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2021年「年頭の辞」

2021年1月4日


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三井物産 社長 安永竜夫による全役職員向け「2021年 年頭の辞」を下記の通りお知らせします。

三井物産グループの皆さん、明けましておめでとうございます。新年を皆さんと共に迎えるにあたり、私からごあいさつ申し上げます。

環境認識

新型コロナウイルス感染の世界的な拡大に直面してから約1年が経過した今なお、感染の抑制には至らず、健康と安全の確保に最大限の注意を払わなければならない状況が続いています。ワクチン開発の兆しはありますが普及体制が確立するまでは、感染の抑制と経済活動の両立の難しい舵取りを続けていく必要があるでしょう。

日本では長期にわたる安倍政権を菅首相が引き継ぎ、米国では新政権が選出されるなどの大きな動きもありました。地政学リスクの高まりには十分な注意が必要ですが、米国の「パリ協定」への復帰、EUの複合的なグリーンディールの影響、並びに菅内閣の「2050年までの温室効果ガス実質ゼロ」表明などにより、グローバルな脱炭素化の動きが着実に加速化していくでしょう。これらの変化をビジネス機会と捉え、既存事業の知見やネットワーク、そして本部間協業によるシナジーを活かし、再生可能エネルギー・水素・蓄電・CCUSなどGHG削減に繋がる新規事業や、データを活用した物流・人流の効率化やデジタルインフラ領域への取り組みなどを、積極的に進めていきたいと考えています。

このように事業環境が大きく変化する中、新しいリーダーシップのもとで「変革と成長」をさらに強力に推し進めていくために、4月から堀さんに次期社長を担っていただくことになりました。社長として執行に携わる残りの3か月間、最後まで皆さんと共に全力で走り続け、しっかりと襷(たすき)を引き継いでいきます。

企業の存在意義

近年、欧米型株主資本主義の見直しに端を発し、企業の経済活動そのものが社会の要請に応えるべきであるという意味での「社会的責任」が、市場において以前にも増して問われるようになってきています。我々も、会社とは何か?組織とは何か?という根源的な問いを常に意識することが必要です。

昨年来、私自身も「Purpose」すなわち「三井物産の存在意義」を明文化しないのかという問いを、さまざまなステークホルダーから受けることがありました。皆さんもご存じの通り、当社は2020年5月にMission Vision Valuesの改定を発表しています。「Purpose」を、「自分たちは何のために存在しているのか」「社会に何を働き掛けていきたいのか」ということを表す言葉として定義づけるのであれば、私たちのMission・Visionの中にその概念は込められており、あえて今新たな言葉を紡ぎ出す必要はないと考えています。

一方、「三井物産の存在意義は何か」という正面からの問いにあえて私自身の言葉で答えるとすると、「世界経済の発展とグローバルな課題解決のために、新しい事業を創り、産業を興し、人を育て、事業・ビジネスを生み出すこと」になります。会社を一歩出れば、皆さんも「他社との違いは何か」といった形で質問を受けることがあるかと思います。不確実性が高まり、先が読みにくい世の中になったからこそ、この機会に私たちの使命、価値観、目指すところを社員の皆さんも改めて「自分ごと」として考えてください。

真の変革と成長に向けて

時代や社会の変化にあわせ、当社は自らの業態を変革しながら、長年にわたり産業価値を創出してきました。中期経営計画のテーマである、「変革と成長」を達成するには、これまでの常識・慣習を含めゼロベースで見直していく必要があります。

日本の既存制度が抱えるさまざまな課題はコロナにより浮き彫りになったともいえますが、私たち自身も一歩先をにらみながら、目の前の課題にしっかりと向き合っていかなければなりません。覚悟をもって行う「変革」はときに痛みを伴うかもしれませんが、私たちの「多様性」を力に、たゆまぬ「学び」を続け、それを「行動」に移していくことで、必ず成長につなげていくことができると信じています。

結び

先ほども申し上げた通り、将来を予想することがますます難しい時代になっていますが、挑戦と創造の精神で自己変革と進化を繰り返してきた三井物産の強みを、まさに発揮すべき時代だと思っています。そして、リーダーが変わっても、我々のDNAは常に進化しながら、脈々と受け継がれていくものと信じています。盛者必衰の理を述べるまでもなく、「No Challenge, No Change」ということを肝に銘じながら、2030年に向かって新たなステージで躍動する三井物産グループをつくり上げていきましょう。

今年も皆さんとご家族が健康であること、そして実り多き一年になることを祈念して、私の年頭の挨拶とします。