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2022.12.15

洋上風力発電という
新しい産業の夜明けに
貢献したい。

ホライズン・オーシャン・マネジメント株式会社 代表取締役社長 高木 伸幸
ホライズン・オーシャン・マネジメント株式会社 代表取締役社長
高木 伸幸
Profile

2004年に三井物産へ入社後、2年間の会計部署所属を経て、鉄鋼製品本部で石油掘削・生産用鋼管の物流業務に取り組む。その後、2016年よりスコットランドの石油・ガスなど資源開発向けサービス会社へ4年間出向。現地で学んだ洋上風力発電向けの検査・修繕など各種サービスの知見をもとに、2021年よりホライズン・オーシャン・マネジメント株式会社を設立し、同社の代表取締役社長として出向中。

三井物産で取り組んでいることは?

現在は、ホライズン・オーシャン・マネジメントいう会社を立ち上げて、その代表取締役社長として三井物産から出向しています。この会社はこれから伸びゆくであろう、日本の洋上風力発電向けにサービス展開するという目的で設立しました。我々はミッションとして、日本の洋上風力発電の安全で持続的な未来に貢献するということを掲げています。

なぜ洋上風力発電関連事業に
取り組んでいるのか?

洋上風力発電は周囲に建物など他の構造物がないため、敷地の大きさや道路の広さといった制約が存在せず、発電量の大きな大型風車が容易に導入可能であり、効率的に大量のクリーンエネルギーを発電できる発電方法で、カーボンニュートラル実現に向けた切り札とみられる有望産業です。それにもかかわらず、日本は欧州から20年も遅れをとっています。スコットランドにいる間は、両国間に差があるという実感はなかったのですが、むしろ日本に帰ってきてからその差を痛感するようになりました。欧州は洋上風力発電が2000年代からスタートしており、発電容量も既に欧州全体で約20ギガワットもあるほどのレベルになっています。それに対して、日本での洋上風力発電の容量は現在0ギガワット。2030年に10ギガワットという目標があるのですが、その目標も少し遅らせようという話があるほど、ギャップがあるのが現実です。欧州と比べ遅れているのは、制度もそうですが、日本は「洋上風力発電においてないものづくし」の国。もともと日本は、欧州のような洋上での石油開発は進んでおらず、原子力や化石燃料での発電に頼っていたことから、洋上風力発電を支えるサプライチェーンが育っていない状況で、人もサービスも設備も足りていません。このままだとますます欧州との差が開いていくのではとも感じました。そのような背景から、今後カーボンニュートラルな社会へ加速していく日本において、確実に必要となる洋上風力発電の関連事業は、今こそがビジネスチャンスだと考えました。そこに身を投じたいという強い想いで、陸上風力発電のメンテンナンス事業の第一人者である北拓という会社と、二人三脚でホライズン・オーシャン・マネジメントを立ち上げることになりました。

ホライズン・オーシャン・マネジメントとは?高木 伸幸

ホライズン・オーシャン・マネジメントとは?

ホライズン・オーシャン・マネジメントという会社は、洋上風力発電設備のメンテナンスをするために立ち上げた会社です。人間で例えてみると、健康な身体の維持には定期的なチェックを行う人間ドックが、身体を壊した際のメンテナンスには医師による診察や手術がありますよね。同じことを洋上風力発電向けに行おうとしているのが、私たちのビジネスです。一方で、今この瞬間に洋上風力発電の業界で求められていることは、病気の治療というよりもどのようにすれば病気を未然に防げるか、どうすれば病院に行く回数を減らせるかといった、アドバイスやコンサルティングの業務だったりもします。我々も現在は業界のニーズに合わせ、洋上風力発電自体のリスクや留意すべき点など、事業自体の情報提供を含めたコンサルティング的なサービスも含めて事業の幅を広げているのが実態です。まだ3人の会社なので、何から何まで自分たちで取り組みながら毎日奔走しています。

会社を立ち上げる際に直面した難問は?高木 伸幸

会社を立ち上げる際に直面した難問は?

パートナー企業である北拓のオーナーから、合弁会社の立ち上げを見直したいとの連絡が届いたことです。社内でも新会社を立ち上げる承認が下りて、北拓との間で条件などもほぼ全て固まった状態で、いざ契約書を結ぶぞという矢先に起こった出来事だったので非常に驚きました。先方は、この事業を三井物産と行うのが最適なのか、という想いがあったようです。もともと北拓というパートナーを見つけたのは別の担当者だったのですが、100社近くを回った上で、北拓とパートナーを組みたいと会話を開始したのが会社の設立から約1年半前でした。その期間をかけて、基本合意書を取り交わして、交渉を重ねて、という果ての土壇場に起きた出来事だったので、まさに青天の霹靂でした。

その難問をどう乗り越えたか?

最後は人対人の、一対一の電話でした。この事業は、自分としても心から取り組んでいきたいし、日本の産業にとって洋上風力発電が普及するための準備をするのはとても重要で、そのためには北拓というパートナーは欠かせないという話を、熱意を込めて伝えました。「私、高木伸幸という人間は会社人生を賭けてこの事業を軌道に乗せていく覚悟があるので、私に賭けてください」と再プロポーズのような形で交渉したのを覚えています。先方も、「そこまで言うなら」ということで、その日のうちに考えを戻していただき、同じ方向を向いて前に進むという合意をとることができました。その時に「高木さんだからこの事業はやる、高木さんだからやってみようと思う」とも言っていただけた瞬間は、会社対会社を超えて人対人で信用していただけたと感じて、本当に嬉しかったです。ほっとする気持ちと、「今後はこれまで以上に本気でやっていかなければ」と引き締まる思いを同時に感じましたね。

あなたの志は?高木 伸幸

あなたの志は?

もともと特定の事業や国に強い想いはなく、与えられた役割の中で新しい取り組みを進めていくタイプでしたが、現在はこの事業にコミットしたい気持ちがとても強いです。今は、「洋上風力発電という新しい産業の夜明けに貢献したい」という志を持って、この産業で、未来に届く成果を残したいという想いがあります。この、「夜明けに貢献したい」という志は、ホライズン・オーシャン・マネジメントの「ホライズン」という言葉を会社の名前として選んだ由来にもなっています。洋上風力発電という産業は、まさに今作らないといけない。その中でこの事業は、日本の洋上風力発電に貢献できる、この新しい領域でかなりのプレゼンスを発揮できるのではないかという揺るぎない信念があります。1日でも早く実際のメンテナンスの提供を行えるよう、志を持って取り組んでいきたいです。

今後の事業の展望は?

最近は、世間的にもホライズン・オーシャン・マネジメントという会社に対しての期待や評価が上がっているのを感じています。まだサービスを実際に提供しているわけではないので、この期待が泡と消えないように、自分たちでしっかりとサービスを作らなければならないという使命感も同時に増しています。今後は、この会社を大きな会社にしたいという想いと、そこで働く人たちが自分たちの事業に胸を張れる会社にしたいという想いが強くあります。その中で、自分たちが抱えているミッションである、安全で持続的な日本の洋上風力発電に貢献するために、自分たちが想いを持って仕事をするのはもちろん、それがこの社会に伝わっていくようにしたいと考えています。そのためには、20年遅れている現実を踏まえて、この産業を世の中にしっかりと発信していきたいと思っています。自分の会社のことだけではなく、この産業の発展と、自分の会社の発展とを同時に考えながら、洋上風力発電という新しい産業の夜明けに貢献していきたいです。

(2022年12月現在)

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