Main

[新たな価値創造への挑戦]
長い歴史の中で培った「商品軸」と「地域軸」にデジタル技術を掛け合わせ、新たな価値を生み出す

株主通信 2018年冬号


デジタルトランスフォーメーション戦略

企業活動におけるデジタルトランスフォーメーションとは、ひとことでいえば、デジタル技術を駆使して収益向上を実現していく取り組みのことです。
当社もデジタルトランスフォーメーション戦略を策定し、既存事業の良質化と新たなビジネスの創出に動き出しています。

2つの戦略で収益向上を目指す

当社事業にとってのデジタルトランスフォーメーションとは

たとえばパソコン画面で注文ボタンをクリックするだけで自宅に商品が届いたり、小さなスピーカーに話しかけるだけで思いのままに電化製品を操ることができる…こうした暮らしは、数十年前には考えられないものでした。これらはまさに、デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術の革新)によってもたらされた劇的な変化といえます。

当社事業においても、新たな価値創造のためにはデジタル技術のさらなる活用が不可欠と考え、総合商社ならではの強みを生かした戦略を2点掲げています。一つは「既存事業の良質化」、もう一つは「新たなビジネスモデルの創出」です。

AI技術に深い知見を持つパートナー企業との戦略提携

三井物産の生業は元々トレーディングであり、総合商社として築いてきた間口の広い商品分野、世界各国・各地域との深い関わりが当社の強みです。特に中核分野である金属資源・エネルギー事業やインフラ事業などでは、デジタル技術の活用による効率化と横展開を追求していきます。

また、新たなビジネスモデルの創出を目指し、特にAI技術に関する深い知見を持つ各国の企業との戦略提携、それを通じた人材活用を重視しています。単に「手間や無駄を省く」「便利になる」といったことだけではなく、これまでにないサービスやインフラの開発を目指します。

戦略1.既存事業の良質化

グローバルに展開する多種多様な現場で、ICT(情報・通信技術)を駆使し、現場の生産性改善やコスト削減による収益性アップを行う。

事例:IoTの活用で業務コストを削減

当社が戦略提携契約を結ぶ米国OSIsoft, LLC(以下OSI社)の「PI System」は、バラバラに蓄積された膨大なデータを一元化。誰もが簡単に利用できる形で提供している。

事例:IoTの活用で業務コストを削減

IoT企業の技術を活用し遠隔監視業務の実証実験が進行中

IoT時代の本格到来を前に、当社は2016年3月に米国の産業向けIoTデータ管理基盤ソフトウェア企業のOSI社に出資参画し、戦略提携契約を結びました。

当社では同社の主力商品であるPI System(パイシステム)を活用し、当社グループ全体の事業効率化やコスト削減に取り組むことで、ビジネスモデル自体を進化させていきます。すでに発電所の操業状態をリアルタイムで遠隔チェックする実証実験を実施しましたが、今後、当社が保有する他工場やプラント設備などにも同システムを導入していきます。

発電設備の遠隔監視システム実証実験が進行発電設備の遠隔監視システム実証実験が進行

バラバラのデータを一元管理。“誰もが簡単に利用できる”状態に

当社は国内における建設業界の生産性改善にも取り組んでいます。同業界は高齢化等により、将来的に労働者が不足すると予測されています。また、各現場ではIT化が進んでいるものの、蓄積されたデータの形式や保管場所がバラバラで、相互活用が難しい状況にありました。建設現場のノウハウの共有や作業の効率化などを目指し、当社では重要パートナーである(株)小松製作所と協議を深め、IoT技術の活用に着手しています。その第一弾として、建設現場における燃料給油サービス事業を進めます。

戦略2.新たなビジネスモデルの創出

多種多様なパートナーと戦略提携し、事業の知見を活用し合うことで新たなビジネスモデルの創出を行う。

事例:ダイナミックプライシング

「高くても売れる席」なのか「売れ残りそうな席」なのかをAIが柔軟に考えてチケットの値段を決める。経験や勘に頼りがちな料金設定の仕組みを、AIが最適化する。

スポーツ観戦チケットの例

スポーツ観戦チケットの例

AIが適正価格を決めるダイナミックプライシング

欧米では、機械学習などAI技術を使い、リアルタイムに価格を変動させることで需要の調整を図る「ダイナミックプライシング」がさまざまな業界で導入されてきています。ダイナミックプライシングでは、商品、市況、天候、個人の嗜好などに関する膨大なデータをクラウド上のプラットフォームで迅速に分析し、需要の予測に沿って価格を自動的に調整することで顧客のニーズに即応し、収益向上に役立てられるとされています。

当社でも、重要パートナー各社との業務提携を通じ、需要に応じて野球観戦チケットの価格を変動させる実験を行い、ダイナミックプライシング事業化に向けた準備を進めてきました。

2017年にはヤフー(株)および福岡ソフトバンクホークス、ぴあ(株)および東京ヤクルトスワローズの各社と実証実験を実施しました。

そして2018年6月、当社はヤフー(株)とともに、ダイナミックプライシング事業を行うダイナミックプラス(株)を設立しました。また、ぴあ(株)が出資参画し、業務提携契約を締結しました。福岡ソフトバンクホークスやサッカーJ1の横浜F・マリノスがこのシステムを本格的に導入し、その収益向上に貢献しています。今後は同社を通じてエンターテインメント分野はもちろん、ホテル、駐車場、物流などのサービス型ビジネスを提供する業界に向けて、事業を拡げていく予定です。

AI技術によるサッカー観戦チケットの“変動価格制”導入は、ダイナミックプライシング事業の一例AI技術によるサッカー観戦チケットの“変動価格制”導入は、ダイナミックプライシング事業の一例(写真はイメージ)
  • IR優良企業大賞
  • ディスクロージャー2024年度優良企業賞
  • FTSE4Good
  • FTSE Blossom Japan Index
  • Member of Dow Jones Sustainability Indices
  • インターネットIR・sustainability 優秀賞

本ウェブサイト上にて開示されているデータや将来予測は、それぞれの発表日現在の判断や入手可能な情報に基くもので、種々の要因により変化することがあり、これらの目標や予想の達成、及び将来の業績を保証するものではありません。また、これらの情報が、今後予告なしに変更されることがあります。従いまして、本情報および資料の利用は、他の方法により入手された情報とも照合確認し、利用者の判断によって行なって下さいますようお願いいたします。また、これらの情報は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。これらの情報は無償で提供されるものであり、内容には細心の注意を払っておりますが、情報の誤りやファイルの瑕疵、その他本資料利用の結果生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いません。