三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)は、量子コンピューティングをグローバル展開するQuantinuum(クオンティニュアム、CEO:Rajeeb Hazra、以下「Quantinuum」)、日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:森田 隆之、以下「NEC」)と共同での、量子技術を利用したトークン*1(以下「量子トークン」)の実証実験に成功しました。
三井物産とQuantinuumは、Quantinuumが基本特許を有する、量子物理学の特性を活用した複製不可能な量子トークンの実用化にこれまで取り組んできました。量子トークンは理論的にはその原理は証明されていましたが、今回、NECが提供する量子暗号通信*2用の装置と10kmの光ファイバーを利用し、商用化を想定した環境の上で量子トークンの発行と償還を行う世界初の実証実験を実施し、理論上予測されていた通りにトークンの発行と償還が可能であることが確認できました。
量子トークンは従来の通信技術を利用したトークンと比べ、複製が不可能で即時に償還が可能という特徴があり、高速取引やコモディティトレーティングなどの金融分野を中心に、データ復旧や認証など様々な用途への展開が可能です。また今回の実証実験に利用した量子暗号通信は量子コンピュータによる解読が不可能な通信方式として今後インフラの整備が期待されており、量子トークンはこれらのインフラ上での利用が可能となります。三井物産は本成果を通じて今後金融やヘルスケアなど高いセキュリティが求められる分野を中心に具体的な用途を開拓し、5年以内を目途に事業化を推進します。
*1:トークン:デジタル資産やユーザーの情報、アクセス権限など、特定の権利や価値を示すデジタルな証明
*2:量子暗号通信:現在用いられているRSA暗号などの暗号化方式は将来量子コンピュータにより解読されるリスクが指摘されており、この対策として盗聴が物理法則的に不可能な量子の性質を利用した通信方式の開発が各社により進められてる。量子暗号通信はこの量子の性質を利用して暗号化する通信方式。
会社概要
会社名 | Quantinuum(クオンティニュアム) |
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所在地 | 米国コロラド州ブルームフィールド市 |
設立年 | 2021年12月(米Honeywell Quantum Solutionsと英Cambridge Quantum Computingが経営統合) |
代表者 | CEO Rajeeb Hazra |
従業員数 | 約500名 |
事業概要 | Quantinuumは、Honeywell Quantum SolutionsのハードウェアとCambridge Quantumのミドルウェアおよびアプリケーションを併せ持つ量子コンピューティング企業です。科学主導・企業駆動(science led, enterprise driven)で、量子コンピューティングと化学、サイバーセキュリティ、金融、最適化などのアプリケーションの開発を加速しています。エネルギー、物流、気候変動、ヘルスケアなどの分野で、世界で最も差し迫った問題を解決するためのスケーラブルで商業的な量子ソリューションを創造することに重点を置いています。米国、欧州、日本の9つの拠点で、350名以上の科学者を含む480名以上の従業員を擁しています。 三井物産は2024年1月にQuantinuum社に出資参画し、日本・アジア大洋州地域における販売代理店契約を締結しています。 |
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三井物産のマテリアリティ(重要課題)
三井物産は、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現すべく、サステナビリティ経営の重要課題としてマテリアリティを特定しています。 本件は、5つのマテリアリティの中でも、特に「豊かな暮らしをつくる」、「環境と調和する社会をつくる」、「新たな価値を生む人をつくる」の実現に資する取り組みです。
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安定供給の基盤をつくる
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豊かな暮らしをつくる
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環境と調和する社会をつくる
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新たな価値を生む人をつくる
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インテグリティのある組織をつくる