三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)とマイクロ波化学株式会社(本社:大阪府吹田市、社長:吉野 巌、以下「マイクロ波化学」)は、マイクロ波を用いた低炭素リチウム鉱石製錬技術の共同開発におけるパイロット機を完成し、実証試験を開始します。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、モビリティの電動化が一段と進む中で、電気自動車(EV)の電池に使われるリチウムは、世界各国で重要鉱物として指定*1されるなど、経済安全保障の観点からも安定した供給網の確立が求められています。また、リチウム鉱石の処理は化石燃料の燃焼熱を用いるため、製錬工程から排出される多量のCO2を削減することが大きな課題となっており、低環境負荷で製造される低炭素リチウムのニーズが高まる見通しです。
2023年6月27日に発表した本共同開発では、リチウム製錬におけるCO2排出の主要因となっている煆焼*2のプロセスを電化し、環境負荷の低い、世界初となるマイクロ波を利用したリチウム製錬技術の確立に取り組み、新規リチウム鉱山や製錬工場への適用を検討しています。
この度、本技術をスケールアップするにあたり、マイクロ波化学の大阪事業所(大阪市住之江区)にて実証試験を行うパイロット機が完成しました。
本パイロット機は、リチウム鉱石を連続で煆焼処理するマイクロ波昇温装置で、CO2排出量の大幅な削減、及び熱効率改善による省エネルギー化を実現します。今後、こちらを用いて年間約700t規模での試験を実施し、2030年頃の商業化を目指します。
三井物産は、2050年ネットゼロエミッションを目標に掲げ、2030年には2020年3月期比温室効果ガスインパクト半減を目指しています。本事業を通じてリチウムの安定したサプライチェーンを実現し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
マイクロ波化学は、この新しいリチウム鉱石精製技術の社会実装を通して、カーボンニュートラルに向けた取り組みである「C NEUTRAL™ 2050 design」を推進すると共に、「100年以上変わらない化学産業を革新し、モノづくりの世界を変革する。マイクロ波プロセスをスタンダードに。」というビジョンの実現を目指します。
*1 日本の経済安全保障推進法、米国のOne Big Beautiful Bill Act法等
*2 鉱石を高温で加熱して化学組成や結晶構造を変化させる熱処理プロセス
会社概要
会社名 | マイクロ波化学株式会社 |
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所在地 | 大阪府吹田市山田丘2番1号フォトニクスセンター5階 |
設立年 | 2007年 |
代表者 | 吉野 巌 |
従業員数 | 49名(2025年3月末時点) |
事業概要 | マイクロ波化学技術プラットフォームを活用した研究開発からエンジニアリングまでのソリューション提供 |
ウェブサイトURL |

三井物産のマテリアリティ(重要課題)
三井物産は、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現すべく、サステナビリティ経営の重要課題としてマテリアリティを特定しています。本件は、6つのマテリアリティの中でも、特に「持続可能な安定供給の基盤をつくる」、「環境と共生する世界をつくる」の実現に資する取り組みです。
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持続可能な安定供給の基盤をつくる
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環境と共生する世界をつくる
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健康で豊かな暮らしをつくる
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人権を尊重する社会をつくる
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「未来をつくる」人をつくる
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インテグリティのある組織をつくる