシップを培ってきました。今回の出資参画を通じ、Fervo社とは米国での事業開発や操業を通じて連携を強化し、中長期的には、次世代地熱事業の日本・アジアでの展開も視野に入れています。

そして、三井物産は、次世代地熱や核融合といったクリーン安定電源の事業拡充を進めています。核融合では京都フュージョニアリングや米国Commonwealth Fusion Systemsへ出資済です。加えて、データセンター関連事業を展開する米国Crusoeにも出資しており、拡大するAI・デジタル分野へのエネルギー供給というバリューチェーンでの取組みにも注力していきます。

*EGS:地層内に流路を形成の上、地上から注水、地下の熱を活用し、人工的に高温にした熱水を地上へ回収。従来型と異なり、自然発生した熱水や蒸気を取り出す必要が無く、調査・開発の難易度が相対的に低い。

会社概要

会社名 Fervo Energy Company(ファーボエナジー カンパニー)
所在地 米国テキサス州ヒューストン
設立年 2017年
代表者 Timothy Latimer(ティモシー・ラティマー、CEO)
従業員数 約180名
事業概要 次世代地熱の生産技術・事業開発
ウェブサイトURL

https://fervoenergy.com/

Fervo社が建設中の次世代地熱プロジェクト(ユタ州)Fervo社が建設中の次世代地熱プロジェクト(ユタ州)
EGS方式の概念図EGS方式の概念図

三井物産のマテリアリティ(重要課題)

三井物産は、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現すべく、サステナビリティ経営の重要課題としてマテリアリティを特定しています。本件は、6つのマテリアリティの中でも、特に「持続可能な安定供給の基盤をつくる」、「環境と共生する世界をつくる」の実現に資する取り組みです。

  • 持続可能な安定供給の基盤をつくる

    持続可能な安定供給の基盤をつくる

  • 環境と共生する世界をつくる

    環境と共生する世界をつくる

  • 健康で豊かな暮らしをつくる

    健康で豊かな暮らしをつくる

  • 人権を尊重する社会をつくる

    人権を尊重する社会をつくる

  • 「未来をつくる」人をつくる

    「未来をつくる」人をつくる

  • インテグリティのある組織をつくる

    インテグリティのある組織をつくる