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2025.02.07

CO2排出量の可視化で 日本の脱炭素を加速させたい。

エネルギーソリューション本部 e-dash株式会社 甲斐 綾乃
エネルギーソリューション本部
e-dash株式会社
甲斐 綾乃
Profile

三井物産入社後、プロジェクト本部に配属。現在のサステナビリティインパクト事業部の前身である同部にて、電力の分散化を軸にして新規事業の創出に取り組む。e-dashが創業した2022年より同社に出向し、パートナーサクセス部とマーケティング部の部長を兼任。同社にて、CO2排出量の可視化・削減のサービスプラットフォームの運営に取り組んでいる。

三井物産で取り組んでいることは?

私は現在、三井物産エネルギーソリューション本部のサステナビリティインパクト事業部に所属しながら、子会社であるe-dash株式会社というスタートアップ企業に出向しています。e-dashではパートナーサクセス部とマーケティング部の部長を兼任し、CO2排出量の可視化・削減のサービスプラットフォームを運営しています。

入社以来、次世代エネルギー関連事業に従事してきています。欧米を中心に、蓄電池やEV充電インフラ、法人向け太陽光発電の設置プロジェクト等を推進し、中には新規事業を立ち上げたケースもあります。風力発電やEV充電インフラ事業では投資を行うことで、蓄電池事業ではすでに連携していたスタートアップと共に、既存のリソースを活用し、新しい事業への進出を担いました。

三井物産で取り組んでいることは? 甲斐 綾乃

e-dashで取り組んでいることは?

e-dashは「脱炭素を加速する」をミッションとして、企業の脱炭素化のプロセスを包括的にサポートしています。

企業がカーボンニュートラルの達成を目標として掲げる例が加速度的に増えているものの、実際には何をすればよいのか、どこから始めたらよいのかは分かりづらいのが実情です。そこで、e-dashは、排出量を可視化し、削減、開示するまでのプロセスを一貫してサポートしています。

企業の脱炭素は、ダイエットを頑張ることと同じだと例えられることが多いのですが、ダイエットをする際も体重を減らしたいのであれば、いきなり走り始めるのではなく、まず現在どれくらい体重があるのかを測りますよね。企業の脱炭素化においても、まずは現時点でどのくらい排出量を出しているのかを知るところから始めます。

具体的には、大きく4つのステップに分かれます。

最初は、排出量の把握です。現在の企業活動の中で、どれほどのCO2を排出しているかを数値として把握します。そしてその次が「省エネ」です。余分に使われているエネルギーを削減することで、コスト削減にも直結します。エネルギーを使わない、が究極の削減手段です。

ただし、エネルギーは使わないと事業が回らない。そこで次に進めるのが「再エネ化」です。使用するエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えることで、排出量を大幅に減らすことが可能です。太陽光パネル等を活用した自家発電と自家消費、あるいは再生可能エネルギー由来の電力を環境価値という形や電力会社のプラン変更という方法で調達します。最後が「残る排出量への対応」です。どうしても削減できない排出量にはオフセットを活用します。クレジットを調達して相殺する方法です。

e-dashでは、これらのプロセスを、それぞれの企業の状況に沿って伴走しながら支援し、企業がスムーズに目標を達成できるようサポートしています。

特に、e-dashでは排出量の算出を簡便化しています。従来は手作業で行われていたため、計算の煩雑さやミスのリスクがあることが課題でした。e-dashでは、事業活動を通じたCO2排出量(Scope 1・2)は電気やガスの請求書をシステムにアップロードするだけで、自動的にデータを処理し排出量を算出する仕組みを提供しています。その他Scope 3(Scope 1・2を除くサプライチェーン排出量)等についても簡単な操作で排出量を可視化できるクラウドサービスを提供することで、管理のハードルを大幅に下げています。

e-dashでの最大のやりがいは、自分たちのサービスが直接お客様に役立っていると実感できることです。特に印象深いのは、「脱炭素なんて難しい」とおっしゃっていたお客様が、「e-dashなら始められる」「やっと何をすればいいのか分かった」と言ってくださる瞬間です。こうした反応を見るたびに、私たちの取り組みが社会の変化につながる手応えを感じています。

e-dashの大きな特徴の一つが、大企業から中小企業まで、幅広い業種にわたりご利用いただいている点です。上場しているか否かや会社規模、業種によってその時々のニーズや課題は異なるもので、専門人材を社内に有し可視化から開示、削減まで一気通貫で対応しているからこそ幅広くご支援ができています。

私が所属するパートナーサクセス部は、そんなお客様の中でも特に中堅・中小企業を意識した取り組みを司っています。開示の義務化が進んでいく上場企業と異なり、中堅・中小企業にとって脱炭素化はいまだ遠いテーマとして受け取られるケースが少なくありません。そのような企業にも世の中の流れに意識を向けて一歩踏み出していただくため、全国200以上の提携金融機関や複数の自治体と連携しています。例えば、今年度は11の自治体と共同で支援事業を組み立て、各地の金融機関等の協力を得ながら、地域の中堅・中小企業の脱炭素化の取り組みを後押ししています。

自治体や金融機関といった、「脱炭素推進」というミッションが共通するステークホルダー同士をつなぎ、具体的な支援策やソリューションを提供することで、個々の企業が脱炭素化への一歩を踏み出しやすい環境を整えています。

e-dashで取り組んでいることは? 甲斐 綾乃

三井物産とe-dashの働き方の違いは?

仕事の進め方や意思決定のプロセスが大きく異なりますね。e-dashでは、短期間で決断を下し、即座に振り返りながら進む高速なサイクルが求められます。お客様やパートナー様との対応には柔軟性も不可欠です。一方、三井物産では、大規模な投資判断が伴う分、慎重で長期的な意思決定が求められます。この違いは、時間の使い方等日々の働き方にも関わってきます。

e-dashはITスタートアップらしく、多様な専門人材がそれぞれのスキルを最大限に活用しながら、スピード感を持って意思決定をし、それを実行に移しています。一方で、三井物産のリソースを活かしたダイナミックな事業展開も実現しており、両者の良いところを活かして働いています。

脱炭素を加速させる事業に取り組む理由とは?

私は、日本企業が脱炭素に取り組むことは、国内産業全体の国内外での競争力強化につながると信じています。この信念のもと、e-dashでは、ゼロから新たな価値を創造し、「企業の競争力に結び付く脱炭素のあり方とは?」を自問自答しながら日々仕事をしています。自分たちの事業がよりよい社会の実現に繋がる、こんな面白い仕事はないです。

あなたの志は?

小中学生時代をアメリカで過ごした際、日本製品が高く評価されていることに誇りを感じていました。しかし、大学で気候変動やSDGsについて学ぶ中で、企業評価の基準が製品性能だけでなく、環境問題への対応にも大きく左右される時代へと移行していることに気づきました。この変化に危機感を覚え、日本企業が環境問題に本気で取り組む必要性を強く感じるようになりました。

企業が財務指標だけでなく、環境や人的資本といった非財務的な要素を重視することは、今や競争力の維持に不可欠です。適切な取り組みが企業価値を高める一方で、それを無視することでリスクが増大する現実を目の当たりにしてきました。せっかくクオリティは高いものを提供できているのに、環境に対する意識が低いのはもったいない。元々、日本の企業に貢献したいという想いが根底にあったため、気候変動への対応責任が企業評価の重要な軸となる中でこの視点を広く伝え、具体的な脱炭素化アクションをサポートすることで貢献できたらと考えています。

大学時代に訪れたサハラ砂漠で、岩や砂だらけの風景の中に残された乾いた井戸を見た時、もしそれがかつての人々の生活の跡であるなら、気候変動が生活基盤をどれほど破壊しうるかを痛感しました。私たちの世代が真剣に取り組まなければ、砂漠化はより進んでいくことが想像できましたし、広大な大地で感じた「人ってちっぽけな存在なんだな」という感覚と、「地球の環境に住まわせてもらっている」という実感は、現在の私の活動の原点となっています。環境と人間が持続可能に共存できる社会の実現に貢献したいという想いが、私の原動力です。

あなたの志は? 甲斐 綾乃

今後の事業の展望は?

e-dashが目指すのは、脱炭素化が企業活動の「当たり前」となる社会の実現です。「脱炭素」という言葉をわざわざ声高に表さずとも、企業が自然と持続可能な取り組みを行う文化が根付くことが最終目標です。そのためには、企業が脱炭素化を単なる義務ではなく、価値創出の機会と捉える意識改革が必要だと考えています。e-dashが提供するソリューションを通じて、脱炭素化を加速させ、日本が世界に誇る新たな競争力を創出できるようやるしかない、という想いで引き続き挑戦を続けていきます。

(2025年2月現在)

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