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2015年「年頭の辞」

2015年1月5日


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三井物産 社長 飯島彰己による全役職員向け「2015年 年頭の辞」を下記の通りお知らせします。

皆さん明けましておめでとうございます。

環境認識

はじめに、世界情勢を見てみると、全体としては緩やかな経済成長が持続しているものの、個別には、安定した成長を続ける米国、消費増税の影響が長引く日本、景気が弱いままの欧州、そして従来に比べると成長が鈍化した新興国など、まだら模様を呈しています。さらに中東やウクライナなどの地政学上の個別の問題も同時進行しています。国と国、地域と地域が一層緊密になっていくグローバル化の潮流の中で、個別の状況が全体の動きに与える影響がこれまで以上に強くなっていると認識しています。
一方、当社の経営状況を振り返ると、昨年は、5月に新中期経営計画を公表し、9月にはブランド・プロジェクトの新しいロゴとスローガンを発表、11月には新社屋建設のために引っ越しをするなど、一つ一つ新しい三井物産の実現に向けたマイルストーンを達成することができました。特に新中期経営計画については、当社の強みである「つなぐ力」を活かした7つの攻め筋や、強靭なキャッシュフローを基盤とした新規投資と株主還元の両立といった重要な経営方針が、社内外に着実に浸透しているという手応えを感じています。定量面においても、上半期は、全体としては連結税後利益、EBITDAそしてフリーキャッシュフローとも、高いレベルで推移させることができたと認識しています。
そうした中で、本日は、二つお話します。

個を鍛え組織で戦う

一つ目は、「個を鍛え組織で戦う」ということです。
これは、当社が総合力を発揮していくための基礎として、初心に返って謙虚に個人個人と、個々の仕事を鍛え直す意識を持ってほしい、ということです。
新中期経営計画は、既存案件とパイプラインプロジェクト、および7つの攻め筋を中心にした新規案件を期待通りに実現していくことをその基軸としています。昨年、この場で「期待と実現の連鎖」を目指すと話しましたが、新中期経営計画においても、皆さんが取り組む案件のまさに一つ一つの実現が期待され、一つ一つの実現が連鎖して全体としての計画を達成するという強い意識が必要です。それぞれの持ち場で、全社員がコミットメントへの強いこだわりをもって真剣勝負する姿勢が極めて大切です。
そうした姿勢で仕事に臨み、自分自身の限界を突破することで、今まで以上に個人も個別の案件も強靭になると確信しています。それには、仮説をしっかり立ててさまざまな試行錯誤を繰り返す中で、失敗から学ぶ謙虚な姿勢も必要になってきます。
このような強靭な“個”と“個”が結びついた総合力を発揮し、組織としての競争力をさらに高めることで、当社としての力が最大限に発揮できることになります。その“個”を磨く弛まぬ努力を続けてもらいたいと思います。

ビジネス・イノベーションと分厚い顧客基盤

二つ目は、イノベーションを実現していくために、パートナー基盤をより一層拡充し分厚いものにしてほしいということです。
イノベーションというと、青色発光ダイオードのような技術的なことや、ビジネスコンテストのような新たなアイデアを連想される傾向があるかと思いますが、当社らしいイノベーションは、技術やアイデアだけではありません。当社が展開する事業や、深い信頼関係を有するパートナーを軸にして、そこに情報や知見、技術や発想をつなぎ、事業と事業を連携させて、新しい価値を産み出していくこと、それが当社が得意とするビジネス・イノベーションだと認識しています。
例えば、シェールガスのバリューチェーン上で、エネルギーや電力や化学品分野のパートナーを軸にした関連事業を展開したり、当社が参画する鉱山事業と関連するロジスティクスや販売事業について、パートナーと連携してICTの技術や知見を組み合わせ、バリューチェーン全体の効率化を図るなど、さまざまなことが想像できます。
従い、ビジネス・イノベーションの原動力は「つなぐ力」であり、その力の源は顧客を含む信頼できるパートナー基盤となります。ニーズを満たすために最初に声をかけるのは三井物産、というパートナーとの信頼関係が大変重要です。一緒に仕事をしたいと声をかけてくれるパートナーをどれだけ増やせるか、地道な努力を積み重ねてほしいと思います。

三井物産ブランドコンテクスト

ここで、今お話した“個”と“ビジネスイノベーション”について、三井物産ブランド・プロジェクトにおけるブランドコンテクストがよく表現していますので、今一度読上げて共有しておきたいと思います。
『三井物産の価値の中心。それは、創業以来、一貫して「人」です。
一人ひとりが組織に埋没することなく、自由闊達な精神で挑戦する。創造する。
その一つ一つの行動の集合体が、三井物産にほかなりません。
三井物産は、人を軸に、「つなぐ」ことで世界に新たな価値を産み出します。
あらゆる事業領域をカバーし、人を、情報を、発想を、技術を、企業を、資源を、国を、有機的につなぐ。
世の中のパートナーとの深い信頼関係をもとに、必要なモノとコトを、必要な相手に届け、革新的なビジネスを実現します。その結果、大切な地球とそこに住む人びとの、夢あふれる未来をつくっていきます』。

結び

2010年の年頭の辞で、「一人ひとりが輝いて魅力ある存在となることが『人の三井』そして『輝いて魅力ある三井物産』を実現するためには不可欠」という話をしましたが、その思いは今も全く変わっていません。一人ひとりが輝き、お客さまから一緒に仕事をしたいと声を掛けてもらえるよう、心技両面にわたる自己研鑽を続けていきたいと思います。
その際、「築城三年、落城三日」という謙虚な危機意識をぜひとも忘れないでください。
当社最大の資産である個を磨き、その連携の中で当社の価値が最大化されます。新中期経営計画、長期業態ビジョンも、これらの当社独自のダイナミズムにより達成できると信じています。そうした明るい未来へ向け、引き続き皆さんと共に“挑戦と創造”を続けていきたいと思います。
最後に皆さんとご家族にとって、健康で希望に満ちた、実り多い一年となることを祈念して、私の新年の挨拶と致します。