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大気中のCO2直接回収事業を推進する米Heirloom社への出資参画

2024年12月5日


三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)は、大気中から直接CO2を回収するDAC(Direct Air Capture)のテクノロジー開発と事業推進を行う米国Heirloom Carbon Technologies, Inc.(エアルーム、以下「Heirloom社」)による第三者割当増資を引き受けました。

世界規模での2050年ネットゼロエミッション実現には、CO2の排出抑制だけでなく、既に排出されたCO2への対処も重要です。最大限の排出削減を行ってもなお、年間20億~100億トンのCO2は削減が困難との試算もあります。これらの排出と相殺するために、CO2を大気中から除去する様々な手法や技術が検討されています。その中でも、規模の大きさや事業立地の柔軟性等から、DACは早期の商業化と社会実装が期待されています。

Heirloom社は、独自のDACテクノロジーを開発し商業プラントも展開する、米国のリーディングカンパニーです。同社は、豊富で安価な石灰石を活用したシンプルかつ大型化がより容易なプロセス、操業の自動化やデジタルを活用した最適化に強みがあります。既に2023年11月から米国初の商業プラント(カリフォルニア州トレーシー、CO2回収規模1千トン/年)の稼働を開始し、米国エネルギー省の補助金を獲得しつつ、次なる大規模プラント「Project Cypress」(プロジェクトサイプレス、ルイジアナ州シュリーブポート、同約30万トン/年)の開発を進めています。さらに、将来的なスケールアップを通じたコストダウンも計画中です。同社は、回収したCO2をコンクリートや地下に半永久的に・安全に固定し、長期貯留性や環境影響、除去効果の算定・検証等の観点で高品質なカーボンクレジットを創出し、Microsoft等の気候変動対策へ積極的に取り組む企業に販売しています。

Heirloom社には、三井物産を始め、三菱商事や商船三井、日本航空といった日本企業も出資参画しています。

三井物産は、今回のHeirloom社への出資参画と、今後の協業を通じて、DACに関する知見を深め、DACを起点に、世界各地で推進中の他事業と組み合わせた、総合力あるカーボンマネージメント産業を創造していきます。具体的には、CO2を回収・貯留するCCS(Carbon Capture and Storage)事業と組み合わせたDACCS(Direct Air Capture with Carbon Storage)事業への発展や、DACのみならず森林等に由来する様々なクレジットを扱う販売プラットフォームの拡充、DACで回収したCO2を原料とするカーボンニュートラル燃料の製造・販売を目指しています。

会社概要

会社名 Heirloom Carbon Technologies, Inc.(エアルーム カーボン テクノロジーズ)
所在地 米カリフォルニア州ブリスベン
設立年 2020年
代表者 Shashank Samala(シャシャンク・サマラ、CEO & Co-Founder)
従業員数 150名
事業概要 石灰石を用いた独自のDAC技術開発、同DAC技術によるCO2回収・カーボンクレジットの創出・販売
ウェブサイトURL

https://www.heirloomcarbon.com/

米国初のDAC商業プラントのCO<sub>2</sub>吸着トレイ塔(カリフォルニア州)米国初のDAC商業プラントのCO2吸着トレイ塔(カリフォルニア州)
Heirloom社のDACプロセス概念図Heirloom社のDACプロセス概念図

三井物産のマテリアリティ(重要課題)

三井物産は、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現すべく、サステナビリティ経営の重要課題としてマテリアリティを特定しています。 本件は、5つのマテリアリティの中でも、特に「環境と調和する社会をつくる」の実現に資する取り組みです。

  • 安定供給の基盤をつくる

    安定供給の基盤をつくる

  • 豊かな暮らしをつくる

    豊かな暮らしをつくる

  • 環境と調和する社会をつくる

    環境と調和する社会をつくる

  • 新たな価値を生む人をつくる

    新たな価値を生む人をつくる

  • インテグリティのある組織をつくる

    インテグリティのある組織をつくる

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