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皆さん、おはようございます。社長の堀です。
今日ここに皆さんを迎えることができて、大変嬉しく思います。それと同時に、高い志を持つ138人の新しい力が当社に加わることをとても頼もしく感じています。皆さんの顔を見ていると、大変充実した学生生活を過ごし、いよいよ社会に一歩を踏み出すという気概を感じ取ることができます。
皆さんが三井物産に入社する今日、世界を見渡せば、従来の価値観や常識が通じない、混沌とした時代に入っており、そのような状況が今後も続くことが予想されます。当社のビジネスも、日々変わる世界情勢の波に晒されています。その中で、皆さんの仲間は夫々の持ち場で奮闘し、様々な地域や事業に特有の課題を見つけ、世界中のパートナーや顧客と対話し、難しい交渉を重ねながら、ビジネスを通じて世界をより豊かにするために毎日一歩ずつ進んでいます。今日からは、皆さん一人ひとりがグローバルなビジネスコミュニティの一員として多種多様な課題に向き合い、着実に努力を重ねて三井物産という舞台で自分の能力を存分に開花させて行って欲しいと思います。
「挑戦と創造」は当社のDNAです。不確実性の高い時代の中、皆さんが当社でのキャリアをスタートするに当たり、この「挑戦と創造」を実践し、三井物産が創り出す舞台でプロフェッショナルとして発展していくのに大事なことを3つお話したいと思います。
一つ目は、当社でどのようにプロフェッショナルとして成長していくかについてです。皆さんは今日から夫々の担当分野における「プロ」を目指していきます。ビジネスパーソンとして成長するときに、現場での経験ほど重要なことはありません。徹底した事前準備と、あらゆる施策を実践し尽くして成し遂げた仕事は、必ずその人の自信になり、その後のキャリアに繋がっていきます。順風満帆ではない事業の担当となったときは、いかに工夫を重ねても上手く行かず、非常に苦しく感じることもあると思いますが、我々はその苦労をしっかり見ています。安心して業務に没頭し、将来の糧として下さい。
そして、成功と同じくらい重要なのが、失敗や自信を失う経験です。これから皆さんがキャリアを積んでいく中で、難しい課題に直面し、或いは、周りの社員、顧客やパートナーを前に、自分の力不足を痛感し、自分にクエスチョンマークを付けてしまうこともあろうかと思います。心配無用です。私を含め、先輩達が例外なく通ってきた道です。そういう時には、自信が湧くまで、とにかく事前準備と努力を積み重ねることです。それでも失敗したときは、強い自省が生まれ、その経験は将来の成功の礎となっていきます。やがて真の実力が磨かれ、プロとしての力量が身に付きます。昔の上司に言われた言葉で“Dare to be wrong”と言う言葉があります。「失敗を恐れるな」という日本語に略近いと思います。考えや打ち手を尽した上での失敗を怖がったり、恥じたりすることはありません。
二点目としてリーダーシップの発揮について触れたいと思います。誰もが生まれながらにしてリーダーというわけではありません。ただ、皆さんがこれからの会社生活において、目の前にある仕事や課題について、自分が一番詳しく、ベストなアイデアや解決策を持っていると思えた時、その時は、勇気をもってリーダーシップを発揮して欲しいと思います。同じように、他のメンバーのアイデアに共感した時、今度はその仲間を積極的にサポートして欲しいと思います。また、自分だけで解を見つけられない時は、協力し合い、チームとしてお互いを補い合う姿を見せてくれることを大いに期待します。
誰もがある時はリーダーや主役、ある時は積極的に名脇役となり、当事者意識に裏打ちされた柔軟さで自らの役割を果たすような、そんな経験を重ねて欲しいと思います。皆さんには、自立したプロであると同時にチームプレーのプロでもあり、チームの力を最大化出来る、物産流のビジネスパーソンに成長し、会社の新たな未来を形作っていって欲しいと思います。
最後に、人間が固有に持つ力についてお話ししたいと思います。技術革新によりビジネスの環境が大きく変わる中、総合商社はこれまで何度も冬の時代を創意と工夫で乗り越えて来ました。そして現在、生成AIは日々進化し、ビジネスパーソンの価値すらも定義しづらくなってきました。そのような状況下、改めて、最強のAIでも出来ないことは何か、人間だけに出せる付加価値とは何かと考えてみると、将来こうありたいという姿を思い描き、社内外で共感を得て仲間を作り、ことを興す、ビジネスを作るといったことは人間にしか出来ないのではと考えます。また、厳しい状況が続いてもそれを乗り越える過程に楽しみを見出したり、自由闊達に意見を出し合ったりすることで良いものを作ろうと気持ちを新たにする、そうしてまた成長していく、そんな強さも人間は持っています。様々なスキルを身に付け、徹底的にAIを使い倒すことも、勿論重要です。同時に、自ら現場に出向き、生きた情報に触れ、相手の顔を見て背後にある物語や歴史、こだわりを伝え、五感とイマジネーションを働かせ、何が本質で、今何をすべきなのか、ぜひ考え抜いていってください。三井物産という舞台でお互いに切磋琢磨していく中で、皆さん一人ひとりのユニークな個性とビジネスパーソンとしての強さを磨いて行って欲しいと思います。
皆さんの新しい旅の始まりを、心から祝福します。一緒に当社の未来を築いていきましょう。