©Natsuki Yasuda

百万本の苗木の母。

石村 章子さん

特定非営利活動法人 地球の緑を育てる会 理事長

1943年中国大連生まれ。東京女子大学文理学部英米文学科卒業。日本興業銀行外国部勤務ののち、結婚退社。1995年に日本沙漠緑化実践協会事務局長に就任、中国の砂漠緑化に尽力する。2001年にNPO法人地球の緑を育てる会を設立。

 どんぐりを集めて、育苗ポットに植える。NPO法人地球の緑を育てる会では、子どもから大人まで、誰でも取り組める「どんぐりポット苗」の育成を行っている。理事長の石村章子さんは、会を設立した2001年の秋に、拾ったどんぐりでも苗に育てれば、地球緑化に役立つ貴重な資源になると知り、育成を開始。「私たちが育てる苗は、シイ、タブ、カシを中心とする常緑広葉樹。顧問である横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生が提唱する『ふるさとの木によるふるさとの森づくり』に適う育苗を行っています」。

 同会の苗場があるのは、茨城県のつくばみらい市。活動に賛同する地元の建設会社から提供いただいた土地で、約8万本の苗を育てている。「当初は私もメンバーも育苗は初めて。枯らしてしまいそうになるなど、いろいろなことがありました。でもやめたいと思ったことは一度もありません。育てた苗を植林することは、地球温暖化防止の観点からも、また地震や自然災害からの防災面からも、意義のあることだと思っています」。

©Natsuki Yasuda

拾ったどんぐりをまいてから、苗として使えるようになるには約3年。除草、水やり、施肥など時間と手間をかけてじっくりと苗を育む。

 石村さんが環境緑化に携わるようになったのは50歳を過ぎたころ。「子育てもひと段落した時に、今は亡き夫の勧めで中国の砂漠緑化に取り組むNGOのお手伝いをすることになったんです」。その後、広く日本での緑化にも取り組みたいと「地球の緑を育てる会」を設立。当初は住まいのある横浜からつくばみらい市まで毎週通っていたが、「万一苗が枯れたときに誰が責任をとるんだろうと考えたら、それはやっぱり私だろうと思ったんです」と、引っ越しを決意。「背中を押してくれたのは、宮脇先生の『いいと思ったら動きなさい。そしてやるなら本気でやりなさい』という言葉でした」。

 植樹活動は順調に広がり、育てた苗木は地元の筑波山神社林の植樹をはじめ、関東、東北、北陸の自治体や企業の緑化のために出荷され、東日本大震災後は、石巻、岩沼、いわきなどでの植樹にも提供されている。誰もができる環境保全活動として始まったどんぐりの苗木づくり。大切に育まれた苗は各地に根付き、その枝を大きく広げている。

©Natsuki Yasuda

【助成案件名】3年3万鉢のどんぐりポット苗育成・植樹ボランティア活動
【助成期間】2006年1月〜2008年12月(3年)

「10年間で出会った15人」をもっと見る

ページTOPへ