経営方針
投資家に対する開示の基本原則
フェア・ディスクロジャーの観点を中心に投資家に対する開示の基本原則を定めるものです。
2005年4月25日 制定
2006年4月1日 改正
2007年4月1日 改正
2008年4月1日 改正
2009年4月1日 改正
2010年4月1日 改正
2011年4月28日 改正
2011年7月25日 改正
2013年4月1日 改正
2018年3月14日 改正
2019年4月1日 改正
2020年4月1日 改正
1. 目的
本原則は、投資家が適切な投資判断を形成するために必要な当社開示の要件と手続きの根幹を定めるものである。本原則は当社の全ての役職員に適用される社内規定であると同時に、当社の投資家に対する開示のあり方を対外的に明らかにするものでもある。本原則は、法令の禁止するところを除いて当社子会社の役職員にも適用される。
2. 開示における基本要件
当社が行う重要性のある情報の開示は、以下の基本要件を充足しなければならない。
- 1.透明性と説明責任
- 開示内容が当社にとって有利か不利かを問わず開示の透明性を確保し、事実に即して一貫した説明責任を全うする。
- 2.関連法令及び規則の遵守
- 本邦金融商品取引法などの関連法令、及び証券取引所又は証券業協会の開示規則等の一般に確立された規範の要件を充足する。
- 3.機密性確保と開示の適時性
- 機密情報の機密性確保と一般公開に係る要件及び手続きを整備し、重要性のある情報についてはこれに則り適時・適切且つ公正に開示を行う。
- 4.公正性
- 重要性のある情報に関しては、全ての投資家が同等にアクセス可能な方法で開示する。守秘義務契約等により情報の秘匿性が担保されている場合を除き、本原則第8条に定める選択的な開示は行わない。
3. 本原則の対象となる開示物及び開示行為
以下は、本原則の対象となる開示物及び開示行為であり、主として開示の根拠となる関連法令または関係機関の規則に則して区分するものである。また、法定開示及び適時開示は、以下に列挙した開示物に限らず、その他に当社が上場する各国の関連法令、証券取引所並びに証券業協会規則等に定めるところがあればこれに従う。
- 1.法定開示
-
法定開示に属する開示物は、関連法令の定める要件及び手続きに則り作成及び開示する。中でも以下に例示された各開示物は、当社の経営成績、財政状態、事業の動向を継続的に開示する基本的かつ重要な法定開示である。
- 本邦金融商品取引法に基づく開示
本邦有価証券報告書、四半期報告書、臨時報告書 - 本邦会社法に基づく開示
株主総会招集通知(議案に関する参考書類も含む)、事業報告、計算書類及び連結計算書類
- 本邦金融商品取引法に基づく開示
- 2.適時開示
-
金融商品取引法に基づく開示制度とは別に、各地の証券取引所や証券業協会が規則を制定し、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす重要性のある事実が発生した際に直ちにその内容を開示することを公開企業の義務として定めるもの。東京証券取引所向けの適時開示は、以下の通り。
- 決算に関する情報
四半期毎の決算短信及びこれに参考資料として当社が任意に添付する資料 - 重要な事実の決定或いは発生に関する情報
重要な事実の決定或いは発生に関する情報に就き、ニュース・リリースと同時にファイリングを行うもの。東京証券取引所の適時開示規則では開示が必要とされない事実についても、本原則第6条に定める重要性のある情報に該当する場合は、自主的にファイリングする。
- 決算に関する情報
- 3.その他の開示物及び開示行為
-
以下の開示は、監督官庁或いは証券取引所宛の提出義務はなく、開示事項に対する関連法令及び規則の直接的な制約はない。但し、財務報告において国際会計基準に準拠しない手段により表示を行う場合は、下記4を除き、その旨を国際会計基準に準拠する手段による表示との対比と共に注記する。
- アナリスト、機関投資家等との全てのコミュニケーション(決算説明会、事業説明会、個別面談、電話・E-Mailによる照会、当社事業施設訪問等)及びこれに伴い当社が発行するIR資料(当社Website掲載分を含む)
- 統合報告書
- 株主通信、サステナビリティレポートなどの開示物
- 子会社の決算に関する情報
4. 開示に係る社内委員会
- 1.開示委員会
- 経営会議の下部組織として開示委員会を設ける。開示委員会は、当社における内外連結ベースでの法定開示及び適時開示並びに不特定多数を対象とする重要なその他の開示物及び開示行為(以下「重要な任意開示」という)に関する原則・基本方針の策定及び社内体制の整備にあたるとともに、法定開示や適時開示、重要な任意開示における情報の重要性や開示内容の妥当性の判定・判断にあたる。
- 開示委員会は、以下の方法により、法定開示や適時開示並びに重要な任意開示に係わる判定・判断を行う。
- a. 有価証券報告書や事業報告書等の重要な法定開示物の開示ドラフトが正確かつ必要な情報を網羅しているかについて判定を行い、経営会議に答申する。
- b. 重要性のある情報の適時開示の要否及び開示内容の妥当性の判定がIR部長の判断を超える場合、開示委員会がその判定にあたる。
- c. 重要な任意開示に関する開示内容の妥当性を判定する。重要な任意開示には、統合報告書並びにサステナビリティレポートのほか、一貫性をもった戦略的対外発信の観点から必要と開示委員会が判断する開示物及び開示行為を含む。
- d. 開示物及び開示行為に高度な経営判断を要する場合には、開示委員会は経営会議に当該案件の開示の具体策を提案する。
- 開示委員会は、CFOを委員長、CSO 及びCHRO を副委員長とし、J-SOX 委員会委員長、人事総務部長、法務部長、経営企画部長、広報部長、サステナビリティ経営推進部長、経理部長、財務部長、IR 部長及び必要に応じ開示委員会委員長が指名する役職員にて構成する。
2.開示委員会事務局- 開示委員会の正事務局をIR 部に置き、副事務局を広報部に置く。
5. 開示に関する役職員の義務
- 当社役職員は、開示に係る事項について、本原則を遵守するとともに、「三井物産役職員行動規範」の関連規定を遵守し、社長、CFO及び上級財経役職員は併せて「上級財経役職員等に係る倫理規程」を遵守する。また、当社役職員は、開示統制評価をはじめとした法定開示に係る内部統制制度に規定された各手続きを遵守する。
- 公正な開示を行うため、当社は、社長、CFO、CFO補佐、CSO、IR部長、財務部長、経理部長、財務部コーポレートファイナンス室長及び経理部決算統括室長を投資家とのコミュニケーションにあたるスポークス・パーソンとして指定する。開示内容の一貫性と選択的開示の回避を確保するため、これら以外の役職員は原則として投資家とのコミュニケーションを行ってはならず、これを行う場合には、都度スポークス・パーソンが認める範囲内において行う。情報開示にあたり、スポークス・パーソンは、職制或いは開示委員会を通じて重要性に係る判定を行う。
- 各役職員は、当社事業における重大な進展の内容を、職制を通じて開示委員会或いはスポークス・パーソンに提供しなければならない。また、当社役員を含む上位者は、有効な開示プロセスに資するため、適時・適切に当社職員に必要な指示を行うものとする。
6. 情報の重要性
本原則において、「重要性のある情報」の定義を以下の通りとする。
証券価格に大きな影響を与える可能性の高い情報、或いは合理的な投資家が投資判断前に知っておきたいと考える情報は『重要情報』である。具体的には東京証券取引所の適時開示規則により開示が求められる情報を対象に、同規則の軽微基準を金額的に下回る基準を自主的に設定し、重要性の判断の指針とする。
また、同規則のバスケット条項(「上場会社の運営、業務若しくは財産又は当該上場株券等に関する重要な事項であって、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」)に対する自主的な金額基準を以下の通り定める。なお、当該基準への該当の有無にかかわらず、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要であると認められる事実等については、同条項に従い開示する。
- 親会社の所有者に帰属する当期利益への会計年度影響額が50億円以上の個別案件
- 400億円超の投融資保証を伴う個別案件
- 1,000億円以上の総資産の増加を伴う個別案件
7. 情報の機密性
- 1.機密性のある情報の管理
- 機密性のある情報は厳重に管理し、適切かつ公正な開示が行われるまで第三者に漏洩してはならない。
- 2.情報の重要性と機密性
-
重要性のある情報は、本原則第2条の定めに従い開示されなければならない。但し、以下の場合に限り、関連する法令の要件の範囲内で一時的に情報の開示を控えることがある。
- 情報の早計な開示が、株主利益に資するよりも損ねることが大きい場合
- 進行中の投資案件、係争案件、若しくは開示が当社事業上または競争上著しい不利益に繋がるその他の営業情報など、その開示が結果として著しく株主利益を損なう場合。
一時的に非公開とする内容及び期間は、飽くまで投資家の適切な投資意思形成を考量の上で妥当と認められる範囲に限られる。
- 3.開示委員会における開示判断
- 機密性を持つ重要性のある情報の開示について、開示委員会は、前項「情報の重要性と機密性」に照らして開示の可否を判断し、開示を行う場合はその方法・時期などの具体策を策定する。必要に応じて開示委員会委員長は、策定内容を経営会議に提案し承認を求める。
8. 選択的開示の禁止と公正なアクセス手段の提供
- 選択的開示とは、重要性のある非公開の情報を一般公開に先立ち特定の人物或いは集団に開示することを指す。かかる選択的開示は、一定の守秘義務契約により情報の秘匿性が担保されている場合を除き禁止する。
- 適時開示にあたっては、投資家に対する公正なアクセス手段を提供するため、各証券取引所におけるファイリングとプレス・リリースに加えて、当社Websiteにおける開示を行うこととし、これらは同一タイミングにて行うこととする。本原則第5条に定めるスポークス・パーソンが、投資家との各種説明会等の場で、本来の意図に反して重要性のある非公開の情報を開示してしまった場合、速やかに適時開示を行う。同様に、本来適時開示を要する重要性のある非公開の情報が、当社による公開に先行して第三者によって開示された場合、速やかに適時開示を行う。
- 投資家との電話での応答、個別ミーティングや小規模のミーティングは、当社の事業内容の適切な理解を促進するために行われるものであり、これらのミーティングにおいて重要性のある情報を選択的に開示してはならない。また、決算説明会を含むラージ・ミーティング、コンファレンス・コールの内容は、当社Websiteを通じて広く公開しなければならない。
- 公表前の決算及び業績見通し情報の漏洩を防ぎ、公正性を確保するため、通期、四半期の業績公表直前の3週間を、決算及び業績見通しに関するコメントを行わない沈黙期間とする。但し、適時開示を行うべき重要事実が発生した場合は、この限りではない。
- 子会社の決算に関する情報の開示は、公正性の観点より、法令等で開示を求められる場合を除き、原則として親会社の公表日時以降行うこととする。なお、上場子会社の決算公表は、親会社の公表同日同時刻が望ましいが、業界動向等を踏まえ、当該上場子会社が決定する。
9. 市場の噂への対応
- 当社は、市場の噂に対して肯定、否定の何れも含めてコメントしないことを基本方針とする。
- 流布されている噂が当社の証券価格に重大な影響を及ぼす可能性があると判断される場合、東京証券取引所或いはその他の証券取引所からの照会、或いは当社によるこれら証券取引所に対する照会を経て、一定の開示を行うことがある。その場合の手法は適時開示に準ずる。
10. 将来予測に係る情報の取扱
- 投資家が当社の事業と将来の経営成績について、適切な評価を行うことが出来るように、将来予測に係る情報を開示することがある。その場合、将来における結果は当該予測情報から乖離する可能性がある旨の注意事項を添付する
- 当社は、東京証券取引所の適時開示規則の規定に従い、決算公表時に通期連結業績見通しを公表する。
11. 法定開示における社内プロセス
- 1.法定開示に係る内部統制
- 有価証券報告書は、本邦金融商品取引法その他の関連法令が要請する内部統制プロセスに基づき作成及び提出されなければならない。
- 2.機関決定
-
以下の重要な法定開示は、取締役会への報告又は付議を要する。
- 有価証券報告書は、開示委員会による審議を経て、取締役会に報告する。
- 株主総会の招集、事業報告、計算書類及び連結計算書類は会社法の規定に従い、取締役会に付議する。
- 3.情報の一元管理
- 1.財務情報
- 財務諸表(注記、補足情報含む)関連情報は、経理部にて一元管理する。
- 2.非財務情報
- 上記1以外の非財務情報については、コーポレートスタッフ部門関係各部の中から、情報の種類別に主管部署を定める。各主管部署はIR部に当該情報を伝達し、IR部は非財務情報を一元管理する。
12. 適時開示に係る社内プロセス
- 適時開示に係る情報は東京証券取引所をはじめとする関連組織に対する窓口であるIR部にて一元管理する。IR部は、広報部と協力して対外発表内容を決定する。
- IR部長は、必要に応じて適時開示に係わる判定・判断のための開示委員会の招集の要否について開示委員会委員長の指示を求め、開示委員会が招集される場合にはその運営にあたる。
13. 開示に係る関連法令及び規則の情報更新・管理
IR部は、開示に係る関連法令の情報更新・管理を行い、適切に関係各部署に伝達すると共に、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に基づき、必要に応じて、情報の重要性に係る自主基準の見直しを提言する。経理部及び財務部は財務諸表(注記事項、補足情報を含む)の開示様式及び会計基準の情報更新・管理を行い、適切に関係各部署に伝達する。
更に、開示に係る重要な関連法令の新設・改廃について、IR部は必要に応じて経理部、財務部及び法務部とその解釈と当社における適用を検討し、関係各部署に伝達すると共に開示委員会に報告する。
14. 本原則の改訂
本原則の改訂は、開示委員会による決定を経て行う。但し重要な変更については、取締役会への付議を要する。
参考:体制図(投資家に対する開示)
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