Main

2020年入社式挨拶

2020年4月1日


Main Contents

皆さん、入社おめでとうございます。ようこそ三井物産へ。社長の安永です。
本日は昨今の新型コロナウィルス関連情勢に鑑み、Webでのメッセージ配信となりました。皆さんの決意と期待に溢れた眼差しを直接見ることができないのは残念ですが、新入社員の皆さんを含め社員一同でこの難局を乗り越え、経営環境の変化にしっかり対峙していくことができると確信しています。
今年度は、「変革と成長」をテーマとした新しい中期経営計画がスタートし、来月から新社屋に移転するなど、当社にとって新たな門出となる重要な年になります。皆さんも荒波の中での新たな門出となりましたが、今日は今後の長い社会人生活の中で心に留めて置いて欲しい点を2点お話ししたいと思います。

現場感覚を磨く

1点目は「現場感覚を磨く」ということです。
当社は全世界66ケ国で様々なパートナーと事業を行っています。皆さんの活躍を待つビジネスの主戦場は世界であり、日本はその一部に過ぎません。ともに働く当社の連結ベースの社員4万4千人のうち日本人は半分以下です。日本の中にとどまって日本人目線で仕事を考えていたのでは世界のダイナミックな動きからあっという間に取り残されてしまいます。
来月から皆さんとともに新しいオフィスでの業務を開始する予定ですが、オフィスは飽くまでも仕事の準備を整える場所です。準備が整ったら、価値を生みだす「現場」に飛び出していってください。そして、吸収力の高い若いうちに、多様な人材と切磋琢磨し価値観や思考様式の違いを体感し、その中から知的な化学反応を起こしていって頂きたいと思います。
私自身も、20代の頃に中国語を3ヵ月で習得するように言われ台湾に派遣されたり、英語も通じないインドネシアのスマトラの奥地にプラントビジネスで長期間張り付いたりした経験があります。入社10年目に世界銀行に出向し、多種多様な価値観、歴史観を持った人材が集まる組織の中で「自分の価値は何なのか?」を考え抜きました。こうした経験がその後の私自身の商社パーソンとしての土台を築く貴重な経験となっています。

修羅場が個を磨く

2点目は「修羅場が個を磨く」ということです。
三井物産のDNAは、社名に刻まれた「物を産む」、つまりビジネス、事業を産み出すことであり、創業以来この精神は変わっていません。皆さんは、是非このDNAを継承し、新しいビジネスを主体的につくることに果敢に挑戦して頂きたいと思います。
ここで覚えておいて欲しいのは、当社の仕事は、新しいビジネスを単に「つくっておしまい」ではないということです。産み出したビジネスはしっかりと育てなくてはなりません。
新しいビジネスを産み出す過程では数々の困難に遭遇し、所謂産みの苦しみを味わいますが、産み出したビジネスを育てる過程でも、想定外のことが起きて事業の軌道を修正したり、上手くいかなくなった事業を立て直したり、時には事業そのものから撤退したりと、華やかさからは程遠い、地道で根気のいる「すごくしんどい仕事」や「泥臭い仕事」もあります。
当社には、こうしたビジネスの様々な局面でチャレンジングな仕事を経験する場が沢山あります。皆さんには、任された仕事がどんな仕事であってもその仕事に「オーナーシップを持って最後までやり遂げる力」を身に着けていって頂きたいと思います。修羅場経験の一つ一つが皆さんを間違いなく「強い個」に磨き上げてくれます。
当社には、「人が仕事を創り、仕事が人を磨く」という先人の言葉があります。一人一人が仕事を創ることに挑戦し、その仕事の様々な局面で個が磨かれ、より強くなった個がまた新しい仕事を創っていく、それが、当社が創業以来綿々と続けていることなのです。

終わりに

これから皆さんが働く職場には、三井物産の未来を担う事業を担当している魅力溢れた先輩たちが沢山います。こうした先輩たちと自由闊達に議論を交わし、切磋琢磨しながら成長していって欲しいと思います。
当社は歴史的にビジネスモデルを変えることで成長してきましたが、改めて今、思考や行動様式を大胆に変革し、新たな高みに飛躍しようとしています。皆さんのフレッシュな発想が当社に新しい風を吹き込み、当社がもう一段高いステージに踏み出す原動力になることを期待しています。
当面は不自由な状況が続きますが、この状況が未来永劫続くわけではありません。近いうちに皆さんと直接会える時を楽しみにしています。
改めて皆さんの入社を心から祝福し、歓迎の挨拶と致します。今日は本当におめでとうございます。