アラブ首長国連邦(以下「UAE」)アブダビ首長国(以下「アブダビ」)国営石油会社(Abu Dhabi National Oil Company(略称:ADNOC))、ENEOS株式会社(本社:東京都千代田区、社長:齊藤 猛、以下「ENEOS」)、三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)の3社は、共同事業化検討契約書を締結し、UAEと日本間のクリーン水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を開始します。
本検討は、アブダビのルワイス工業地域内に所在するADNOCの製油所・石油化学工場由来の副生水素、および天然ガスから生産されるブルー水素※1を、効率的な水素の輸送形態であるメチルシクロヘキサン(MCH)※2に変換し、日本に輸出することを目的としています。3社は、年間5万トン規模の水素生産設備の技術実証と、商用段階を想定した年間20万トン規模への拡張可能性に関するフィージビリティスタディーを実施します。
ADNOCは、脱炭素ビジネスへの取り組みを加速させており、油田を活用したCO2の回収・貯留に加え、製油所・石油化学工場などの既存設備を活用した競争力の高いブルー水素供給事業の確立を目指しており、本検討ではその一環として、水素製造部分の検討を担当します。
ENEOSは、2040年グループ長期ビジョンにおけるありたい姿の一つとして「低炭素・循環型社会への貢献」を掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいます。CO2フリー水素サプライチェーンの構築を推進する同社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から採択された「グリーンイノベーション基金事業」である「MCHサプライチェーンの大規模実証」の一環として、UAEにおけるMCH製造および出荷設備の検討を行ってまいります。
三井物産は1970年代からUAEにてADNOCと共に液化天然ガス(LNG)事業の開発・運営をしています。また、2017年からは次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)に参画し、MCHを活用した大規模水素輸送及び貯蔵の研究開発にも取り組んでいます。同社は、LNGや水素関連事業等を通じて得た知見及びノウハウを最大限に生かし、プロジェクトの全体管理を担当します。
3社は、これまで培ってきた技術や知見のほか、それぞれが保有する資産を活用することで、カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2フリー水素の安定的かつ経済的なサプライチェーンの構築を目指します。
※1 生産過程で排出されるCO2を回収・貯留した水素
※2 常温・常圧下では液体状態の炭化水素化合物で、タンク・配管・桟橋等の製油所の既存設備や、ケミカルタンカー・ローリー等の石油・化学品の輸送インフラを活用した輸送・貯蔵が可能
ADNOC概要
会社名 | Abu Dhabi National Oil Company(アブダビ国営石油会社) |
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設立年 | 1971年 |
所在地 | アラブ首長国連邦/アブダビ |
事業内容 | アブダビ首長国の国営石油会社 |
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三井物産のマテリアリティ(重要課題)
三井物産は、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、大切な地球と人びとの豊かで夢あふれる明日を実現すべく、サステナビリティ経営の重要課題としてマテリアリティを特定しています。 本件は、5つのマテリアリティの中でも、特に「安定供給の基盤をつくる」、「環境と調和する社会をつくる」の実現に資する取り組みです。
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安定供給の基盤をつくる
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豊かな暮らしをつくる
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環境と調和する社会をつくる
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新たな価値を生む人をつくる
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インテグリティのある組織をつくる