[新たな価値創造への挑戦]
より豊かで便利、健康的な中食(なかしょく)事業で米国に収益の柱をつくる
株主通信 2019年夏号
米国における中食産業
三井物産は、米国の食品製造・販売会社であるHans Kissle Company, LLC(以下ハンス・キッスル)に出資参画しています。ハンス・キッスルはニューヨークやボストンなどの都市部においてデリ惣菜などを販売する食品製造・販売会社です。米国では、調理済みの惣菜などを購入して自宅で食べるいわゆる「中食」が急成長しています。
当社でも中食分野を注力分野の一つに設定し、米国における収益の柱とすべく新しい挑戦を始めています。
調理の手間なく楽しめる「中食」市場が大きく拡大
米国の食文化と聞いてまっさきに思い浮かぶのは、ファストフード、ピザなどのデリバリーフード、あるいは家庭のオーブンで焼く大きなチキンやパイなどの家庭料理でしょうか。
近年の米国では、ライフスタイルの多様化などにより、食に対する考え方も変わりつつあります。その代表例が、中食市場の急速な拡大です。中食とは、「調理済みの惣菜や弁当などを買って自宅などで食べるスタイル」を指します。米国の中食市場には、日本など外国の食品メーカーも続々と参入。年率8%程度で成長する注目の市場となっています。
健康によい食事やおいしさを求めるニーズの増加
中食市場の活性化に伴い、健康的でおいしいもの、他とは違う差別化された商品を求める人も増えています。米国でも、消費の中心を担いつつある1980年以降に生まれたミレニアル世代が、おいしいもの、体にいいものにプレミアム価格を支払う傾向にあります。
当社は、日本の食品流通事業で培ってきたノウハウを活かせると考え、この中食市場を注力分野の一つに設定しました。成長が期待される米国中食市場において、事業主体者となり、収益の柱をつくることを目指しています。
米国の中食事業における二社の強みと目指すもの
ハンス・キッスルの競争力・販売網を“日本流”のノウハウや既存の事業会社との連携でさらに強化・拡大する
高い品質管理レベルと商品開発力を持つハンス・キッスル
ハンス・キッスルは1984年にマサチューセッツ州に設立。以来、米国東海岸北部の大手スーパー向けを中心にデリ惣菜やメインディッシュ、デザートなど幅広い食品の開発製造・販売を展開してきました。高い品質管理レベルによる、安心安全でおいしい商品の開発製造実績を強みに、成長する米国中食市場で着実にビジネスを拡大しています。
当社は今年1月、ケンコーマヨネーズ株式会社とともに同社株式を100%取得。米国中食市場への参入の機会を捉えました。
長年にわたり培った食品流通事業のノウハウと米国国内の系列会社の機能を活かす
当社は、長年にわたり日本の食市場で培ってきた、商品開発力、品質管理能力、商流・物流管理能力などノウハウやアセットを活用し、ハンス・キッスルの競争力・販売網の向上を目指します。
また米国には、当社が全米最大の農協CHSと設立した食用油脂製品の製造販売会社ベンチュラ・フーズ社や、中間流通を担う三井フーズ社などがあります。これらの事業会社との連携も見込んでいます。
米国のより豊かな食文化づくりに貢献し三井物産の企業価値向上を図る
近年著しく成長する中食市場において主体的に事業展開
ハンス・キッスルへの出資参画が当社にとって新たな価値創造への挑戦であるのは、米国の食品業界で初めて、主体的に展開する事業であるからです。米国と日本では、食事や食材への考え方が違うのはもちろん、包装資材などへの意識にも異なる点が多くあります。こうしたギャップを埋め、いかに米国の消費者のニーズに応えられるかが成功の鍵となります。
手軽で便利なだけではない、健康志向で安心といった付加価値を持つ中食の生産・販売を手がけていきます。
米国でのプレゼンス向上とともに豊かな食文化への貢献を目指す
日本国内においては、数十年前とは比較にならないほど、調理済みの惣菜や弁当などの品質は高まり、消費者は多彩な商品の中から自身の好みやライフスタイルに合ったものを選べるようになりました。米国においても、人口増を背景とした食品市場が拡大し、食へのニーズも多様化し続けると見られています。当社は、ハンス・キッスルを中核として、規模感のある事業基盤の構築を目指しています。米国における当社のプレゼンスを高め、ひいてはより豊かな食文化に貢献するために、今後も同国の中食事業に取り組んでいきます。
本ウェブサイト上にて開示されているデータや将来予測は、それぞれの発表日現在の判断や入手可能な情報に基くもので、種々の要因により変化することがあり、これらの目標や予想の達成、及び将来の業績を保証するものではありません。また、これらの情報が、今後予告なしに変更されることがあります。従いまして、本情報および資料の利用は、他の方法により入手された情報とも照合確認し、利用者の判断によって行なって下さいますようお願いいたします。また、これらの情報は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。これらの情報は無償で提供されるものであり、内容には細心の注意を払っておりますが、情報の誤りやファイルの瑕疵、その他本資料利用の結果生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いません。