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微生物によるガス発酵技術開発ベンチャーのランザテック社に出資

2014年3月26日


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三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:飯島彰己、以下「三井物産」)は、技術開発ベンチャーであるLanzaTech社(以下「LT社」)の増資に応じ、2,000万米ドルの引き受けを実施しました。尚、三井物産は今回の増資(総額6,000万米ドル)のリードインベスターです。

LT社は、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)を含むガスを微生物による発酵(注)により、エタノールやブタジエンといった燃料・化学品に転換するユニークな処理法を開発し、当該技術のライセンス供与のビジネス化に取り組んでいます。

LT社は、製鉄所からの排ガス(主に一酸化炭素と水素)からエタノールを製造する技術に関して、2012年に中国でデモンストレーションプラントによる実証を完了し、世界初となる、排ガスの微生物発酵技術の商業プロジェクト立ち上げ(2015年操業開始を計画)に現在取り組んでいます。こうしたプロジェクトに加えて、都市ごみをガス化したものや、バイオガスといった原料ガスの多様化、又製品に於いてもエタノールに加えてブタジエン・酢酸やジェット燃料等への転換等多様化を目指し、各分野における優良企業とパートナーを組み、共同開発を進めています。

LT社の技術で製造されるエタノールは、排ガスを有効利用したクリーンエネルギーとして、多くの国で実施されているガソリン添加用のバイオエタノールと同様の利用も今後期待されています。

また、同社は二酸化炭素を含むガスの転換技術開発も進めており、将来、この技術が商業化されれば、温室効果ガスである二酸化炭素をエネルギー・化学品に転換するという、地球温暖化防止に向けた画期的な事業の展開が期待されます。

三井物産は今回の出資を機に、LT社への取締役や出向者を派遣し、パートナーとして同社技術のマーケティングから事業展開、製品のオフテイクまで多角的に関わることで、環境負荷の高い排ガスから次世代バイオ燃料・化学品を生産する新たなビジネスの創造を目指します。

尚、本件は三井物産が2012年10月に設立したイノベーション推進案件制度の第3号案件となります。イノベーション推進案件制度は、社内で設定している投資基準、撤退基準を一部適用除外とし、長期的視点から大きな収益貢献が期待出来る、新たな事業領域への参画を支援する制度です。

(注)発酵とは、一般に微生物が有機物(ブドウ糖等)を分解して微生物の活動に必要な物質を生産する一方、その副産物としてアルコール等を生成(排泄)するプロセスをいいます。LT社が使用する微生物は、一酸化炭素と水素を含む合成ガスに加えて、非常に安定な化合物である二酸化炭素の発酵も可能である点に特徴があります。また、微生物は化学触媒と比較して、非常に低いエネルギーで、反応が可能という特徴もあります。

LT社概要

正式名称 LanzaTech New Zealand Limited (ランザテック)
本社所在地 米国イリノイ州シカゴ
設立年 2005年1月
代表者 Dr.Jennifer Holmgren <ジェニファー ホルムグレン>、最高経営責任者
従業員数 138人
出資構成 Khosla Ventures、Petronas Technology Ventures、Siemens Venture Capital等
事業内容 微生物のガス発酵技術を利用し、一酸化炭素や二酸化炭素を含む排ガスから低炭素燃料、及び化学品を製造する技術を開発。当該技術を供与し、対価を得るのが基本的なビジネスモデル。製鉄所転炉ガスからエタノールを製造する技術に関し、第一商業案件を2015年中に操業開始予定。

LT社 中国・首都鋼鉄とのデモンストレーションプラント

LT社 中国・首都鋼鉄とのデモンストレーションプラント

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